彼女は、甘くない。@ゆらさんとわたし。
2006年6月19日 タカラヅカ わたしが「夏河ゆら」と最初に出会ったのは、友人の言葉からだった。
「こあらちゃん、タカラヅカ好きなの? じゃあ夏河ゆらって知ってる?」
知らない。何組の人? 男役? 娘役? わたし、雪組しか見てないから、他の組だったらまったくわかんない。
「月組の娘役。まだ下の方だと思うけど、私の友だちなの、見てあげてね」
わかった。じゃあ今度はじめて月組を観に行くんで、そのときがんばって探すね。
つーことでわたしの「夏河ゆら」体験は、まずは「名前」、次はプログラムの「写真」だった。
おおっ、美人さんだー! とよろこんだおぼえがある。よろこぶのも変だが、やっぱ美人さんだとうれしい。
でも実際の「舞台」での出会いは……いつだったろう?
最初に張り切って観に行ったときは、まーったくわかんなかった。
とーぜんだわな。
ヅカ初心者がはじめて観に行って、脇の下級生娘役まで見分けつくかっつーの。日本物だったからお化粧もチガウし。トップコンビと天海祐希ぐらいしか区別つかなかったわ。(ちなみに、天海3番手。2番手は印象に残らなかった……初心者っすから!)
金も時間もなかったわたしは、雪組以外ほとんど観に行くことがなかったので、「夏河ゆら」という人は、いつまで経っても「写真」だけの人だった。
「ゆらちゃんをよろしくね」と言った友人は、大のタカラヅカ嫌いだったので、決して一緒に「ゆらちゃんを見に行こう」てなことにはならなかった。
彼女は親が劇団関係者だったがゆえに「すみれの花園の裏側」を知っており、そのせいで「嫌い」なのだから、どーしよーもない。
「こあらちゃん、裏のことなんて知らない方がいいよ、幻滅するだけだから」
という言葉を、ヅカ初心者なわたしは素直に信じ、「うん、わたしもそーゆーの興味ないし、聞きたくないからいいー」と言って、ひとりで勝手に機嫌良く劇場に通っていた。
おかげで、「ゆらちゃん」がわからない。
友だちの幼なじみ、ゆらちゃんてのはどの子だーっ。
「舞台」での夏河ゆらと、友だちが言っていた「ゆらちゃん」がイコールになったときは、衝撃だった。
気づいたのは、最初に月組を観に行ったときから何年もあとだ。
誰だかわかんないままに観ていた『チェーザレ・ボルジア』の女領主カテリーナがその「ゆらちゃん」だと気づいたとき。
あれかーっ!!
と、なんか、ひとりで衝撃を受けていた。
なんつーかね、思いこみ、つーのがあってだね。
わたしの友人は、すげーかわいいこだったんですよ。可憐で小柄でマシュマロみたいなスウィートちゃんだったんですよ。舞台の上の娘役より娘役っぽいっていうか、「いいおうちで育ったんだろうな」と思わせる上品なお嬢様だったんですよ。お嬢様の常なのか、とっとと嫁に行ってしまい、そののちなんとなく親交も途絶えてしまいましたが。
そのマシュマロちゃんが「友だちのゆらちゃんをよろしくね(小首をかしげてにっこり)」とかゆーもんだから、「ゆらちゃん」もとびきりスウィートなふわふわかわいこちゃんだと思い込んでいたんですよ!!
や、友人のタイプと舞台人夏河ゆらはなんの関係もないけど。友だちだからって似てるとは限らないし、舞台の上とオフは別だし。
なのにわたしは、無意識に思っていたの。探していたの。
友人のマシュマロちゃんみたいな「夏河ゆら」を。
…………見つかるわけないじゃん。
「あれが夏河ゆら」だとわかると、思い当たる節がいろいろあった。
あー、あのときアレやってた人、アレもゆらちゃんだ……あ、あの役も今思えばゆらちゃんじゃん……。
以来、夏河ゆら氏は、「ハートブレイクなヒト」として、わたしの胸に刻まれておりました。
衝撃受けたのはわたしの勝手なんだが。それはわかっているんだが。
だってさ。
とびきりあまーい「みるくここあ」だと思って飲んだら、とびきり強烈な「ブラックコーヒー」だったみたいな、口押さえてそのへん走り回りそうになるよーな感じの出会いだったのよ(笑)。
個性派女優夏河ゆら、怪進撃中。
ハートブレイクなあなた、ゆらちゃん。
ゆらちゃんを見るたび、マシュマロちゃんのかわいい無垢な笑顔と、「アレが夏河ゆら」とわかったときの衝撃を思い返す。
マシュマロちゃんとはもう年賀状だけのつきあいになってしまったけれど、ゆらちゃんだけはずーっとそこにいてくれる。
マシュマロちゃんは名字が変わって、なんか別の人みたいになっちゃったけど、ゆらちゃんは同じ名前でずーっとそこにいてくれる。
それがうれしい。
変わり続けるこの世界で、流れの速すぎるこの現代で、変わらずにあるモノ。
それが、うれしい。
ずっといてくれると思っていたから、「変わらないモノ」であって欲しいと思っていたから、退団発表は寂しかった。
寿退団だと聞き、納得しつつもおどろいた(笑)。
エンターティナーゆらさん。
いつも「やりすぎ」ってくらい、やってくれた。
わたしのお気に入り席(笑)である下手最前列にいるとき、ゆらさんがそばに来るとうれしかった。サービス満点、目線も笑顔も雨あられ。てゆーかこわい(失礼な)。
見ていると、見つめ返してくれる、その心配りがうれしかった。
ゆらさんの挨拶が好きで、初日・千秋楽のたのしみのひとつだったな。原稿を読むのではなく、ちゃんと前を向いて話してくれる、よどみのない声。
あと、友だちに言われるまで気づかなかったけれど、ゆらさんは専科生を紹介するとき、自分より上でも下でも等しく「さん付け」で呼んでいたっけ。
タカラヅカは不思議なところで、上級生は「さん付け」するけど下級生は呼び捨て。「専科のお二方から多大なお力を……」とか言いながら、ひとりは「さん付け」でひとりは呼び捨て。そーゆーおかしなことをゆらさんはしないのだ、と。
……コレ最近は、そーでもなかったよーな気がする。途中で方針変えた?
でも、友人から言われてから最初に気をつけて聞いていたとき、「あっ、すげー」と感心したなー。下級生を「さん付け」してるー、と。
ゆらさんときちんとお別れするために、星『コパ』楽を捨ててムラへ行った。
やっぱり夏河ゆらは、変わらぬハートブレイカーぶりを発揮していたよ。
ええ、濃いってばよ!(笑)
芝居のノリノリコーラスも、ショーのアダルトでパワフルなダンスも好き。
とくに、トドと踊るタンゴは絶品。
くぁあーっ、かーっこいいっ!!
大人の女っていいなっ。
トシ取るのは悪いことだけじゃない。そう思わせてくれる、大人の女。大人のカップル。
袴姿での挨拶に泣き、そのくせ、トドが挨拶している後ろでの顔芸に笑わせてもらい……最後まで「夏河ゆら」であり続けてくれた。
ケロファンにとっては大切な娘役ちゃんであるたまこちゃんの最後も愛しく見守り、しあわせな千秋楽が終わる。
退団者はみんなきれいだ。
すがすがしく、瑞々しく、きれいだ。
彼女たちの未来が明るいことを、心から祈る。
こっそり人混みの後ろから、出のお見送りをした。
たまこちゃんはかわいく美しく去っていったのだけど。
ゆら姐は。
濃かった。
袴姿で花を持って、なのにぴょんぴょん飛び跳ねていた。
顔芸もしこたまやっていった。
最後の最後まで、「夏河ゆら」。
あれほど見送る人が爆笑する袴姿の楽屋出もめずらしいのではないか。
みんな声に出して笑って、ゆらさんの乗る車(ゆらさん、自分でドア開けるんだもんよ、周囲の人があわててたぞ・笑)が行ってしまったあとで、一斉にハンカチ出していた。
別の会服着た人たちなのにね。みんな笑って、みんな泣くんだね。
笑って、泣いて。
そーやってタカラヅカは回っていく。
「こあらちゃん、タカラヅカ好きなの? じゃあ夏河ゆらって知ってる?」
知らない。何組の人? 男役? 娘役? わたし、雪組しか見てないから、他の組だったらまったくわかんない。
「月組の娘役。まだ下の方だと思うけど、私の友だちなの、見てあげてね」
わかった。じゃあ今度はじめて月組を観に行くんで、そのときがんばって探すね。
つーことでわたしの「夏河ゆら」体験は、まずは「名前」、次はプログラムの「写真」だった。
おおっ、美人さんだー! とよろこんだおぼえがある。よろこぶのも変だが、やっぱ美人さんだとうれしい。
でも実際の「舞台」での出会いは……いつだったろう?
最初に張り切って観に行ったときは、まーったくわかんなかった。
とーぜんだわな。
ヅカ初心者がはじめて観に行って、脇の下級生娘役まで見分けつくかっつーの。日本物だったからお化粧もチガウし。トップコンビと天海祐希ぐらいしか区別つかなかったわ。(ちなみに、天海3番手。2番手は印象に残らなかった……初心者っすから!)
金も時間もなかったわたしは、雪組以外ほとんど観に行くことがなかったので、「夏河ゆら」という人は、いつまで経っても「写真」だけの人だった。
「ゆらちゃんをよろしくね」と言った友人は、大のタカラヅカ嫌いだったので、決して一緒に「ゆらちゃんを見に行こう」てなことにはならなかった。
彼女は親が劇団関係者だったがゆえに「すみれの花園の裏側」を知っており、そのせいで「嫌い」なのだから、どーしよーもない。
「こあらちゃん、裏のことなんて知らない方がいいよ、幻滅するだけだから」
という言葉を、ヅカ初心者なわたしは素直に信じ、「うん、わたしもそーゆーの興味ないし、聞きたくないからいいー」と言って、ひとりで勝手に機嫌良く劇場に通っていた。
おかげで、「ゆらちゃん」がわからない。
友だちの幼なじみ、ゆらちゃんてのはどの子だーっ。
「舞台」での夏河ゆらと、友だちが言っていた「ゆらちゃん」がイコールになったときは、衝撃だった。
気づいたのは、最初に月組を観に行ったときから何年もあとだ。
誰だかわかんないままに観ていた『チェーザレ・ボルジア』の女領主カテリーナがその「ゆらちゃん」だと気づいたとき。
あれかーっ!!
と、なんか、ひとりで衝撃を受けていた。
なんつーかね、思いこみ、つーのがあってだね。
わたしの友人は、すげーかわいいこだったんですよ。可憐で小柄でマシュマロみたいなスウィートちゃんだったんですよ。舞台の上の娘役より娘役っぽいっていうか、「いいおうちで育ったんだろうな」と思わせる上品なお嬢様だったんですよ。お嬢様の常なのか、とっとと嫁に行ってしまい、そののちなんとなく親交も途絶えてしまいましたが。
そのマシュマロちゃんが「友だちのゆらちゃんをよろしくね(小首をかしげてにっこり)」とかゆーもんだから、「ゆらちゃん」もとびきりスウィートなふわふわかわいこちゃんだと思い込んでいたんですよ!!
や、友人のタイプと舞台人夏河ゆらはなんの関係もないけど。友だちだからって似てるとは限らないし、舞台の上とオフは別だし。
なのにわたしは、無意識に思っていたの。探していたの。
友人のマシュマロちゃんみたいな「夏河ゆら」を。
…………見つかるわけないじゃん。
「あれが夏河ゆら」だとわかると、思い当たる節がいろいろあった。
あー、あのときアレやってた人、アレもゆらちゃんだ……あ、あの役も今思えばゆらちゃんじゃん……。
以来、夏河ゆら氏は、「ハートブレイクなヒト」として、わたしの胸に刻まれておりました。
衝撃受けたのはわたしの勝手なんだが。それはわかっているんだが。
だってさ。
とびきりあまーい「みるくここあ」だと思って飲んだら、とびきり強烈な「ブラックコーヒー」だったみたいな、口押さえてそのへん走り回りそうになるよーな感じの出会いだったのよ(笑)。
個性派女優夏河ゆら、怪進撃中。
ハートブレイクなあなた、ゆらちゃん。
ゆらちゃんを見るたび、マシュマロちゃんのかわいい無垢な笑顔と、「アレが夏河ゆら」とわかったときの衝撃を思い返す。
マシュマロちゃんとはもう年賀状だけのつきあいになってしまったけれど、ゆらちゃんだけはずーっとそこにいてくれる。
マシュマロちゃんは名字が変わって、なんか別の人みたいになっちゃったけど、ゆらちゃんは同じ名前でずーっとそこにいてくれる。
それがうれしい。
変わり続けるこの世界で、流れの速すぎるこの現代で、変わらずにあるモノ。
それが、うれしい。
ずっといてくれると思っていたから、「変わらないモノ」であって欲しいと思っていたから、退団発表は寂しかった。
寿退団だと聞き、納得しつつもおどろいた(笑)。
エンターティナーゆらさん。
いつも「やりすぎ」ってくらい、やってくれた。
わたしのお気に入り席(笑)である下手最前列にいるとき、ゆらさんがそばに来るとうれしかった。サービス満点、目線も笑顔も雨あられ。てゆーかこわい(失礼な)。
見ていると、見つめ返してくれる、その心配りがうれしかった。
ゆらさんの挨拶が好きで、初日・千秋楽のたのしみのひとつだったな。原稿を読むのではなく、ちゃんと前を向いて話してくれる、よどみのない声。
あと、友だちに言われるまで気づかなかったけれど、ゆらさんは専科生を紹介するとき、自分より上でも下でも等しく「さん付け」で呼んでいたっけ。
タカラヅカは不思議なところで、上級生は「さん付け」するけど下級生は呼び捨て。「専科のお二方から多大なお力を……」とか言いながら、ひとりは「さん付け」でひとりは呼び捨て。そーゆーおかしなことをゆらさんはしないのだ、と。
……コレ最近は、そーでもなかったよーな気がする。途中で方針変えた?
でも、友人から言われてから最初に気をつけて聞いていたとき、「あっ、すげー」と感心したなー。下級生を「さん付け」してるー、と。
ゆらさんときちんとお別れするために、星『コパ』楽を捨ててムラへ行った。
やっぱり夏河ゆらは、変わらぬハートブレイカーぶりを発揮していたよ。
ええ、濃いってばよ!(笑)
芝居のノリノリコーラスも、ショーのアダルトでパワフルなダンスも好き。
とくに、トドと踊るタンゴは絶品。
くぁあーっ、かーっこいいっ!!
大人の女っていいなっ。
トシ取るのは悪いことだけじゃない。そう思わせてくれる、大人の女。大人のカップル。
袴姿での挨拶に泣き、そのくせ、トドが挨拶している後ろでの顔芸に笑わせてもらい……最後まで「夏河ゆら」であり続けてくれた。
ケロファンにとっては大切な娘役ちゃんであるたまこちゃんの最後も愛しく見守り、しあわせな千秋楽が終わる。
退団者はみんなきれいだ。
すがすがしく、瑞々しく、きれいだ。
彼女たちの未来が明るいことを、心から祈る。
こっそり人混みの後ろから、出のお見送りをした。
たまこちゃんはかわいく美しく去っていったのだけど。
ゆら姐は。
濃かった。
袴姿で花を持って、なのにぴょんぴょん飛び跳ねていた。
顔芸もしこたまやっていった。
最後の最後まで、「夏河ゆら」。
あれほど見送る人が爆笑する袴姿の楽屋出もめずらしいのではないか。
みんな声に出して笑って、ゆらさんの乗る車(ゆらさん、自分でドア開けるんだもんよ、周囲の人があわててたぞ・笑)が行ってしまったあとで、一斉にハンカチ出していた。
別の会服着た人たちなのにね。みんな笑って、みんな泣くんだね。
笑って、泣いて。
そーやってタカラヅカは回っていく。
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