今さらだが、星楽の話。

 わたしは張り切って入りからムラにいた。舞台中心のファン人生なので、舞台外のジェンヌさんを眺めに行くことは、退団の楽でもなけりゃありえない。

 檀ちゃんのムラ最後の入りの時間は、10時ジャストでした!

 次に必要なときのために、ここにメモっておく。開演ちょうど3時間前。
 まさにジャスト。

 時計の秒針とにらめっこしていたときだったから、まちがえようがない。

 ゆうひくんのDSのチケ取りしてたんだもの!!

 10時からはゆーひのチケ取りだー、さあ電話するぞー、とスタンバイしてたら、お待ちかねのミューズ檀ちゃんの登場だ。

 うそーっ、なんでこのタイミングなのよーおっ。

「檀ちゃんきれーい」
「脚細ー」
「オトコマエ〜」

 とか口々に言いながらも、指は必死にリダイヤル。チェリさんとふたり、ややこしい真似をしておりました。当人たちは必死なんだけど、客観的にはまぬけな姿……。

 結局、ゆうひDSは取れませんでした。
 電話をするのは発売開始から15分、と決めていたので、潔くあきらめました。
 演出家が石田でなければ、もっともっとがんばったんだけどな……。

 檀ちゃんはフェミニンな姿での楽屋入りでした。
 が、せんどーさんは会服姿でした。

 せんどーさんとこの会服、Tシャツだったんだよね。

「せんどーさん、Tシャツ着てるー」

 と、あるがままのことを口にしただけなのに、横にいたチェリさんに肘打ちされました。

 会の人たちと話したあと、せんどーさんは小走りに楽屋口に向かいました。
 せんどーさんをずっと見つめていたわたしは、

「せんどーさん、走ってるー」

 と、あるがままのことを口にしただけなのに、横にいたチェリさんに、

「このオヤジ!!」

 と、突っ込まれました。

 なんでー?
 見たままを口にしただけやーん。

 わたしの愛する巨乳娘、せんどーさん。
 最後の入りはTシャツで、しかも走ってくれますか。
 なんてサービス精神旺盛なんだ。いやあ、眼福眼福。

 せんどーさんは素顔もすごくかわいい。
 丸くって小さくて、でもなんか強そうで、とても素敵。

 恵斗くんの入りはあっとゆー間。相変わらずスタイルいい。
 わたしは彼の「靴」を見るのに必死でした。
 お茶会のプレゼントが「千秋楽で履く白い靴」という話だったので、わたしとkineさんもその靴の何百分の一かは関与している、ちゅーことで、「靴を見なければっ」と思ってました。
 そして、まだ現れないkineさんを捜し、「もう恵斗くん来ちゃったよー、kineさんどこよ?!」ときょろきょろし。なんて忙しい(笑)。……恵斗くんの入りがあっとゆー間だったのは、わたしの落ち着きがなかったせい?

 恵斗くんの靴は、わたしの思いこみに反して、華奢なヒールの女らしい靴でした。
 もっと男っぽい感じかと思ってた。

 
 たまの入り待ちはイベント感覚で、たのしかった。
 みんなみんな、美しくて。

 
 檀ちゃんのサヨナラショーはひたすらオトコマエでした。

 添え物の「娘役」ではなく、ピンで立つ「トップスター」だった。

 彼女が真ん中で、動く舞台。動く空間。
 硬質に、輝き続ける、もっとも美しく、もっとも硬い鉱石のように。

 咲き誇る。

 大輪の、赤い花。

 『ドルチェ・ヴィータ!』の檀ちゃんは「黒」だった。このむずかしい色を着こなしてしまう美女だった。
 しかしサヨナラショーでの彼女のトレードカラーは、まちがいなく「赤」だった。
 タイトルロールだった『BMB』の「赤い花」そのままに。

 そうか、赤か。
 ピンクだとかパステルカラーだとかいう「女の子色」ではなく、「大人の色」か。
 大人。
 女だとか男だとかいうことは抜きに、ただ「大人」。
 自立した色。

 月組で育てられ、中国でその美貌をもてはやされ、そして星組で成熟した姿を見せた。
 それらすべてを端的に見せる、そーゆーショーだった。

 マミさんの持ち歌である『Endless Dream』を迫力のアルトで熱唱する檀ちゃんを見て、

 わたしが「檀れい」に求めていたあとひとつはコレだ!

 と、思った。
 今まで檀ちゃんはじつにさまざまな顔を見せてくれたけど、まだ足りない気がしていた。

 そうか、「男歌」だったんだ。

 一人称が男の歌。
 オトコマエな女が歌うからこそ、かっこよさが映える歌。

 ヅカの女の子たちは通常、男の歌は歌わないからな。きっとそれは「ルール違反」なんだろう。娘役が「男」を歌ってしまったら、「女なのに男役をしている」人たちと同じことになってしまう。領域侵犯は混乱のもと。

 だけど、最後の最後、サヨナラショーで、その「ルール」を破った。

 そんなものを超えて、「トップスター」がここに存在している。

 由来がわからなかったのは、ワタさんと歌ったヤツだけだった。ふたりのなれそめ、『風共』の歌なんだって? ナマを観たんだが、さすがにおぼえてなかった(笑)。

 『ドルチェ・ヴィータ!』もうれしかったし、やっぱり『王家に捧ぐ歌』の「檀れい様賛歌@ファラオの娘だから」もうれしかった。女官ダンサーズのウメちゃんがめちゃくちゃかっこよかった(笑)。となみちゃんがいるのも、豪華。

 同時退団者たちの銀橋があったのも、うれしい。
 みんな言ってくれるのよ。
「よかったじゃないですか、せんどーさんの衣装」
 って。
 今回のショーはぜんぜんせんどーさんの胸が見えないもんだから、わたしがなにかと嘆いていたもんでな。サヨナラショーはGJ! 肩出しドレスですよ! 2階席で観たかった!

 せんどーさんといえば、組長の読む「手紙」がすごかったな……。彼女の「栄光の歴史」を余すことなくつづってあるの。自分で自分の「栄光」ぶりをここまで発表する人、はじめて見た(笑)。
 プライド高い人だってのが、よーっくわかった。らしくって、なんか笑ってしまったよ。

 サヨナラショーのラスト・ソングが河村隆一作のMSのアンコール曲だったのがまた、檀ちゃんの「トップスター」ぶりを表している。

 自分のためだけのオリジナル曲で行きますか。
 たぶん、ほとんどの人が知らないはずだよ、その曲。それでもその曲で行きますか。

「もう行かなくちゃ」ではじまる、「あなたに会いたい」と歌う歌。
 別れなのに、「会いたい」という歌。

 MSでもスイッチ入って泣いてたけど、やっぱりサヨナラショーも泣いて終わった。
 泣くために行ったんだから。

 途中、トドの歌う「でんでんむし」に涙も引いたけどな……。まさかこんなときまで歌うとは思ってなかった……。

 
 パレードはロールスロイスのオープンカーに制服の運転手付き、という祭りっぷり。
 なのに檀ちゃんは髪を下ろした「娘役」姿だった。ふつう、みんな髪はアップにするものなのに。
 「女」ではなく「娘役」として、現れた。
 どこまでも、予想の斜め上を行く人だ。

 歩く檀ちゃんを追いかけて、思わず走ってしまった自分に、「そんなに好きやったんか」と改めて思ってみたり。

 ありがとう、檀ちゃん。

 

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