春野寿美礼は、ほんとーにダメな人だなあ。と思う。

 雪組『ベルサイユのばら−オスカル編−』特別出演アンドレ役を見て。

 
 他に書きたいこと、書くべきことが溜まっているが、明日(新公日のことだな)ミズドレを観に行ってしまうんで、先にオサドレの話を書いておく。
 カシドレは千秋楽を観劇予定。『ベルばら』なんぞ最低回数に抑えたいので、役替わりは1回しか観ない。楽を取っちゃったから、かしちゃん見るのは我慢我慢。
 ……そーいやアサドレだけチケ取りするの忘れてたんだけど、見られるのかしら。

 
 今回の『ベルばら』祭りにおいて、いちばん注目したことが、なにを隠そうこのオサ様アンドレだ。最初に発表されたときから、「絶対見る」と決めていた。『ベルばら』に絶望し、しばらくムラに近寄らなくなったとしても、新公とオサドレだけは見ようと決めていた。
 もちろんそれは、わたしがオサファンだっつーのもある。ある、が。

 これほどおもしろい組み合わせがあるか? ……ネタとして。

 オスカルは、クールいちばんのコム姫だ。ひとを愛する演技は苦手。……とゆーか、そもそもそんな演技をする気があるのかどうかすら、よくわからないひょうひょうとした人。
 それに対するアンドレが、ナルシスト自分うっとりのオサ様だよ?
 これほどやばい芸風のふたりが「今宵一夜」やるの?

 90周年大運動会のとき、賞を取ったのはふたりなのに、コム姫はひとりでとっとと表彰されてしまった。他の人たちはみんな、ふたりそろって表彰台に上がっていたのに。置き去りにされたのは、寿美礼ちゃん。……同期なのに、この揃わなさはナニ?(笑)なふたり。
 ナチュラルに息が合わなさそうなマイペースな色男ふたりで、世紀の恋人たちをやりますか。
 ……劇団、ほんとなにも考えてないな(笑)。

 組み合わせを聞くだけで「ぜってー観てぇ(笑)」と思わせる、無謀なキャスティング。
 チケ取りするときも、「友会入力、他の日付は全部B席でいいから、オサドレの日だけはSSで!」と言い(自分も友人たちもみんなはずれました)、一般発売日は「チェリさん、一緒にオサドレ観ようねっ」と騒ぎ……(土壇場で、「やっぱオサ様より水くんが前で観たい」とミズドレ最前列を買う)。
 ちょっと空回りましたが(笑)、最初からすげー気合い入れてチケ取りに臨みましたよ。

 ああ、そして。

 
 期待を裏切らない、ダメっぷり!!

 
「オサドレはどうでしたか?」
 という質問に、胸を張って答えられる。

「アンドレのコスプレをした“春野寿美礼”が、たのしそーに朗々と歌っていたわ」

 わはははは。

 アレ、アンドレぢゃないです。
 アレは、「春野寿美礼」です。

 寿美礼ちゃん、演技する気、ないだろ(笑)。
 イベントだもんな。TCAと同じだよな。

 オサ様、なんかこー、たのしそうでねえ。
 特出はじめてで、お客様扱いで、軍服でマントで、すっげーたのしそう。
 てか、笑いすぎだから。
 アンドレがんなにニタニタしてんぢゃないわよぅ。

 そこにいるのは、「春野寿美礼」。アンドレぢゃない。
 星『ベルばら』に出た各組2番手さんたちは、それぞれ工夫して、個性を出して、本気で役替わりに取り組んでいたのに。オスカルになりきろうとしていたのに。
 雪『ベルばら』特出アンドレ、トップバッターのワタさんだって、フェルゼンより向いてるとはいえ、真面目に役に取り組んでいたのに。
 ……オサ様と来たら……。

 オサ様がハナからアンドレやっていない横で。コム姫がまた、オサドレに合わす気なんかさらっさらなく、「まちがったオスカル像」のままマイペースに快走しているし。

 なんなんですか、この『ベルばら』。

 脚本もひどいうえに、主役ふたりがさらにバラバラ。
 どこへ行くんだ、『ベルサイユのばら』。

 面白すぎる。

 「愛」も「温度」もない「今宵一夜」に爆笑し、双方見つめあうことのほとんどない「ガラスの馬車」に爆笑しました。

 そしてすばらしいのが、フィナーレ。
 性別不詳の美しい生き物コム姫と、特出トップスターが絡んで踊る大階段ダンスで。

 コム姫とオサ様が、互いに関係なく自在に踊っていた姿に、心奮えました。

 オサ様は、「オレ様No.1、オレ様トップスター」って感じだし、コム姫は、「我関知せず」って感じだし。

 すごーい。相手役じゃないんだー。
 トップスターがふたり、なんだー。

 変だなあ、ワタさんのときはちゃんと、相手役だったのになー。ふたりで踊ってるよーに見えたのになー。

 
 ほんとにねぇ。
 オサちゃんってほんと、ダメだよなあ。
 なんでそう、ナルシー一直線なんだろう。演技しようよ。合わせようよ。オスカルが主役で、アンドレはその相手役なんだからさ。

 でもさ。

 わたし、星『ベルばら』のキリカル見たときに、「『ベルばら』って、歌のうまさはあまり関係ないんだな。それよりも、はったりを利かせられるかの方が意味が大きいんだ」と思ったんだ。
 ワタさんの歌も、きりやんの歌も、それほど差がないよーに思えてしまったから。きりやんはこーゆー大仰な歌より、ミュージカルナンバーの方がうまいよな、とか。

 それ、撤回する。

 オサ様の歌聴いて、「歌のうまさ、関係ある!」って思った。
 てゆーか、すごかった。

 響き渡る、美声。

 う・わー。
 『ベルばら』ソングなのに。大仰で古くさくてハッタリ命の曲なのに。

 オサ様が歌うと、こんなに心地いいの?!

 銀橋を歩きながらたのしそーに朗々と歌う、それはまちがいなく「アンドレ」ではなく、ただの「春野寿美礼」で。
 この人、ここにナニしに来てんだろう、とアタマを抱えたくなるくらい、場をぶち壊していて。

 なのに。
 ああなのに。

 なのに、素敵すぎる。

 アンドレとは関係ない、「春野寿美礼」の笑顔に、めちゃくちゃ癒される。

 
 春野寿美礼は、ほんとーにダメな人だなあ。と思う。

 でも。
 それと同時に。
 それ以上に。

 ほんとーに、どうしようもなく、魅力的な人だなあ。と思う。

 ああ、もお。
 大好きだ。


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