「きれいでしたよ」と、彼女は言った。@天の鼓
2004年12月21日 タカラヅカ とりあえず、笑っておくか。 ……という感想です、花組ドラマシティ公演『天の鼓』。
案の定モリナ姉さんはつきあってくれず、オサちゃんファンのキティちゃんを誘って観劇、5列目ドセンター。
キティちゃんはヅカファンらしいヅカファン。つまり、作品の善し悪しを理解する気もなく、「ご贔屓が出演してさえいれば名作!」クライマックスは(植田作品でさえ)涙する、という人。
わたしより先に観劇済みの、そのキティちゃんが言っていた。
「緑野、まだ観てなかったの? 作品、微妙よ」
ええっ?! オサ主演作を悪く言うキティちゃんなんか、はじめて見たぞ?!
「終演後に6列目をさばいている人がいて、ふつうならそんな席をさばいてたら、すぐ売れるでしょ? でもぜんぜん売れないから、そのさばいていた人がアタシに『そんなに作品悪いんですか?』って聞いてきたのよ。で、アタシはこう答えたわ。『きれいでしたよ』って。
だって、他に言い様がなかったもの」
そう言うキティちゃんは、わたしと5列目で観ちゃったから、自分の持っているチケットは全部さばくそうだ。もう観たくないって。
あのキティちゃんにさえ、見捨てられる作品?!
それはかえって、一見の価値アリだよなっ(笑)。
ははははは。
とりあえず、笑っておきます。いろんな意味で。
かの児玉明子作『天の鼓』。
おもしろいか、おもしろくないかでいえば、おもしろいっす。
この作品をひとことで言うならば、捨て身の誘い受作品!ってとこかな。
いやあもー、ツッコミありまくり!! 5分に1回ツッコミ! って感じ(笑)。ツッコミの間に話があるよーな。
それがおもしろいといえば、おもしろい(笑)。
感じたことは、こだまっちは、企画というか、最初の発想は悪くないんだと思う。たとえ「こーゆーのって、萌えよね〜〜」とヅカファンだのヲタク女だのが仲間内で喋っている妄想配役の域を出ないとしてもだ。
ただその発想を、「商業作品レベルまで、正しく組み立てて作品にする」ことが、できていないだけで。
作品が壊れていよーと、辻褄があっていなかろーと、爆発的な「萌え」があれば、それはそれでアリだとわたしは思っている。正しく構成されただけのつまらない作品より、欠点ありまくりの萌える作品の方が好きだから。
そう、理屈をふっとばすくらいの「萌え」があれば、よかったのよ。
つくづく、思った。
こだまっち、詰めが甘いっ!!
設定だけは萌え。シチュエーションや言動にも萌えがある。
しかし、どーにも萌えられない浅さが全編にある。
虹人@オサは「鼓と共に拾われた」という、なんとも微妙な生い立ちを持つ青年。そこが田舎の村だということを、長い間観ていて気づけなかったくらい、雅な服装の彼らは、やはり田舎の村だってことを忘れてしまうくらい典雅に鼓を生活の中心にしていた。
鼓が巧ければ、神! みたいな世界。田舎の村なんだけど。農業従事者はいないらしく、都の公達みたいな格好の若者たちが、みんなそろって鼓を習っている。
捨て子の虹人は、鼓が巧いっつーことで、なんとかコミュニティで立場を得ているらしい。みんな口々にそう言う。まあ、鼓が世界の中心、みたいな異世界ファンタジーだからそーゆー価値観もアリか。
虹人はある夜、もののけにしか見えない姫君と出会った。田舎の村だから、とーぜん夜は真っ暗、人っ子ひとりいないはず。そこにどこからともなく響き渡る笛の音、ぼーっと現れる、顔を隠した女。えーとコレ、妖怪譚だっけ?
もののけの姫君と出会った男は大抵そうであるよーに、虹人も恋に落ちてしまった。
さて、虹人には親友の樹@まっつがいる。鼓の師匠の息子で、なんとも幸薄そうな真面目そーな青年。鼓の才能では虹人にかなわない、かなしい「努力・誠実・地味」とコンボの決まった報われない人。
ひたすら地味な彼にも、かなりとーとつだが恋バナがあった。田舎の村だっつーのに、都に婚約者がいるというのだ。顔も知らない名前だけの相手かと思いきや、ちゃんと会ってデートもしている、恋愛結婚らしい。都とこの田舎の地理関係とか当時の交通手段とか、いろんなことに疑問がわくが、まあそれもおいておいて。
樹の婚約者・照葉@ふーちゃんこそが、虹人が恋に落ちたあのもののけ姫だったのだ!
てゆーか人間の姫が何故あんな時間にあんな場所に?! 侍女とふたりで笛吹きながら真夜中の旅?! あ、ありえねー!! と、虹人とともにわたしも盛大にショックを受けました。
愛した人は、親友の花嫁。
この事実を知った虹人、やることが早いです。さっそく夜這いかけてGO! 照葉はよろめき女、「なりませぬ、なりませぬ……いや〜ん♪」てなもんで受け入れ態勢OK、なかなかいいカップルだお前ら。人の道に外れるとか、裏切りはよくないとか、罪悪感とか、いろーんな感覚を持ち合わせていないところがヨシ!
既成事実も作ったし、あとはカタチだけだ。ただの捨て子の鼓のうまい人、ってだけじゃダメだ、地位と富が必要。
だって照葉が言うんだ。
「樹とはお金のため、ママとふたり生活するために結婚するの。ママを路頭に迷わせることはできないから、あなたと結婚はできないわ」
ってそんな、思いっきり金のためだけかいっ?! 虹人を拒む理由は「ママとの生活」? 樹のことはどーでもいいのね?
まあ、わかりやすい理由だよな、「金」ってのは。だから虹人はやたら前向き。
「都へ行って音楽祭で優勝して、楽団に就職して安定したら、プロポーズだっ」
あの、その音楽祭はそもそも樹が花嫁・照葉のために出ようとしていた音楽祭で……。
親友・樹はもう、虹人のアタマの中ではなかったことにされている模様。潔し。
照葉も虹人も、すばらしいよ……樹をコケにすることにおいては、抜群のコンビネーション。
さて、虹人と樹が参加する音楽祭。
これは、「めずらしい楽器コレクション」が趣味の帝@ゆみこの企てで、虹人の持つ「天の鼓」を奪っちゃえ! というのが本当の目的だった。
この帝っつー人が、抱腹絶倒。アクティブでアグレッシブ。
お気軽に宮廷を出て、田舎の村までお忍びで行っちゃったりとか、家臣みんなの前で踊っちゃったりとか、どこのバカボンボンだ?! てな風情。
たかが田舎青年の鼓ひとつ手に入れるために、都を上げての大騒ぎ。いやー、気前のいい人です。
祭りを楽しむことに労力を厭わない人らしく、わざわざ部下に虹人のストーカーさせたり、虹人の義理の妹@あすかをたきつけてみたり、樹に音楽祭でズルをするよーにそそのかしてみたり。
やっていることのセコさがたまりません!!
愛と裏切りと陰謀の渦巻く音楽祭。さあっ、虹人の明日はどっちだ?!!
……てゆーか、ひたすら樹が不憫です……いっそ笑えるくらい、不幸な男だ(笑)。
ストーリーの展開がありえなくておもしろいので、つい語りすぎてしまった(笑)。
つづく〜〜。
案の定モリナ姉さんはつきあってくれず、オサちゃんファンのキティちゃんを誘って観劇、5列目ドセンター。
キティちゃんはヅカファンらしいヅカファン。つまり、作品の善し悪しを理解する気もなく、「ご贔屓が出演してさえいれば名作!」クライマックスは(植田作品でさえ)涙する、という人。
わたしより先に観劇済みの、そのキティちゃんが言っていた。
「緑野、まだ観てなかったの? 作品、微妙よ」
ええっ?! オサ主演作を悪く言うキティちゃんなんか、はじめて見たぞ?!
「終演後に6列目をさばいている人がいて、ふつうならそんな席をさばいてたら、すぐ売れるでしょ? でもぜんぜん売れないから、そのさばいていた人がアタシに『そんなに作品悪いんですか?』って聞いてきたのよ。で、アタシはこう答えたわ。『きれいでしたよ』って。
だって、他に言い様がなかったもの」
そう言うキティちゃんは、わたしと5列目で観ちゃったから、自分の持っているチケットは全部さばくそうだ。もう観たくないって。
あのキティちゃんにさえ、見捨てられる作品?!
それはかえって、一見の価値アリだよなっ(笑)。
ははははは。
とりあえず、笑っておきます。いろんな意味で。
かの児玉明子作『天の鼓』。
おもしろいか、おもしろくないかでいえば、おもしろいっす。
この作品をひとことで言うならば、捨て身の誘い受作品!ってとこかな。
いやあもー、ツッコミありまくり!! 5分に1回ツッコミ! って感じ(笑)。ツッコミの間に話があるよーな。
それがおもしろいといえば、おもしろい(笑)。
感じたことは、こだまっちは、企画というか、最初の発想は悪くないんだと思う。たとえ「こーゆーのって、萌えよね〜〜」とヅカファンだのヲタク女だのが仲間内で喋っている妄想配役の域を出ないとしてもだ。
ただその発想を、「商業作品レベルまで、正しく組み立てて作品にする」ことが、できていないだけで。
作品が壊れていよーと、辻褄があっていなかろーと、爆発的な「萌え」があれば、それはそれでアリだとわたしは思っている。正しく構成されただけのつまらない作品より、欠点ありまくりの萌える作品の方が好きだから。
そう、理屈をふっとばすくらいの「萌え」があれば、よかったのよ。
つくづく、思った。
こだまっち、詰めが甘いっ!!
設定だけは萌え。シチュエーションや言動にも萌えがある。
しかし、どーにも萌えられない浅さが全編にある。
虹人@オサは「鼓と共に拾われた」という、なんとも微妙な生い立ちを持つ青年。そこが田舎の村だということを、長い間観ていて気づけなかったくらい、雅な服装の彼らは、やはり田舎の村だってことを忘れてしまうくらい典雅に鼓を生活の中心にしていた。
鼓が巧ければ、神! みたいな世界。田舎の村なんだけど。農業従事者はいないらしく、都の公達みたいな格好の若者たちが、みんなそろって鼓を習っている。
捨て子の虹人は、鼓が巧いっつーことで、なんとかコミュニティで立場を得ているらしい。みんな口々にそう言う。まあ、鼓が世界の中心、みたいな異世界ファンタジーだからそーゆー価値観もアリか。
虹人はある夜、もののけにしか見えない姫君と出会った。田舎の村だから、とーぜん夜は真っ暗、人っ子ひとりいないはず。そこにどこからともなく響き渡る笛の音、ぼーっと現れる、顔を隠した女。えーとコレ、妖怪譚だっけ?
もののけの姫君と出会った男は大抵そうであるよーに、虹人も恋に落ちてしまった。
さて、虹人には親友の樹@まっつがいる。鼓の師匠の息子で、なんとも幸薄そうな真面目そーな青年。鼓の才能では虹人にかなわない、かなしい「努力・誠実・地味」とコンボの決まった報われない人。
ひたすら地味な彼にも、かなりとーとつだが恋バナがあった。田舎の村だっつーのに、都に婚約者がいるというのだ。顔も知らない名前だけの相手かと思いきや、ちゃんと会ってデートもしている、恋愛結婚らしい。都とこの田舎の地理関係とか当時の交通手段とか、いろんなことに疑問がわくが、まあそれもおいておいて。
樹の婚約者・照葉@ふーちゃんこそが、虹人が恋に落ちたあのもののけ姫だったのだ!
てゆーか人間の姫が何故あんな時間にあんな場所に?! 侍女とふたりで笛吹きながら真夜中の旅?! あ、ありえねー!! と、虹人とともにわたしも盛大にショックを受けました。
愛した人は、親友の花嫁。
この事実を知った虹人、やることが早いです。さっそく夜這いかけてGO! 照葉はよろめき女、「なりませぬ、なりませぬ……いや〜ん♪」てなもんで受け入れ態勢OK、なかなかいいカップルだお前ら。人の道に外れるとか、裏切りはよくないとか、罪悪感とか、いろーんな感覚を持ち合わせていないところがヨシ!
既成事実も作ったし、あとはカタチだけだ。ただの捨て子の鼓のうまい人、ってだけじゃダメだ、地位と富が必要。
だって照葉が言うんだ。
「樹とはお金のため、ママとふたり生活するために結婚するの。ママを路頭に迷わせることはできないから、あなたと結婚はできないわ」
ってそんな、思いっきり金のためだけかいっ?! 虹人を拒む理由は「ママとの生活」? 樹のことはどーでもいいのね?
まあ、わかりやすい理由だよな、「金」ってのは。だから虹人はやたら前向き。
「都へ行って音楽祭で優勝して、楽団に就職して安定したら、プロポーズだっ」
あの、その音楽祭はそもそも樹が花嫁・照葉のために出ようとしていた音楽祭で……。
親友・樹はもう、虹人のアタマの中ではなかったことにされている模様。潔し。
照葉も虹人も、すばらしいよ……樹をコケにすることにおいては、抜群のコンビネーション。
さて、虹人と樹が参加する音楽祭。
これは、「めずらしい楽器コレクション」が趣味の帝@ゆみこの企てで、虹人の持つ「天の鼓」を奪っちゃえ! というのが本当の目的だった。
この帝っつー人が、抱腹絶倒。アクティブでアグレッシブ。
お気軽に宮廷を出て、田舎の村までお忍びで行っちゃったりとか、家臣みんなの前で踊っちゃったりとか、どこのバカボンボンだ?! てな風情。
たかが田舎青年の鼓ひとつ手に入れるために、都を上げての大騒ぎ。いやー、気前のいい人です。
祭りを楽しむことに労力を厭わない人らしく、わざわざ部下に虹人のストーカーさせたり、虹人の義理の妹@あすかをたきつけてみたり、樹に音楽祭でズルをするよーにそそのかしてみたり。
やっていることのセコさがたまりません!!
愛と裏切りと陰謀の渦巻く音楽祭。さあっ、虹人の明日はどっちだ?!!
……てゆーか、ひたすら樹が不憫です……いっそ笑えるくらい、不幸な男だ(笑)。
ストーリーの展開がありえなくておもしろいので、つい語りすぎてしまった(笑)。
つづく〜〜。
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