新人公演『花舞う長安』を観てきました。

 いちばん先に言いたい。
 これだけは言いたい。

 楊国忠が、楊貴妃より美しい、ってどういうことっ?!(笑)

 
 抱腹絶倒でした、新公。
 いやあ、おもしろかった。

 最近の新人公演ってのは、演出家がその個性で独自にアレンジしていいものなの?
 『ファントム』新公が、本公演とはまったく別物であったのが記憶にあるせいで、ことさらそう思えてしまうのかしら。

 新公『花舞う長安』もまた、あちこち変更されてました。
 主にベッタベタな台詞が増えている。
 ところどころに説明台詞が新挿入。
 とはいえ、本編が説明足らなさすぎでわけわかんないので、台詞が増えるのは歓迎。ひとつの台詞をのぞいて。(梅妃@みなみちゃんの台詞は謎。あとで語るが・笑)

 変更された中で、いちばんわたしのツボに入り、爆笑しそうになったのは、最後の立ち回りでした。

 さすがだ、齋藤吉正!!

 
 公演がはじまる前、齋藤くんがいつもの調子で細い足を不器用に動かしながら、自分の席へやってきた。髪型もびしりと決まり、おしゃれないまどきのおにーちゃん。

 ? なんでさいとーくんがいるの?
 わからなかったわたしは、あわてて新公プログラムを見ました。
 そうか、演出がさいとーくんだ。だから観に来たんだな。
 さいとーくんは腰低くあちこちにぺこぺこしながら、酒井せんせの隣に着席。
 あいかわらずかわいいぞ、齋藤吉正。彼のルックスも雰囲気も、わたしは好きだ(笑)。

 ふーん、さいとー演出かあ。だからこんな、ベッタベタな台詞が増えてんだなー(笑)と、なごやかに観ておりました。

 そしたら、最後の立ち回り。

 やたら派手で、かっこいいんですけどっ(笑)。

 玄宗が強そうです、安禄山が強うそうです。
 見得を切るふたり、対峙するふたり……。
 『巖流』ですか、これは(笑)。

 さすがさいとーくん。「意味もなくかっこいいシーンを作る才能」を持つ男。
 物語を正しく組み立てる才能も、脚本を書く才能も大きく欠けているが、代わりにキャラクタを「かっこよく見せる」ことだけはできる男。

 いやあ、ウケたウケた。
 銀橋で見得切って対峙するふたりを観て、吹き出したもんよー。やったなさいとー! てなもんで。

 やっぱりさいとーくんは演出の才能はあるんだと思うよ。派手でかっこよくて美しくて、観甲斐があるもん。
 しっかりした脚本を与えてもらって、それを齋藤くんが自由に演出したら、おもしろいものができるんじゃないかなあ。

 同じく立ち回りのときの、楊国忠もさ。
 1時公演を観たあと、kineさんと話してたんだよ。
「あそこで名前を呼んで欲しい」って。
 だって、初見の人には誰かわからないと思うから。楊貴妃の義兄で宰相になった白い衣装の人だって、わかんないだろふつー。他の兵士と見分けつかないだろう。宰相が軍服着て最前線で戦ってるなんて思わないだろうし(そりゃ皇帝自ら戦ってるけど)。
 誰だろこの人? なんでひとりだけ別な感じで殺されてるの?? てなもんで。
 楊一族で、政治を占有し国を傾けた諸悪の源のひとり、ってことで、ターゲットにされていた人だって、あれじゃわかんないって!
 なんであそこで名前を呼ばないの。せっかくおいしい殺され方して、見せ場になるはずなのに、空回り。演出下手だよな、酒井。
 ……とつねづね不満に思っていたシーンで。
 叫んでましたよ、反乱軍の兵士が。
「楊国忠、覚悟!」
 台詞を言った子がカマシてて、あまり迫力なかったけどそれはまあ、新公だから仕方ないってことで。
 演出として、正しく派手になっていた。

 
 だから全体として、本公よりはるかにいい演出だった。
 わかりやすく、派手になっているわけだから。

 しかし。
 ひとつだけ、謎の演出があった。

 楊貴妃と火花を散らす梅妃。
「あの梅園はワタシのものよ、アンタなんかに入らせないわ」
「いいわよ、入らずにテラスから眺めるから」
 つーことで、結局楊貴妃を追い払うことの出来なかった梅妃が、
「くやしい、なによあの女!」
 とやったあとで。
 女官が言うのさ。
「梅妃様、安禄山様が……」
 梅妃、はっとして。
「安禄山……」
 なにか含むようにして、退場。

 ……ねえ、これってなんですか?
 なんの意味があるの?
 なにか新しいエピソードが追加されるのかと期待したんですが。

 なにもなかったじゃん。

 これってやはり、アレですか。

 さいとーくんらしい失敗ってことですか。
 どう考えても話つながってないし、壊れてるんだけど、齋藤くんのアタマの中だけでつながっている、という、彼の作品に100%出てくる、アレですか。
 新公でさえ、アレをやってしまいますか、齋藤吉正!!(笑) ここまで来ると、ほんと才能。爆笑したわ。

 
 そんなふうに、演出面でやたらおもしろかった新公。
 さらにこの公演、役者の味と解釈のちがいから、さらに愉快なモノになっているのだ。

 それはなんといっても、安禄山@みらんくんの役割が大きい。

 まあソレは、次の欄に……。

 はっ。
 これって、10月20日の日記欄よね?
 わーん、ケロちゃんのお誕生日じゃん。HAPPY BIRTHDAY、Myダーリン!!
 昨年のこの日、わたしは「理想の結婚相手」を、ケロちゃんの顔を思い浮かべて話していたわ……遠い目……。去年の日記参照。

 みんなみんな、しあわせであれ。
 あってくれ。
 たのむ。

       

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