今日もまた、ママに負けた。
 隙をつかれ、自分語りされてしまった。

 わたしは親の家の茶の間で、ある番組のDVDを見ていた。
「あら、おもしろそうな番組ね」
 と言って、母も横に坐った。

 番組の中で、太鼓が鳴り響いた。
 腹にずんずん響く、景気のいい和太鼓だ。

「まあ、いい音ね」
「そうね」
「この太鼓の音、聞いたことあるわ」
「……(テレビを見ている)……」
「そうだわ、これは**(固有名詞。聞いたが忘れた)の太鼓だわ」
「……(テレビを見ている)……」
「アタシ、行ったことあるのよ、**。アタシが**に行ったときは、そうね、もう何年になるかしらね。あのときはねー……」

 そしてはじまる、自分語り。

 あたしはテレビ見てるんだよ。聞いてねえんだよ、そんな話(怒)。

 たかが30分の番組も、黙って見ていられないのね、母。
 自分語りしないと死んでしまう生き物なのね、母。

 …………。

    

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