タイムスリップ1986@コミケカタログとわたし。
2003年9月2日 オタク話いろいろ。 同人誌の整理をしていたら、昔のコミケカタログが出てきたよ……。
コミック・マーケット30。1986年夏。表紙・乙田基。
コミケカタログを保存する趣味はないんだが、これだけは取ってあったんだ。
はじめて行ったコミケだったから。
それに、当時大好きだった乙田基の表紙だし。
愉快だったので、思わず全ページ読んでしまったわ、カタログ。
広告あわせて、160ページしかないんだもん。
場所は今は亡き晴海。そして、使用しているのは西館と新館のみ、サークル数4000、一般参加者3万人だそうだ。
17年、という歳月の重みを感じる。
というのも、カルチャー・ショックに満ちているからだ。
サークルカットのページの最初、なんだと思う?
「創作漫画」なのよ?
ええっ?!
オリジナルですか。
しかもオリジナルが、えんえんえんえん続きます。
違和感を押さえきれず、ジャンル配分のチェックをしたら、なんと、オリジナル・サークルの方がパロディ・サークルより多いのよ。
オリジがパロより上?! うわー、こんな時代があったんだ。いや、大昔はそうだろうけど、きゃぷ翼全盛期の86年でさえ、オリジナルが上だったのか。
そして、読んでいるとわからない概念がそこかしこにある。
「マンガ」ってなに?
「アニメ」ってなに?
どうやらジャンルのことなんだけど、サークルはほぼこのふたつに分類できるらしい。
読み進むウチに、理解したよ。
「マンガ」ってのは、「創作系」「オリジナル系」のことらしい。
「アニメ」ってのは「パロディ」のことらしい。
オリジナル小説サークルも、「マンガ」なの。
小説のパロディ・サークルも「アニメ」なの。
「オリジナル」と「パロディ」という言葉や概念が確立される前だったのね。
「学生サークル」「社会人サークル」というジャンル分けも存在するらしいし。
職業で配置が変わるの?? すごいなー。
あと、目に付く「特集」「会員募集中」「会誌」の文字。
どうやらサークルとは正しくサークルで、同好の志が集まり、年に何回か会誌を発行しているらしい。会誌には特集ページがあり、執筆会員や購読会員がいる。
オリジナルだけならまだわかるが、アニパロでもそうなんだよなあ。
巻末のアンケート・ページに「サークルの形態」という集計結果がある。
そこにある項目がすごい。
「会員制」「編集制」「個人誌」「学校・大学」だよ。
「マンガ」のほとんどは「会員制」で、「アニメ」にしたって「編集制」がいちばんで、僅差で「会員制」だよ。
今、会員制のアニパロ・サークルなんて、どれくらいあるのかなあ。
当時の同人誌は、10人以上で原稿を持ち寄って作るのが常識だったからなー。ひとり4ページぐらいでさ。執筆者が多いほど「豪華な同人誌」だったよ……今と感覚が逆。
たったひとりの好きな作家の2ページだの4ページだののマンガが欲しくて、何十人もの人が書いている本を、高い金を出して買うのが普通だった。
サークルカットのページを見ていると、その画力の低さにも感心するし。
今の人たちってほんと、絵うまくなってるよね。
現在のサークルカットで「うわ、下手やな」と思うレベルが、86年では「ふつう?」くらいの感覚。とくに「マンガ」系はものすげーや。
そしてその下手絵たちのなかで、やたら目に付く「ペロリと舌を出したかわいこちゃん」の絵。
かわいいキャラのかわいい表情、ってのはコレが定番なんですか? 現実問題、舌を出した顔ってのはみっともないものであって、かわいくもなんともないのに。大昔の少女マンガでは、たしかに定番だったけど、この時代でもまだ通用していたの? 70年代の感覚じゃないのか、ソレって。
言葉の感覚のちがいで大きいのが、もうひとつ。
ジャンル分けに「ロリコン」が存在すること。
ブロックのジャンル分けページに、堂々と「新館2Fロリコン系」と書いてあるのよ。
現在では、「男性向き」とか微妙な表現になってるよね。それが正々堂々と「ロリコン」。
このままの感覚で発展していけば、いずれ「ホモ」というジャンル表記もアリになったかも? あ、「JUNE」があるか、女性向きには。
ちなみに86年夏の時点では「JUNE」というジャンル表記は存在せず、「マンガ>少女漫画>特に耽美系中心」というブロック配置ナリ。
この「ロリコン」サークルカットのページも、全部眺めたんだけど、「巨乳」がほとんどないのよ!
確認したのは、ふたつだけ。
あとは全部、常識内のおっぱいか、貧乳。
そっかー、巨乳は流行だったんだ。普遍的な感覚じゃないのね。
じゃあいつか、萌えキャラのおっぱいが常識の範囲に落ち着く時代や、貧乳の時代もくるのかしら。
いやあ、おもしろいなあ、17年前のコミケカタログ。
この世界に足を踏み入れたばかりだったので、なにもわかってなかったしな、当時は。
だから、たしかに経験してきたはずの多くのことが、「知らない文化」として現在のわたしの目に映る。
もっとちゃんと理解して過ごしていたなら、「ああ、昔はこうで、こんなふうに変化してきたのよね」とか思うんだろうけど。
そーいや巻末のアンケート、「売り上げベスト40」まで表記されてるんですけど。
売れているサークルがひとめでわかるの。
コレ、いいの……?
現在でこんなことやったら、変な競争意識を煽って、えらいことになりそーな……。
のどかな時代だったのかしらね?
裏表紙は味の素フーズの「天空の城ラピュタ」。
ああっ、なつかしい。
大好きでよく飲んでいたわ。
コミケ会場でもあちこちで販売されていて、シトラスミックス味の瓶を片手に大手さんに並んだもんだわ。この時代、まだペットボトルがないんだよね。
なつかしさついでに、乙田基のイラスト集も発掘。
たしかにこの人、当時ではケタ違いの画力とセンスを持っていたよなあ。
しかし、こんなにきれいでオシャレなイラスト集なのに、ポエムの書き間違えた文字を、くちゃくちゃっとペンで塗りつぶしただけ、ってのは、なんなんだろう? ホワイトで修正して上から書けばいいだけなのに。書道家みたいに、1回勝負の芸術だったのかな?
コミック・マーケット30。1986年夏。表紙・乙田基。
コミケカタログを保存する趣味はないんだが、これだけは取ってあったんだ。
はじめて行ったコミケだったから。
それに、当時大好きだった乙田基の表紙だし。
愉快だったので、思わず全ページ読んでしまったわ、カタログ。
広告あわせて、160ページしかないんだもん。
場所は今は亡き晴海。そして、使用しているのは西館と新館のみ、サークル数4000、一般参加者3万人だそうだ。
17年、という歳月の重みを感じる。
というのも、カルチャー・ショックに満ちているからだ。
サークルカットのページの最初、なんだと思う?
「創作漫画」なのよ?
ええっ?!
オリジナルですか。
しかもオリジナルが、えんえんえんえん続きます。
違和感を押さえきれず、ジャンル配分のチェックをしたら、なんと、オリジナル・サークルの方がパロディ・サークルより多いのよ。
オリジがパロより上?! うわー、こんな時代があったんだ。いや、大昔はそうだろうけど、きゃぷ翼全盛期の86年でさえ、オリジナルが上だったのか。
そして、読んでいるとわからない概念がそこかしこにある。
「マンガ」ってなに?
「アニメ」ってなに?
どうやらジャンルのことなんだけど、サークルはほぼこのふたつに分類できるらしい。
読み進むウチに、理解したよ。
「マンガ」ってのは、「創作系」「オリジナル系」のことらしい。
「アニメ」ってのは「パロディ」のことらしい。
オリジナル小説サークルも、「マンガ」なの。
小説のパロディ・サークルも「アニメ」なの。
「オリジナル」と「パロディ」という言葉や概念が確立される前だったのね。
「学生サークル」「社会人サークル」というジャンル分けも存在するらしいし。
職業で配置が変わるの?? すごいなー。
あと、目に付く「特集」「会員募集中」「会誌」の文字。
どうやらサークルとは正しくサークルで、同好の志が集まり、年に何回か会誌を発行しているらしい。会誌には特集ページがあり、執筆会員や購読会員がいる。
オリジナルだけならまだわかるが、アニパロでもそうなんだよなあ。
巻末のアンケート・ページに「サークルの形態」という集計結果がある。
そこにある項目がすごい。
「会員制」「編集制」「個人誌」「学校・大学」だよ。
「マンガ」のほとんどは「会員制」で、「アニメ」にしたって「編集制」がいちばんで、僅差で「会員制」だよ。
今、会員制のアニパロ・サークルなんて、どれくらいあるのかなあ。
当時の同人誌は、10人以上で原稿を持ち寄って作るのが常識だったからなー。ひとり4ページぐらいでさ。執筆者が多いほど「豪華な同人誌」だったよ……今と感覚が逆。
たったひとりの好きな作家の2ページだの4ページだののマンガが欲しくて、何十人もの人が書いている本を、高い金を出して買うのが普通だった。
サークルカットのページを見ていると、その画力の低さにも感心するし。
今の人たちってほんと、絵うまくなってるよね。
現在のサークルカットで「うわ、下手やな」と思うレベルが、86年では「ふつう?」くらいの感覚。とくに「マンガ」系はものすげーや。
そしてその下手絵たちのなかで、やたら目に付く「ペロリと舌を出したかわいこちゃん」の絵。
かわいいキャラのかわいい表情、ってのはコレが定番なんですか? 現実問題、舌を出した顔ってのはみっともないものであって、かわいくもなんともないのに。大昔の少女マンガでは、たしかに定番だったけど、この時代でもまだ通用していたの? 70年代の感覚じゃないのか、ソレって。
言葉の感覚のちがいで大きいのが、もうひとつ。
ジャンル分けに「ロリコン」が存在すること。
ブロックのジャンル分けページに、堂々と「新館2Fロリコン系」と書いてあるのよ。
現在では、「男性向き」とか微妙な表現になってるよね。それが正々堂々と「ロリコン」。
このままの感覚で発展していけば、いずれ「ホモ」というジャンル表記もアリになったかも? あ、「JUNE」があるか、女性向きには。
ちなみに86年夏の時点では「JUNE」というジャンル表記は存在せず、「マンガ>少女漫画>特に耽美系中心」というブロック配置ナリ。
この「ロリコン」サークルカットのページも、全部眺めたんだけど、「巨乳」がほとんどないのよ!
確認したのは、ふたつだけ。
あとは全部、常識内のおっぱいか、貧乳。
そっかー、巨乳は流行だったんだ。普遍的な感覚じゃないのね。
じゃあいつか、萌えキャラのおっぱいが常識の範囲に落ち着く時代や、貧乳の時代もくるのかしら。
いやあ、おもしろいなあ、17年前のコミケカタログ。
この世界に足を踏み入れたばかりだったので、なにもわかってなかったしな、当時は。
だから、たしかに経験してきたはずの多くのことが、「知らない文化」として現在のわたしの目に映る。
もっとちゃんと理解して過ごしていたなら、「ああ、昔はこうで、こんなふうに変化してきたのよね」とか思うんだろうけど。
そーいや巻末のアンケート、「売り上げベスト40」まで表記されてるんですけど。
売れているサークルがひとめでわかるの。
コレ、いいの……?
現在でこんなことやったら、変な競争意識を煽って、えらいことになりそーな……。
のどかな時代だったのかしらね?
裏表紙は味の素フーズの「天空の城ラピュタ」。
ああっ、なつかしい。
大好きでよく飲んでいたわ。
コミケ会場でもあちこちで販売されていて、シトラスミックス味の瓶を片手に大手さんに並んだもんだわ。この時代、まだペットボトルがないんだよね。
なつかしさついでに、乙田基のイラスト集も発掘。
たしかにこの人、当時ではケタ違いの画力とセンスを持っていたよなあ。
しかし、こんなにきれいでオシャレなイラスト集なのに、ポエムの書き間違えた文字を、くちゃくちゃっとペンで塗りつぶしただけ、ってのは、なんなんだろう? ホワイトで修正して上から書けばいいだけなのに。書道家みたいに、1回勝負の芸術だったのかな?
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