あなたに膝を折ることは、恥ではない。むしろ誇りだ。@花ちゃんとわたし。
2005年11月9日 タカラヅカ 花總まりとの出会いは、伝説のミーミルだった。
シメさんファンだったわたしは、いそいそとトップお披露目公演『白夜伝説』を観に行った。
そこで、信じられないくらいかわいい娘役に出会った。
盲目の少女ミーミル。
「可憐」という言葉がこれほど相応しい美少女がいただろうか。
その美しさ、かわいらしさにおどろき、プログラムの写真の位置、すなわち学年におどろいた。
次に素顔写真を見ておどろいた。
花總ファンなら一度は通る道だろう。舞台姿と素顔のギャップ。
当時の花ちゃんはそのう、アイメイクが超まちがっていて、腫れぼったい瞼が目を覆い隠していて、ものすごいお顔になってましたのよ……。
そして、雪組に組替え。
1993年『ブルボンの封印』『コートダジュール』。
『ブルボンの封印』は、わたしが太田哲則を嫌いになった記念すべき駄作。
原作の主人公マリエールを花ちゃんにやらせ、この作品で退団する娘役トップスター紫ともに、悪役のマノンをやらせた。
物語はマリエールがヒロイン。どうあがいたって、ヒロイン。だって原作がそうなんだから。
それを無理矢理「マノンをヒロインにしました」とうそぶいて上演。
……物語は、ぶっ壊れた。
主役でない人を名目だけでも「主役」にしてしまったため、必然として壊れきった。
脇役でしかないマノンは、マリエールに男を取られて自滅するみじめな悪女。
……目が点になった。
作品も壊れているし、壊れているいちばんの理由が、トップスターを無視して、花總まりをヒロイン役にしたこと? 何故そうまでして、この下級生を優遇しなければならない?
そしてトドメが、『コートダジュール』。
芝居がどんなに後味悪くても、ショーがマトモなら誤魔化すことが出来る。
しかし。
こちらでも、やってくれた。
娘役トップスター紫ともは脇役で、花總まりがヒロインだった。
こちらもまた、芝居と揃えたとしか思えない役割。トップスター一路真輝に愛されるのが花ちゃん、みじめにふられるのが紫とも。
芝居とショー、両方で、娘役トップが男役トップに振られる役? そして、両方とも男役トップの愛を勝ち得るのが花總まり?
しかもこの公演、紫ともは退団公演なのよ? 花總まりが次の娘役トップだってわかってるのよ?
……未だに、わからない。
こんなことをして、劇団と花總まりになんの得があったのか。
当時、インターネットもない、ろくにヅカ友もいない、今ほどヅカにはまってもいない浅いファンだったわたしも、憤慨して少ないヅカ友と劇団への疑問を語らずにはいられなかった。
雪組ファンにとって、「花總まり」なんてのは、「よそから来た、知らない人」だ。
その「知らない人」が、組ファンが愛していた自慢のトップ娘役を、石を投げるようにして力尽くで追い出し、スポットライトを浴びて微笑んでいる。
……これで、花總まりを好きになる人がいるんだろうか?
組替え作品がコレだったんだよ? 雪しか観たことない人には、ほんとーに、はじめて観る花總まりがコレなんだよ?
わけがわからない。
こんなことをしても、誰も得をしないし、幸福にもならない。
劇団のすることはわからない。
思えば、「花總まり」の扱いが、初心者ファンだったわたしが劇団に対して持ったはじめての不信感だった。
紫ともの迫害、そして花總まりの偏愛は、さらに続いた。
星組と雪組で、バウとドラマシティを続演する企画があった。
トップがバウ、2番手がDC。
バウはそれぞれオリジナルな演目、DCはひとつの作品をふたつの組で続演する。
先に上演した星組は、バウがシメさんとあやかちゃんのトップコンビラヴラヴ作品。DCはマリコさん主演。
続く雪組は……何故なんだ、トップのいっちゃんと組むのが、トップの紫ともじゃなく、花總まり。星組はトップコンビのバウだったのに、雪組はチガウ。そんなバカな。
紫ともちゃんは、DCで2番手の相手役。星組からの続演、同じ作品だから、トップ娘役の演じるランクの役じゃなかった。
重ね重ね、ひどかった。
さよならの本公演も、バウ&DCも、紫ともは花總まりに「トップスター」の座を追われ、2番手以下の扱いを受けた。
紫ともなきあとは、94年の『風と共に去りぬ』の新公主演。
娘役の、主演。
開演アナウンスも、主演としての挨拶も、全部花ちゃん。プログラムの表紙写真も、花ちゃん。
当時はわたし、初心者だったんで、それがどれほどすごいことかわかってなかったよ……娘役が大劇場で主演するって……ありえない……。
今で言うなら、アリスちゃんが雪組に組替えになって、次の『ベルばら−オスカル編−』で新公のオスカルやっちゃうよーなもん? アナウンスもプログラム表紙も挨拶も、全部やって。かなめくんやらオヅキやら有望男役がいるにも関わらず、それらを全部脇役にして。
なんでアリスちゃんかとゆーと、当時の花ちゃんと学年が同じだから。
……それくらい、ありえない。
「花總まり」の特別扱いには、口をぽかーんと開けているしかなかった。
とまあ、もともとの雪ファンであったわたしには、つらいスタートだった。
「花總まり」を観るたびに、紫ともちゃんを追い出してファンの夢を汚した、いやな交代劇を思い出す。
悪いのが劇団だとわかっていても、暗い気持ちになってしまった。どうしても。
「星組はトップコンビのバウだったのに、どーして雪組はチガウのよ?」
と疑問を抱きながら観に行った『二人だけの戦場』のヒロイン・ライラ@花ちゃんは、とても魅力的だった。
『コートダジュール』だっけか『風共』だっけか記憶がとんでるけど、ロケットのセンター(もちろんひとりだけ衣装がチガウ)もまた、ものすげーかわいらしさだった。
魅力を認めてはいても、マイナス意識があった。劇団の扱いには疑問と不審が募った。手放しで酔うことができなかった。
それが。
あるとき、全部吹き飛んだんだ。
『エリザベート』1幕最後の、鏡の間。
孤高の皇后は、「美貌」を武器に皇帝をも屈服させる。黄泉の帝王をも、支配する。
雪組『エリザベート』初日。
大劇場2階席の隅っこで、わたしは息をのんだ。その美しさ、高貴さ、存在感に。
フランツが、トートが彼女に平伏したように、わたしもまた、完敗した。
ダークなトップ就任だった。ありえない扱いだった。
でもそれ、もういい。
なるべくして、なった人なんだ。
人生が公平でないことなんか知ってる。
「花總まり」がどれほど理不尽な権力を持とうと、そんなことはどーでもいいんだ。
タカラヅカのトップスターの座に君臨することが、誰よりも正しい人なのだから。
実力で、わたしの苦手意識や不信感をねじ伏せてくれた。
あの感動は、忘れられない。
意識をプラスの力でねじ曲げられるなんてこと、ふつーそうそうないって。
衝撃。
生きるってすごい。こんな感覚も味わえるんだ。
力尽くで意識を侵されてしまった(笑)わたしは、以来ずっぽり花ちゃんファンだ。
彼女の「タカラヅカ娘役トップスター」としての力に、心酔している。
反感からはじまって劇的に恋したんだから、ハーレクイン的展開だよな(笑)。そりゃ病も重いわ。
ずっとずっと、見ていたかったんだ。
シメさんファンだったわたしは、いそいそとトップお披露目公演『白夜伝説』を観に行った。
そこで、信じられないくらいかわいい娘役に出会った。
盲目の少女ミーミル。
「可憐」という言葉がこれほど相応しい美少女がいただろうか。
その美しさ、かわいらしさにおどろき、プログラムの写真の位置、すなわち学年におどろいた。
次に素顔写真を見ておどろいた。
花總ファンなら一度は通る道だろう。舞台姿と素顔のギャップ。
当時の花ちゃんはそのう、アイメイクが超まちがっていて、腫れぼったい瞼が目を覆い隠していて、ものすごいお顔になってましたのよ……。
そして、雪組に組替え。
1993年『ブルボンの封印』『コートダジュール』。
『ブルボンの封印』は、わたしが太田哲則を嫌いになった記念すべき駄作。
原作の主人公マリエールを花ちゃんにやらせ、この作品で退団する娘役トップスター紫ともに、悪役のマノンをやらせた。
物語はマリエールがヒロイン。どうあがいたって、ヒロイン。だって原作がそうなんだから。
それを無理矢理「マノンをヒロインにしました」とうそぶいて上演。
……物語は、ぶっ壊れた。
主役でない人を名目だけでも「主役」にしてしまったため、必然として壊れきった。
脇役でしかないマノンは、マリエールに男を取られて自滅するみじめな悪女。
……目が点になった。
作品も壊れているし、壊れているいちばんの理由が、トップスターを無視して、花總まりをヒロイン役にしたこと? 何故そうまでして、この下級生を優遇しなければならない?
そしてトドメが、『コートダジュール』。
芝居がどんなに後味悪くても、ショーがマトモなら誤魔化すことが出来る。
しかし。
こちらでも、やってくれた。
娘役トップスター紫ともは脇役で、花總まりがヒロインだった。
こちらもまた、芝居と揃えたとしか思えない役割。トップスター一路真輝に愛されるのが花ちゃん、みじめにふられるのが紫とも。
芝居とショー、両方で、娘役トップが男役トップに振られる役? そして、両方とも男役トップの愛を勝ち得るのが花總まり?
しかもこの公演、紫ともは退団公演なのよ? 花總まりが次の娘役トップだってわかってるのよ?
……未だに、わからない。
こんなことをして、劇団と花總まりになんの得があったのか。
当時、インターネットもない、ろくにヅカ友もいない、今ほどヅカにはまってもいない浅いファンだったわたしも、憤慨して少ないヅカ友と劇団への疑問を語らずにはいられなかった。
雪組ファンにとって、「花總まり」なんてのは、「よそから来た、知らない人」だ。
その「知らない人」が、組ファンが愛していた自慢のトップ娘役を、石を投げるようにして力尽くで追い出し、スポットライトを浴びて微笑んでいる。
……これで、花總まりを好きになる人がいるんだろうか?
組替え作品がコレだったんだよ? 雪しか観たことない人には、ほんとーに、はじめて観る花總まりがコレなんだよ?
わけがわからない。
こんなことをしても、誰も得をしないし、幸福にもならない。
劇団のすることはわからない。
思えば、「花總まり」の扱いが、初心者ファンだったわたしが劇団に対して持ったはじめての不信感だった。
紫ともの迫害、そして花總まりの偏愛は、さらに続いた。
星組と雪組で、バウとドラマシティを続演する企画があった。
トップがバウ、2番手がDC。
バウはそれぞれオリジナルな演目、DCはひとつの作品をふたつの組で続演する。
先に上演した星組は、バウがシメさんとあやかちゃんのトップコンビラヴラヴ作品。DCはマリコさん主演。
続く雪組は……何故なんだ、トップのいっちゃんと組むのが、トップの紫ともじゃなく、花總まり。星組はトップコンビのバウだったのに、雪組はチガウ。そんなバカな。
紫ともちゃんは、DCで2番手の相手役。星組からの続演、同じ作品だから、トップ娘役の演じるランクの役じゃなかった。
重ね重ね、ひどかった。
さよならの本公演も、バウ&DCも、紫ともは花總まりに「トップスター」の座を追われ、2番手以下の扱いを受けた。
紫ともなきあとは、94年の『風と共に去りぬ』の新公主演。
娘役の、主演。
開演アナウンスも、主演としての挨拶も、全部花ちゃん。プログラムの表紙写真も、花ちゃん。
当時はわたし、初心者だったんで、それがどれほどすごいことかわかってなかったよ……娘役が大劇場で主演するって……ありえない……。
今で言うなら、アリスちゃんが雪組に組替えになって、次の『ベルばら−オスカル編−』で新公のオスカルやっちゃうよーなもん? アナウンスもプログラム表紙も挨拶も、全部やって。かなめくんやらオヅキやら有望男役がいるにも関わらず、それらを全部脇役にして。
なんでアリスちゃんかとゆーと、当時の花ちゃんと学年が同じだから。
……それくらい、ありえない。
「花總まり」の特別扱いには、口をぽかーんと開けているしかなかった。
とまあ、もともとの雪ファンであったわたしには、つらいスタートだった。
「花總まり」を観るたびに、紫ともちゃんを追い出してファンの夢を汚した、いやな交代劇を思い出す。
悪いのが劇団だとわかっていても、暗い気持ちになってしまった。どうしても。
「星組はトップコンビのバウだったのに、どーして雪組はチガウのよ?」
と疑問を抱きながら観に行った『二人だけの戦場』のヒロイン・ライラ@花ちゃんは、とても魅力的だった。
『コートダジュール』だっけか『風共』だっけか記憶がとんでるけど、ロケットのセンター(もちろんひとりだけ衣装がチガウ)もまた、ものすげーかわいらしさだった。
魅力を認めてはいても、マイナス意識があった。劇団の扱いには疑問と不審が募った。手放しで酔うことができなかった。
それが。
あるとき、全部吹き飛んだんだ。
『エリザベート』1幕最後の、鏡の間。
孤高の皇后は、「美貌」を武器に皇帝をも屈服させる。黄泉の帝王をも、支配する。
雪組『エリザベート』初日。
大劇場2階席の隅っこで、わたしは息をのんだ。その美しさ、高貴さ、存在感に。
フランツが、トートが彼女に平伏したように、わたしもまた、完敗した。
ダークなトップ就任だった。ありえない扱いだった。
でもそれ、もういい。
なるべくして、なった人なんだ。
人生が公平でないことなんか知ってる。
「花總まり」がどれほど理不尽な権力を持とうと、そんなことはどーでもいいんだ。
タカラヅカのトップスターの座に君臨することが、誰よりも正しい人なのだから。
実力で、わたしの苦手意識や不信感をねじ伏せてくれた。
あの感動は、忘れられない。
意識をプラスの力でねじ曲げられるなんてこと、ふつーそうそうないって。
衝撃。
生きるってすごい。こんな感覚も味わえるんだ。
力尽くで意識を侵されてしまった(笑)わたしは、以来ずっぽり花ちゃんファンだ。
彼女の「タカラヅカ娘役トップスター」としての力に、心酔している。
反感からはじまって劇的に恋したんだから、ハーレクイン的展開だよな(笑)。そりゃ病も重いわ。
ずっとずっと、見ていたかったんだ。
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