緑野こあら、出待ちしました。
 花組バウホール公演『舞姫』千秋楽。
 入り出待ちは一切しないで生きてきたわたしが、数年ぶりでバウホールの出待ちをした。なにか用があって残っていて結果的に生徒さんの出を見られた、とか、「出待ちする!」という友人につきあって出待ちをした、とかいうことは何度かあったけれど、自分の意志で出待ちをしたのは数年ぶり。
 それが、この作品の、わたしのなかの「位置」だ。

「『血と砂』以来かなぁ」
 と、出待ち歴を振り返るわたしにつきあって、最後まで一緒にいてくれたパクちゃん、ありがとう。

 黒髪のまっつが、大変美しゅうございましたっ。 

 わーいわーいナマまっつだー。
 黒髪に黒いシャツ、シルバーのアクセ。コンパクトなまっつ(アタマ小さいっ、カオ小さいっ)がファンの人たちから手紙を受け取る様を、ぼーっと眺めていた。
 で、明日がお誕生日のまっつのために、FCの人たちが「はっぴーばーすでー」を歌い出した。たぶん雰囲気的に、その場にいた人たちみんな参加OK。てことで、わたしもどさくさにまぎれて一緒に歌ってみた、小さな声で(笑)。
 そこにちょうどみわっちも現れた。
 彼も一緒になってまざる。

「はっぴばーすでーでぃあ、ケンちゃん♪」

 ケンちゃんかよっ?! てことで、まっつ爆笑。みわっちもウケている。
 歌が終わったあとも、まっつとみわっちでひとしきりじゃれていた。
 みわっちがことさら、「ケンちゃん」って呼ぶんだよ、まっつのこと!!

 で、まっつは「謙吉」と指示し、みわっちがはいはい、て感じに「ケンキチ」って呼び直してあげて。

 なんだよヲイ、ラヴラヴだなっ。
 名字呼びしかしない関係だった太田豊太郎@みわっちと相沢謙吉@まっつ、千秋楽に至って急接近?!(笑)
 

 本日の楽はとくにアドリブもなく、ストイックに、ただ熱だけを静かに発して終わった。
 わたしは相変わらずガーガー泣いて、カオをガビガビにしていた。

 ミトさんの挨拶はよどみなく、花組名物はっちさんとの差異を強く感じる。まあ、はっちさんのは名物だから……(遠い目)。
 みわっちは男らしくきちんと挨拶、途中泣き出しかけたけれどぐっとこらえ、主演としての仕事を最後まで全うした。
 意外なことに出演者全員のひとこと挨拶があり、下級生順に口を開いた。
 みんな大抵「ありがとうございました」と言ってお辞儀するだけなんだが。

 個性を出したのは、らいらいとマメとまっつ。……ん?
 らいらいだけはナニも話さず、ただ一礼。すっげーかっこつけて。うおおお、なんてらいらしい、キザったらしさ。
 マメはすごい。自分の番になるなりくしゃみ一発。岩井くんキャラでご挨拶。すげーすげー。とっさにここまでできるってナニモノ?!

 で、まっつ。
 個性を出す、で、らいとマメの名前があがるのはいいとして、まっつが並列していると変な気がするんだが……。

 まっつは、自分の番が来るなり、みわっちに、抱きついた。

 後ろから、がしっと。

 ……ええええ?!

 あの、ふつーなら客席も反応しますよね? 主演の男役と2番手男役がアドリブで抱き合ったりしたら、「きゃあっ☆」てな黄色い声が上がりますよね?
 あまりに意外だったからか、客席が置き去りにされていた。いまいち反応薄い……。

 だって、まっつがそんなアクションするの、はじめて見た……。
 みんながぐちゃぐちゃに抱き合ってよろこびあってます、てなときじゃなく、整然とひとりずつ挨拶してるんだよ?
 抱きしめますか……後ろから……強引に……で、すぐに放してふつーに挨拶しますか……。

 びびりました。
 ら、ラヴラヴやね、あんたら……。
 

 そんなこんなで。
 出のときにも仲良しさんで、いいもん見ました。

 ファンの人に対してふつーに標準語で喋っていたまっつが、みわっち相手になるとまんま大阪弁になるのもすごい。
 うわー、素の喋りはこうなんだー、と。
 「いややわー」と言うまっつのベタベタな大阪弁具合にびっくりだ。わたしでもそこまでベタな発音しないぞ?

 先に現れたわけだから、先に去っていくまっつは、何度もみわっちを振り返り、「さっさと自分のファンのところへ行け」とゼスチャー。
 まっつの指さしポーズはなにか元ネタあり? 何度か同じポーズをしているのを見た気がするんだが。たとえば、ウラジミール@『マラケシュ』のときとか。
 みわさんはまっつにウケていて、なかなか自分のFCのところに行かない(笑)。

 みわさん会の人たちは、みんなお揃いの「トヨ様写真入り扇」を手に待ちかまえていた。(いいなあアレ、あたしも欲しい……)
 で、要返しは無理だとして、くるりと回すだけ回して「トヨ様」と声をそろえて挨拶をしていた。
 いいよな、トヨ様。サマ付けできるキャラだよなー。相沢くんは「ケンちゃん」だけど(笑)。

 マメの私服のオサレさに大ウケしたり、しゅん様が舞台と同じカオしていることに驚いたり(メイクしてなくても、あれだけ濃いんだ……)、とーってもシンプルな風情のちゃーが「うわ、素顔も好みだ……」と唖然とさせてくれたり、りおんちゃんの素の喋りと舞台台詞が変化ないことに震撼したり、まあ普段入り待ち出待ちしないだけに今さらな発見を繰り返しつつ。

 終わってしまうんだ、ということを痛感した。
 

 よい作品だった。すばらしい公演だった。
 しかし、観劇することでの消耗度もすごかった。
 繰り返し観ることで、体力と気力を削ぎ取られるかのよーだった。
 毎回あんなに泣いてたんじゃあ、そしてそれがほぼ毎日じゃあ、そりゃ消耗するわ……食事も睡眠も不規則になるしな。

 自分の泣きポイントは、さすがにもう熟知していたはずなんだが。

 本日千秋楽。
 何度目かのカーテンコールで幕が上がり、白い軍服姿のみわっちひとりが、なにもない舞台に立っていた。

 それを見て、泣いた。

 なにがなんだか。
 でも、泣いた。

 美しい、と思った。

 真っ白なみわさんが。
 美しくて、泣けた。

 みわっちはすぐに仲間たちを呼び、舞台は色彩で溢れたけれど。

 
 出会えたことが、愛しい。
 大切に大切に、全身で抱きしめたい。
 そんな公演だった。

 ありがとう。


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