詩人って、どういう職業?@DAYTIME HUSTLER
2005年11月17日 タカラヅカ わたしには、ローリーの「詩人」って部分がよくわかんないんだ。
『DAYTIME HUSTLER』の話。
元不良で詩人で教師、それがハスラーに変身。
というてんこ盛り設定の一部としてはいい。
詩集の自費出版のために借金が、という設定もつっこみたいことはあるがまあいい。ヒロイン・シルヴィアの朗読で「在りし日の恋」を再現するアイディアもいい。
キャラの味付け手段としての「詩人」は、意味があると思っている。
でも。
わかんないのは、ラスト。
せっかく舞台であるゴールドビーチのためにがんばってきて、GBC財団も設立され、これから!ってときに、なんでNYに旅立たなければならないんだろう。詩人としてやり直すために。
詩人ちゅーのは、大都会でないとできないものなのか?
たしかに、自費出版した本について「大都会でもないと売れない」という意味のことを作中で言わせている。
本気で詩をやるなら、NYへ行くしかない、という伏線のつもりか。
たしかに地方都市の書店は数が限られているから、ローリーの詩集を置いてくれるところは少ないだろう。
分母の大きな大都会へ行けば、拾ってくれるところもあるかもしれない。
でもそれは、「詩集を売る」という意味のことだ。
「よい詩を書く」「詩の勉強をする」という意味にはならない。
高校時代にローリーは詩で賞を取り、奨学金を得てNYの大学へ行った。卒業後もそのままNYで詩を書き続けていたらしい。
この場合のNYはわかるんだ。勉強するには都会の大学の方が選択肢が多いだろう。
しかし、最後のNY行きはわからない。
NYに師事したい詩人でもいるのか? 入り直したい大学でもあるのか?
ローリーのやっているのが「作詞」とかなら、「夢を追うために大都会へ行く」というラストもアリなのよ。
歌詞を書いて音楽事務所などを回り、「使ってください」と言うためなんだなと。
彼の歌詞を活かす曲をつけられる人は、田舎より都会にいるだろう、と。
ローリーが「小説家」なら、「夢を追うために大都会へ行く」というラストもアリなのよ。
小説を持って出版社を回り、「出版してください」と言うためなんだと。
ローリーが「ミュージシャン」なら、「夢を追うために大都会へ行く」というラストもアリなのよ。「イラストレーター」でも「カメラマン」でも「漫画家」でも「俳優」でも。
ただ、「詩人」でソレはないだろ。
だって「詩人」って、ソレだけで「食べていけない」よね?
「職業」として成り立つのがかなり難しいよね。
専業の詩人で生計を立てられる人、家族を養える人って、どれくらいいるの?
浅学なわたしの知る有名詩人たちはみんな、他に職業持ってるしなあ。翻訳家だとか作家だとか教師だとか。や、日本の話ですが。
「プロになるために」大都会へ行くよーな職種じゃないと思うのですよ、「詩人」ってのは。
大都会なら、ローリーの詩集を出版してくれる会社があるかもしれない。
でもモノが「詩」だから、小説や漫画とちがって、出版してもらったからといって、それで食べていけるとは思えないんだよなあ。小説家や漫画家が「職業」として成立しつづけるために、都会に住む方が有利なのはわかるんだけど、詩人はまず「職業」として成り立ちにくいから、どこに住んでいても大差ない気がする。
作品を売り込むためだけなら、その都度上京すればいいわけだし。受注だけ都会で取って、地方で生産すればいい。
商業的意味のある職種で大成することを「夢」として、上京するのはわかる。
でも、どうあがいたって「職業」として成り立たないだろう分野なのに、「とにかく、夢を追うなら大都会!」という思考回路はどうなの?
わたしには、最後の唐突なローリーの旅立ちが、「夢を追うために大都会へ行く」という、アーティストもののお約束に思えてしまう。
でもソレ、変だから!
わたしはお約束とかワンパターンとか大好きだけど、「詩人」という職種に至っては、変だから!
本当に真摯に「詩を作る」ことを考えているなら、今いる場所でがんばることだと思うのよ。
しかも、ゴールドビーチはこれで完全にハッピーエンドじゃない。高校移転計画がなくなっただけで、街が完全に昔のような輝きを取り戻したわけじゃない。「これから」がんばるためにGBC財団が設立されたわけでしょ。
それらのことを全部投げ出すのは無責任すぎない?
闇雲に都会に行ったって、どーなる職種じゃないのに。ミュージシャンとかじゃないんだから。
なんつーか最後の最後で。
ローリーってやっぱ、どっか抜けてる?
と思えてしまうから、こまるのよう。現実の見えていないおバカさんに見えるのがつらいのよ。
なんで「詩人」なんだろう。
ミュージシャンじゃダメだったのか? 作詞作曲彼がやってます、てことなら、シルヴィアの歌で「在りし日の恋」の再現もOKだし、自主制作CDのために借金を抱えて、ストリートでCD売ってる、ということにしたって、なんの問題もなかったのに。
ミュージシャンなら、最後にNYに旅立ってくれて、なんの問題もないのに。
「詩人」だから、すべてがまぬけになる……。
それとも、わたしが知らないだけで、ミュージシャンも詩人も同じなのかな。
都会へ行けばビッグになれるのかな。
詩集が全米ベストセラーになって、一生生活に困らないとか、そーゆーことがアメリカではふつーにあるのかな。
あ、わかった。
NYには「詩人の会」とかがあるんだわ。詩人のコミュニティがあって、そこで詩人同士切磋琢磨して影響しあっていくのね。
商業的成功とは関係なく、ただいい詩を書くためだけに。昔の文筆家や画家のサロンみたいなとこ。
地方都市にいるから、いい詩を書けない。同志がいないから向上できない。……なんて言っている人は、たとえ都会に出たっていい詩は書けないと思っちゃうのは、わたしが世間知らずだからかな。
ゴールドビーチでローリーの居場所がないくらい、完全になにもかも終わっていれば、旅立つのはアリだと思うけど。「これから」ってことになってるからなあ。しかも、もともと彼が首謀者みたいなもんだし。それを投げ出すのは無責任に映るんだよなあ。
しかも理由が「詩」だとなあ。とほほ。
ゴールドビーチでがんばって生きながら、いい詩を書いていく、とゆーのでは、何故いけなかったのだろう。
そして、イケコが大好きな(笑)インターネットで、ローリーのポエムサイトが口コミで人気になり、超大手企業から詩集を出版するよーになる、とかでもいいだろうに。
そこまで考えず、「アーティストもののお約束」をやりたかっただけに見えるのがかなしい。
そして、タイトルにある「愛を売るのは」云々のこっ恥ずかしい台詞を言わせたかっただけなんだろうなあ、と思えることが。
「詩人」というのが謎だ。
使い方を、微妙にまちがっている気がして。
『DAYTIME HUSTLER』の話。
元不良で詩人で教師、それがハスラーに変身。
というてんこ盛り設定の一部としてはいい。
詩集の自費出版のために借金が、という設定もつっこみたいことはあるがまあいい。ヒロイン・シルヴィアの朗読で「在りし日の恋」を再現するアイディアもいい。
キャラの味付け手段としての「詩人」は、意味があると思っている。
でも。
わかんないのは、ラスト。
せっかく舞台であるゴールドビーチのためにがんばってきて、GBC財団も設立され、これから!ってときに、なんでNYに旅立たなければならないんだろう。詩人としてやり直すために。
詩人ちゅーのは、大都会でないとできないものなのか?
たしかに、自費出版した本について「大都会でもないと売れない」という意味のことを作中で言わせている。
本気で詩をやるなら、NYへ行くしかない、という伏線のつもりか。
たしかに地方都市の書店は数が限られているから、ローリーの詩集を置いてくれるところは少ないだろう。
分母の大きな大都会へ行けば、拾ってくれるところもあるかもしれない。
でもそれは、「詩集を売る」という意味のことだ。
「よい詩を書く」「詩の勉強をする」という意味にはならない。
高校時代にローリーは詩で賞を取り、奨学金を得てNYの大学へ行った。卒業後もそのままNYで詩を書き続けていたらしい。
この場合のNYはわかるんだ。勉強するには都会の大学の方が選択肢が多いだろう。
しかし、最後のNY行きはわからない。
NYに師事したい詩人でもいるのか? 入り直したい大学でもあるのか?
ローリーのやっているのが「作詞」とかなら、「夢を追うために大都会へ行く」というラストもアリなのよ。
歌詞を書いて音楽事務所などを回り、「使ってください」と言うためなんだなと。
彼の歌詞を活かす曲をつけられる人は、田舎より都会にいるだろう、と。
ローリーが「小説家」なら、「夢を追うために大都会へ行く」というラストもアリなのよ。
小説を持って出版社を回り、「出版してください」と言うためなんだと。
ローリーが「ミュージシャン」なら、「夢を追うために大都会へ行く」というラストもアリなのよ。「イラストレーター」でも「カメラマン」でも「漫画家」でも「俳優」でも。
ただ、「詩人」でソレはないだろ。
だって「詩人」って、ソレだけで「食べていけない」よね?
「職業」として成り立つのがかなり難しいよね。
専業の詩人で生計を立てられる人、家族を養える人って、どれくらいいるの?
浅学なわたしの知る有名詩人たちはみんな、他に職業持ってるしなあ。翻訳家だとか作家だとか教師だとか。や、日本の話ですが。
「プロになるために」大都会へ行くよーな職種じゃないと思うのですよ、「詩人」ってのは。
大都会なら、ローリーの詩集を出版してくれる会社があるかもしれない。
でもモノが「詩」だから、小説や漫画とちがって、出版してもらったからといって、それで食べていけるとは思えないんだよなあ。小説家や漫画家が「職業」として成立しつづけるために、都会に住む方が有利なのはわかるんだけど、詩人はまず「職業」として成り立ちにくいから、どこに住んでいても大差ない気がする。
作品を売り込むためだけなら、その都度上京すればいいわけだし。受注だけ都会で取って、地方で生産すればいい。
商業的意味のある職種で大成することを「夢」として、上京するのはわかる。
でも、どうあがいたって「職業」として成り立たないだろう分野なのに、「とにかく、夢を追うなら大都会!」という思考回路はどうなの?
わたしには、最後の唐突なローリーの旅立ちが、「夢を追うために大都会へ行く」という、アーティストもののお約束に思えてしまう。
でもソレ、変だから!
わたしはお約束とかワンパターンとか大好きだけど、「詩人」という職種に至っては、変だから!
本当に真摯に「詩を作る」ことを考えているなら、今いる場所でがんばることだと思うのよ。
しかも、ゴールドビーチはこれで完全にハッピーエンドじゃない。高校移転計画がなくなっただけで、街が完全に昔のような輝きを取り戻したわけじゃない。「これから」がんばるためにGBC財団が設立されたわけでしょ。
それらのことを全部投げ出すのは無責任すぎない?
闇雲に都会に行ったって、どーなる職種じゃないのに。ミュージシャンとかじゃないんだから。
なんつーか最後の最後で。
ローリーってやっぱ、どっか抜けてる?
と思えてしまうから、こまるのよう。現実の見えていないおバカさんに見えるのがつらいのよ。
なんで「詩人」なんだろう。
ミュージシャンじゃダメだったのか? 作詞作曲彼がやってます、てことなら、シルヴィアの歌で「在りし日の恋」の再現もOKだし、自主制作CDのために借金を抱えて、ストリートでCD売ってる、ということにしたって、なんの問題もなかったのに。
ミュージシャンなら、最後にNYに旅立ってくれて、なんの問題もないのに。
「詩人」だから、すべてがまぬけになる……。
それとも、わたしが知らないだけで、ミュージシャンも詩人も同じなのかな。
都会へ行けばビッグになれるのかな。
詩集が全米ベストセラーになって、一生生活に困らないとか、そーゆーことがアメリカではふつーにあるのかな。
あ、わかった。
NYには「詩人の会」とかがあるんだわ。詩人のコミュニティがあって、そこで詩人同士切磋琢磨して影響しあっていくのね。
商業的成功とは関係なく、ただいい詩を書くためだけに。昔の文筆家や画家のサロンみたいなとこ。
地方都市にいるから、いい詩を書けない。同志がいないから向上できない。……なんて言っている人は、たとえ都会に出たっていい詩は書けないと思っちゃうのは、わたしが世間知らずだからかな。
ゴールドビーチでローリーの居場所がないくらい、完全になにもかも終わっていれば、旅立つのはアリだと思うけど。「これから」ってことになってるからなあ。しかも、もともと彼が首謀者みたいなもんだし。それを投げ出すのは無責任に映るんだよなあ。
しかも理由が「詩」だとなあ。とほほ。
ゴールドビーチでがんばって生きながら、いい詩を書いていく、とゆーのでは、何故いけなかったのだろう。
そして、イケコが大好きな(笑)インターネットで、ローリーのポエムサイトが口コミで人気になり、超大手企業から詩集を出版するよーになる、とかでもいいだろうに。
そこまで考えず、「アーティストもののお約束」をやりたかっただけに見えるのがかなしい。
そして、タイトルにある「愛を売るのは」云々のこっ恥ずかしい台詞を言わせたかっただけなんだろうなあ、と思えることが。
「詩人」というのが謎だ。
使い方を、微妙にまちがっている気がして。
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