かわいいあの娘は、ヴィクトリア座の踊り子。@舞姫
2007年7月2日 タカラヅカ 太田豊太郎が卑しい踊り子に入れあげ、毎晩劇場に通っているという。その踊り子とは深い仲で、太田の部屋には彼女が入り浸っているという。
それはけしからん!
大日本帝国の国費留学生たる者が、本分を忘れて色欲に溺れるなどもってのほか。
とゆーことで、黒沢中尉はお取り巻き3名を連れて、問題の踊り子のいる「ヴィクトリア座」へやってきた。
や、だって、気になるでしょう。
どんなに誘っても盛り場ひとつつきあわなかった堅物、ドイツ人サロンに出没して文化人気取りの太田が、踊り子にメロメロなんて。
所詮太田は世間知らずのおぼっちゃまだ。したたるような色気を持つ大人の玄人女に騙されているに違いない。踊り子と言っても娼婦と変わらない、売るのは芸だけではないだろう。
手練手管に長けた年増女に騙されるなんて、馬鹿な男だ。
さて、太田を騙した女は、いったいどんな……?
「ヴィクトリア座」は、十分にぎわっているようだった。客は当然男たちばかりだ。
飾り立てられた入口に、本日の出し物らしき手書き看板が置かれている。
「……大河内、これはなんと読む?」
「はあ……ええっと、『本日、スク水DAY☆』だと思いますが……」
「やはり、そう読めるか。しかし、『スク水』とはなんだ?」
「さあ……」
「スク水といえば、たぶん」
岩井がなにか言いかけ、黒沢の視線を受けて口をつぐんだ。「なんでもありません」と。
岩井は黒沢親衛隊♪のひとりだが、黒沢に面と向かって話すことができないらしい。いつも一緒なのに、シャイすぎる。黒沢中尉がラヴリーすぎるのが罪なのだと、親衛隊No.1、2の大河内・丹波のふたりは説明しているが。
目立たないように後ろの席に着席した黒沢たちは、改めて劇場を見渡し、客層の異様さに鼻白んだ。
何故、同じ色の服を着た者たちがかたまっている? グループ分けされているのか? それに、あのハチマキとうちわはなんだ? この程度の小屋で何故、あんなに大きな双眼鏡を持っているんだ?
最前列センターには、大きな花束を持った太田の姿もある。彼もまた、ハチマキをきりりと締めている。
どう考えても、黒沢たち一行だけ浮いている。
てゆーか、軍服はマズかったかも。
だが客たちは、周囲にはなんの興味も持たないようで、一心に幕が上がることだけを待ちわびている。
そしてついに、幕が上がった。
舞台の上にいる踊り子たちは、全員が紺色の水着姿だった。
「あ、やっぱり。スク水って言えば、スクール水着ですよねっ」
岩井がつぶやく。
「ス、スクール水着?」
「えーと、パンフレットによると先月がセーラー服、来月はメイド服だそうですから、今月はアタリですね、やっぱスク水はレアですよ」
「ちょ、ちょっと待て。スクール水着って……」
黒沢は混乱する。
「就学児童が着るからスクール水着だろう。あの娘たちのどこが就学児童だ?! トウが立ちすぎてるだろう!」
「ヤボは言いっこなしですよ。彼女たちはフェアリーだから、年齢なんて関係ないんですってば。ハタチ過ぎてセーラー服でもミニスカブレザーでも、ナースでもメイドでもいいんですって。むしろそれが萌えってもんで」
いつもはまともに喋れない岩井が、すらすらと話す。
「い、いちおう、ぎりぎり10代なんじゃないですか……? あー、なかには苦しい娘もいるようですが、あの子とかあの子とかは、まだ若そうですよ」
丹波が苦しい合いの手を入れる。
「そーゆー問題じゃないだろう!」
「いやいや、そのぎりぎり感、お前いくらなんでももうその格好は無理があるだろう!感がまた、醍醐味なんですよ」
「なんの醍醐味だ?!」
「♪ワタシたち、お年頃なの♪」
スク水姿の少女たちは、かわいらしく歌い踊る。
観客は熱狂。
太田も半狂乱でうちわと花束を振っている。
「あの赤いリボンの娘が、太田くんの恋人らしいですね」
「ああ、金髪の娘」
「スク水、似合ってますね」
道理で、どんなに誘っても酒場にも娼館にも来なかったわけだ……。
大人の女には、興味なかったんだ……。
狂乱に湧く劇場をあとにし、黒沢中尉は決意を固めていた。
「いくらなんでも、アレはいかん」
妖艶な玄人女に騙されているなら、まだしも。
黒沢も娼婦を愛人にしている身だ、そのへんの融通が利かないわけでもないのだが、いくらなんでもアレはいかん。スク水はいかん。
「太田め、日本へ送り返してやるっ」
☆
エリスの勤める「ヴィクトリア座」って、ヤヴァ過ぎ。
と、最初に観たときドン引きしました、花組公演『舞姫』。
てっきり、大人の女がセクシーに踊る劇場だと思っていたの。
まさか、ロリコン・イメクラだったとは。
わざとらしい幼女衣装を着て、幼女な歌を歌いながら、わざとらしい幼女プレイ。
景子タンの作品は、衣装のセンスがよくて安心なのに、まさかの悪趣味さにびっくりした(笑)。
そうかエリス、ロリコン・シアターで働いていたのか……だから多少エキセントリックでも大丈夫だったし、また、色気を売る店でもないから、少女のままいられたんだなー。
とまあ、いろいろいろいろ説得力はあったんだけど、それにしてもおどろいた。
ところで、黒沢中尉@ちゃーが、かわい過ぎるんですが。
小さなカラダでそっくり返っているところがたまりません。
しゅん様、らい、マメと、自分より大きな男たちを取り巻きにして、いつも一緒にいるところがツボです。
酒場とかビリヤードとかカフェとか、いつも一緒なんだねー。
でもってふつーに黒沢中尉が奢ってあげたりしてるんだねー。
あの岩井くんすら、いつも一緒になんだねー。
てもって黒沢さん、太田くんにも来て欲しかったんだよねー。
黒沢中尉の姫ぶりがステキ。
ただの悪役ではなく、信念があり、立場も人格もブレないあたりが好き。
日本に帰ってからも、やっぱり豊太郎と衝突しながらそれでも祖国のために真摯に働いているんだろうと、そう思えることがステキ。
初日から楽まで、どんどんよくなっていったよ、彼。
まだ新公学年だもんな、このままいい男に育ってほしい。
それはけしからん!
大日本帝国の国費留学生たる者が、本分を忘れて色欲に溺れるなどもってのほか。
とゆーことで、黒沢中尉はお取り巻き3名を連れて、問題の踊り子のいる「ヴィクトリア座」へやってきた。
や、だって、気になるでしょう。
どんなに誘っても盛り場ひとつつきあわなかった堅物、ドイツ人サロンに出没して文化人気取りの太田が、踊り子にメロメロなんて。
所詮太田は世間知らずのおぼっちゃまだ。したたるような色気を持つ大人の玄人女に騙されているに違いない。踊り子と言っても娼婦と変わらない、売るのは芸だけではないだろう。
手練手管に長けた年増女に騙されるなんて、馬鹿な男だ。
さて、太田を騙した女は、いったいどんな……?
「ヴィクトリア座」は、十分にぎわっているようだった。客は当然男たちばかりだ。
飾り立てられた入口に、本日の出し物らしき手書き看板が置かれている。
「……大河内、これはなんと読む?」
「はあ……ええっと、『本日、スク水DAY☆』だと思いますが……」
「やはり、そう読めるか。しかし、『スク水』とはなんだ?」
「さあ……」
「スク水といえば、たぶん」
岩井がなにか言いかけ、黒沢の視線を受けて口をつぐんだ。「なんでもありません」と。
岩井は黒沢親衛隊♪のひとりだが、黒沢に面と向かって話すことができないらしい。いつも一緒なのに、シャイすぎる。黒沢中尉がラヴリーすぎるのが罪なのだと、親衛隊No.1、2の大河内・丹波のふたりは説明しているが。
目立たないように後ろの席に着席した黒沢たちは、改めて劇場を見渡し、客層の異様さに鼻白んだ。
何故、同じ色の服を着た者たちがかたまっている? グループ分けされているのか? それに、あのハチマキとうちわはなんだ? この程度の小屋で何故、あんなに大きな双眼鏡を持っているんだ?
最前列センターには、大きな花束を持った太田の姿もある。彼もまた、ハチマキをきりりと締めている。
どう考えても、黒沢たち一行だけ浮いている。
てゆーか、軍服はマズかったかも。
だが客たちは、周囲にはなんの興味も持たないようで、一心に幕が上がることだけを待ちわびている。
そしてついに、幕が上がった。
舞台の上にいる踊り子たちは、全員が紺色の水着姿だった。
「あ、やっぱり。スク水って言えば、スクール水着ですよねっ」
岩井がつぶやく。
「ス、スクール水着?」
「えーと、パンフレットによると先月がセーラー服、来月はメイド服だそうですから、今月はアタリですね、やっぱスク水はレアですよ」
「ちょ、ちょっと待て。スクール水着って……」
黒沢は混乱する。
「就学児童が着るからスクール水着だろう。あの娘たちのどこが就学児童だ?! トウが立ちすぎてるだろう!」
「ヤボは言いっこなしですよ。彼女たちはフェアリーだから、年齢なんて関係ないんですってば。ハタチ過ぎてセーラー服でもミニスカブレザーでも、ナースでもメイドでもいいんですって。むしろそれが萌えってもんで」
いつもはまともに喋れない岩井が、すらすらと話す。
「い、いちおう、ぎりぎり10代なんじゃないですか……? あー、なかには苦しい娘もいるようですが、あの子とかあの子とかは、まだ若そうですよ」
丹波が苦しい合いの手を入れる。
「そーゆー問題じゃないだろう!」
「いやいや、そのぎりぎり感、お前いくらなんでももうその格好は無理があるだろう!感がまた、醍醐味なんですよ」
「なんの醍醐味だ?!」
「♪ワタシたち、お年頃なの♪」
スク水姿の少女たちは、かわいらしく歌い踊る。
観客は熱狂。
太田も半狂乱でうちわと花束を振っている。
「あの赤いリボンの娘が、太田くんの恋人らしいですね」
「ああ、金髪の娘」
「スク水、似合ってますね」
道理で、どんなに誘っても酒場にも娼館にも来なかったわけだ……。
大人の女には、興味なかったんだ……。
狂乱に湧く劇場をあとにし、黒沢中尉は決意を固めていた。
「いくらなんでも、アレはいかん」
妖艶な玄人女に騙されているなら、まだしも。
黒沢も娼婦を愛人にしている身だ、そのへんの融通が利かないわけでもないのだが、いくらなんでもアレはいかん。スク水はいかん。
「太田め、日本へ送り返してやるっ」
☆
エリスの勤める「ヴィクトリア座」って、ヤヴァ過ぎ。
と、最初に観たときドン引きしました、花組公演『舞姫』。
てっきり、大人の女がセクシーに踊る劇場だと思っていたの。
まさか、ロリコン・イメクラだったとは。
わざとらしい幼女衣装を着て、幼女な歌を歌いながら、わざとらしい幼女プレイ。
景子タンの作品は、衣装のセンスがよくて安心なのに、まさかの悪趣味さにびっくりした(笑)。
そうかエリス、ロリコン・シアターで働いていたのか……だから多少エキセントリックでも大丈夫だったし、また、色気を売る店でもないから、少女のままいられたんだなー。
とまあ、いろいろいろいろ説得力はあったんだけど、それにしてもおどろいた。
ところで、黒沢中尉@ちゃーが、かわい過ぎるんですが。
小さなカラダでそっくり返っているところがたまりません。
しゅん様、らい、マメと、自分より大きな男たちを取り巻きにして、いつも一緒にいるところがツボです。
酒場とかビリヤードとかカフェとか、いつも一緒なんだねー。
でもってふつーに黒沢中尉が奢ってあげたりしてるんだねー。
あの岩井くんすら、いつも一緒になんだねー。
てもって黒沢さん、太田くんにも来て欲しかったんだよねー。
黒沢中尉の姫ぶりがステキ。
ただの悪役ではなく、信念があり、立場も人格もブレないあたりが好き。
日本に帰ってからも、やっぱり豊太郎と衝突しながらそれでも祖国のために真摯に働いているんだろうと、そう思えることがステキ。
初日から楽まで、どんどんよくなっていったよ、彼。
まだ新公学年だもんな、このままいい男に育ってほしい。
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