いきなり「HAPPY BIRTHDAY」。

 タカラヅカ デスクトップ カレンダーですよ。
 去年の誕生日、東京にいたもんで、せっかくの「スターからの誕生日メッセージ&フォト」が見られなかったのよ。
 帰ってから見ようとしたら、もうダメ。「誕生日過ぎたから、見せてあげません」とメッセージが出た。
 なんじゃそりゃー。わしゃ客じゃぞ、見せんかいっ。誕生日のあとはいつでも何度でも、好きなときに見せるとか、融通を利かせてよ。
 ……でも、結局ダメ。
 2002年版は見ることができませんでした。

 だから、2003年版。
 同じ過ちは繰り返しません。
 迷わず1月1日、元旦を「MY誕生日」に設定。元旦は家にいるはずだから、次こそはメッセージを見ることができるわ。

 ……と、設定していたのを、きれーに忘れていたのよ。

 開くなり、「HAPPY BIRTHDAY」。
 ああ、びっくりした。

 トド様にお祝いしていただきました。
 音声付きなのか……。ほほお。フォトはパーソナルの表紙です。きゃあ、トド様男前。

 元旦にとっとと誕生日メッセージを見てしまったわたし。さあ、日にちを替えてもう一度、と思ったら。……あら。もう変更できないでやんの。
 はい、躊躇なくアンインストール。さくっとな。
 再びインストールし直しました。だってまだ、なにも書き込んでなかったもん。2002年版はもうずっと使っていたわけだから、そうはいかなかったけど。

 トド様の声で「お誕生日おめでとうございます」を言ってもらえたわたし、実は内心期待したの。
 デスクトップ カレンダーに収録されている人なら、OKよね? んじゃんじゃ、わたしのケロ様(突然、様付け)に言ってもらうのもアリ? よし、次はほんとに自分の誕生日に設定して、ケロ様にお祝いしてもらおう!! どきどきっ。

 …………スターカレンダーに載ってる人だけじゃん、メッセージが収録されてるの。
 しょぼん。
 ケロちゃんのメッセージは存在しないんだー。しくしくしく。

 悩んだ結果、たかこに設定。たかちゃん、わたしの誕生日に癒しヴォイスを聴かせてね。

          ☆

 のんきにBSの『タカラジェンヌ広州に踊る』を見ていたら、母が鼻息荒くやってきた。

「伏見稲荷に行くわよ!」

 はい? 伏見へ?
 伏見稲荷詣では我が家の年中行事。正月中に行くのはわかっていたけど、今日元旦ですよ? 元旦に行ったことなんか、ありましたっけ??

 なんでもテレビで伏見稲荷が映っていて、父がすっかりその気になったらしい。
 ……そんな理由で、今? 今から行くの? あの、超絶混んでると思いますけど?

 混んでました。
 ものすっげー、混んでました。
 本殿にたどり着くまでに渋滞ができてたのなんか、はじめてだよ……。

 京都の伏見稲荷大社。
 全国にある「お稲荷さん」の総本宮であり、日本人なら一度は「見た」ことがあるだろう超有名神社。

 わたしがはじめてこの神社に行ったのは、いったいいくつのときだっただろう。たしかまだ、小学生だったよな。
 いっぺんで、魅せられた。
 惹きこまれた。
 おそろしいまでの、吸引力。

 わたしも日本人だから、それまでに「見た」ことがあった。テレビか、写真か。なにかで、「見た」ことがあった。

 見渡す限りの、朱い鳥居。

 無数の朱色の鳥居が連なり、トンネルのようになっている。
 それが、えんえんつづく。
 いつ果てるともしれない、異次元空間。

 無数の鳥居、無数の祠、無数の狐像。
 リボンのようにのびる石段、木々の深い山。そして、目を刺す朱色。

 一度行ったら、忘れられない。
 他のどんな神社ともチガウ。この、強烈なちから。

 ここに迷界がある。
 ひとの想いと祈りでできた、異次元がある。

 一度行ったらハマってしまい、以来毎年参拝に行くことにしている。
 初詣とか、宗教とか関係なくても、純粋におもしろい場所だ。アートを志す者ならば、一度はその目で見よ、その魂で触れよ。……そーゆー場所だわな。

 わたしはオタクだから感じ入ることがいろいろあるが、そうでなくても愉快なところだ。
 正月三が日に行っていいところじゃない。
 ……人の、多さ。
 混みすぎだよーっ。歩けないよーっ。ぜえぜえ。

 今日行く予定じゃなかったのに、突然行くことになったので、いつもより着いた時間が遅かった。
 わたしたちは毎年、本殿参拝だけではなく、稲荷山の上まで登ることにしている。今年もそうしたんだけど。
 中腹の四ツ辻まで行ったあたりで、日が暮れだした。

 日暮れですよ。
 夜ですよ。
 闇ですよ。

 稲荷山には、1万基だかの鳥居が立ってるんすよ。参道すべて、朱色の鳥居のトンネルですよ。
 昼間に登ったって、異次元空間ですよ。
 なのに、そのうえ「夜」ですよ。

 ……す、すげえ。

 黄色い明かりに照らされて、朱色の鳥居がてらてら光る。
 足元の闇。
 空の闇、隙間の闇、木々の闇。
 ここ、どこ?
 ほんとうにこの世? わたしの知ってる世界?
 鳥居の隙間から、ひとでないものが躍り出てきそう。和服姿の狐面の子どもたちが、不意に走り去る気配が見えそう。

 いやあ、もー、めちゃくちゃおもしろかった!!
 ファンタスティック!! 幻想世界だよ、あれは。

 こわがりの人には向かないけどな。
 あちこち、マジこわいから。
 昼間でもこわいのに、夜はものすげえよ。
 得しました。
 こんなに美しいものを見ることができるなんて。
 弟とふたり「シャレならんぞ、こわすぎー」と言いつつも、心からたのしみました。

 実際、わたしはとてもツイていた。
 ささやかなことばかりなんだけどな。でもその、ささやかな「あ、ツイてるわ」が重なると、なんかとってもしあわせな気持ちにならない?
 大大吉を引いただけのことはあるってこと?

 そのささやかな「ツキ」の一例。
 150円のペットボトルを、わたしひとり100円で買うことができた。(ネコババしたとかゆーことではない。正価で買ったの。なんて不思議)
 ……ささやかでしょ? でも、こーゆーことがどんどん重なっていく日だったのなー。

 ラッキー☆ と、よろこぶわたしに。
「150円のペットボトルを100円で買うことだけで、大大吉の運を使いきったか……」
 と、弟。
 縁起でもないことを言うなっ。こんなことで運を使い切ってたまるかっ。

 ささやかな「ツキ」が重なる不思議な一日。
「たった一日で、大大吉の運を使いきったか……」
 と、弟。
 縁起でもないことを言うなっ。こんなことで運を使い切ってたまるかっ。

 ……そして帰ってきてパソコン立ち上げたら、トド様に「お誕生日おめでとうございます」だしな。
 なんて一日だ(笑)。

 

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