中間管理職はつらいよ。@キング・アーサー
2004年9月22日 映画
マッツ・ミケルセン目当てで見に行った、『キング・アーサー』の感想、続き。
わたしは知らずに見に行ってしまったんだが、この映画はいわゆるアーサー王伝説ではなく、その元となった人たちの物語、だそうだ。
ローマ時代、ローマ・コーラ社ブリテン支店長のアーサー@クライヴ・オーエンは本社幹部の命令で、任期満了寸前の契約社員たちをなだめすかし、最後の仕事をすることになった。
彼らのいるブリテン地域はもともとコーラという飲み物に対して懐疑的。「こんなにおいしいんですよ」と宣伝しても、地元のブリテン人たちは耳を貸さない。「コーラなんて飲んだら骨が溶ける。コーラ会社はブリテンから出て行け!」と地元飲料同業組合ウォードからは過激な反発があるし、どうにも販売成績がふるわない。
そのうえ、ライバル社サクソン・コーラがブリテンをターゲットに決め、猛攻をかけてきていたからたまらない。
もともと大した売り上げがない土地を守るために、わざわざ莫大な経費を掛けてライバル社と争うのもバカバカしい。ローマ・コーラ社はブリテン撤退を決めた。
なまじ大がかりなプロジェクトとしてブリテンに支店を出したため、撤退にはいろいろ雑事があった。それをやりくりしなければならないのが、支店長アーサーの仕事だった。
アーサーはブリテン出身のローマ・コーラ社員だったので、コーラを必要としないブリテン人と、コーラを売る目的の社員としての板挟みになっていた。
ローマ・コーラ社はブリテンを去るが、そうするとはるかに過激で販路拡大のために手段を選ばないサクソン・コーラがブリテンを蹂躙するのは目に見えている。地元同業組合ウォードは叩きつぶされるだろう。ウォードの美女組合員グウィネヴィア@キーラ・ナイトレイとの出逢いもきっかけのひとつとなり、アーサーはブリテンのために立ち上がった。
ムカつく上司に辞表を叩きつけ、辞職したのだ。大企業の恩恵と束縛を断ち切り、ひとりの男として生き方を決める。「コーラなんかいらない! その地域にはその地域にしかない飲み物があるんだ」……同業組合と共に、大手サクソン・コーラと戦うのだ!
いやべつに、コーラを例に挙げたことに他意はないです。
アーサー支店長があまりに本社のやり方と大企業ってもんと、地元住民との軋轢に苦労してるもんでさー。
契約社員でしかない円卓の騎士たちは言いたいこと言ってるしねえ。ローマ・コーラ社から給料もらってはいるけれど、会社のことは大嫌いだから、どんなにアーサー個人を好きでも「どーせアンタは正社員だしな。契約社員の気持ちなんかわかんねーさ」って。
ああ、中間管理職のつらさ。
上は横暴だし、下は権利ばかり主張するし。
コーラなんかなくてもブリテンの人々は何百年機嫌良く生きてきてるんだ。なのによそからやってきて、「こんなにおいしいんですよ、これを飲まないと許しませんよ(にっこり)」とやられても、そんなの余計なお世話だし。アーサーだって知ってるし。なのに、アーサーはコーラを売る側の人間で。本社のやり方はひどいしまちがってるし。サラリーマンは辛いよ。
……って物語だと思って見てたんだけど、やっぱチガウんですかね。
「人間アーサー」を描いた物語とするには、あまりに説明不足。
何故ランスロット@ヨアン・グリフィズの少年時代からはじまるの? 彼を視点とするなら、彼とアーサーの関係をしっかり描かないとわけわかんないよ。しかもこの視点、途中であっさり死ぬし。最後まで見守ってこその視点だろうが。
円卓の騎士とアーサーの関係がまったく描かれていないもんだから、薄いのなんのって。アーサーはただの小者、情けない中間管理職にしか見えない。
戦闘シーンがかっこよくないことも、爽快感を下げているよなあ。
主人公たちが強く見えないの。なまじ何人もいるから、個性を描き切れていない分埋没しちゃって。
おもしろかったのは氷原のシーンだけだなんて。
アーサー役の俳優は、わたしには宇梶剛士に見えて仕方なかったんだよね……でもって宇梶剛士っておおむねコメディ俳優だからさ……濃さとくどさで笑いを取る人だし……うわーん、見ててきついよーっ。
宇梶剛士が苦悩してるーっ、宇梶剛士がマジで二枚目してるーっ、こそばゆいよーっ。
てゆーか、顔が宇梶剛士だということは置いておいても、この地味で華のない人が何故英雄役なの? 華がないとセンターはつとまらないんだということを実感した。
まあ、マッツ・ミケルセンを見られたからそれでいいか。作品に多くは望むまい。
ミケルセンはトリスタン役でした。おお。いい役じゃないですかー! 無口で鷹がお友だちですよ。顔に入れ墨なんかしちゃってますよ。
前に見た役がヘタレよろめき中年男(笑)だったので、コスプレしてアクションしているのが新鮮で新鮮で。
このシワの目立つ地味な顔が、わたしはつくづく好みだと思いました。ああ、いい男だ……。
ランスロット役の人はマジで美形で、目の保養でした。
もっといい役だとよかったのにね。ポスターはかっこいいのにね。
だってこのランスときたら、アーサーのヒステリー妻でしかなかったですよ。なにかっちゅーと「どーゆーことよ、アタシ聞いてないわっ。そんなだからアナタはダメなのよっ」みたいにきーきー言ってばかり。アーサーとランスは倦怠期の夫婦みたいでした……痴話ゲンカばっかり。
言葉の少ない不器用な夫に、押しの強いヒステリー妻。……とほほな関係だな。
ランスとアーサーの関係が描かれていないために、このランスの空回りぶりがまた、ふたりの男前度を下げるのだった……。
萌えないわ。こんなの。
ネタはいいのに脚本・演出で失敗した作品、でFA?
わたしは知らずに見に行ってしまったんだが、この映画はいわゆるアーサー王伝説ではなく、その元となった人たちの物語、だそうだ。
ローマ時代、ローマ・コーラ社ブリテン支店長のアーサー@クライヴ・オーエンは本社幹部の命令で、任期満了寸前の契約社員たちをなだめすかし、最後の仕事をすることになった。
彼らのいるブリテン地域はもともとコーラという飲み物に対して懐疑的。「こんなにおいしいんですよ」と宣伝しても、地元のブリテン人たちは耳を貸さない。「コーラなんて飲んだら骨が溶ける。コーラ会社はブリテンから出て行け!」と地元飲料同業組合ウォードからは過激な反発があるし、どうにも販売成績がふるわない。
そのうえ、ライバル社サクソン・コーラがブリテンをターゲットに決め、猛攻をかけてきていたからたまらない。
もともと大した売り上げがない土地を守るために、わざわざ莫大な経費を掛けてライバル社と争うのもバカバカしい。ローマ・コーラ社はブリテン撤退を決めた。
なまじ大がかりなプロジェクトとしてブリテンに支店を出したため、撤退にはいろいろ雑事があった。それをやりくりしなければならないのが、支店長アーサーの仕事だった。
アーサーはブリテン出身のローマ・コーラ社員だったので、コーラを必要としないブリテン人と、コーラを売る目的の社員としての板挟みになっていた。
ローマ・コーラ社はブリテンを去るが、そうするとはるかに過激で販路拡大のために手段を選ばないサクソン・コーラがブリテンを蹂躙するのは目に見えている。地元同業組合ウォードは叩きつぶされるだろう。ウォードの美女組合員グウィネヴィア@キーラ・ナイトレイとの出逢いもきっかけのひとつとなり、アーサーはブリテンのために立ち上がった。
ムカつく上司に辞表を叩きつけ、辞職したのだ。大企業の恩恵と束縛を断ち切り、ひとりの男として生き方を決める。「コーラなんかいらない! その地域にはその地域にしかない飲み物があるんだ」……同業組合と共に、大手サクソン・コーラと戦うのだ!
いやべつに、コーラを例に挙げたことに他意はないです。
アーサー支店長があまりに本社のやり方と大企業ってもんと、地元住民との軋轢に苦労してるもんでさー。
契約社員でしかない円卓の騎士たちは言いたいこと言ってるしねえ。ローマ・コーラ社から給料もらってはいるけれど、会社のことは大嫌いだから、どんなにアーサー個人を好きでも「どーせアンタは正社員だしな。契約社員の気持ちなんかわかんねーさ」って。
ああ、中間管理職のつらさ。
上は横暴だし、下は権利ばかり主張するし。
コーラなんかなくてもブリテンの人々は何百年機嫌良く生きてきてるんだ。なのによそからやってきて、「こんなにおいしいんですよ、これを飲まないと許しませんよ(にっこり)」とやられても、そんなの余計なお世話だし。アーサーだって知ってるし。なのに、アーサーはコーラを売る側の人間で。本社のやり方はひどいしまちがってるし。サラリーマンは辛いよ。
……って物語だと思って見てたんだけど、やっぱチガウんですかね。
「人間アーサー」を描いた物語とするには、あまりに説明不足。
何故ランスロット@ヨアン・グリフィズの少年時代からはじまるの? 彼を視点とするなら、彼とアーサーの関係をしっかり描かないとわけわかんないよ。しかもこの視点、途中であっさり死ぬし。最後まで見守ってこその視点だろうが。
円卓の騎士とアーサーの関係がまったく描かれていないもんだから、薄いのなんのって。アーサーはただの小者、情けない中間管理職にしか見えない。
戦闘シーンがかっこよくないことも、爽快感を下げているよなあ。
主人公たちが強く見えないの。なまじ何人もいるから、個性を描き切れていない分埋没しちゃって。
おもしろかったのは氷原のシーンだけだなんて。
アーサー役の俳優は、わたしには宇梶剛士に見えて仕方なかったんだよね……でもって宇梶剛士っておおむねコメディ俳優だからさ……濃さとくどさで笑いを取る人だし……うわーん、見ててきついよーっ。
宇梶剛士が苦悩してるーっ、宇梶剛士がマジで二枚目してるーっ、こそばゆいよーっ。
てゆーか、顔が宇梶剛士だということは置いておいても、この地味で華のない人が何故英雄役なの? 華がないとセンターはつとまらないんだということを実感した。
まあ、マッツ・ミケルセンを見られたからそれでいいか。作品に多くは望むまい。
ミケルセンはトリスタン役でした。おお。いい役じゃないですかー! 無口で鷹がお友だちですよ。顔に入れ墨なんかしちゃってますよ。
前に見た役がヘタレよろめき中年男(笑)だったので、コスプレしてアクションしているのが新鮮で新鮮で。
このシワの目立つ地味な顔が、わたしはつくづく好みだと思いました。ああ、いい男だ……。
ランスロット役の人はマジで美形で、目の保養でした。
もっといい役だとよかったのにね。ポスターはかっこいいのにね。
だってこのランスときたら、アーサーのヒステリー妻でしかなかったですよ。なにかっちゅーと「どーゆーことよ、アタシ聞いてないわっ。そんなだからアナタはダメなのよっ」みたいにきーきー言ってばかり。アーサーとランスは倦怠期の夫婦みたいでした……痴話ゲンカばっかり。
言葉の少ない不器用な夫に、押しの強いヒステリー妻。……とほほな関係だな。
ランスとアーサーの関係が描かれていないために、このランスの空回りぶりがまた、ふたりの男前度を下げるのだった……。
萌えないわ。こんなの。
ネタはいいのに脚本・演出で失敗した作品、でFA?
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