愉快に兄弟愛。−腐女子注意報?−@花供養
2004年9月15日 タカラヅカ 90周年特別記念公演『花供養』を観ました。
ツッコミどころが多すぎて、なにをどう、どこから語ればいいのやら、途方に暮れる(笑)。
とりあえず、バカ兄と逆ギレ弟と、電波女の話、でFA?
相変わらずなんの予備知識もなく観て、プログラムも買ってません。トド様とキムくんが「兄弟」ということぐらいさ、知っていたのは。
兄弟? トドとキムが? そりゃ無理アリまくりだろう、とは思っていたよ。だってトドとキムなら、どうあがいても親子にしか見えないじゃん。兄弟なんておこがましいわー、トド様若作りするの? それともキムくんががんばって老け役するの??
実際に観てももちろん、兄弟というにはつらいくらい、年齢差のあるふたりでした。トド様は実年齢以上に老けてるからなあ(トド様はたかちゃんと同じ年)。
しかし、そんな見た目の違和感を吹っ飛ばすくらいに、愉快な兄弟でしたよ。
江戸時代初期、傀儡はつらいよな、な天皇家の人々の物語。
後水尾天皇@トド様は二代将軍徳川秀忠の第七女和子@シナちゃんと政略結婚、子どもまでこさえておった最愛のお与津御寮人@となみちゃんとは引き裂かれた。
お与津は後水尾天皇の弟・信尋@キムくんの家に匿われ、和子との結婚後も後水尾天皇はお与津との関係を続けていたが……。
トド兄はバカ道を驀進し、誰にも手がつけられない状態。
舞台は弟の屋敷なんだが、そこに兄の元妻を匿っている関係上、来てはいけない場所なんだな。
来てはいけない場所に兄がやってくることで、この物語は成立するんだ。4幕構成なんだが、そのうち3幕はストーリーが全部同じ。ギャグのよーに3回同じことをするわけだ。来てはいけない人間が、周りの迷惑や制止をかなぐり捨て、本能のままに現れて暴れる。このシチュエーションを3回繰り返すんだよ。
兄が理性とか他人の迷惑とかを考えられる人間なら、この舞台に彼が姿を見せることはないわけ。
兄がバカで暴走気質であるがゆえに成り立つ物語なんで、彼はもー潔いまでにバカ道を突っ走ってます。毎回同じことを言っては暴れています。
……どうしよう。
キム弟は耐えに耐えてついに逆ギレという、あんなにーちゃんがいたら弟はこうなるよな、の見本のような男。
3回同じことを繰り返すので、3回目に弟はついにぶちギレて、物語に変化をつけるわけですわ。
これだけできた弟を持ちながら、バカ兄はバカであるゆえ、暴走ついでに弟の真心さえ踏みにじります。苦労して兄の元妻を匿ってきてやったのに、敵に通じている裏切り者呼ばわり。それで弟もついに、爆発するわけです。自分は兄の元妻を愛しているんだ、敵に寝返るわけがないと。
……残念ながらわたしには、弟が兄の元妻を愛しているよーには見えませんでした。
元妻を愛し、元妻の幸福だけを望んでいた、というには、兄がバカすぎる。前後の見境なくてめえの不幸を嘆きまくり喋りまくり3幕続けて「なんて不幸で可哀想なオレ!」と酔いきった絶叫をかます兄を、黙って受け入れている段階でもう、それは元妻の存在なんかただの言い訳に見えます。
あのはた迷惑でうざい兄を許しているのは、元妻のためじゃないでしょう。バカ兄自身を愛しているから、耐えられたんでしょう? 元妻のためなら、あのバカ兄こそなんとかしろよ。あいつを野放しにしていると、誰のためにもならないぞ。
それでもバカ兄を許し、守り続けた弟。
……惚れた弱みだよなあ。しょーがないよなあ。できた人間ほど、どーしよーもない相手に惚れたりするものさ。
兄と弟が、
「愛してる! にーさんを殺してボクも死のうと思ったんだ! そうしないと、にーさんをボクのものにできないから!」
「がーん、弟よ、そうだったのか」
とか言って(パラフレーズ。実際の台詞とは少々ちがいますが、概ねこんな意味のことを恥ずかしげもなく叫びあってました)もつれあっているところに。
問題の元妻が現れます。
「わたしは悟りました。巨大な歴史の歯車の前には、わたしの存在など無にも等しいのです」
清々しい美しさで、元妻は宗教に走っておりました。
「わたしには宇宙からのメッセージが聞こえるのです。覚醒せよ、宿命の巫女よ、と。わたしは俗世を捨てて、宇宙の平和のために生きます。色即是空」
受信しちゃってるんだから、もうどうすることもできません。目がイッてしまってます。
……どうしよう。
3幕かけてこんなに大暴れして、いったいラストの4幕でどうオチをつける気なのか、ある意味ものすげーたのしみになりましたよ。
もちろん想像はつくけど、3幕までがあまりにパワフルにバカだったので、これ以上というとどうする気だろう、と、わくわくしちゃったの。
期待を裏切らないバカっぷりでしたよ、トド兄!!
3幕かけて同じことをやって大騒ぎしたあとで、最終幕では今までそれでもなんとかぎりぎりのところで持ちこたえていた最終ラインをぶっちきり、3幕耐えてきたことを全部めちゃくちゃにして終わったの。
すばらしい!
なんのために今まで努力してきたのかとか、他人の苦労や迷惑、なにひとつ考えず、自分ひとりが気持ちよく自己完結して、積み上げてきた積み木の城をがっしゃーん!とひっくり返しめちゃくちゃにし、「ああ、なんて不幸なオレ。うっとり」としてENDマーク。
あまりに終始一貫しているので、心から拍手してしまった(笑)。
すげえや。
トド様はいつものトド様。彼はこの芸風でどこまでも突き進むのでしょう。
ただ、こういったタイプのヘタレ男を演じるトド様には萌えない……。
キムくんを眺めながら、しみじみ思いましたさ。ああ、なんでこの子はこうエロいんだろう、と。あの分厚い受け口がたまらんよなあ。まだほんの小僧っ子なのに、骨太な色気がある。この個性を大事に育ててほしいわ。
体当たりの熱演。そこまでやってカラダ保つのか? といらん心配をしたくなるほどのテンションの高さ。てゆーか全幕テンパって泣いてるのはどうよ。その入り込み方がすごいけど。
実力と美貌を兼ね備えた、どこまで成長するのか、たのしみな男の子。
ヒロインのとなみちゃんは、「大変そうやな……」という溜息しか出なかったんだが……どうなんだろう。正統派娘役としての才能のある子だから、こうやって鍛えることには賛成。それが成功しているかどうかは判断不能。
化粧と衣装とカツラが似合ってなくて、見た目はキツかったわ。仕方ないこととはいえ、いっぱいいっぱいなのが目に見えるし。
それでもクライマックスの突き抜け方は見事。
ああ、それにしても。
ツッコミどころだらけの、このなんとも微妙な作品を観て、いちばん気になったことは。
バカ兄と逆ギレ弟は、どっちが受かってことです。
……兄なのか? やはり、兄が受なのか。
キムごとき小僧っ子相手に、トド様御大が受ちゃってるのか。
ねえ、それってどうなの?!(涙目)
ツッコミどころが多すぎて、なにをどう、どこから語ればいいのやら、途方に暮れる(笑)。
とりあえず、バカ兄と逆ギレ弟と、電波女の話、でFA?
相変わらずなんの予備知識もなく観て、プログラムも買ってません。トド様とキムくんが「兄弟」ということぐらいさ、知っていたのは。
兄弟? トドとキムが? そりゃ無理アリまくりだろう、とは思っていたよ。だってトドとキムなら、どうあがいても親子にしか見えないじゃん。兄弟なんておこがましいわー、トド様若作りするの? それともキムくんががんばって老け役するの??
実際に観てももちろん、兄弟というにはつらいくらい、年齢差のあるふたりでした。トド様は実年齢以上に老けてるからなあ(トド様はたかちゃんと同じ年)。
しかし、そんな見た目の違和感を吹っ飛ばすくらいに、愉快な兄弟でしたよ。
江戸時代初期、傀儡はつらいよな、な天皇家の人々の物語。
後水尾天皇@トド様は二代将軍徳川秀忠の第七女和子@シナちゃんと政略結婚、子どもまでこさえておった最愛のお与津御寮人@となみちゃんとは引き裂かれた。
お与津は後水尾天皇の弟・信尋@キムくんの家に匿われ、和子との結婚後も後水尾天皇はお与津との関係を続けていたが……。
トド兄はバカ道を驀進し、誰にも手がつけられない状態。
舞台は弟の屋敷なんだが、そこに兄の元妻を匿っている関係上、来てはいけない場所なんだな。
来てはいけない場所に兄がやってくることで、この物語は成立するんだ。4幕構成なんだが、そのうち3幕はストーリーが全部同じ。ギャグのよーに3回同じことをするわけだ。来てはいけない人間が、周りの迷惑や制止をかなぐり捨て、本能のままに現れて暴れる。このシチュエーションを3回繰り返すんだよ。
兄が理性とか他人の迷惑とかを考えられる人間なら、この舞台に彼が姿を見せることはないわけ。
兄がバカで暴走気質であるがゆえに成り立つ物語なんで、彼はもー潔いまでにバカ道を突っ走ってます。毎回同じことを言っては暴れています。
……どうしよう。
キム弟は耐えに耐えてついに逆ギレという、あんなにーちゃんがいたら弟はこうなるよな、の見本のような男。
3回同じことを繰り返すので、3回目に弟はついにぶちギレて、物語に変化をつけるわけですわ。
これだけできた弟を持ちながら、バカ兄はバカであるゆえ、暴走ついでに弟の真心さえ踏みにじります。苦労して兄の元妻を匿ってきてやったのに、敵に通じている裏切り者呼ばわり。それで弟もついに、爆発するわけです。自分は兄の元妻を愛しているんだ、敵に寝返るわけがないと。
……残念ながらわたしには、弟が兄の元妻を愛しているよーには見えませんでした。
元妻を愛し、元妻の幸福だけを望んでいた、というには、兄がバカすぎる。前後の見境なくてめえの不幸を嘆きまくり喋りまくり3幕続けて「なんて不幸で可哀想なオレ!」と酔いきった絶叫をかます兄を、黙って受け入れている段階でもう、それは元妻の存在なんかただの言い訳に見えます。
あのはた迷惑でうざい兄を許しているのは、元妻のためじゃないでしょう。バカ兄自身を愛しているから、耐えられたんでしょう? 元妻のためなら、あのバカ兄こそなんとかしろよ。あいつを野放しにしていると、誰のためにもならないぞ。
それでもバカ兄を許し、守り続けた弟。
……惚れた弱みだよなあ。しょーがないよなあ。できた人間ほど、どーしよーもない相手に惚れたりするものさ。
兄と弟が、
「愛してる! にーさんを殺してボクも死のうと思ったんだ! そうしないと、にーさんをボクのものにできないから!」
「がーん、弟よ、そうだったのか」
とか言って(パラフレーズ。実際の台詞とは少々ちがいますが、概ねこんな意味のことを恥ずかしげもなく叫びあってました)もつれあっているところに。
問題の元妻が現れます。
「わたしは悟りました。巨大な歴史の歯車の前には、わたしの存在など無にも等しいのです」
清々しい美しさで、元妻は宗教に走っておりました。
「わたしには宇宙からのメッセージが聞こえるのです。覚醒せよ、宿命の巫女よ、と。わたしは俗世を捨てて、宇宙の平和のために生きます。色即是空」
受信しちゃってるんだから、もうどうすることもできません。目がイッてしまってます。
……どうしよう。
3幕かけてこんなに大暴れして、いったいラストの4幕でどうオチをつける気なのか、ある意味ものすげーたのしみになりましたよ。
もちろん想像はつくけど、3幕までがあまりにパワフルにバカだったので、これ以上というとどうする気だろう、と、わくわくしちゃったの。
期待を裏切らないバカっぷりでしたよ、トド兄!!
3幕かけて同じことをやって大騒ぎしたあとで、最終幕では今までそれでもなんとかぎりぎりのところで持ちこたえていた最終ラインをぶっちきり、3幕耐えてきたことを全部めちゃくちゃにして終わったの。
すばらしい!
なんのために今まで努力してきたのかとか、他人の苦労や迷惑、なにひとつ考えず、自分ひとりが気持ちよく自己完結して、積み上げてきた積み木の城をがっしゃーん!とひっくり返しめちゃくちゃにし、「ああ、なんて不幸なオレ。うっとり」としてENDマーク。
あまりに終始一貫しているので、心から拍手してしまった(笑)。
すげえや。
トド様はいつものトド様。彼はこの芸風でどこまでも突き進むのでしょう。
ただ、こういったタイプのヘタレ男を演じるトド様には萌えない……。
キムくんを眺めながら、しみじみ思いましたさ。ああ、なんでこの子はこうエロいんだろう、と。あの分厚い受け口がたまらんよなあ。まだほんの小僧っ子なのに、骨太な色気がある。この個性を大事に育ててほしいわ。
体当たりの熱演。そこまでやってカラダ保つのか? といらん心配をしたくなるほどのテンションの高さ。てゆーか全幕テンパって泣いてるのはどうよ。その入り込み方がすごいけど。
実力と美貌を兼ね備えた、どこまで成長するのか、たのしみな男の子。
ヒロインのとなみちゃんは、「大変そうやな……」という溜息しか出なかったんだが……どうなんだろう。正統派娘役としての才能のある子だから、こうやって鍛えることには賛成。それが成功しているかどうかは判断不能。
化粧と衣装とカツラが似合ってなくて、見た目はキツかったわ。仕方ないこととはいえ、いっぱいいっぱいなのが目に見えるし。
それでもクライマックスの突き抜け方は見事。
ああ、それにしても。
ツッコミどころだらけの、このなんとも微妙な作品を観て、いちばん気になったことは。
バカ兄と逆ギレ弟は、どっちが受かってことです。
……兄なのか? やはり、兄が受なのか。
キムごとき小僧っ子相手に、トド様御大が受ちゃってるのか。
ねえ、それってどうなの?!(涙目)
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