『2001』を観たときに思った。
 オスカル……そんなにフェルゼンを好きなら、押し倒しちゃえよ。君なら、絶対勝てるって!

 『2001』の、ミズカル。あまりにオカマで、嘘くさい女っぷりで、そう思ったんだ。
 フェルゼンを好きなら、ヤッちゃえよ。力尽くでモノにしちまえ。お人形のようなたかこフェルゼンなんか、ちょろいって。

 あれから5年。
 同じことを、思った。

 オスカル……そんなにフェルゼンを好きなら、押し倒しちゃえよ。君なら、絶対勝てるって!

 ミズカルではございません。
 ユヒカル、君は何故にそれほど男らしい?

 ゆーひくんが、男にしか見えません。
 いつものゆーひくんです。若干声は高めだけど、それだけ。

 ゆーひくん……オスカルが女だって、知ってる?

 『ベルサイユのばら−フェルゼンとマリー・アントワネット編−』オスカル役替わりコンプ、最後のひとりは我らがゆーひくん。『ベルばら』に懸ける金も時間も惜しいので、観劇はオスカル各1回ずつ、ゆーひくんの場合は本日千秋楽を観劇。
 だからもう彼は、すでに10日間ほどオスカルを演じてきたわけです。
 10日もやってきて、コレか……。

 美貌だがクールで男らしいコムカル、正統派の男装の麗人カシカル、いたいけな少年テイスト・キリカル、キャリアウーマン・ミズカルときて、トリを飾るユヒカルは、ホモの美青年でした。

 ははははは。
 ツボ入った。
 入りましたよ。
 オスカルが男だー。ついでに、ホモだー(笑)。

 ゆうひくんの演技力について、以前からかなりやばいものを感じていたんだけど、このオスカル役でよーっくわかった。ゆーひくんやっぱり、演技はそうとうアレだったんだね(笑)。
 持ち味だけでやってしまえる役ならボロは出ないし、長年やってきたこともあり男役としてならなんとかなる。『長い春』のフローレンスのよーな「イメージ誇大系」のわざとらしい女役も、なんとかなる。
 しかし、「女だけど男の格好をして、男社会で働き、そのへんの男より男らしいけれど、実はものすごく女らしい女」@植爺作オスカル、という、ややこしい役は、引き出しにないんだ。表現できないんだ。

 フローレンスのときのように、曲線を強調した姿でもないし、女言葉でもない。軍服にマント、言葉も所作も大仰。それで「女だけど男」「男だけど女」を表現できる技術は、ゆーひくんにはなかった。

 そこにいるのは、いつもの「男役・大空祐飛」だった。男装の麗人オスカルぢゃない。
 オスカルという名の、男の人。フェルゼンという男に道ならぬ恋をして、「男同士だから……」とその恋を封印し、幼なじみのアンドレという男に「ホモでもいいじゃないか、愛はすべての隔たりを超えられる」ということを教わり、彼と結ばれる……。

 すげー。
 男同士の恋愛モノだー。

 ユヒカルってば、体格よすぎ。女ぢゃないってアレ(笑)。
 ワタルゼン相手でも、「攻か。攻なのかオマエ(笑)」って感じだし。
 ワタルゼンの貞操の心配しちゃったわー。なにしろベルサイユのフェルゼン邸はメルシー伯爵が簡単に忍び込めるくらい、警備はカスカスでしょ? ユヒカルがその気になれば簡単に夜這いできちゃうよ?
 まあねえ、突然現れたユヒカルにベッドに押し倒され、驚愕の表情を浮かべるワタルゼンつーのも、見てみたい気はするけどさー。あー、悲鳴とかも聞いてみたいですねえ。ワタルゼンいい人だから、友だちのユヒカルを本気で殴れなくて、躊躇しているウチに押さえ込まれちゃうのね。そしたらもー、ユヒカル強いし、そのまま禁断の世界へまっしぐらね。
 『ベルサイユの薔薇−オスカルとフェルゼン編−』……薔薇、が漢字なのがポイントね。

 ワタルゼンでもアレなのに、トウドレが相手だと、もお。
 トウドレ、可憐です!
 どーしよー、もー。
 トウドレ、芸風はおやぢなんだげど、姿がめちゃくちゃ可憐でさ。なんせ隣に立つユヒカルがゴツいから。
 うわー、相乗効果。トウドレの小ささ、華奢さが強調されてる。ユヒカルのでかさ骨格の力強さ、なにより肩幅の広さが強調されてるよ。

 オスカル役替わり全部見てきて、いや、平成元年から生で『ベルばら』体験してきて、はじめて、「今宵一夜」で吹き出した。

 縮尺まちがってます!
 オスカルでかいよオスカル!

 「今宵一夜」の場面、オスカルとアンドレは決して立って並ばない。ものすげー気を遣って、オスカルは坐っているか膝立ちするかになっている。
 それで、今まではなんとか誤魔化されてきた。でかいな、と思ったのはカシカルのみで、それもカシカルが女らしかったので帳消しになった。
 しかし。

 ゆーひほどでかいと、誤魔化しきれない。

 身長だけの問題じゃない。骨格だとか、姿全体で、でかいんだ。

 坐っていてさえ、でかいことがわかる。また、わざとらしい女坐りとかしちゃうもんだから、「女の仕草をわざとしている男」ってことで、違和感の分さらにでかく見える。

 そのでかいオスカルが、小さくて可憐なアンドレに、わけわかんない台詞@植爺クオリティをがなりたてながらしがみついた日にゃあ。

 すげーおもしろかった、「今宵一夜」。

 笑えたー。

 ホモのラヴシーンめいていて、素敵。
 だもんで、翌日の「戦闘が終わったら、結婚式だ」の台詞に、ウェディングドレスを着るのはどっち? と、ナチュラルに思っちゃった。

 ドレスなあ。やっぱトウドレが着るのかな。似合うだろうな。

 つーことで『ベルサイユの薔薇−オスカルとアンドレ編−』……薔薇、が漢字なのがポイントね。

 あと、「オスカル・ストッパー」のベルナールが、取り乱すオスカルを抱き留めるところ。

 ゆーひくん、脚なげー! と、しみじみ思いました。

 だってしいちゃん、胴を抱き留めるはずが、お尻抱いてるよ。脚が長い分、胴の位置が高いから、ふつーに抱きしめたらお尻を抱いちゃうのね。
 尻ぢゃいかん、と思い直すのか、角度を変えるときに改めて胴に腕を回してみたり、しいちゃんもがんばってる(笑)。

 バスティーユはふつーにかっこいいし。
 オスカルがかっこいい、のではなく、大空祐飛がかっこいい。ふつーに、男役として。

 ああ……いいなあ、ユヒカル。

 ゆーひくんの技術じゃあ、植田芝居もオスカルも無理だったのねー。そーゆーとこも、愛しいわ。

 温度が低いのも、うまく見えない一端なんだろうな。高温な人は、多少難があっても、発熱することで誤魔化しちゃうから。
 ゆーひくん、やっぱり基礎舞台温度、低い……(コムちゃんほどクールでもない)。

 それもあってか、やっぱり人を愛する演技、下手だね(笑)。
 持ち味が低温だと、難しいよねええ。

 いいのよ。ゆーひくんは、ゆーひくんだけの魅力があるんだから。
 演技は相性だ。
 下手でも大根でも、相性さえよければ感情移入して見られる。わたしはゆーひくんとは相性がいいので、「ひょっとして、ゆーひくんの演技力って相当やばいんじゃ?」とか思いつつも、ぜんぜん平気で見てこられた。
 ぶっちゃけ、あの美しい姿を見ているだけで、気持ちいいので、その他のことは無問題だったりするんだ(笑)。

 植田芝居とオスカルがダメなだけで、月組では浮いてないんだから、「男役・大空祐飛」としての演技はできるんだから、ぜんぜん平気だよね?

 千秋楽の挨拶で、ワタさんがゆーひくんのことを「儚げなオスカル」とかなんとか言っていたけど、女じゃなく、男として「儚げ」って意味だよな? 悩めるホモ美青年だからだよな?(笑) ルドルフ@エリザベートが「儚げ」なのと同じ意味だよな?

 男にしか見えない、罰ゲームでもやらされているよーなオスカル姿が、愛しかったです。

 
 そして、最後のお楽しみの「小雨降る径」は……やっぱり感想は肩幅すげーなー。だったりする(笑)。

 ガイジン美女みたいな体格だ。迫力。
 きれいだけれど、硬質。そして、色気、なし。
 男役やってるときの方が色っぽいよなー。

 そんでもって、なんつっても、胸の谷間。

 男役やってても、谷間だとか丘だとか見せてくれる気前のイイゆーひくんだもんな。女役ならそりゃ見せてくれるよなっ。

 きりやんとゆーひは胸アリで、コム、かしげ、水はナシか……月組と雪組の差が、こんなところに。

 
 『ベルばら』は祭りだ。
 オスカル役替わりフルコンプ、完遂。


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