たかちゃんがいちばんきれいに見えたのって、いつだっけ。
 なにしろたかちゃん、お化粧いつも微妙だったからなあ(現在も含む)。

 たかちゃんのお化粧が変わったなと思ったのは、96年の『アリスの招待状』ぐらいからだ。
 そして、この美しさはなにごとっ?! と思ったのが、同年の『晴れた日に永遠が見える』。
 あー、つまり、お化粧名人・高嶺ふぶきと共演しているときだな(笑)。

 『晴れた日…』は最初、観劇予定はなかったんだ。バウだし、チケット持ってないし。
 でも、うっかりキャトレで和央ようかのスチールを見てしまった。
「ええっ? すげーきれい! 生で見てみたい!!」
 わたしと友人のクリスティーナさんは、色めき立った。なまじ、『アリスの招待状』でマイケル@たかこにハマったあとだ。

 サバキ待ちしたなー(笑)。
「エドワード@たかこを生で見る!」が目的。
 なんとか並びで2枚GETしたのが、下手の2列目いちばん端。
 そして、エドワードの出番のほとんどは、上手端。

「遠い。和央ようかが遠いっ」

 目的はたかこだったのに! 目的の人が対角線上にしか立たないってどーゆーことっ?!(笑)

 めちゃくちゃ遠かったけれど、それでも目的だった「美しいたかこ」を見られて満足した。
 『晴れた日…』はベースが現代物で、部分的に時代物になる。スーツ芝居がほとんどであるなか、たかちゃんてばレースひらひら時代物シーンの登場人物。
 そのギャップが素敵だった。
 地味なスーツ芝居に突然降臨するエドワード@たかこ。ふわふわのロングヘア、ひらひらフリフリお衣装。ありえないほど大仰な台詞ともったいつけた演技。エドワードの口癖、「ボクの小鳥ちゃん」はしばらくわたしたちの間で流行ったわ(笑)。
 フィナーレで、スーツ姿の人々の中、ひとりで時代衣装着てロン毛で「王子様の微笑」を浮かべながら手を振っていた姿もツボ。

 とにかく、このあたりのたかちゃんは美しかった。

 わたしは当時、「ヅカ友を増やそう!」キャンペーン中だった。クリスティーナさんは職場友だちで、毎日職場でえんえんヅカ話に興じていたんだが、彼女が転勤の末退職してしまったんだな。
 ヅカ話ができる友だちが欲しい! FCにも入ってない一般ファンがヅカ友を増やす方法といえばただひとつ、友人をヅカにハメるしかない!

 とゆーことで、ヅカ未見の一般人をやたらとムラへ連れて行っていた。
 職場の知人程度の人も引っ張っていった。……迷惑なヤツだったと、今は思う。しかし当時はマジだった。

 『仮面のロマネスク』『嵐が丘』『真夜中のゴースト』……97年の雪組作品には、いろんな人を連れて行ったわ。
 わたしはいちおートドファンだったし、トドロキは素顔が美しいので一般人に「美人でしょ?」と写真を見せやすかった。「こんな美人が男役をやっているのよ。タカラヅカって一度見てみない?」と、誘いやすかったのだわ。

 そーやって連れて行った一般人が。

 みーんなそろってたかこに堕ちていくのはなにごとっ?!

 トドのカオは、みんな一発で覚えるらしい。声にも特徴あるし。最初に「アレがトドロキよ」と教えればなんとかなる。
 ひとりだけでも顔の見分けがつき、かつ覚えていられれば、ヅカ初観劇としては上出来だよね。
「トドロキさんはわかる。……ところで、あの人は誰?」
 みんな、そろってそう言う。
 ああ、あの背の高い人? あれは和央ようか。
「ねえ、さっき髪をかきあげながら踊っていた人は誰?」
 だから、ソレが和央ようか。
「さっきトドロキさんの左側にいた人は誰?」
 だから、ソレが和央ようかだってば。

 なんでみんな、たかこのことしか聞かないの?!

 わたしの友人たちだけじゃない。
 大劇場をあとにするときの、人々のざわめきに耳を澄ませば聞こえてくる。
「あの髪の長い人、かっこいい」
「あの人だけ見分けついた」
「和央ようかっていうのね」
「たかこって、あんなにかっこよかったっけ?」
 当時の雪組で、長い髪をかきあげながら踊っていたのは、たかこだけ。
 「髪をかきあげていた人」という表現がやたら耳についたよ。ジェンヌの名前も知らないよーな人たちが、観劇後にまず口にするのがたかこのことだったんだよ。

 風が来ている。
 たかこに向かって、吹いている。
 それを肌で感じたころだった。

 『嵐が丘』の発売日、三番街プレイガイドに並んだとき、震撼したなあ。
 ポスターが、ひとり写りだ! って。『嵐が丘』ってタイトルなら、ヒロインが写っていそうなもんじゃないか。なのに、ひとりだったからさ。すげえやすげえや、と、ひとりで興奮したおぼえあり(笑)。
 当時のバウのちらしは貴重品でなあ。並んだ人がひとり1枚ずつしかもらえなかったんだよ。もちろん、完売しないよーな作品は、発売当日なら手に入ったけど、ふつーは発売座席数しか印刷してなかったんじゃないかってなレア度だった。一般人にはな。
 たかちゃんファンのわたしは、並び協力してくれた友だち(もちろん非ヅカファン。……ヅカ友ほとんどいなかったからさー)から、その貴重なちらしを回収し、大事に持って帰ったよ(笑)。

 『嵐が丘』は何回観たんだったっけな。千秋楽まで行ったよなあ。
 「役に入り込むんで」と、たかちゃんはカーテンコールのときまで笑顔ナシだった。
 目を見開いたまま壮絶な最期を遂げ、フィナーレなしでそのまま挨拶。たかちゃんはずっとこわい顔のままだった。『晴れた日…』のときとは、好対照。
 その不器用さも、好きだった。

 『嵐が丘』は脚本に物言いたいこともいろいろあるが、キャストは好評だったよね。ヅカ初見の人たちにも誉めてもらえて、気分よかった。
 とくにたかちゃん。初心者へのウケの良さといったら、もう。

 高嶺くんがいたころ、たかちゃんのお化粧は最高峰に美しかったからなあ(笑)。
 それが宙組に行って数作も保たずに、もとの微妙な化粧になり、途中でちょっと持ち直し、よくなったり悪くなったりを繰り返して現在に至る。

 あと、わたしはたかちゃんのパーソナルカレンダー、第一弾のときからずーっと、一度も欠かすことなく買っているけど、たかちゃんって、カレンダー撮影のとき必ず、最高峰に顔が丸いんだよね(笑)。
 まあ、最近はトシの加減でそれほどでもなくなってきたけどさー。最初のうちは、もお(笑)。よりによっていちばん丸々したときの写真を、1年見なければならない、つーのはねー。あと写真も、毎年理解に苦しむセンスだったし。
 そーゆーどんくさい持ち味も、好きだったなー。

 最近でいちばん美しかったのは、文句なしで『BOXMAN』のとき。
 ありゃーひさしぶりに、「ビジュアル系」としてのたかこを堪能した。

 『ファントム』や『炎にくちづけを』は正直微妙だと思っている。お化粧はね。
 でもたかちゃん、カオはともかく、姿の美しさは群を抜いてるから!
 仮面でカオが半分見えなくても、ズタ袋みたいな衣装を着ていても、それでも、和央ようかは美しいから。

 いつだって、その美しさを信じている。
 その美しさを、必要としている。

 わたしも。
 そして、タカラヅカも。
 たかちゃんに会いたいよ。


コメント

日記内を検索