正義の女戦士はやる気満々。@クロックタワー3
2003年9月27日 ゲーム 『クロックタワー3』終了。
ラスボス倒すのに3時間かかった……指痛え。
ツッコミどころは多々あれど、たのしかったよ、『クロックタワー3』。
やはり、いちばんのツッコミは、マニュアルの最初のページを見開き使って、
監督 深作欣二
とだけ書いてあることかしらね。
最初に見たとき、爆笑しましたわよ。
だってコレ、「ゲーム」なわけよ。そしてコレは「ゲームの遊び方説明書」なわけよ。
なのに、ゲームの操作説明はまったくせずに、「監督 深作欣二」よ。
ゲームとしてまちがっているとしか、思えない。
で、さらに次のページ。
見開き使って、深作監督のプロフィール。
だからこれは「ゲームの遊び方説明書」であって……以下略。
さらに次のページ。
ゲームを作った人たちが「写真付き」で解説されている。
だからこれは「ゲームの遊び方説明書」であって……以下略。
その次のページ。
シーン紹介として、ゲームの画面写真が載っている。
まあ、これはまだいい。なくてもぜんぜんかまわないものだがな。
次のページ。
ストーリーの冒頭部分の紹介。舞台がロンドンであることの説明。……まあ、こーゆーのはどんなゲームにも載っている。
問題は、次だ。
シナリオ担当者(もちろん写真付き)が「テーマを語る」。
なんだそりゃ?
だからこれは「ゲームの遊び方説明書」であって……以下略。
ゲーム・クリエイターが説明書でテーマを語るなよ……。
それがどんな作品であれ、作者自身がテーマを語ると痛くて寒いだけさ。だって、テーマというのはその作品に触れた人が、作品のなかから独自に感じ取るものであって、作者が解説するのはかっこわるいことこのうえない。作品でテーマを表現する能力がないから、口で言ってます、みたいな。
しかも、ネタバレしてるし。
これは「ゲームの遊び方説明書」だから、ゲームをする前に読むモノだ。小説の「あとがき」とはわけがチガウ。
作者の「テーマ語り」を読んだら、オチもラスボスもなにもかもわかります。……そうでなくてもバレバレの話だけど、説明書で書く必要はないだろう。
もちろん、雑誌のインタビューだとかコラムだとかでテーマを語るのは別よ。それはそれでひとつの仕事。ただ、作品本体に「テーマはこれこれです。すごいでしょ?」と書くのはやめろ。恥ずかしい。
めくってもめくっても、「ゲームの遊び方説明」が出てこないんだ、この説明書。
2ページも使って「レビュー」まであるし。
作品本体に、「こんなにすばらしい作品なんですよ!」って宣伝エッセイが付いてるの。
なんつーか……。
スタッフの顔が見える作品ってのは、総じてヘボ度が高くなるよなあ。
たとえば書店でさ、「あら、この本おもしろそう」と思って買った途端、
「お買いあげありがとうございます、それ、わたしが書いたんですよ! すごくおもしろいんですよ! テーマは**で、苦労した点は**で……、とくにここ! ここは味わって読んでくださいよ! いいこと書いてあるんだから!」
と語られたら、引くよねえ?
そんなこと言われなくても、おもしろければ内容で評価するよねえ? むしろ、作者がしゃしゃり出て語れば語るほど、「言わなきゃわかんないよーな駄作なのか?」と疑うよねえ?
内容で勝負しようよ。
大切に作った作品だからこそ、語りたくなる気持ちはわかるけどさあ。
深作監督を持ってきた以上、彼を持ち上げなきゃならない、てのもあるのかね。
ゲームの遊び方説明書ではなく、「映画のパンフレット」を意識した作りだってのも、わかるよ。
でもさ。
コレ、「ゲームの遊び方説明書」なんだよ。映画のパンフレットじゃなく。
映画みたいにしたかったのなら、2冊に分ければよかったのに。「ゲームの遊び方説明書」と、おまけの「作品解説パンフレット」。
1冊のなかでやるから、「自分の作品を自分で褒め称える寒い説明書」になるんじゃん。
とまあ、ゲーム以前にツッコミどころ満載。
もっともわたし、マニュアルあんまし読まない人なんで、あとから読んであきれたクチなんですが(笑)。
基本操作だけチェックしてプレイして、「そんなことできるの? あたし知らなかったよー!」と言って弟によく「マニュアル読め。マニュアルに書いてある」と言われるなあ。
んでもって、ゲーム自体の感想。
いちばんの印象は、
キャラクターの動きがリアル
ってこと。
深作監督が演出した生身の人間をモーションキャプチャリングして、作られているらしい。
これほどリアルなキャラクタを見たのははじめてだ。
リアクションのひとつひとつが、すっげーリアル。
そしてヒロイン・アリッサの声がまた、すごいリアル。バーチャルでありながら、生身のような質感。声優さんなのか役者さんなか、ぜんぜん知らないんだけど、うまい人だー。
ヒロイン・アリッサはなかなかいいキャラだ。
なんせ「ゲームの遊び方説明書」において、いろいろ語られている。クリエイターによる「設定秘話」が載ってるの。こうこうこうだから、こうしました、てな。テーマとはべつに、キャラまで口で説明してくれてるのさ。
それによると彼女は「清純な乙女」らしい。
たしかに見た目はそうだ。しかし、実際にゲームをプレイしてみると……。
ふつーの女の子のハズのアリッサは、魔のモノとの戦いに否応なくまきこまれていく。
第1話では、なにがどーなってるのかわからないものの、彼女は前向きに化け物と戦い、勝利する。
そして第2話。アリッサが魔のモノと戦うことになったのは、すべて宿命だったことが判明。彼女の家系は「正義の女戦士」の家系で、大昔からずーーっと魔のモノと戦い続けてきたのだ。
ここでアリッサ、いきなり開眼。
「わたし、正義の味方だったんだわっ」
ええっ? ふつーショック受けませんか? これからずっと化け物と戦うのよ? しかも、大人になったら次の戦士を生むために、結婚して女の子を産むことまで宿命づけられているのよ?
「よーしっ、化け物倒しちゃうぞーっ、だってわたし、正義の味方だもんねーっ!!」
やる気満々。
清純な乙女って……。
こーゆー「戦う宿命」モノの主人公ってさ、最初はまず、その宿命に悩まないか? 正義の心がないわけじゃなくて、人としてさ……。それまでふつーの中学生でしかなかった女の子が、ある日突然、
「あなたは正義の女戦士です。あなたの一生はすでに決められています。さあ、化け物と戦いなさい!」
って言われたら、悩んだりヘコんだり反発したりするよねえ?
それでも最後にはその宿命を受け入れ、世界の平和のために雄々しく戦ったりして、感動を呼ぶのがセオリーよね?
アリッサって……いいキャラだ……。
第2話からすでに、やる気満々、「かかってきなさい!(鼻息)」状態。
清純な乙女って、すげえなあ。笑わせてもらったわ。
全5話構成なんだけど、2話まではとても好みで、おもしろかった。
アリッサの自宅にはツッコミどころが多すぎて笑いナシでは語れないが、彼女が魔のモノと戦うことになる街は、とてもロマンがあった。
20世紀半ばのロンドンの街と、夜と霧と殺人鬼という設定は、とても好み。
昭和の戦後すぐぐらいまで存在した、魔と現実が融合した摩訶不思議空間の香りがするのね。
石畳の街を自分で歩く高揚感。夜の闇と、街灯の明かり、ぽつぽつと放置されている死体と血のあと。鳴り響くピアノの音。彷徨い続ける、思い…
ラスボス倒すのに3時間かかった……指痛え。
ツッコミどころは多々あれど、たのしかったよ、『クロックタワー3』。
やはり、いちばんのツッコミは、マニュアルの最初のページを見開き使って、
監督 深作欣二
とだけ書いてあることかしらね。
最初に見たとき、爆笑しましたわよ。
だってコレ、「ゲーム」なわけよ。そしてコレは「ゲームの遊び方説明書」なわけよ。
なのに、ゲームの操作説明はまったくせずに、「監督 深作欣二」よ。
ゲームとしてまちがっているとしか、思えない。
で、さらに次のページ。
見開き使って、深作監督のプロフィール。
だからこれは「ゲームの遊び方説明書」であって……以下略。
さらに次のページ。
ゲームを作った人たちが「写真付き」で解説されている。
だからこれは「ゲームの遊び方説明書」であって……以下略。
その次のページ。
シーン紹介として、ゲームの画面写真が載っている。
まあ、これはまだいい。なくてもぜんぜんかまわないものだがな。
次のページ。
ストーリーの冒頭部分の紹介。舞台がロンドンであることの説明。……まあ、こーゆーのはどんなゲームにも載っている。
問題は、次だ。
シナリオ担当者(もちろん写真付き)が「テーマを語る」。
なんだそりゃ?
だからこれは「ゲームの遊び方説明書」であって……以下略。
ゲーム・クリエイターが説明書でテーマを語るなよ……。
それがどんな作品であれ、作者自身がテーマを語ると痛くて寒いだけさ。だって、テーマというのはその作品に触れた人が、作品のなかから独自に感じ取るものであって、作者が解説するのはかっこわるいことこのうえない。作品でテーマを表現する能力がないから、口で言ってます、みたいな。
しかも、ネタバレしてるし。
これは「ゲームの遊び方説明書」だから、ゲームをする前に読むモノだ。小説の「あとがき」とはわけがチガウ。
作者の「テーマ語り」を読んだら、オチもラスボスもなにもかもわかります。……そうでなくてもバレバレの話だけど、説明書で書く必要はないだろう。
もちろん、雑誌のインタビューだとかコラムだとかでテーマを語るのは別よ。それはそれでひとつの仕事。ただ、作品本体に「テーマはこれこれです。すごいでしょ?」と書くのはやめろ。恥ずかしい。
めくってもめくっても、「ゲームの遊び方説明」が出てこないんだ、この説明書。
2ページも使って「レビュー」まであるし。
作品本体に、「こんなにすばらしい作品なんですよ!」って宣伝エッセイが付いてるの。
なんつーか……。
スタッフの顔が見える作品ってのは、総じてヘボ度が高くなるよなあ。
たとえば書店でさ、「あら、この本おもしろそう」と思って買った途端、
「お買いあげありがとうございます、それ、わたしが書いたんですよ! すごくおもしろいんですよ! テーマは**で、苦労した点は**で……、とくにここ! ここは味わって読んでくださいよ! いいこと書いてあるんだから!」
と語られたら、引くよねえ?
そんなこと言われなくても、おもしろければ内容で評価するよねえ? むしろ、作者がしゃしゃり出て語れば語るほど、「言わなきゃわかんないよーな駄作なのか?」と疑うよねえ?
内容で勝負しようよ。
大切に作った作品だからこそ、語りたくなる気持ちはわかるけどさあ。
深作監督を持ってきた以上、彼を持ち上げなきゃならない、てのもあるのかね。
ゲームの遊び方説明書ではなく、「映画のパンフレット」を意識した作りだってのも、わかるよ。
でもさ。
コレ、「ゲームの遊び方説明書」なんだよ。映画のパンフレットじゃなく。
映画みたいにしたかったのなら、2冊に分ければよかったのに。「ゲームの遊び方説明書」と、おまけの「作品解説パンフレット」。
1冊のなかでやるから、「自分の作品を自分で褒め称える寒い説明書」になるんじゃん。
とまあ、ゲーム以前にツッコミどころ満載。
もっともわたし、マニュアルあんまし読まない人なんで、あとから読んであきれたクチなんですが(笑)。
基本操作だけチェックしてプレイして、「そんなことできるの? あたし知らなかったよー!」と言って弟によく「マニュアル読め。マニュアルに書いてある」と言われるなあ。
んでもって、ゲーム自体の感想。
いちばんの印象は、
キャラクターの動きがリアル
ってこと。
深作監督が演出した生身の人間をモーションキャプチャリングして、作られているらしい。
これほどリアルなキャラクタを見たのははじめてだ。
リアクションのひとつひとつが、すっげーリアル。
そしてヒロイン・アリッサの声がまた、すごいリアル。バーチャルでありながら、生身のような質感。声優さんなのか役者さんなか、ぜんぜん知らないんだけど、うまい人だー。
ヒロイン・アリッサはなかなかいいキャラだ。
なんせ「ゲームの遊び方説明書」において、いろいろ語られている。クリエイターによる「設定秘話」が載ってるの。こうこうこうだから、こうしました、てな。テーマとはべつに、キャラまで口で説明してくれてるのさ。
それによると彼女は「清純な乙女」らしい。
たしかに見た目はそうだ。しかし、実際にゲームをプレイしてみると……。
ふつーの女の子のハズのアリッサは、魔のモノとの戦いに否応なくまきこまれていく。
第1話では、なにがどーなってるのかわからないものの、彼女は前向きに化け物と戦い、勝利する。
そして第2話。アリッサが魔のモノと戦うことになったのは、すべて宿命だったことが判明。彼女の家系は「正義の女戦士」の家系で、大昔からずーーっと魔のモノと戦い続けてきたのだ。
ここでアリッサ、いきなり開眼。
「わたし、正義の味方だったんだわっ」
ええっ? ふつーショック受けませんか? これからずっと化け物と戦うのよ? しかも、大人になったら次の戦士を生むために、結婚して女の子を産むことまで宿命づけられているのよ?
「よーしっ、化け物倒しちゃうぞーっ、だってわたし、正義の味方だもんねーっ!!」
やる気満々。
清純な乙女って……。
こーゆー「戦う宿命」モノの主人公ってさ、最初はまず、その宿命に悩まないか? 正義の心がないわけじゃなくて、人としてさ……。それまでふつーの中学生でしかなかった女の子が、ある日突然、
「あなたは正義の女戦士です。あなたの一生はすでに決められています。さあ、化け物と戦いなさい!」
って言われたら、悩んだりヘコんだり反発したりするよねえ?
それでも最後にはその宿命を受け入れ、世界の平和のために雄々しく戦ったりして、感動を呼ぶのがセオリーよね?
アリッサって……いいキャラだ……。
第2話からすでに、やる気満々、「かかってきなさい!(鼻息)」状態。
清純な乙女って、すげえなあ。笑わせてもらったわ。
全5話構成なんだけど、2話まではとても好みで、おもしろかった。
アリッサの自宅にはツッコミどころが多すぎて笑いナシでは語れないが、彼女が魔のモノと戦うことになる街は、とてもロマンがあった。
20世紀半ばのロンドンの街と、夜と霧と殺人鬼という設定は、とても好み。
昭和の戦後すぐぐらいまで存在した、魔と現実が融合した摩訶不思議空間の香りがするのね。
石畳の街を自分で歩く高揚感。夜の闇と、街灯の明かり、ぽつぽつと放置されている死体と血のあと。鳴り響くピアノの音。彷徨い続ける、思い…
コメント