ちょっと愕然。

 今さっき、新ドラマの『天体観測』を見たわけだ。伊藤英明・坂口憲二・オダギリジョーと、旬な美男勢揃いで、大好きな松重豊も出てるし、たのしみなドラマのひとつだったさ。
 内容は、見る前から簡単に想像できる。学生時代の仲間たちが数年後に再会、あのころのような無邪気な子どものままではいられない、夢と現実、友情と恋に悩むわけだな。
 アホアホ系ではなく、センシティヴ系。青春ものですわ。
 本来なら、好きなジャンルだ。

 なのになー。

 どーにもこーにも、薄っぺらくて、つまらなかったんだわ。
 7人もキャラがいて、全員ロープレのパーティ並にジョブが分けられていて、たぶんジョブチェンジは不可能なんだろーな。
 ひとつのパーティには、勇者と魔法使いとアーチャーと、てなふーに、決まってるのよねえ。ゴレンジャー系の戦隊モノに例えたっていいわ。赤は熱血ヒーロー、青はクール、黄はぶさいくで力持ち、てなふーに。
 なまじ『愛という名のもとに』っちゅードラマの記憶が強いだけに、「あら、あの子が保奈美ちゃんね、職業まで同じっすか? そんでもってこいつが江口でこいつが唐沢。うわー、チョロまでいるわ、まんまだわ」と、いちいちオーバーラップしてしまう。

 つまんなかったのよ。
 彼らのキャラも、抱えている悩みも、直面している現実も、なにもかもが陳腐で。

 かけらも共感できない。

 で、ちょっと驚愕、なのさ。
 日本語として変だけどな、「ちょっと」で「驚愕」てのは。

 わたし、前期のセンシティヴ・ドラマ『夢のカリフォルニア』が、まーーーーったく、ダメだったの。
 共感だとか感情移入とか、その入口にも立てない。

 「こいつら、バカ?」としか、思えなかったのよ。すべてにおいて。

 彼らの悩み苦しみ、そしてよろこびすらも、理解不能。
 なんでそんなことで、思い悩むかな。そんなことの、なにがたのしいの?
 わわわ、わかんないです。宇宙人みたいです。

 いや、やろうとしていることは、わかったの。
 センシティヴっすからね。とにかく、なにがなんでも傷つきやすく、悩まなきゃならないのよね。
 その「やらせ臭さ」がどーにも鼻について、ダメだったのよ。
 「傷つかなければならない」「悩まなければならない」という、お題目がこう、目の前に掲げてあって、それに向けてすべてのレールを敷いたような、不自然な作品だった。

 出来事があって、それにつまずき、結果として傷ついた、ならわかるのよ。
 でも、『カリフォルニア』には感じたのは、逆。
 傷つく、というゴールがあって、そのためにわざわざ出来事をねつ造している感じ。

 しらけました。
 つーか、気持ち悪かった。

 谷せんせじゃないんだからさあ。
 「人が死にました、さあ泣きなさい」と言われてもこまるよ。
 人はあんまり死ななかったけど、方法論は同じだからねえ。

 だがそれは、わたしの感性の問題なのかもしれない。
 わたしには、あんなどーでもいい、とってつけたよーなことで思い悩む若者の気持ちがわからないし、またその出来事もそれに対する周りの反応もあまりにも荒唐無稽、リアリティがまったく見えなかった。
 しかしそれは、わたしがもう若くないからなのかも、しれない。

 だから、プチ驚愕。
 『カリフォルニア』と『天体観測』、2本つづけて「傷だらけの青春」モノが理解不能なのか、わたし?!
 こんなに感性ってのは急激に衰えるモノなのか?! トシをとるものなのか?!

 まあ、せっかくトシをとるわけなんだからさ、今にしか味わえない感性を大切にしたいとは思うよ。
 若いころなら理解できなかっただろーものも、理解できるようになっているもの。
 ケツの青い小娘どもを鼻で笑って、大人の女を気取りたいものさ。

 しかし。
 少女のココロを忘れたいわけではないのだ。

 くそー。

 

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