写真の中で、微笑む貴女。貴女の視線は、写真を見ている俺へ注がれて。
 そう、貴女はカメラに向かって微笑んだ。
 カメラに……いいや、カメラを構えている、愛する男へ向かって、微笑んだ。

 写真は、真実を切り取る。

 微笑む女、その微笑みを受け止める男。
 過ぎ去った時間。消えた時間。
 それでも、それはたしかにあった。
 貴女は愛する男に微笑みかけ、男もまた愛する貴女に微笑みかけた。その瞬間が切り取られ、1枚のポートレートになった。

 古い写真の中で、母さん、貴女はたしかに微笑んでいる。
 たしかにあった愛を刻んで、微笑んでいる。

「もう会えないかもしれないだろ」
 そう言ってカメラを向けた俺に、君は泣きながら笑ってみせた。
 君は俺に向かって微笑み、俺はシャッターを切る。
 写真は、真実を切り取る。
 泣きながら笑う君を、たしかに今あるこの瞬間を、閉じこめる。
 言い訳もなく、解説もなく。

 NAKED CITY−−−−ただ、真実だけが、そこにある。

             ☆

「写真集が出たら、送ってね」
 というデイジーの台詞。初日に観たときから、わたしは速攻つっこんでいた。買えよ。

 
 つーことで、観劇2回目の花組バウ『NAKED CITY』
 今年のバウはチケット取りやすくていいよなあ。気に入ったらいくらでもリピートかけられるよろこび。昨年のバウは異常だったよ……遠い目。
 初日を見たあとでチケット探して、前補助が定価以下で手に入るなんて、ありがとうインターネット。
 首が痛くなるから嫌う人も多いんだろうが、わたしは好きだぞ、前補助。理屈はさておき、美しい人たちを間近で見たいから。
 しかし……最後のちはる兄貴はまったく見えないんだな……初日も前方席だったんであまり見えなかったけど、今回はほんっとーに見えなかった……段上がり席でないとラブリー兄貴は見られないのねっ。
 初日を観たあとWHITEちゃんが、「ビリーの撮ったちはる兄貴の写真が欲しい……」とつぶやいてましたが。
 うん。わたしも欲しい。兄貴の死体写真……。床の上に転がるわけだから、段上がり席をGETしないと見えない、ラブリー(まだ見てないから、あくまでも予想)な姿。
 

 ああ……まっつ、かわいいなあ……。
 ガキんちょバーナードだけどさ、いちばん大人っぽい顔をしているのが、ビリーを見つめているときってのは、どういうことですか(笑)。
 例の店でダンス指南を受けたあと、無言でビリーを見つめている顔が、全編通していちばん男らしい顔してるんだよねー。
 そして、すべて片が付いたあと、いろんなことで傷心なビリーのそばに立つバーナード。ここからモーションかけるのか?!と思いきや、デイジー登場で、ヘタレな思いやり深い彼はそのまま引いちゃうし。
 あああそこ、チャンスだったのに! 傷ついているビリーをそのまま持っていっちゃうこともできただろーに! なんでそこで引くかなっ?! きらきらしくソロ歌ってんじゃねーよ、と、見ていてじれったくなりましたが(笑)、あのヘタレ具合がバーナードっちゅー男でしょう。
 ビリーとデイジーが結ばれないのはわかっているし、あの編集長のもとで働いていればビリーとも接点あるし、未来に期待……とゆーか、あのうれしそーなソロを聴いていると、とっても単純に「はじめての恋、恋するって素敵」とかズレたところで舞い上がっている気もしないでもないが……。
 バカ男攻が好きなので、バーナードはわたしの好みど真ん中です。

 
 いや、ホモ以外にも、ちゃんと作品を味わっておりますよ。
 ビリーとデイジーの関係、好きだし。
 いちばんのクライマックスは、ビリーとパパのシーンだと思ってるし。(ほんと、恋愛モノだとは思ってねーなー・笑)
 パパが、昔捨てた息子のために、死をあきらめたのがすごいと思うし。「やりなおせるかな」とか言ってるけど、パパはもう社会的には再起不能だよね。同じ立場になんか二度と戻らない。つーか、生きることは苦痛でしかないと思う。死ぬ方がはるかに楽。
 それでも、息子への愛で、死ぬよりつらい「生きること」を選んだ。それが贖罪でもあったのだと思う。
 パパ役のヒロさん、やっぱうまいよねえ……しみじみ。

 デイジーの弱さやずるさも好きだし。
 てめえの保身のために、一度は愛する男を売った女。それでも未練たらしく男を求め、保身と愛の間で揺れ動いている。
 彼女がウィリアムへ啖呵を切るに至るまでに、ビリーとの出会いが必要だったんだと思うよ。

 ただなー。
 ビリーとデイジーの間に、「一夜」があってくれた方が、わたし的には好みだったんだが……。
 ビリーってば女たらし設定のわりに生真面目なもんだから、せっかく「ヤらせろよ」「いいわ」という会話があったあとでも、ヤらないんだもんっっ。
 いーじゃん、ヤってもー。
 その方がさらにねっとりせつなくなったのになー。
 でもって、ビリーとデイジーの微妙な親密さを嗅ぎ取って、ニコラがちょっくらビリーを嫉妬の目で見てくれたりしたら、さらに萌えるのになー。
 てか、嫉妬するニコラ、見たくないか? すっげーエロいと思うぞっ。
 今のままだとニコラ、ビリーのことただの物好き認定で、恋敵として数えてもくれてないじゃん。
 男たるもの、恋敵に「いいヤツだなお前」と言われるより、嫉妬の炎を燃やされてこそ華でしょう!! ビリーに足りないのはソレだ! このふつーにいい人めっ。ゆみこちゃんだからそう見えてしまうのか??

 あと、ポスターによる先入観は大きいなあと思った。
 ビリー@ゆみことデイジー@あすかちゃんの、ふたりっきりのポスター。このポスターは美しくて大好きだけど、男女ふたりのポスターで恋愛モノ以外をやられると混乱するのだわ。大人っぽい雰囲気だと、さらに。
 このポスターの構図のままで、デイジーの後ろ、右側に半分見える感じでニコラが立っていたり、さらにその後ろに小さくキャシーがいたりすると、わかりやすかったかなあと思う。

 まあ、わたしの脳内では『NAKED CITY2』がすでにできあがりつつあるので、そのポスターでは、ビリーとバーナードのふたりしか写っておりません(笑)。
 ビリーがスクープした写真と、バーナードが追っていた事件がリンクして、ニューヨークを揺るがす大陰謀の存在が明らかに?! ふたりは協力して真実を追うが、なーんとビリーが敵に誘拐されてしまった。ヘタレ男バーナードは仲間たちの助けを借りて、ビリー救出に向かうが……。
 ビリーにはもちろん美女を絡めて、デイジー&ニコラ以外のキャラ総動員で。主役はもちろんビリー。ただし彼の役割は、「ヒロイン」(笑)。かっこいーヒロインが活躍する物語なのよー。ヒーローはあくまでも「ヒロインの相手役」なのよー。
 さんざんすれ違って、脈がなさそうで、でもあちこちにかわいい台詞やシーンがあって、クライマックスではもどかしいラブシーンがあって……あっ、もう文字数がないから、この話は終了(笑)。

       

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