中日『王家に捧ぐ歌』の感想つづき。
 

 ケロファンのわたしが言うのもなんですが。
 ウバルドがうるさくないと、ここまで「3人の物語」なんだ、この話!!(笑)

 ウバルド@まとぶんは、ふつーに熱演してました。なにが足りないわけでもなく、手堅く。
 不思議だったのは、ウバルドを含むエチオピア野郎トリオの、キャラがぜんぜん立っていなかったこと。
 ムラ初日を観たときすでに、エチ野郎トリオはすっげーキャラ立ってて、立ち見のいちばん後ろから見たにもかかわらず、萌えたんだけど。
 中日のトリオも、まとぶ、ゆかり、しゅん、と、「うわっ、適材適所、見てみてえ」と思わせるナイスなキャスティングなのに。
 ここまでキャラが立ってないってのは、どういうこと?
 オペラなしで見た16列目昼公演も、舞台が目の前だ3列目で見た夜公演も、等しくキャラクタが混沌としていた。
 いつも3人で出てきて、3人ではける。これでキャラが立たないと、「3人でひとり」勘定になってしまう……。
 印象としては、カマンテが3人いる。

 てゆーか、ウバルドがいない。

 いや、きっとこれがふつうなんだ。
 本来のウバルドは、これくらいの濃さなんだ。ケロがやりすぎていただけで。

 ウバルドは出過ぎず、うるさくなく、物語はラダメスとアイーダ、アムネリスの3人を中心に進む。きっとこれが、本来の姿なんだろう。

 エチ野郎共が薄くなった分、不思議と濃いのがエジプト青年コンビ。
 ケペル@嶺恵斗、メレルカ@みらんのキャラは、アレはいったいなんなんだ(笑)。

「で、おかっちのケペルはどうだったんですか」
 とチェリさんに聞かれ、わたしはどう答えたもんか、と首をひねった。

「おおむね、本公演と同じです。ケペルはまっすぐで激しくて……でも。なんかところどころ、みょーに邪悪なんですけど」

 そう説明した途端、チェリさんは腹を抱えて爆笑した。
「さすがおかっち!!」
 と。

 エジプトコンビもまた、本公演のキャラを踏襲しようとしているのだとは思う。役替わりキャラを見回しても、別キャラを仕立てている人がいないので、演出家の方針なのかもしれない。
 てゆーかケペルとメレルカって、役者個人の色をそのまま映す役だよねえ?

 ケペルがまっすぐすぎる善良な男だったのは、アレはまんましいちゃんのキャラ。

 中日の恵斗くんも、心の動き等しいちゃんと同じよーに作っていると思う。
 だから、生き方を変えたラダメスにショックを受けるのも、裏切りに激昂するのも、本公演と同じ。

 されど。
 嶺恵斗の場合、彼の持ち味である「邪悪さ」があちこちで透けて見えているから!!(笑)
 なんか、同じなのに同じに見えないのよーっ(笑)。
 なまじ同じよーに作っているだけに、どんどんかけ離れてきている感じが、笑えるというか愛しいというか。

 みらんくんも「黒さ」をふつーに持ち合わせているので、若さと熱さのなかにちらちらと「黒さ」をにじませるのが素敵。
 「黒い」ということは、「ニヒル」だったり「翳り」だったりして、男前度をアップさせる要因だからね。
 
 本公演時のエジプトコンビは、陰と陽でいえば「陽」の役者が演じていたのに、中日ではそろって「陰」。
 同じ役作りでもちがって見える、この微妙さ加減がツボです。

 
 さて。

「アイーダ@トウコがすっごくかわいく見える……大劇の最初の方はオカマだったのに」

 と、本音でつぶやいたら、

「なんだと?」

 と血相を変えたトウコファンのBe-Puちゃんに、往復ビンタ×3されました。
 あうっあうっあうっ。

 えー、殴るふりをされたら、殴られるふりをする。
 往復ビンタ×3の場合は、首を左右に振り続ける。
 これは全国共通ですよね?
 Be-Puちゃんにはよく殴られるんですけど。「このっこのっこのっ」と往復ビンタのふりをする彼女のもとで、「きゃーきゃーきゃー」と殴られるふりをするのが日常と化しています。
 ちなみに、ふたりの身長差はすごいです。ちっこいのがでっかいのをがんばって殴ってます。

 思わずどつき漫才をしてしまうくらいに、トウコちゃんがかわいいのだ。

 お化粧もレベルが上がり、仕草や話し方も完全に女の子。
 一度会得したモノは、ブランクがあろうと錆び付かないんすね。王家東宝楽のクオリティをそのまま中日にスライドしてますよ、この人。

 たしかこの人、この間までエロオヤヂ役やってませんでしたか?

 人妻押し倒して「へっへっへっ」とか笑っていた男が、可憐な美少女になってやがるよ……すげえや。

 
 アムネリス@檀ちゃん、ラダメス@ワタルもまた納得のクオリティで。

 素直に『王家に捧ぐ歌』をたのしむことができた。

 わたしはこのひとたちの物語が好き。
 ラダメス、アイーダ、アムネリス、それぞれの人生が好き。

 もう一度会えたこと、それがうれしくてうれしくて、最初の涙を通り越したあとは、笑えて仕方なかった。
 うれしい笑いなの。
 幸福の笑いなの。

 あかしが目について目について、反射的に笑ってしまう、なんてことじゃないのよ。ほんとよ。

 うれしくて、たのしくて、Be-Puちゃんもモリナ姉さんもわたしも、みんなにこにこしてる。

 観に行ってよかった。


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