わたしはわりとしょっちゅー東京へ行く。
 ヅカファンで、そのうえオタクだからだ。
 気軽に出掛けるから、移動はほとんど夜行バスだ。安いんだもの。
 飛行機代の片道料金で、往復できてしまう。新幹線なら、片道料金の2000円増しくらいで往復かな。
 夜行バスは経験値の低い人ほど拒絶反応を示す。「何故そんな大変な真似までして東京へ行くの?!」てなもんでな。
 大変ってそんな。
 黙って数回乗ってみ? 快適っすよ。早朝に着くから、時間が有効に使えるしね(東京に着くなり、東宝の当日券に並ぶのがちょーどいいぞっ)。

 さて、もちろん今回も夜行バスだ。
 JRの夜行バス、ドリーム号は2種類のバス会社が運営している。
 当たりは「西日本JRバス」。わたしも連れのWHITEちゃんも、いつも神に祈る。
「わたしたちの乗るバスが、西日本社のバスでありますように」
 西日本のバスはきれいで設備が良く、快適なのだ。
 一方、ハズレが「JRバス関東」。
 こちらに当たると最悪。車体は古く、設備もぼろぼろ。リクライニングが壊れていたり、座席間が狭くて足が伸ばせなかったり、シートが狭くて固かったり、通路が狭すぎて歩きにくかったりと、悲惨なバスばかりだ。
 西日本のバスにも古いものがあるが、それでも関東バスの最良バスくらいのレベルはある。

 西日本バス最新>>>西日本バス旧式>>関東バス最新>>>関東バス通常>>>>>>関東バス旧式

 とゆーよーなレベルだ。
 同じ料金で何故ここまでチガウ?!
 と、理不尽な思いを噛みしめる。
 指定券を取る際にバス会社を指定できないか、調べたことがあるのだが、ほとんど無理に近かった。相当がんばれば、事前に調べることは不可能ではないが、「不可能ではない」程度のことを一旅行者がやるのも大変。
 だから泣き寝入り。

 東京旅行の行きと帰りの運試し。
 さあ、当たりの西日本バスか?!
 それともオーマイガッ!! の関東バスか?!

 今回は往復とも大当たり。
 西日本バスでございましたよ。
 しかも行きは新型車両。めっちゃ快適!!

 バスのプラットホームで一喜一憂するのも妙な話だがな。

 さて、午前7時半ほどに新宿着。
 夏の定宿、父の仕事関係で取れる新宿の激安ホテル。朝食付きで1人4130円(税サ込み)。
 チェックインはまだできないが、荷物だけ預け、さあ一路有明へ。
 目的はお買い物っす。
 「書き手」と呼ばれる自分で創作活動をしている人たちは、本を作って売りはしても、他人の作品を買ったりはしなくなる確率が高い、らしい。
 殿さんは書き手さんだが、大真面目に「緑野さん、コミケで本買ったりするの? なんで?」とか言われたよ。彼女の周りの書き手さんたちも、本は売るけど買わないんだって。創作はするけど、他人の創作には興味ないってこと??
 わたしは書き手のひとりだが、それでもやっぱり他人の作品が読みたいよ。
 だからはるばる、ひとさまの作品を買うために有明へ行くんだよ。

 サークル参加ではないので、有明の喫茶店でお昼近くまでのんきにお茶する。炎天下に並ぶ気ないもん。
 並ばなくても入れるようになってから入場し、あとはマイペースにお買い物。
 超大手の売れっこサークルさんに興味がないので、ひたすら自分の足で細かいテーブルを回り、掘り出し物を探す。
 運命の出会いを求めて(笑)。

 コミケのあとは、わたしは仕事の打ち合わせだ。
 ライス氏の待つB社へ。
「コミケのために夜行バスで上京してくる作家」
 つーことで、ライス氏にも彼の上司にもとてもウケられてしまった。なによおー、わたしはオタクだって最初に言ってあったじゃない。
 オタクだというのは恥ずかしいことではあるが(ヅカファンつーのもな)、その恥ずかしさもがわたしだと思っている。ふむ。
 ライス氏に連れられてさらにC社へ行き、ごはんを食べながらC社の人と打ち合わせ。

 今までわたしは、ひとりで仕事をしてきた。
 あくまでも、わたし個人ベースだ。
 だが今回はじめて、大きなチームに入って仕事をすることになった。
 これがもー、新鮮で新鮮で。
 歯車は、動き出しているのだ。
 途中で止めることも、逃げ出すこともできない。
 ライス氏とC社のブライトさんの会話を聞いていて、「かっこいい」と思ったのよ。
 腕に憶えのある傭兵たちが集まって、作戦会議をしている風情。敵を切り崩し、勝利するために不敵な笑いを浮かべている。
 なんでわたし、ここにいるんだ? わたしなんかがここにいていいのか? って、不思議な気分。
 そして、責任の重さをひしひしと感じる。
 この不敵な人々と共に、ブランド名と期待に恥じない仕事をしたい。
 自分にできるかどうか、今はまだ未知数なので、正直不安だ。こわい。失敗は許されない。されどもし失敗したら? と、考えるだけでもこわい。
 だがそれと同時にわくわくする。武者ぶるいって、こういう感じか。
 わたしはわたしの才能と、実力を信じたい。

 

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