風紀委員と、不良少年。@新人公演『長崎しぐれ坂』
2005年5月31日 タカラヅカ いちばん期待していたのは、鈴木圭にだった。
新人公演『長崎しぐれ坂』において。
主演のれおんでもなければ、初ヒロインのせあらちゃんでもなく、いよいよ2番手役のしゅんくんにでもない。
わたしがもっとも期待していたのは、演出家の鈴木圭せんせーだった。
ラストシーンを変え、作品自体を別物にしてしまったあの震撼の『ファントム』、さりげなくカラーを変えてこれまた別作品にしてしまった『青い鳥を捜して』の演出家。
彼ならば、この壊れきった芝居をなんとかしてくれるんじゃないかと、期待していたのよ。
期待はずれでした。
しょぼん。
多少の変更はあったものの、概ね本公通り。
壊れた話は、壊れたまま。
なんでよ? 鈴木圭ならやってくれると思ったのに。
やっぱ植爺がこわいの? 植爺の権力に媚びて、こんな作品になっちゃったのおーっ?!
と、理不尽な落胆にうちひしがれてました。
わかってるのよ、わたしが勝手に期待して、裏切られただけだってことは。鈴木せんせが悪いわけじゃない。
悪いのは、植田紳爾だ。もちろん。
さて、実際に新公を観て、自分が誰を観たかったのかがよーっくわかりました。
オペラグラスを使うのは、南海まりと陽月華のみでした。
そ、そうかわたし、みなみちゃんとウメちゃん見にきたんだ。野郎どもに興味ないんだ……。
びっくり。
とくにみなみちゃんのことは、ほぼ全編オペラでセンターに捉えてました。
おかげで、わたしにとってのヒロインは、みなみちゃんですよ……。
なにしろプロローグの舞踊会でも、真ん中で踊ってるし。
みなみちゃん、新公主演おめでとー! な気持ちで見てました(チガウって!)。
本公を観ているときに気になって仕方ないのが、卯之助の気持ち悪さ。
わたしは卯之助というキャラクタが「中途半端」で「こうもり(卑怯)」で、「女っぽくて」気持ち悪かった。
伊佐次はよくある無神経キャラなんで、腹は立つがまだあきらめることができる。
しかし卯之助はあまりヅカのヒーローにはいないタイプで、どーにもおさまりが悪い。
つーかわたしは、卯之助とぼらって同じタイプの男だと思うんだけど……。卑怯で卑屈で女っぽくて。
卯之助があれほど気持ち悪い男でなければ、ここまで『長崎しぐれ坂』を気持ち悪いと思うこともなかったろう。ただ、「駄作」「嫌い」なだけで、「気持ち悪い」まではいかないんじゃないかなー。
ところが新公は、卯之助が気持ち悪くなかった。うざい男なのは変わらないが、許せるのね。
それは、演じているしゅくんが、あまりにも幼いからだろう。
考え足らずの風紀委員が、不良グループのボスになってしまった幼なじみをかばおうとがんばってる、ように見えたから。
大人の目から見ると、風紀委員のやってることは支離滅裂で、「嘘つくなら、もっとちゃんとつけよ……(溜息)」ってくらい浅はかなんだけど、本人は「完璧に大人たちを騙している! この調子で伊佐さんを守るんだ!」と腕まくりしてる。
あー、こいつバカだけど、かわいー。
子どもだから、世間を知らないから、こんなことを一生懸命やっちゃって、かわいいよなあ。バレバレだけど、まあ、見守ってやるか。
突然伊佐次にコクるのも、伊佐次を捕まえようとする役人たちにわけのわかんないこと言ってみるのも、それこそ最後に「卑怯な!」と「オマエが言うか!」的台詞を叫んでも、ぜんぜんOK。
だってこの子、もともとアタマよくないし。子どもだし。
物事が自分の思ったように運ばなくなって、パニック起こして、逆ギレしてるだけでしょ?
ベソかきながら走り回る姿見たら、もうなにも言えないよ。
そっかー、いっぱいいっぱいなんだねえ。
青春の過ちだ、少年はそうやって失敗をいっぱいして大人になるんだよ。恥をいっぱいかいて大人になるんだよ。
バカだとは思うけど、愛しい愚かさだよ。
……てことで、伊佐次が気持ち悪くなかった。
卯之助が幼くてかわいいので、無神経キャラの伊佐次@れおんもそれに引き上げられた感じ。
素直になれない不良少年。無神経なのも、言動が分裂症なのも、若いから。まだ少年だから、わがままでも人間出来てなくてもOKだ。
「唐人屋敷から出てはいけない」「わかっているけど、出たい」というあたりも、10代の少年の「理由なき反抗」っぽかったよ。
してはいけないことだとわかってる。ルールを守らなくてはならないことを知っている。だけどどーにも、押さえられない青春の衝動がある。みたいな。
おしまのことも、ちゃんと愛してるように見えたし。(本役は、愛があるよーには見えん)
そしてこの若い伊佐治と卯之助に絡む、おしま@せあらちゃんが、なんとも妙なことになっていた。
檀ちゃんの完全コピー。
模写することが目的です、みたいな演技。台詞回しまでまったく一緒。檀ちゃんが声だけあててるのか?てくらい、まったく同じ演技をしてくれた。
もちろん、模写したからって、檀ちゃんのもつ魅力やキャリアとせあらちゃん個人の持ち味はチガウ。
模倣すればするほど、せあらちゃん自身と乖離していく「おしま」というキャラクタ。
新公伊佐次と卯之助は本公とは別人だっただけに、おしまだけ本公の劣化コピーで、とっても不協和音(笑)。
なんだってこんな、ものすごいことになってたんだろー?
救いは、おしまの出番が少なく、新公では完全ただの脇役だったことかな。
出番も演出も本公まんまだが、役者のちがいで脇役感大幅UP!
せあらちゃんは学年とキャリアを考えれば、べつに不思議でもなんでもないことで、今回はお勉強に徹したのかもしれない。まずは型から入ろう、模倣以外考えなくてヨシ、みたいな。
李花@みなみちゃんもまた、若かった。キャラ的には本役さんと同じ。でも、コピーではなく、同じキャラが若くなってる。ので、若い伊佐次には合っていたな。顔はぷくっと丸いが、スタイル最高。
らしゃ@天緒圭花って子は、それまでわたし、まったく知りませんでした……。
なんか、ぼーっとしたらしゃだったなぁ。合体ロボットものなら3号機、っていうか。らしゃが繊細な男の子に見えたのは、本役の持ち味だったのか。
らしゃが華やかさに欠ける分、持っていったのがさそり@夢乃聖夏。正しいんじゃないかと。
役の少ない芝居なんだということを再確認した新公でしたわ。
他にもいろいろ思うところ、注目したところはあったが、文字数ないから、もういいや。
出番は日舞だけのウメちゃんの美しさとかっこよさを堪能し(精霊流しでハケるときに、ひとり拍手もらってるし・笑)、あとは変キャラ爆走してる紅ゆずるを愛でて終わりました。
新人公演『長崎しぐれ坂』において。
主演のれおんでもなければ、初ヒロインのせあらちゃんでもなく、いよいよ2番手役のしゅんくんにでもない。
わたしがもっとも期待していたのは、演出家の鈴木圭せんせーだった。
ラストシーンを変え、作品自体を別物にしてしまったあの震撼の『ファントム』、さりげなくカラーを変えてこれまた別作品にしてしまった『青い鳥を捜して』の演出家。
彼ならば、この壊れきった芝居をなんとかしてくれるんじゃないかと、期待していたのよ。
期待はずれでした。
しょぼん。
多少の変更はあったものの、概ね本公通り。
壊れた話は、壊れたまま。
なんでよ? 鈴木圭ならやってくれると思ったのに。
やっぱ植爺がこわいの? 植爺の権力に媚びて、こんな作品になっちゃったのおーっ?!
と、理不尽な落胆にうちひしがれてました。
わかってるのよ、わたしが勝手に期待して、裏切られただけだってことは。鈴木せんせが悪いわけじゃない。
悪いのは、植田紳爾だ。もちろん。
さて、実際に新公を観て、自分が誰を観たかったのかがよーっくわかりました。
オペラグラスを使うのは、南海まりと陽月華のみでした。
そ、そうかわたし、みなみちゃんとウメちゃん見にきたんだ。野郎どもに興味ないんだ……。
びっくり。
とくにみなみちゃんのことは、ほぼ全編オペラでセンターに捉えてました。
おかげで、わたしにとってのヒロインは、みなみちゃんですよ……。
なにしろプロローグの舞踊会でも、真ん中で踊ってるし。
みなみちゃん、新公主演おめでとー! な気持ちで見てました(チガウって!)。
本公を観ているときに気になって仕方ないのが、卯之助の気持ち悪さ。
わたしは卯之助というキャラクタが「中途半端」で「こうもり(卑怯)」で、「女っぽくて」気持ち悪かった。
伊佐次はよくある無神経キャラなんで、腹は立つがまだあきらめることができる。
しかし卯之助はあまりヅカのヒーローにはいないタイプで、どーにもおさまりが悪い。
つーかわたしは、卯之助とぼらって同じタイプの男だと思うんだけど……。卑怯で卑屈で女っぽくて。
卯之助があれほど気持ち悪い男でなければ、ここまで『長崎しぐれ坂』を気持ち悪いと思うこともなかったろう。ただ、「駄作」「嫌い」なだけで、「気持ち悪い」まではいかないんじゃないかなー。
ところが新公は、卯之助が気持ち悪くなかった。うざい男なのは変わらないが、許せるのね。
それは、演じているしゅくんが、あまりにも幼いからだろう。
考え足らずの風紀委員が、不良グループのボスになってしまった幼なじみをかばおうとがんばってる、ように見えたから。
大人の目から見ると、風紀委員のやってることは支離滅裂で、「嘘つくなら、もっとちゃんとつけよ……(溜息)」ってくらい浅はかなんだけど、本人は「完璧に大人たちを騙している! この調子で伊佐さんを守るんだ!」と腕まくりしてる。
あー、こいつバカだけど、かわいー。
子どもだから、世間を知らないから、こんなことを一生懸命やっちゃって、かわいいよなあ。バレバレだけど、まあ、見守ってやるか。
突然伊佐次にコクるのも、伊佐次を捕まえようとする役人たちにわけのわかんないこと言ってみるのも、それこそ最後に「卑怯な!」と「オマエが言うか!」的台詞を叫んでも、ぜんぜんOK。
だってこの子、もともとアタマよくないし。子どもだし。
物事が自分の思ったように運ばなくなって、パニック起こして、逆ギレしてるだけでしょ?
ベソかきながら走り回る姿見たら、もうなにも言えないよ。
そっかー、いっぱいいっぱいなんだねえ。
青春の過ちだ、少年はそうやって失敗をいっぱいして大人になるんだよ。恥をいっぱいかいて大人になるんだよ。
バカだとは思うけど、愛しい愚かさだよ。
……てことで、伊佐次が気持ち悪くなかった。
卯之助が幼くてかわいいので、無神経キャラの伊佐次@れおんもそれに引き上げられた感じ。
素直になれない不良少年。無神経なのも、言動が分裂症なのも、若いから。まだ少年だから、わがままでも人間出来てなくてもOKだ。
「唐人屋敷から出てはいけない」「わかっているけど、出たい」というあたりも、10代の少年の「理由なき反抗」っぽかったよ。
してはいけないことだとわかってる。ルールを守らなくてはならないことを知っている。だけどどーにも、押さえられない青春の衝動がある。みたいな。
おしまのことも、ちゃんと愛してるように見えたし。(本役は、愛があるよーには見えん)
そしてこの若い伊佐治と卯之助に絡む、おしま@せあらちゃんが、なんとも妙なことになっていた。
檀ちゃんの完全コピー。
模写することが目的です、みたいな演技。台詞回しまでまったく一緒。檀ちゃんが声だけあててるのか?てくらい、まったく同じ演技をしてくれた。
もちろん、模写したからって、檀ちゃんのもつ魅力やキャリアとせあらちゃん個人の持ち味はチガウ。
模倣すればするほど、せあらちゃん自身と乖離していく「おしま」というキャラクタ。
新公伊佐次と卯之助は本公とは別人だっただけに、おしまだけ本公の劣化コピーで、とっても不協和音(笑)。
なんだってこんな、ものすごいことになってたんだろー?
救いは、おしまの出番が少なく、新公では完全ただの脇役だったことかな。
出番も演出も本公まんまだが、役者のちがいで脇役感大幅UP!
せあらちゃんは学年とキャリアを考えれば、べつに不思議でもなんでもないことで、今回はお勉強に徹したのかもしれない。まずは型から入ろう、模倣以外考えなくてヨシ、みたいな。
李花@みなみちゃんもまた、若かった。キャラ的には本役さんと同じ。でも、コピーではなく、同じキャラが若くなってる。ので、若い伊佐次には合っていたな。顔はぷくっと丸いが、スタイル最高。
らしゃ@天緒圭花って子は、それまでわたし、まったく知りませんでした……。
なんか、ぼーっとしたらしゃだったなぁ。合体ロボットものなら3号機、っていうか。らしゃが繊細な男の子に見えたのは、本役の持ち味だったのか。
らしゃが華やかさに欠ける分、持っていったのがさそり@夢乃聖夏。正しいんじゃないかと。
役の少ない芝居なんだということを再確認した新公でしたわ。
他にもいろいろ思うところ、注目したところはあったが、文字数ないから、もういいや。
出番は日舞だけのウメちゃんの美しさとかっこよさを堪能し(精霊流しでハケるときに、ひとり拍手もらってるし・笑)、あとは変キャラ爆走してる紅ゆずるを愛でて終わりました。
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