見知らぬ方々の「紅ゆずる」での検索が、もれなく2005年3月7日の記事「紅ゆずるの謎」に行きつく現実をなんとかしてください……。
 タイトル欄に彼の名前を書いてしまっているので検索で引っかかりまくるのよー。「檀れい」で検索してきた人がもれなく「檀ちゃんの太股」記事に行きつくのと同じで。
 ……彼らについて、もっと他にマシなこと書いているのもあるのに、タイトルに書いてあるとこにしか行かないという……。がっくり。

 星組新人公演『スカーレット・ピンパーネル』に行って来ました。

 
 キモチの良い新人公演だった。

 すごいたのしい。
 客席も舞台もノリノリだー。

 初主演おめでとー、ベニー。
 今まで新公で主立った役のついたことにないベニーが、突然まさかの初主演。
 ベニーが路線系の役やったのって、『愛短』の和くんの役くらい? 前回の『エル・アルコン』ではにしきさんの役だったし、『シークレット・ハンター』でも組長役だよねえ?
 路線としての訓練を受けさせてもらえなかった子がいきなり大劇場の真ん中に立たされて、どーなるのか。
 とりあえず群集の中でも目を引く美貌があるのだから、技術がどうあれ「真ん中」を成り立たせることは、不可能ではない。

 はい。
 成り立ってました。

 1本モノを短縮して上演するわけだから、あちこちカットされるわけだ。演出は小池作品だからもちろん小柳タン。今までさんざんものすげーぶったぎりをしてくれていたから、どーなることかと危惧していたが、今までの中でいちばんいい短縮具合だった。月『エリザ』も『ネバセイ』もひどかったからなあ。

 オープニングがカットされているため、パーシー@ベニーは上手花道からセリ上がり。じじいの変装ナシ、最初から美貌全開ヒーロー姿、いきなり銀橋主題歌独唱だ。

 歌がうまいわけじゃない。ヘタじゃないけど、よく歌っているけど、足りているわけじゃない。
 だけど。
 彼は、前へ進む。
 なんつーの? 足りていないから萎縮したり、取り繕ったりするんじゃなく、さらに強く、前へ出るの。ちょっと弱くなった? と感じさせた次の瞬間、さらに前へ気を発する。

 前進しなければ後退するんだってことを、知っている。
 足を止めることは立ち止まることではなく、後退することなの。動く歩道を逆走しているよーなもん。歩いているからこそかろうじて同じ位置をキープできる。
 「真ん中」に負けてしまう子は、動く歩道の上で立ち止まってしまう子だ。後ろに運ばれてしまっているのにも気づかず、歩くことをやめてしまう子。自分的には立ち止まっているだけで下がっているわけじゃないんだろうけど、たしかにキミ単体はそうでも、キミを乗せた板はどんどん後退していってるんだよ?

 あちこちで、ベニーが「前へ」出てくるのが痛快だった。
 場面や台詞、歌の途中でアクセル踏むの。さらに加速させるの。

 二枚目部分でそうやって前へ進み。

 グラパン役のときは、とことんお笑い。

 倉庫番でトップスター相手にアドリブ力を磨き、アラン&ダランでみきちぐ相手にお笑いセンスを磨いた。……それらの経験は、グラパンを演じるためにあったんだ。

 なんてことを、思ってしまうくらいには、素敵にコメディでした、グラパン。
 でかい図体で両手を広げていつもゆらゆら。よちよち歩き、ゆらゆら揺れる。

 
 本公演ではパーシー@トウコVSマルグリット@あすか、ふたりの対決に息を飲むが、新公ではパーシーの相手はマルグリットではなく、ショーヴランでした。

 腐った意味ではなく(笑)。

 最後のご挨拶でのしゅん×ベニーには萌えましたが(笑)、そーゆー意味ではなく、作品中での力関係において、パーシーVSショーヴランだったの。

 ヒロイン、マルグリット@まりもちゃんは、よくやっていたし、悪かったわけではまったくないが、本役のコピーであるおとなしさ、小ささが感じられた。
 たしかにマルグリットはヒロインだし、受動態だし、ヅカのヒロインたるもの受身に寄り添ってこそ、なんだろーけど、この役を通常のヅカの娘役として演じてしまうと、こんなに小さな役になってしまうのかと、おどろいた。
 薄いというか、目立たないというか。
 まりもちゃん自身の実力で押し出しは悪くないんだけど……火花は、散らない。
 トウコとあすかの間で感じる緊迫感、青い火花が散る感じ……あれは、寄り添っていたんじゃダメなんだなと。
 ヒロイン経験豊かなまりもちゃんだからこそ、一か八かの破れかぶれ的爆発とか、そーゆーのとは程遠い安定感があった。よいことだとは思うけど、横で爆発している人がいたので、彼にみんな持って行かれた感じ(笑)。

 ええ、爆発してました。
 おもしろすぎるぞ、ショーヴラン。

 ショーヴラン@しゅんくん。
 出てきた瞬間から、トップテンション!! すげーすげーすげー。こわーー!!

 彼は、THE 悪役。
 かわいげとかまぬけさとか、本役にあるものがナイ。
 彼だけドシリアス。彼が登場すると作品の色が変わる。

 で、パーシーが出るとまた空気が変わるんだ。ぱぁぁあっと、パステルカラーに。
 また、グラパンははっきり言ってお笑いやりすぎなので(笑)、これまた空気が変わるんだよね。

 ショーヴランが闇と血の色に空気を染め、パーシーがヅカ的光とキレイ色に染め、またショーヴランが闇と狂気に染め直し、グラパンがお笑いコメディ色に染め直し、と、舞台の空気を上書き合戦。

 なにコレ、マジおもしれ〜〜!!

 トップと2番手が、対等に闘っている。
 娘役トップを置き去りに(笑)。

 今の星組、本公演のパワーバランスではありえない光景。

 『スカーレット・ピンパーネル』って、こんな話だったの? なんか本公演とチガウものが展開されてますが??

 
 ひさしぶりに、すごくわくわくする新公だった。
 新人公演だから、という言い訳抜きに、ひとつの公演、作品として興味深く、また、おもしろかった。

 客席も正直だ、なんかほんと空気チガウし。

 こんなにたのしかった新公って、キムの『スサノオ』以来かなあ……。

 
 くわしい感想はまたいずれ。


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