せんどーさん目当てで行った、吉本新喜劇『金の卵ライブVol.2』の話、その2。

 前もってオーディション番組を見ていたので、他の出演者たちにもなんとなく馴染みがあった。
 あー、いたいた、そんな感じで見ることが出来たよ。

 群を抜いてうまい! と思ったのが、老人役の人。
 小劇団出身ということで、なんの違和感もなく彼の「舞台」を観ることが出来る。
 目が飛び出る特技、マジこわいんですけど(笑)。

 あと個人的に、メイド役の子が好きだなあ。
 しゃきしゃきした動きと喋りが快感。おとなしい演技も、はじけている演技も好み。
 てゆーか、足蹴りが好き。
 亭主役の人をドアの向こうへ押しやるときの足がね。なんかね。好き(笑)。

 
 わたしは誘われるままにこのライヴを観に来てしまったので、これがほんとのところどーゆーものかもわかってなかった。
 最後の挨拶を観て、「あれ? 今日初日かと思ってたけど、千秋楽だったのかな?」と思ったので、サトちゃんに聞いてみた。
「1回限り。いわば、新公ですよ」
 という返事。
 新公。
 そーだったのか!
 たった1回限りの舞台、そのためだけに練習してきたんだ。
 ……1回限りなのに、わたしみたいなのが最前列買えたの……? てっきり何回もあるから、チケット余ってるんだと思ってたよ……。

 客席もまさに「新公」って感じで。
 わたし、以前アマチュアの映画祭に行ったことあるんだけど、客席が見事に「関係者ばかり」だったのよね。その映画の関係者でなくても、演劇関係者とか業界の人とかばかりで。純粋に映画を見に来た一般人って、わたしの他にいるんだろうか……と焦った記憶が。客席、ガラガラだったし。いる人みんな、知り合い率高いようだし。
 今回の客席は、前売り状況からすればびっくりするくらいふつーに埋まっていたし、ふつーのお笑いファンも来ていたんだろうけど、やっぱ関係者率も高いようで。耳に入る話し声から推察して、「あー、ほんとに新公なんだー」って感じ。

 終演後の挨拶は、いかにも「新公」で、たのしいけれどわたし的にはちょっとNG(笑)。
 というのも、彼らの「必死さ」「余裕のなさ」がそのまま出てしまって、引いちゃったからだ。
 必死なのはわかる。
 余裕がないのもわかる。
 でもさ。
 君ら、プロなんだろ?
 プロとしてここにいるんだろ?
 たとえ終演後の「素の顔でご挨拶」だとしても、最低限の「演技」は必要だと思う。……わたしは。
 一部の出演者が、あまりに必死なので、わたしは「こわい」と思ってしまった。
 こんなにナーバスな人には、とても話しかけられない。ロビーで出演者が客を見送るのはお約束だけど、そこで客が出演者に声を掛けることも激励することもできるけど、こんな挨拶されちゃ、とてもできないよー。
 芸に対して、舞台に対して、真剣なのは素晴らしいと思う。
 でもそれは舞台だけにしてくれ。稽古場だけにしてくれ。客に対して、そのナーバスさを見せつけないでくれ。
 自分の居場所に固執するのは当然のことだけど、それを見ている者に押しつけないでよー。頼むよー。
 ちょっと引いた(笑)。

 でも、引きながらも、そーゆー「未成熟さ」を愛しいとも思うんだよ。
 がんばってくれ。
 心から思う。

 
 新公であるだけに、彼らを見守るのはたのしそうだ。
 こんなふうに「ふつーの小劇団の芝居」なら、お笑いが苦手なわたしでもたのしめる。
 ……そのうち、わたしの苦手なお笑いの地平へ羽ばたいていくのかな。

 でもきっと、「ライヴである」というのも大きいと思う。
 わたしは吉本が肌に合わないのだけど、それは多分に「テレビで見ている」せいもあると思う。
 ライヴを中継で見たって、ほんとうのよさはわからない。それは、どのジャンルでもそうだと思う。
 ベタベタの吉本も、生ならばたのしいのかもしれない。
 客席の空気とか、大きいもの。

 
 毛嫌いしていた吉本。
 されど、わたしの最初の吉本体験は、こーして幸福に終わった。

 
 ところでせんどーさん。
 吉本の公式プロフィール、ヅカ時代と、身長がずいぶんちがいますけど?
 4cmもサバよんでたんや……(笑)。


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