谷正純進化中。@やらずの雨
2006年6月16日 タカラヅカ 人情落語シリーズ3本目『やらずの雨』初日。
予備知識はまったくナシ、キムくんが主演、2番手が雪組デビューのひろみちゃん、ヒロインが転向したてのちとせちゃん、というだけしかわかっていない。落語の基礎知識もなにもないしな。
わたしは笑いのツボが少ない人間なので、喜劇とやらで笑うのがけっこー難しい。ふつーの人より笑えないんだよなー。まあそのかわり泣きツボがふつーの人の何倍もあるみたいだから、人生の釣り合いはとれてるんだろー。
これみよがしな「笑い」の押しつけが苦手で辟易してしまう性質なんだが、そのへんは覚悟を決めて観劇。3作目だもんな、いい加減こっちも慣れる(笑)。
材木問屋の若旦那徳兵衛@キムの波瀾万丈、人生山アリ谷アリ七転び八起き。いやあ、人生大忙しですね。
徳兵衛くん(花の23歳独身)は、超堅物の世間知らず。真面目が過ぎるっつーんで周囲が心配していきなりプロ中のプロ、花魁によるご指導をお膳立て。で、怒濤の初体験。
よっぽどヨかったらしく(凄腕だな花魁・笑)、 すっかりそっちに目覚めてしまった徳兵衛くん(花の26歳独身)は遊びの達人まっしぐら。芸者衆をはべらし、ついでに美少年太鼓持ち一八@ひろみをはべらし、じつはいい男の乞食・菰平@彩夏涼をはべらし、総攻道まっしぐら。
ところが驕る平家は久しからず、ついに勘当されて無一文に。金の切れ目が縁の切れ目、あれほど徳兵衛くんをちやほやした人々が去っていった。お安く絶望して身投げしようとした彼を拾ったのが芸者のお初@ちとせだった。
お初姐さんに怒鳴り倒されながら、徳兵衛くんの社会復帰がはじまる。まずは額に汗して働け!
お初怖さに嫌々労働にいそしむ徳兵衛ははじめて、人情というものを知るが……。
とにかく二転三転する徳兵衛の人生。人格がそのたびチガウ気もするが細かいことはキニシナイ!
作品の出来はともかく、「タカラヅカでやる人情落語もの」としての意義、企画・演出の腕が上がっていることに瞠目。
まず、舞台美術が派手だ。
作りつけの船宿だけでなく、吉原になったり川縁だったり川だったりと多彩に変化する。
衣装いろいろ、役もいろいろ。
下級生たちがいろーんな役で、通行人ひとつにまでなにかしら意欲満々に取り組んでいる。きちんとした「*番手」というような大きな役ではないが、それぞれ見せ場をもらい、顔を売り、この役を演じこの舞台に出ることが彼らの血肉になるだろうことが観ていてわかる。
そしてコレがいちばん大きいと思うんだが。
主役が、タカラヅカ的二枚目だ。
過去2作は、たしかにおもしろかったが、主人公はかっこよくなかった。笑わせることを主眼にしたため、主人公はとことんバカで情けない男だった。
それでも魅力がある、魅力を出す、のが男役スターの仕事だが、役のかっこわるさゆえに「タカラヅカでコレをやる意味があるのか?」という疑問がついてまわった。や、わたしは好きだったし、たのしんだけどな。たのしかったのは結果論であって、企画への疑問とは別の話よ。
落語の主役じゃ、タカラヅカ的じゃない。まぬけだったり卑怯だったり情けなかったりして、そーゆー面をことさら滑稽に演じ笑われるのは、ヅカのヒーローじゃない。
『なみだ橋』はまだ主役とヒロインが恋愛していたらしいが(らしい、て……)、『くらわんか』に至っては恋愛モノですらなかった。
それが3作目にしてはじめて、「タカラヅカの二枚目男役」が「ヒロインと恋愛」する話になった。
進化だよねえ、これは。
物語は3つのパートで成り立っている。
お堅いおぼっちゃまとどーしよーもない遊び人、そしてそれらを乗り越えたストイックないい男、と。
同じシチュエーションを繰り返すことで笑いを取る手法なんだが、それぞれ3つのパートのとくべーさんは別人。まともに考えたら「ありえねー」のひとことで終わってしまうが、まあそれも「お約束」だから問うのは野暮ってもんだろう。
長い1幕でおぼっちゃまと遊び人をやってしまい、短い2幕で二枚目をやる。
この2幕がねー、別人ぶりが際立っていてねー。てゆーか、1幕のことなんか「なかったこと」にした方がよくないか?ってくらい、ふつーにタカラヅカ的二枚目。
立ち方も発声も、なにもかもチガウ。
ヒロインお初も別人みたくしっとりしているし(笑)、「いっそ2幕だけで別芝居やってくれよ」というあきらかに別次元。
この2幕があるだけで、よっぽどよかったんじゃないのか? 1幕はまあ、お勉強ってことで。
今までの落語シリーズは1幕だけのテイストで、それにヅカ的な2幕がオマケでついているから、進化。
キムくんがうまいことは、べつにもう言うまでもない。
1幕の三枚目もうまいし、うってかわった2幕の二枚目もいい。
まあ、予想通り、てのがいちばんキムの弱点なのかもしれない。
ヒロインのちとせちゃんは、大変なことになってたな(笑)。
でけー。
お化粧も微妙?
きれいに見える角度と、そうでない角度の差が大きいというか、そうでない角度が多すぎるというか……。
正直、「なんでこの子がヒロインなんだろう……」と首を傾げていたんだが(ファンの台詞か)、2幕で歌い出した瞬間に、納得した(笑)。
そうとも、こーゆー武器があるから強いんだよな、ちとせちゃん。組配属当初から歌では抜擢されてたんだから。
とはいえ、新公ですらまともに台詞のある役をもらっていない研4の子が、いきなりの抜擢でよくここまでやったもんだ。
これからもがんばってほしい。
ひろみちゃんは雪組馴染みがよく眼福。合うよね。キムと並ぶと、サイズ的にもかわいこちゃん具合もお似合い。
まさか組替え一発目がここまで完璧にお笑い路線になるとは思ってなかったが、殻を破る意味ではよかったのかも。
にしてもこの太鼓持ちくん、後半、なんの脈絡もなく徳兵衛@キムへ愛の告白をはじめて、びっくりした。
なんなんだアレは。なくてもいいのに、突然語り出すからウケたぞ(笑)。
あと雪組下級生、見事に誰も知らなくて、おどろいた。
いや、何人かは知っているカオもあるんだが、わからん度の高さは他組のエンカレやヤンブラ以上だ(笑)。
なのに。
みんな、ふつーにうまくて、さらにおどろいた。
雪組、すげーなー。
過去2作の落語シリーズ、主役周辺以外はどえらいことになってたのに、雪組下級生たちの基礎力の高さはナニ?
……でも、誰が誰だか、ちっともわかんないまま終わった……。
作品としては、落語シリーズ中いちばん進化しているとは思うけれど。
まったく萌えなかった……。
せっかくひろみちゃんが、キムに愛の告白してるのになあ。どーもチガウんだよなあ。
シリーズでどれが好きかというと、『くらわんか』がいちばん好きだったなあ。下級生のへたっぴ具合ではワースト作品のはずなんだが(笑)。
『くらわんか』のときも思ったけど谷せんせ、男と女は「笑い」のセンスがチガウから、「男ギャグ」で落語作品を作り続けるのはどうかと思うよ? 男は笑えても、女は眉をひそめる系の笑いを使い過ぎ。虱ネタとかセックスネタとか、女性は絶対好きじゃないって。
予備知識はまったくナシ、キムくんが主演、2番手が雪組デビューのひろみちゃん、ヒロインが転向したてのちとせちゃん、というだけしかわかっていない。落語の基礎知識もなにもないしな。
わたしは笑いのツボが少ない人間なので、喜劇とやらで笑うのがけっこー難しい。ふつーの人より笑えないんだよなー。まあそのかわり泣きツボがふつーの人の何倍もあるみたいだから、人生の釣り合いはとれてるんだろー。
これみよがしな「笑い」の押しつけが苦手で辟易してしまう性質なんだが、そのへんは覚悟を決めて観劇。3作目だもんな、いい加減こっちも慣れる(笑)。
材木問屋の若旦那徳兵衛@キムの波瀾万丈、人生山アリ谷アリ七転び八起き。いやあ、人生大忙しですね。
徳兵衛くん(花の23歳独身)は、超堅物の世間知らず。真面目が過ぎるっつーんで周囲が心配していきなりプロ中のプロ、花魁によるご指導をお膳立て。で、怒濤の初体験。
よっぽどヨかったらしく(凄腕だな花魁・笑)、 すっかりそっちに目覚めてしまった徳兵衛くん(花の26歳独身)は遊びの達人まっしぐら。芸者衆をはべらし、ついでに美少年太鼓持ち一八@ひろみをはべらし、じつはいい男の乞食・菰平@彩夏涼をはべらし、総攻道まっしぐら。
ところが驕る平家は久しからず、ついに勘当されて無一文に。金の切れ目が縁の切れ目、あれほど徳兵衛くんをちやほやした人々が去っていった。お安く絶望して身投げしようとした彼を拾ったのが芸者のお初@ちとせだった。
お初姐さんに怒鳴り倒されながら、徳兵衛くんの社会復帰がはじまる。まずは額に汗して働け!
お初怖さに嫌々労働にいそしむ徳兵衛ははじめて、人情というものを知るが……。
とにかく二転三転する徳兵衛の人生。人格がそのたびチガウ気もするが細かいことはキニシナイ!
作品の出来はともかく、「タカラヅカでやる人情落語もの」としての意義、企画・演出の腕が上がっていることに瞠目。
まず、舞台美術が派手だ。
作りつけの船宿だけでなく、吉原になったり川縁だったり川だったりと多彩に変化する。
衣装いろいろ、役もいろいろ。
下級生たちがいろーんな役で、通行人ひとつにまでなにかしら意欲満々に取り組んでいる。きちんとした「*番手」というような大きな役ではないが、それぞれ見せ場をもらい、顔を売り、この役を演じこの舞台に出ることが彼らの血肉になるだろうことが観ていてわかる。
そしてコレがいちばん大きいと思うんだが。
主役が、タカラヅカ的二枚目だ。
過去2作は、たしかにおもしろかったが、主人公はかっこよくなかった。笑わせることを主眼にしたため、主人公はとことんバカで情けない男だった。
それでも魅力がある、魅力を出す、のが男役スターの仕事だが、役のかっこわるさゆえに「タカラヅカでコレをやる意味があるのか?」という疑問がついてまわった。や、わたしは好きだったし、たのしんだけどな。たのしかったのは結果論であって、企画への疑問とは別の話よ。
落語の主役じゃ、タカラヅカ的じゃない。まぬけだったり卑怯だったり情けなかったりして、そーゆー面をことさら滑稽に演じ笑われるのは、ヅカのヒーローじゃない。
『なみだ橋』はまだ主役とヒロインが恋愛していたらしいが(らしい、て……)、『くらわんか』に至っては恋愛モノですらなかった。
それが3作目にしてはじめて、「タカラヅカの二枚目男役」が「ヒロインと恋愛」する話になった。
進化だよねえ、これは。
物語は3つのパートで成り立っている。
お堅いおぼっちゃまとどーしよーもない遊び人、そしてそれらを乗り越えたストイックないい男、と。
同じシチュエーションを繰り返すことで笑いを取る手法なんだが、それぞれ3つのパートのとくべーさんは別人。まともに考えたら「ありえねー」のひとことで終わってしまうが、まあそれも「お約束」だから問うのは野暮ってもんだろう。
長い1幕でおぼっちゃまと遊び人をやってしまい、短い2幕で二枚目をやる。
この2幕がねー、別人ぶりが際立っていてねー。てゆーか、1幕のことなんか「なかったこと」にした方がよくないか?ってくらい、ふつーにタカラヅカ的二枚目。
立ち方も発声も、なにもかもチガウ。
ヒロインお初も別人みたくしっとりしているし(笑)、「いっそ2幕だけで別芝居やってくれよ」というあきらかに別次元。
この2幕があるだけで、よっぽどよかったんじゃないのか? 1幕はまあ、お勉強ってことで。
今までの落語シリーズは1幕だけのテイストで、それにヅカ的な2幕がオマケでついているから、進化。
キムくんがうまいことは、べつにもう言うまでもない。
1幕の三枚目もうまいし、うってかわった2幕の二枚目もいい。
まあ、予想通り、てのがいちばんキムの弱点なのかもしれない。
ヒロインのちとせちゃんは、大変なことになってたな(笑)。
でけー。
お化粧も微妙?
きれいに見える角度と、そうでない角度の差が大きいというか、そうでない角度が多すぎるというか……。
正直、「なんでこの子がヒロインなんだろう……」と首を傾げていたんだが(ファンの台詞か)、2幕で歌い出した瞬間に、納得した(笑)。
そうとも、こーゆー武器があるから強いんだよな、ちとせちゃん。組配属当初から歌では抜擢されてたんだから。
とはいえ、新公ですらまともに台詞のある役をもらっていない研4の子が、いきなりの抜擢でよくここまでやったもんだ。
これからもがんばってほしい。
ひろみちゃんは雪組馴染みがよく眼福。合うよね。キムと並ぶと、サイズ的にもかわいこちゃん具合もお似合い。
まさか組替え一発目がここまで完璧にお笑い路線になるとは思ってなかったが、殻を破る意味ではよかったのかも。
にしてもこの太鼓持ちくん、後半、なんの脈絡もなく徳兵衛@キムへ愛の告白をはじめて、びっくりした。
なんなんだアレは。なくてもいいのに、突然語り出すからウケたぞ(笑)。
あと雪組下級生、見事に誰も知らなくて、おどろいた。
いや、何人かは知っているカオもあるんだが、わからん度の高さは他組のエンカレやヤンブラ以上だ(笑)。
なのに。
みんな、ふつーにうまくて、さらにおどろいた。
雪組、すげーなー。
過去2作の落語シリーズ、主役周辺以外はどえらいことになってたのに、雪組下級生たちの基礎力の高さはナニ?
……でも、誰が誰だか、ちっともわかんないまま終わった……。
作品としては、落語シリーズ中いちばん進化しているとは思うけれど。
まったく萌えなかった……。
せっかくひろみちゃんが、キムに愛の告白してるのになあ。どーもチガウんだよなあ。
シリーズでどれが好きかというと、『くらわんか』がいちばん好きだったなあ。下級生のへたっぴ具合ではワースト作品のはずなんだが(笑)。
『くらわんか』のときも思ったけど谷せんせ、男と女は「笑い」のセンスがチガウから、「男ギャグ」で落語作品を作り続けるのはどうかと思うよ? 男は笑えても、女は眉をひそめる系の笑いを使い過ぎ。虱ネタとかセックスネタとか、女性は絶対好きじゃないって。
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