かなしい現実。@ワンピース 呪われた聖剣
2004年3月12日 映画 『ワンピース 呪われた聖剣』話のつづき。
たしかに、耳に挟んではいた。
テレビで会見の模様も見たし、新聞で記事も読んだ。
しかしわたしは、スルーしていた。
芸能人という名の素人が、出演することを。
世の常識として、素人をいきなり主役にして舞台には出さない、ちゅーのがある。
一流ホテルの厨房に、素人のわたしを連れて行って「さあ、本日のメインディッシュを作りなさい。それを何万円のディナーとして販売します」なんてやらないからな。
芸能人が声優出演することは、かなしいかな「よくあること」なので、あまり気にしていなかった。
いくらなんでも、ずぶの素人を主役クラスにはしないだろうし、また、そうするとしたらそれは、視聴に耐えうるだけのクオリティが見込める場合だろう、と。
安心していた。
信頼していた。
安直な金儲けのために「作品」を壊すような真似はしないと。
いや、基本中の基本だから。
いちいち考えるまでもない前提ってやつ。
昔、わたしが若かったころの素人声優たちは、そりゃーひどいもんだった。
日本語が発音できる、というだけしか取り柄のない、ここまで下手な人間を捜す方が難しくないか?てな超絶下手くそが主役クラスでまかり通っていた。アイドルだかなんだかよく知らないが、わざわざ彼らを使わねばならなかったらしい。
アニメというジャンル自体が、そういうことをするしかない、かなしいジャンルだった。
そして時は流れ。
吹き替えだとか声優だとかの、社会的地位は相変わらず低いままだ。
プロがいるにも関わらず、畑のチガウ素人が宣伝のために抜擢されるのが日常。
だが、時の流れと共に芸能人のレベルが上がってくれた。
昔は顔さえかわいけりゃ、音痴で大根でダンスもできないという三重苦の人間でもアイドルでいられたが、今は顔以外のスキルも求められる。
てゆーか、顔がいいだけの人間なんていくらでもいる現状だから、そこで生き残っていくために、他の能力が必要になったんだな。
今のアイドルとかタレント、みんなそこそこなんでもできるじゃん。うまいじゃん。
昔に比べれば、大したもんだよ。
てな認識もあり、さらにわたしは安心していたんだ。
素人芸能人が出演しても、作品のレベルを壊すまでには至らないだろう、と。
甘かった……。
すごかったよ、『ワンピース 呪われた聖剣』。
耳障りなのなんのって。
3人いたのがたぶん、致命的だった。
ひとりは、今回の物語の主役ともいえる、敵キャラ・サガ@中村獅童。
役者としての中村獅童は好きだし、声優としてもそれほど下手じゃなかった。でもやっぱり、素人だってのがわかるレベルの演技だった。
物語の主役のひとりが「素人」だってのは、かなりイタイ。
ただ、もう少しグレードの低い役なら、彼程度の演技でもOKだとは思う。
もしくは、これがテレビシリーズで、1クール以上あるならば、きっともっと慣れてうまくなっていくだろうから、この役でもOK。
あるいは、素人出演が彼ひとりならまだ、なんとか耐えられた。
たとえ主役であったとしても、他がプロの仕事をして、支えてくれていたならば。
しかし現実は、過酷だった。
彼の横には、超絶下手っぴ、「日本語が発音できるだけ」しか取り柄のない少年がいた。
サガの弟子トウマ@某アイドルグループのひとり。
いやあ、すごい下手っぷりのよさ。
21世紀だとは思えない下手さ。
わたしが昔目眩を覚えていた、80年代のかほりのする下手さだった。
ここまで下手なのに、使っちゃうんだ……。
ある意味感心したけどな……。こんな感心、したくなかったわ……。
今のアイドルは、大抵なにやってもそこそこうまいもんなのにな。
さすがだよな、ジャニーズ。
またしても、わたしのジャニーズ観を強固なものにする出来事だった。
この男が死ぬほど下手だったせいで、うまくない程度の中村獅童も余計に違和感を醸しだし、手のつけられない状態に。
そして、さらに。
ヒロインの祖母イザヤ@久本雅美。
これがまた、素人丸出し以前に、声質がまったく合ってなかった……。
老婆イザヤは、絵を見ればわかる通り、ものすっげーインパクトのあるキャラ。
主役ではまったくないが、この役が「活きる」かどうかで世界のニュアンスが変わってくるだろう、重要な役。
正塚芝居でいうところの未沙のえるみたいなもんですな(そんな喩えを……)。
そんな大切な役を、うまい下手以前に、「老婆の声」が出ないタレントにやらせること自体、まちがってるよ……とほほ。
ふつーの女の人の声で、あの素敵なばばあの役をやるんだもんよ……。
ばばあがアップになって喋っていても、今聞こえているこの声がばばあの声だって思えない……。
演技上の計算で、わざと「ふつーの女の人の声」にしているというなら、わかる。
でもそんな計算はどこにもなく、ただ書いてある通りの台詞を喋ってるんだよね……。溜息。
わたしは予備知識なく見るのが好きなので、誰がどの役で出るのかも知らずに見ておりました。
最後のテロップを見るまで、この素人さんたちの名前も認識しておりませんでした。
だから、彼らに対する含みはまったくないです。
久本雅美だから嫌!とか、イメージちがう!とか、思いながら見たわけじゃないっす。
なんにも知らずに映画を見て、「うわ、下手すぎ。……そーいや素人が出演するっていってたな。これがソレか」と気づいたクチっす。「で、誰なんだろ、この声」と首をひねったクチっす。
もともと、現在活躍している声優さんのこともまったく知らないんで、知らない声だからといって拒絶反応がでるわけでもないっす。
ただ純粋に、下手くそがキライなんです。
プロの仕事を、大切にしてくれよ。
『ONE-PIECE』なんて、素人のネームバリューに頼らなくても成功が約束されたタイトルじゃん。
下手くそたちに邪魔されて、映画をたのしむことができなかったことも、つらい。
しかしそれだけでなく、作品創りとは別のところにある大人の事情によって、創作物が歪められる現実と、プロの仕事を軽んじる現実に、とても滅入るのです……。
ああ、かなしいわ……。
たしかに、耳に挟んではいた。
テレビで会見の模様も見たし、新聞で記事も読んだ。
しかしわたしは、スルーしていた。
芸能人という名の素人が、出演することを。
世の常識として、素人をいきなり主役にして舞台には出さない、ちゅーのがある。
一流ホテルの厨房に、素人のわたしを連れて行って「さあ、本日のメインディッシュを作りなさい。それを何万円のディナーとして販売します」なんてやらないからな。
芸能人が声優出演することは、かなしいかな「よくあること」なので、あまり気にしていなかった。
いくらなんでも、ずぶの素人を主役クラスにはしないだろうし、また、そうするとしたらそれは、視聴に耐えうるだけのクオリティが見込める場合だろう、と。
安心していた。
信頼していた。
安直な金儲けのために「作品」を壊すような真似はしないと。
いや、基本中の基本だから。
いちいち考えるまでもない前提ってやつ。
昔、わたしが若かったころの素人声優たちは、そりゃーひどいもんだった。
日本語が発音できる、というだけしか取り柄のない、ここまで下手な人間を捜す方が難しくないか?てな超絶下手くそが主役クラスでまかり通っていた。アイドルだかなんだかよく知らないが、わざわざ彼らを使わねばならなかったらしい。
アニメというジャンル自体が、そういうことをするしかない、かなしいジャンルだった。
そして時は流れ。
吹き替えだとか声優だとかの、社会的地位は相変わらず低いままだ。
プロがいるにも関わらず、畑のチガウ素人が宣伝のために抜擢されるのが日常。
だが、時の流れと共に芸能人のレベルが上がってくれた。
昔は顔さえかわいけりゃ、音痴で大根でダンスもできないという三重苦の人間でもアイドルでいられたが、今は顔以外のスキルも求められる。
てゆーか、顔がいいだけの人間なんていくらでもいる現状だから、そこで生き残っていくために、他の能力が必要になったんだな。
今のアイドルとかタレント、みんなそこそこなんでもできるじゃん。うまいじゃん。
昔に比べれば、大したもんだよ。
てな認識もあり、さらにわたしは安心していたんだ。
素人芸能人が出演しても、作品のレベルを壊すまでには至らないだろう、と。
甘かった……。
すごかったよ、『ワンピース 呪われた聖剣』。
耳障りなのなんのって。
3人いたのがたぶん、致命的だった。
ひとりは、今回の物語の主役ともいえる、敵キャラ・サガ@中村獅童。
役者としての中村獅童は好きだし、声優としてもそれほど下手じゃなかった。でもやっぱり、素人だってのがわかるレベルの演技だった。
物語の主役のひとりが「素人」だってのは、かなりイタイ。
ただ、もう少しグレードの低い役なら、彼程度の演技でもOKだとは思う。
もしくは、これがテレビシリーズで、1クール以上あるならば、きっともっと慣れてうまくなっていくだろうから、この役でもOK。
あるいは、素人出演が彼ひとりならまだ、なんとか耐えられた。
たとえ主役であったとしても、他がプロの仕事をして、支えてくれていたならば。
しかし現実は、過酷だった。
彼の横には、超絶下手っぴ、「日本語が発音できるだけ」しか取り柄のない少年がいた。
サガの弟子トウマ@某アイドルグループのひとり。
いやあ、すごい下手っぷりのよさ。
21世紀だとは思えない下手さ。
わたしが昔目眩を覚えていた、80年代のかほりのする下手さだった。
ここまで下手なのに、使っちゃうんだ……。
ある意味感心したけどな……。こんな感心、したくなかったわ……。
今のアイドルは、大抵なにやってもそこそこうまいもんなのにな。
さすがだよな、ジャニーズ。
またしても、わたしのジャニーズ観を強固なものにする出来事だった。
この男が死ぬほど下手だったせいで、うまくない程度の中村獅童も余計に違和感を醸しだし、手のつけられない状態に。
そして、さらに。
ヒロインの祖母イザヤ@久本雅美。
これがまた、素人丸出し以前に、声質がまったく合ってなかった……。
老婆イザヤは、絵を見ればわかる通り、ものすっげーインパクトのあるキャラ。
主役ではまったくないが、この役が「活きる」かどうかで世界のニュアンスが変わってくるだろう、重要な役。
正塚芝居でいうところの未沙のえるみたいなもんですな(そんな喩えを……)。
そんな大切な役を、うまい下手以前に、「老婆の声」が出ないタレントにやらせること自体、まちがってるよ……とほほ。
ふつーの女の人の声で、あの素敵なばばあの役をやるんだもんよ……。
ばばあがアップになって喋っていても、今聞こえているこの声がばばあの声だって思えない……。
演技上の計算で、わざと「ふつーの女の人の声」にしているというなら、わかる。
でもそんな計算はどこにもなく、ただ書いてある通りの台詞を喋ってるんだよね……。溜息。
わたしは予備知識なく見るのが好きなので、誰がどの役で出るのかも知らずに見ておりました。
最後のテロップを見るまで、この素人さんたちの名前も認識しておりませんでした。
だから、彼らに対する含みはまったくないです。
久本雅美だから嫌!とか、イメージちがう!とか、思いながら見たわけじゃないっす。
なんにも知らずに映画を見て、「うわ、下手すぎ。……そーいや素人が出演するっていってたな。これがソレか」と気づいたクチっす。「で、誰なんだろ、この声」と首をひねったクチっす。
もともと、現在活躍している声優さんのこともまったく知らないんで、知らない声だからといって拒絶反応がでるわけでもないっす。
ただ純粋に、下手くそがキライなんです。
プロの仕事を、大切にしてくれよ。
『ONE-PIECE』なんて、素人のネームバリューに頼らなくても成功が約束されたタイトルじゃん。
下手くそたちに邪魔されて、映画をたのしむことができなかったことも、つらい。
しかしそれだけでなく、作品創りとは別のところにある大人の事情によって、創作物が歪められる現実と、プロの仕事を軽んじる現実に、とても滅入るのです……。
ああ、かなしいわ……。
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