カテゴリエラー。@青い鳥を捜して
2004年12月2日 タカラヅカ 存在を無視してきましたが、いちおー感想ぐらいは書いておこうかと思います。
雪組公演『青い鳥を捜して』。
初日に観たにもかかわらず、感想を書く気にもならなかったのは、たんに趣味じゃない話だったせいですわ。
どう趣味じゃないかというと、下品だから。
昔、レンタルビデオ屋でバイトしていたことがありました。
そのとき受けた電話に、こーゆーのがあった。
「お電話ありがとうございます、レンタルビデオ**です」
『あのー、探しているビデオがあるんですが、在庫があるかどうか、調べてもらえますか』
「わかりました。なんてタイトルですか?」
レンタルビデオ屋なんで、とーぜんアダルトビデオも扱ってます。すでにそんなもんで照れたり躊躇したりはいたしません。
仕事ですから。
お客にアダルトビデオのことで問い合わせを受けたって、とってもふつーに応対します。
この電話で、訊ねられたのはアダルトビデオの在庫についてでした。
『〜〜、っていうやつと、〜〜っていうやつと、それから〜〜っていうやつなんですが。在庫はありますか?』
「えーと、〜〜と〜〜と〜〜ですね」
もー、あからさまなアホみたいなぐちょぐちょぬるぬる系のタイトルですよ。下手に例を出して日記に書くと、男性陣の検索に引っかかるだろーから書かないけど(笑)。
『ちがいます。〜〜です』
「え、だから〜〜ですよね?」
『ちょっとちがうみたいです。〜〜……もう一度言ってください』
「〜〜、ですよね?」
『もう一度』
「〜〜」
ええ。会話しているうちにね、わかってきましたよ。
この電話の客は、ビデオの問い合わせがしたいんじゃなくて、わたしにその「あからさまなアホみたいなぐちょぐちょぬるぬる系」のタイトルを言わせたいだけなの。
電話の向こうで、どんどん息荒くなってるしね。
受話器握りながら、わたしのアタマにあったのは「アホかこいつ」でした。
いやらしい言葉を女の子に言わせて、それでひとりでハァハァしてやんの。
それはまあ、気持ちがわからんでもない、つーか、べつにわたしはそーゆー趣味はないが、そんなこともあるだろうよ、とは思う。
しかしそれは、いやらしいことをしているときにいやらしいことを言う、なら、わからんでもない、という意味だ。
こっちは仕事でタイトルをメモしながら読み上げてるだけだよ? 感情こもってるわけでなし、事務的に棒読みしているだけなのに。
そんなもんで興奮するのって、あまりにもバカバカしい。つか、虚しい。
そんなつもりもない女の子に、無理矢理いやらしい言葉を言わせることで、陵辱した気持ちになってるんだろーか。こっちはお客からの電話だと思っているから、無碍にもできなくて、真面目に相手してさ。拒否権のない無力な女の子に、強制させることでなにか倒錯した快感を得ているんだろーか。
まだハタチそこそこだったわたしは、怒りだとか嫌悪だとかいう前に、ひどく脱力した。あー、あーゆー感情を、「憐れみ」っていうんだなあ、と、今にして思うよ。
石田昌也作品が趣味に合わないのは、その電話をかけてきた孤独な変態さんに近い感想を持つせいだと思う。
電話の変態さんは人知れず1対1の関係でしていたことだけど、石田はその電話と同じことを「舞台」という公の場で大勢の人に見せているからなあ。ムカつくのはそれもあるだろーなー。
あー、つまり。
石田ってさ、ジェンヌにいやらしい台詞言わせるのが快感で、わざと下品な脚本書いてんじゃないの? と、思ってしまうからさ。
世の中、いろんな性癖の人がいるからねえ。バイトの女の子にアダルトビデオのタイトル音読させて、自家発電しちゃう人がいるくらいなんだから。
「清く正しく美しく」の秘密の花園で、わざわざテレビドラマ以下のいやらしい台詞を連発させることで悦に入る演出家がいても、不思議じゃない、と思ってしまうことよ。
基本的に石田先生は、女好きで、そして女を見下しているんだと思う。
それは彼の作品にじつによく現れている。
女は抱くモノ・支配するモノであって、そこに対等な信頼や尊敬は成立しない。
愛は与えてやるモノであって、対等に分け合う・育むモノではない。
いつも男尊女卑が前提。
作品ってこわいよねえ。1作2作ならごまかせても、天才じゃない限り、そこにどーしても作者の人間性や価値観が出ちゃうからねえ。
もちろん、多少歪んだ価値観の持ち主でも、アンチすらつっこめないよーなおもしろいものを書ければそれで、なんの問題もないんだけどね。
石田せんせ、そこまで天才じゃないし、職人でもないからなー。
石田作品の女たちは、いつも悲惨だ。
誠意のない描かれ方をしている。
そして男たちは、そんな汚れた女たちを、一段上から「愛してやる」んだよなー。
「愛する」んじゃないの。「愛して・あげる」。ほどこしなのよ。
こんな女を愛してやるオレって、なんて寛大ないい男なんだろう。……という意識が絶対にある。やれやれ。
同じよーに女を描くのが下手な作家といえば、谷せんせがそうだけど、彼の作品には男尊女卑は感じられない。谷せんせの場合はたんなる「恋愛下手」だと思う。理想の男を描くことばかりに熱中していて、恋愛を描けない。女というものがよくわからない。
出てくる女性キャラに魅力がない、恋愛が絵に描いた餅状態、と、いろいろ欠点はあるものの、谷せんせの作品の失敗ぶりは微笑ましかったりする。少年ジャンプを大好きな男の子が書いた話みたいで。(キャラを殺してお涙頂戴するのは嫌い。でもそーゆーとこも少年ジャンプだなとは思う)
石田は少年ジャンプじゃないからなー。
オヤジ向けエロマンガ系。オヤジ頭で都合がいいよーにしか、描かれていない。
少年マンガなら女の子も読めるけど、オヤジ向けマンガは女の子は読めない。少年マンガには愛と夢が必要だが、オヤジ向けマンガには欲望と下世話さの方が必要だからだ。
ジャンルがチガウんだから、仕方ないわな。
『青い鳥を捜して』もまた、このジャンルちがいを噛みしめたさ。
石田昌也……なんでこの人は、タカラヅカにいるんだろう??
もっと他に、才能を活かせる場所があるだろうに。
わたしは酒井澄夫を作家として認めないけど、石田昌也はアリだと思っている。
石田せんせはたんに、カテゴリエラーなだけ。
ヅカとしてまちがってるだけで、作家としてまちがってるわけじゃない。
もちろん、うまい作家だとは思ってないけどさー。作品を創ることもできない酒井と比べたら、「作家」としての仕事は石田せんせの方がはるかにまともだからさー。
タカラヅカでなければ、もっと評価される作家だろーに。
なんでヅカの座付きやってんだろう?
男の人が演じる、ふつーのカンパニーでやった方が活きる脚本だと思うよ? 石田作品って。
もちろん対象観客も、男の人でさ。
男が観て都合よくて、男が観てたのしい話。
……なんで、女性客相手に「女を貶める話」を書き続けてるんだ、この人? 夢と美を看板にしている美しい劇団で、「下品な話」を書き続けてるんだ?
それが理解できないからつい、考えちゃうのさ。
ジェンヌにいやらしい台詞言わせるのが快感で、座付きを辞められないんじゃないの? と。
不思議な人だ。
雪組公演『青い鳥を捜して』。
初日に観たにもかかわらず、感想を書く気にもならなかったのは、たんに趣味じゃない話だったせいですわ。
どう趣味じゃないかというと、下品だから。
昔、レンタルビデオ屋でバイトしていたことがありました。
そのとき受けた電話に、こーゆーのがあった。
「お電話ありがとうございます、レンタルビデオ**です」
『あのー、探しているビデオがあるんですが、在庫があるかどうか、調べてもらえますか』
「わかりました。なんてタイトルですか?」
レンタルビデオ屋なんで、とーぜんアダルトビデオも扱ってます。すでにそんなもんで照れたり躊躇したりはいたしません。
仕事ですから。
お客にアダルトビデオのことで問い合わせを受けたって、とってもふつーに応対します。
この電話で、訊ねられたのはアダルトビデオの在庫についてでした。
『〜〜、っていうやつと、〜〜っていうやつと、それから〜〜っていうやつなんですが。在庫はありますか?』
「えーと、〜〜と〜〜と〜〜ですね」
もー、あからさまなアホみたいなぐちょぐちょぬるぬる系のタイトルですよ。下手に例を出して日記に書くと、男性陣の検索に引っかかるだろーから書かないけど(笑)。
『ちがいます。〜〜です』
「え、だから〜〜ですよね?」
『ちょっとちがうみたいです。〜〜……もう一度言ってください』
「〜〜、ですよね?」
『もう一度』
「〜〜」
ええ。会話しているうちにね、わかってきましたよ。
この電話の客は、ビデオの問い合わせがしたいんじゃなくて、わたしにその「あからさまなアホみたいなぐちょぐちょぬるぬる系」のタイトルを言わせたいだけなの。
電話の向こうで、どんどん息荒くなってるしね。
受話器握りながら、わたしのアタマにあったのは「アホかこいつ」でした。
いやらしい言葉を女の子に言わせて、それでひとりでハァハァしてやんの。
それはまあ、気持ちがわからんでもない、つーか、べつにわたしはそーゆー趣味はないが、そんなこともあるだろうよ、とは思う。
しかしそれは、いやらしいことをしているときにいやらしいことを言う、なら、わからんでもない、という意味だ。
こっちは仕事でタイトルをメモしながら読み上げてるだけだよ? 感情こもってるわけでなし、事務的に棒読みしているだけなのに。
そんなもんで興奮するのって、あまりにもバカバカしい。つか、虚しい。
そんなつもりもない女の子に、無理矢理いやらしい言葉を言わせることで、陵辱した気持ちになってるんだろーか。こっちはお客からの電話だと思っているから、無碍にもできなくて、真面目に相手してさ。拒否権のない無力な女の子に、強制させることでなにか倒錯した快感を得ているんだろーか。
まだハタチそこそこだったわたしは、怒りだとか嫌悪だとかいう前に、ひどく脱力した。あー、あーゆー感情を、「憐れみ」っていうんだなあ、と、今にして思うよ。
石田昌也作品が趣味に合わないのは、その電話をかけてきた孤独な変態さんに近い感想を持つせいだと思う。
電話の変態さんは人知れず1対1の関係でしていたことだけど、石田はその電話と同じことを「舞台」という公の場で大勢の人に見せているからなあ。ムカつくのはそれもあるだろーなー。
あー、つまり。
石田ってさ、ジェンヌにいやらしい台詞言わせるのが快感で、わざと下品な脚本書いてんじゃないの? と、思ってしまうからさ。
世の中、いろんな性癖の人がいるからねえ。バイトの女の子にアダルトビデオのタイトル音読させて、自家発電しちゃう人がいるくらいなんだから。
「清く正しく美しく」の秘密の花園で、わざわざテレビドラマ以下のいやらしい台詞を連発させることで悦に入る演出家がいても、不思議じゃない、と思ってしまうことよ。
基本的に石田先生は、女好きで、そして女を見下しているんだと思う。
それは彼の作品にじつによく現れている。
女は抱くモノ・支配するモノであって、そこに対等な信頼や尊敬は成立しない。
愛は与えてやるモノであって、対等に分け合う・育むモノではない。
いつも男尊女卑が前提。
作品ってこわいよねえ。1作2作ならごまかせても、天才じゃない限り、そこにどーしても作者の人間性や価値観が出ちゃうからねえ。
もちろん、多少歪んだ価値観の持ち主でも、アンチすらつっこめないよーなおもしろいものを書ければそれで、なんの問題もないんだけどね。
石田せんせ、そこまで天才じゃないし、職人でもないからなー。
石田作品の女たちは、いつも悲惨だ。
誠意のない描かれ方をしている。
そして男たちは、そんな汚れた女たちを、一段上から「愛してやる」んだよなー。
「愛する」んじゃないの。「愛して・あげる」。ほどこしなのよ。
こんな女を愛してやるオレって、なんて寛大ないい男なんだろう。……という意識が絶対にある。やれやれ。
同じよーに女を描くのが下手な作家といえば、谷せんせがそうだけど、彼の作品には男尊女卑は感じられない。谷せんせの場合はたんなる「恋愛下手」だと思う。理想の男を描くことばかりに熱中していて、恋愛を描けない。女というものがよくわからない。
出てくる女性キャラに魅力がない、恋愛が絵に描いた餅状態、と、いろいろ欠点はあるものの、谷せんせの作品の失敗ぶりは微笑ましかったりする。少年ジャンプを大好きな男の子が書いた話みたいで。(キャラを殺してお涙頂戴するのは嫌い。でもそーゆーとこも少年ジャンプだなとは思う)
石田は少年ジャンプじゃないからなー。
オヤジ向けエロマンガ系。オヤジ頭で都合がいいよーにしか、描かれていない。
少年マンガなら女の子も読めるけど、オヤジ向けマンガは女の子は読めない。少年マンガには愛と夢が必要だが、オヤジ向けマンガには欲望と下世話さの方が必要だからだ。
ジャンルがチガウんだから、仕方ないわな。
『青い鳥を捜して』もまた、このジャンルちがいを噛みしめたさ。
石田昌也……なんでこの人は、タカラヅカにいるんだろう??
もっと他に、才能を活かせる場所があるだろうに。
わたしは酒井澄夫を作家として認めないけど、石田昌也はアリだと思っている。
石田せんせはたんに、カテゴリエラーなだけ。
ヅカとしてまちがってるだけで、作家としてまちがってるわけじゃない。
もちろん、うまい作家だとは思ってないけどさー。作品を創ることもできない酒井と比べたら、「作家」としての仕事は石田せんせの方がはるかにまともだからさー。
タカラヅカでなければ、もっと評価される作家だろーに。
なんでヅカの座付きやってんだろう?
男の人が演じる、ふつーのカンパニーでやった方が活きる脚本だと思うよ? 石田作品って。
もちろん対象観客も、男の人でさ。
男が観て都合よくて、男が観てたのしい話。
……なんで、女性客相手に「女を貶める話」を書き続けてるんだ、この人? 夢と美を看板にしている美しい劇団で、「下品な話」を書き続けてるんだ?
それが理解できないからつい、考えちゃうのさ。
ジェンヌにいやらしい台詞言わせるのが快感で、座付きを辞められないんじゃないの? と。
不思議な人だ。
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