素朴な疑問。
 何故わたしの見た映画には、全編字幕がついていたのでしょう?

 しかも、台詞だけじゃないのよ?
 ト書きまで全部ついてたの。
 (ドアを開ける音)とか(バルブを閉める音)とかまで、( )つきで全部字幕が出るの。
 文字放送? 耳の不自由な人がわかるように、音関連は全部文字で説明?

 変だなと思ったし、目障りで仕方なかったんだけど、なんの説明もなかったので「そういう映画なんだ」と思って我慢した。

 でも、帰ってから調べてみたら、他の人が見た映画にはそんなものついてなかったって言うし!!
 なんで字幕付きだったの?!
 台詞だけならまだしも、ト書きまで!! 字幕のないときはほとんどない状態だし、絵が売りのアニメーション映画なのに、字幕でせっかくの絵が隠れる。

 ものすっげー邪魔。

 はじめて見た。文字放送映画。
 わかってたら、見なかった……。

 字幕が邪魔で気が散ってしまったことも、関係していると思う。いくら見ないでおこう、気にしないでおこう、と思っても、そこに読める言語で字幕があるとつい見てしまう。そして言葉の持つ意味にアタマの何割かが向いてしまう。
 本当の意味で、映画に集中できていなかったかもしれない。

 あまり、おもしろくなかった……。

 絵はすごかった。
 字幕でいつも絵が隠れていたけど、それでもやっぱり絵はすごくきれいで、見ていてたのしかった。

 でも、それだけだったよーな。

 『スチームボーイ』、監督・脚本・大友克洋、声の出演・鈴木杏、小西真奈美、中村嘉葎雄。

 質問。
 この映画の主人公は、誰ですか?


 レイ@鈴木杏が主役かと思って見ていたら、物語に入りそびれました……。
 というのもこの子、いてもいなくても、大差ないんですわ、物語的に。

 少年主役の冒険活劇で、主人公がいなくても大差ない、ってどういうことよ?!

 びっくりしたなー、もー。
 まさかこんな根本的なおどろきがあるとは思わなかった。

 レイの父と祖父が、壮大な親子ゲンカしているだけで、はじまり終わるのですよ。
 あのなじーちゃん、とーちゃん、そーゆーことは自分ちでやれ。
 ロンドン破壊して大量殺人してまでするな。な?

 じじいとおやじの親子ゲンカが主なストーリーなので、主役のはずのレイの活躍する余地がないのです。
 てゆーか、レイ、いなくてもいいし。
 じじいがもっと元気なら、自分で全部やってたでしょう。じじいがじじいで動けないから、彼のマリオネットとしてレイが走り回っていただけで。

 レイには個性も意志も目的もほとんどないし。

 なにがしたいんだお前……。いつもまきこまれ流されているだけの薄い男の子、でも気が強くて勇敢。ってすごい矛盾だなあ。ふつー気が強くて勇敢なら、ただ流されているだけじゃないだろうし、流されているだけなら内気でちょっと臆病な男の子、とかになりそうなもんだし。
 勇敢な男の子なら彼のまっすぐさで盛り上げ、臆病な男の子なら彼の成長と勇気とで盛り上げられると思うんだけど。
 なにしろ勇敢なのに流されているだけなので、盛り上がらないし、成長もしない。
 画面は派手に破壊の限りがつくされているのに、主人公に精神的な変化がまったくないままなので、盛り上がらないったらもー。

 世界設定だけ凝ったクソゲーみたいに映画だ(笑)。
 ゲームシステムはおざなり。でも画面は凝りまくり。設定資料集とスタッフの鼻息の荒い解説書だけ充実。みたいな。

 どれだけ世界設定が凝っていても、そこに生きる人たちが魅力的でないと、世界も色褪せるんだよなー。
 その見本みたいな映画。

 冒険活劇の主人公ならば、やはり彼の意志と行動で物語を回していくのが基本でしょう。じじいとおやじにテーマをだらだら台詞で語らせてないで、レイがどんな男の子で、なにを考えなにをし、彼の意志と行動でなにが変わっていくかに焦点を当てて話を作ろうよ。じじいとおやじはあくまでも脇役なんだからさ。

 それから、プロの声優を使おうよ……。たのむよ……。
 魅力のないキャラクタが、棒読みのせいでさらにつまらない人たちになってるよ。
 鈴木杏ちゃん、もっとうまいと思ってたんだけどな。やっぱり微妙に下手くそ。小西真奈美の方がキャラが変わっていたせいもあってか、うまく聞こえたよ。

 
 とにかく、絵はすばらしい。
 わたしは絵を見るためだけにお金を出したと思おう。
 ……だからこそ、わけのわかんねー字幕で絵が隠れていたことがくやしい。ト書きまで出すなー!!

     

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