すっごくたのしかったの、新人公演『ME AND MY GIRL』

 Wキャストって、おもしろいね。

 わたしは新公観劇暦が浅いので、Wキャストの新公観るのはじめてだったの。雪組の新公は20年近く観て来てるけど、他の組はせいぜい6〜7年前からくらいしか、観てないので。
 雪組ではWキャストの新公はなかったの。『エリザベート』初演新公は1幕2幕とほぼ本公演に近い形でやって、幕間休憩まであったんだけど、それでもキャストは固定だったし。

 とくにご贔屓もなく、「新人公演」自体をのほほんとたのしんでいる者には、Wキャストってすごくたのしい。や、当のWキャストになっちゃってる生徒さんのファンは気が揉めるだけでたのしくないかもしんないけど。
 下級生のチャンスが2倍になるってことだから、単純にうれしいなー。いっそ主演含め、主要人物全部Wにしちゃえばよかったのに、とか思う(笑)。
 だってジェラルドとかパーチェスターとか、2幕の人たちはほとんど見せ場ナシなんだもん。この人たちをWにするより、ビルをWキャストにした方が下級生たちのためだったんじゃあ? ……や、誰がビルをできるかとか、とくに思いつくわけでもないが(個人的に、るうの主演が観てみたいっす)。

 つーことで、Wキャストな人々の感想。

 最初に出てくる、ジェラルド@ゆりやくん。
 91期いちばんの美貌の君(私見バリバリ・笑)に、よーやく大役キターー!!
 文化祭からその美貌を愛でてはいたけれど、その後とくになにがあるではなく、わたしの視界から遠くなる一方だった彼。よーやく彼の芝居が見られるのだわ、とわくわく。

 えーと。
 演技は……そのう、学年と、今までの役付きに相応しい感じだったかと。
 そっか、芝居がとくにできるわけじゃないんだね……だからあれだけ美しいのに抜擢されることはなかったんだね……。みりおくんが研1から新公でも活躍していたのは、美貌にプラスアルファがあったからなんだよな、と、美貌つながりで再確認する。

 そして、ジェラルドの衣装の「難しさ」を知った。
 アーガイルのベストとブリティッシュな短パン、ハイソックス……。大人が演じる幼児のような格好。本物の英国紳士ならふつーに着こなし、また日常着なのかもしれないが、我々日本人はそんなもんを大人が着ることもないし、また、それを日常として目にすることもないので、特異に映る。
 本役のあひくんが大きなカラダと、そのう、腰の位置の高くない体形でその衣装を着て、とても大変なことになっているのを、知っているので。
 別の人が着るとどうなるのか、ぶっちゃけ足の長さがどう映るのか気にしていたんだけど。
 うーん……。あひくんほどすごいことにはならないが、やはり「かっこよく見える」服装ではないよなあ。スタイルのいい若い子が着てもマイナスにならないだけで、プラスには働かないっつーのは。

 演技も声もふつうに「若い男の子」「いかにも新人公演」なのに、それでも本役よりも違和感がないのは、「若い男の子が、若い風情でそこいる」からなんだろう。育ちが良さそうな、頼りないきれいな男の子。
 それはソレでアリかな。
 「大人にしか見えない大きな男が幼児喋りをしている」という違和感は、やはり本役ならではらしい。

 
 でもって2幕のジェラルド@宇月くん。……出番少なっ。
 なによりそのことにおどろいた。
 ジェラルドの、ジェラルドとしての見せ場がなかったので、ジェラルドだとはちょっとわからない……なんつーか、ふつうの青年に見えた。
 悪い意味じゃない。
 わたしはそもそも「ジェラルドというのはこうあるべき役だ」とか知らないし、ずんちゃんのジェラルドは「かわいかった」以外の感想がナニも残っていない(好みではなかったらしい)。
 だから本役のあひくんがすべてなんだけど、彼のジェラルドは知能の発達になにか障害があるような役作りに見えるので、「年齢相応の知性を持ったジェラルド」を見てみたいと思っていた。
 そのため、宇月くんのジェラルドは、見ていてなんか、ほっとした。あ、ふつーだ。ふつーの青年だ。ジェラルドってふつーでもアリなんだ。と、なんかうれしかった。

 2幕ジェラルドに、もう少し見せ場と出番が欲しかった。

 
 次に出てくるWキャストな人は、パーチェスター。

 1幕は五十鈴くん。
 コメディに徹した外見とコミカルな動き。役への意欲の高さが登場時からあふれていた。
 彼が歌手だということは周知の事実、「早く歌ってくれ」とわくわくして見せ場を待ったさ。
 「お屋敷の弁護士が申し上げる♪」の歌は、彼ならではの歌い上げアレンジ付き(笑)。そーだよなー、歌手属性の子なんだから、特性を生かしたアレンジは正しい。本役のマヤさんをコピーするだけが新公じゃない。
 歌が武器で、センターで1曲歌い、場面の中心になるという経験は、彼の大きな財産になったろうな。完璧に場を支配していたとは到底思えないが、彼がそうするつもりで真正面からぶつかっていることは、よーっくわかった。
 がんばれ。

 
 2幕は美翔くん。出番少なっ。……や、ジェラルドよりはマシだけど。
 五十鈴くんより美形寄りの人だと記憶しているので(五十鈴くんに含みはない)三枚目役をどうするのかなと思っていたが、スマートになりすぎず、ちゃんと三枚目を作っていた。
 Wキャストって、ふたりとも同じ役作りでなきゃだめなの? ジェラルド役はたんに技術の差で1幕と2幕が別人だったけど、パーチェスターは役作りを同じにしようとしない方がよかったんじゃないかなぁ。
 同じであるがゆえに、美翔くんの方が割を食ってしまったよーな気がした。もっと二枚目系でやってくれた方が彼の魅力は活きたろうな、と。

 
 んで、マリア叔母さま。

 1幕の子はまったく知らない子だった。
 彩星りおんちゃん……って、そんな娘役いたっけなぁ。

 男役だったの?

 すごーく若くてきれいなマリアで、凛としていて、かっいい大人の女性だなあ、と思って見ていた。
 観劇後、nanaタンと「マリアってそもそもいくつなんだろう」「ビルの父親の末の妹なら、若くてもおかしくないよね」「ジョン卿と幼なじみで、ふたりでサクランボを食べていたころが10歳くらいとして、それから30年……40そこそこでもおかしくない」と話し込むくらい、若くて美しいマリアでした。
 つか、マリアが現役美人な方が宝塚歌劇ファンとしてはたのしい。使命を果たすために張りつめていた大人の女性が、ずっとそばで見守っていた幼なじみの愛に気づいてハッピーエンド、って、ロマンじゃん。
 もちろん、初老の女性だとかすごーく中年な感じのふくよかな女性が甘酸っぱいロマンスを演じるのも、女性目線としてはたのしいけれど……。
 「美しさ」をいちばんに考えるタカラヅカなら、マリアが若く美しい女性でもなんの問題もない。つか、主役のビルがこの新公では10代かハタチそこそこの少年なわけだし。彼とのバランス的にも、マリアの美しさは眼福でした。

 男役さんだなんてまったく気づかないくらい、ふつーにうまかった。
 違和感なし。

 
 2幕は羽咲まなちゃん。
 彼女が登場するなり「うわ、マリアが縮んだ」と思ったのは、そうか、1幕が男役さんだったからか。りおんくんも決して男役としては大きくない人だと思うけれど、同じ役を男女でやると体格差が大きいな。
 りおんくんのいかにも女優さん、みたいなすらりとしたマリアのあとでは、なんだか年齢設定も一気に変化したみたいで、ちょっと違和感があった。
 こちらはそれほど若くないマリア。本役ほど中年女性ってわけでもないけれど。
 1幕より貫禄にあふれ、歌声が素晴らしかった。

 
 文字数ないんで続く。


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