水夏希が、気持ち悪い。

 
 えー、ばるばるさいたままで行ってきました。
 全国ツアー『ベルサイユのばら−オスカル編−』を追いかけて。

 自宅から近い、大阪梅田で上演した作品なのに、わざわざ埼玉くんだりまで。
 劇団はなんで、初日だの千秋楽だのを重ねるかね。雪全ツ初日は、宙東宝楽と丸かぶりだったのよ。
 たかはなのお見送りを取ったわたしは、せっかく用意していた梅芸チケットを手放して、はるばる埼玉まで遠征したの。

 『ベルばら』のためなんかに。

 いいえ。

 水夏希のために。

 水ファンですからわたし!! 水くんの出る舞台は全部この目で見なければおさまらないのよ!!

 つーことで地図を片手に辿り着いたさいたま市文化センター、席は感動の3列目!! センター通路横!! すごいわ、ミズカルが目の前よ〜〜!!

 ええ。
 すばらしいお席でした。
 銀橋がないからほんと、舞台が目の前。
 譲ってくれたドリーさんありがとう。ほんとは並んで観るはずだったのに、ドリーさんは素敵に海外逃亡、わたしひとりで『ベルばら』体験。
 一緒に観たかった……心から、一緒に観たかったよ。

 誰かと、この感動を分かち合いたかった!!

 ひとりぢゃ、叫ぶ相手もいねえ!!
 声を殺してつつき合うこともできねえ!!

 雪大劇『ベルばら』を最初に観たときのように、友だちと大爆笑したかったよ!

 すばらしかった、全ツ『ベルばら』。
 わたしゃもう、客席で笑いを我慢するのに呼吸困難でしたよ。死にそうだった。

 
 声高らかに、全世界に向けて叫びたかったさ。


 水夏希、気持ち悪い。
 壮一帆、ステキに大爆笑。
 緒月遠麻、カッコイ〜〜!!


 水くんの気持ち悪さは、意外でした。

 最初のエセフィナーレから、ドン引きした。
 なになに、なんなのアレ?

 オカマがいますよ、みなさん!!

 わたしは水ファンで、水くんのすべてが大好きですが。

 素直に、ありのままに、率直に、気持ち悪かったです、あのオスカル様。

 表情が、「やりすぎ!」ってくらい、女の人なの。
 そして水くんの顔って、女の人の演技をすると、気持ち悪いのね。うん、男だもんね、とーぜんだよね。

 星『ベルばら』に特出したときのミズカルはナチュラルに「女性」だった。オスカル像としてソレはチガウ気もしたが、充分アリだろうと思った。
 そしてそのときは、美しい女性だと思ったんだ。
 天海祐希が演じるキャリアウーマンみたいだと思った。現代ドラマの。
 だから安心していたのよ。水くんは女性も演じられる人、女性になれば充分美人になると。

 なのに……。

 何故全ツでは、オカマになってるの?!

 相手役の問題かもしれない。
 タカラヅカ一の漢ワタさん、タカラヅカ一の濃い男トウコを相手に「男装の女性」を演じることは、そう高いハードルではなかったのかも。
 下級生でえーとえーといろいろ問題アリアリの壮くん相手では、必要以上に女っぽく作る必要があった?
 それであんなにも、「女」を前面に出した役作りになった?

 理由はわからないが。

 やりすぎだからミズカル!! そのカオ、キモいよー!!

 
 水くんは、ほんとうに「演技の出来る人」なんだと思う。
 だから軍服を着た「女」をきちんと演じてしまう。女々しい仕草をしなくても、浮かべているのが「女性の表情」なので、なにをしてもオスカルが男に見えることはない。
 そして、いつもの「男役・水夏希」は技術で作られたものなのだということを、実感する。同じカオでも、男性と女性ではここまで表情がちがうんだ。
 とても、自然に。

 ただ不幸なことに、水くんのカオは、「女性の表情」を浮かべるとオカマになってしまうのだ……オーマイガッ!

 声優の速水奨を思い出した。
 彼は『クーロンズゲート』というゲームでレヴュースタァのアニタという「女性」の役をやっていた。アニタはカラダは男性だが、心は女性だし、その世界では誰もが彼女をふつーに「女性」として認知していた。
 速水奨はほんとーにリアルに、「女性」としての演技をしていた。
 もともとうまい人だと知っていたが、あのときは舌を巻いたさ。これほどうまい人だったのかと。
 オカマではなく、話し方が心底リアルに女性なのよ。それも思慮深くセクシーな美女の話し方なの。

 でもかなしいかな、アニタは男の姿だし、声は男の声なの。

 ミズカルにも、同じものを感じた。
 うまい。うまいよ。
 でも。

 でもかなしいかな、ミズカルは男の顔なの。

 アニタがどれほど自然な「女性」として演技していても、姿と声が「男」なのはどうしようもないように。
 水くんがどれほど自然な「女性」として演技していても、顔が「男」なのはどうしようもないんだ。

 星のときはきれいだったのに……何故にこうもオカマ……。

 
 いやはや、最初からもー、ものすごい破壊力でした。
 わたしの心の支えは、フィナーレにあるという、水とまーちゃんの男女ボレロ。それだけをたのしみに、笑うオカマさん(笑顔凶悪)を乗り切った。

 ええ、ボレロは素晴らしかったですとも。
 うわああぁぁん、水くんかっこいー。つってもメイクが女のままだから、ちょっと微妙(笑)だけど、それでも「男」として演技してくれているから、ステキぃ〜〜。

 男役「水夏希」というイリュージョンのすばらしさを、再確認しました。
 もともとの素材の上に、「技術」であの超色男「水夏希」を創り上げているんだもんよ、ヲトメなチカちゃんが。それはすごいことだよ。

 至近距離で観るミズカルは最高にイケてないオカマさんでしたが、それでもいいんだ。

 わたしは水夏希が好きだっ。

 笑うミズカルにあちこちドン引きしつつも、たのしみましたとも!(ミズカルさん、笑いすぎです)

 
 ……にしてもコム姫は偉大だったな……。


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