ゆがみをゆがみのままで。＠Apasionado!! II
2009年8月27日 タカラヅカ まだしつこく『Apasionado!! II』のスターの役割、ピラミッド構造についての話。
月組版はトップ娘役不在ゆえに、２番手と別格娘役にそれぞれトップ娘役的意味を付け加えていた。宙組で上演するにあたって、その「トップ娘役的」なところを、単純にトップ娘役であるののすみに与え、それ以外はそれぞれ２番手と別格娘役にやらせた。
そのために２番手はおいしくないし、別格娘役は……さらに、別格度が上がった。
月組のあいちゃんを「別格娘役」とカテゴライズしていいかどうかは、今は置く。トップ空位のまま２番手と考えればいいのか、ナンバリングにとらわれず活躍の場を得た別格スターと考えればいいのか、それは博多座上演時に答えは出ていなかった。
が、『夢の浮橋』『Apasionado!!』という２本立て公演を観た限りでは、彼女は２番手娘役よりも別格スターにクラスチェンジしていた。明言されたわけではないが、通常２番手娘役はあーゆー役、あーゆー扱いで出番を統一されることはほとんどない。
わたし個人の狭い感覚では、『Apasionado!!』のあいちゃんの役割は、別格娘役スターだった。
しかし、その別格スターの出演場面にもいろいろあり、中にはわりときれいめな、「トップ娘役や、２番手娘役がやってもおかしくないんじゃね？」なものもあった。
いきなりまったくの別格にするのではなく、２番手娘役らしさも残しながらのクラスチェンジのようだった。
そして、博多座『Apasionado!! II』。
あいちゃんの演じた場面の、きれいめなところをまるっとののすみに与え、残りのいかにも別格なところのみを、アリスちゃんに与えた。
カンチガイモード全開にひとり悶える女と、オカマ男たちの間に同じ衣装で混ざる、という、イロモノ場面を。
……それって、なんだかなあ。
もちろん、トップ娘役不在公演でその穴を埋める別格娘役の演じた場面だから、ものすごーくオイシイ。
舞台人として、スターとして、やりがいのある役だと思う。
ただ、今までずっと路線スターで、どこかでトップスターになってもおかしくない魅力と実力を持つアリスちゃんに、そーゆー部分だけをやらせてしまうのは、ひっかかるなあ、と。
時代錯誤で偏狭な考え方だと思うが、タカラヅカって基本的に２番手娘役にはなにかしら「きれいな」役を与えるから。悪役や汚れ役もあるけれど、それだけではなく、ちゃんと正統派に美しいよい子よい子な場面を与えて、バランスを取るから。芝居ではなく、ショーの話ね。いくらでも場面ごとに色を変えられるから。
「トップ娘役」は「きれい」でなくてはならないんだろう。美貌、という意味ではなく、無垢とか清純とか、そーゆー時代錯誤な考え方。
だから２番手娘役を「汚す」よーな役割はさせない。１場面でさせても、他でキレイキレイで払拭する。
だからアリスちゃんにも、いかにもなキレイキレイな「２番手娘役です」というよーな役を、場面を与えて欲しかった。
そうやって、バランスを取って欲しかった。月組版から単純に焼き直すのではなくて。
新場面でみっちゃんとふたりで活躍していたけれど、あれは別にキレイキレイな役割ではなかったからなあ。
タカラヅカでのいかにもなキレイな娘役スターの役は、新場面での「戦場に現れる恋人の幻」＠ののすみとか、みっちゃん場面のドラキュラに魅入られる少女とかだもん。
あーゆー役割をアリスちゃんで、可憐にがつんとやって欲しかったっす。
「ヴァレンチノ」の語り部悶え女も、オカマたちと一緒！も、役的にはオイシイのはたしかだし、他に誰もいないし、実際アリスちゃんは見事に仕事をこなしていたので拍手拍手！なんだけど、この役がアリスなんだ……という、ちょっと苦い感じが胸に残る。
てゆーか「ヴァレンチノ」って、そのまま再演しなくてもよかったんじゃあ……？ や、ヴァレンチノはかっこいい役だし、いろんな娘役と絡むのは楽しいけど、相手役がいないわけじゃなくむしろ相手役とのお披露目なわけだしさ……。
と、とどのつまりはここでも微妙に初演のゆがみをまんまコピーしたことへの、腑に落ちなさが。
でもってアリスちゃん、単体だととてもきれいに輝く人だけど、『雨に唄えば』のウメちゃんのときも思ったが、先に華やかな人が演じてしまった役をあとからやると、弱さが見えるなぁ。けっこう地味なんだ、というか。
ウメちゃんの大輪の華っぷりと、あいちゃんの濃いぃ色合いと比べるのは酷かもしれんが。
それでも今回は、きっと路線ど真ん中な役なら、もっとわかりやすく発光できただろうに。
フジイくんに、もっとちゃんとアレンジして欲しかったのですよ。
ゆーひさんに、はたしてこの作品が最大限に合っていたのか、合っていないなら合うように、いろんなところでバランス調節するとか、そーゆーことも含めて。（ゆーひさんについては、またいずれ）
あとは、スターの役割のことではなくて、作品的に、まんまスライド焼き直し、に最も疑問を感じた場面について。
今回の公演場所が「博多座」であり、大劇場ではないのだから、大劇場と同じ演出で上演するのはどうよ、と思ったの。
月組版でもっともファンが沸いた、男役の女装場面。
男役スターが次々と女装して銀橋を渡る、という、完全ファン向けの演出。スターを個別認識していない、そもそも男役と娘役の差を衣装（スカートなら女の子）でしか区別できていない一見さんには、まったくもって無意味な演出。
ひとりずつスターらしい人が出てきて、銀橋を（多少は歌ったり踊ったりしているとはいえ）ただ歩く、という同じことの繰り返しがえんえん続くわけだ。
ファン以外にはつまらんだろー。わたしはファンだから楽しいけど、そーでないすべての人が見ても楽しい演出（＋女装）にすればいいのに、と思っていた。
それをそのまま、博多座でやるとは……。
「スターがただ歩くだけ」でも、大劇場なら、銀橋なら、「特別感」がある。銀橋はここぞというときしか使わないエプロンステージだからだ。
個別認識のない団体さんだって、「手前のステージまでスターが出てきたぞ！」と思える。
が、博多座に銀橋は、ない。
ふつーに本舞台を歩くだけって……。
その地味すぎる展開に、びっくりした。
それじゃただのカーテン前じゃん……場つなぎじゃん……。
ただでさえ宙男たちはふつーにきれーでかわいくて、女装してもオカマにはならず、「きれーな女の子」で済んじゃうのに。
大きさだけでオカマにはならないんだよ。「男役の女装」というサプライズにはならないんだよ……。
すっしーががんばって引き締めてくれてたけどさー。
せめて客席登場にするとかすれば、特別感があったのにな。
オカマさんたち勢揃い、はそのあとでちゃんとあるんだから、２階３階の人にも見えるし。
とまあ、なんかいろいろと、首を傾げる『II』っぷりについて、うだうだ書き記す。つーか、花組以外のショーについてこんなに書くのはめずらしいかも。いやその、花組ショーもフジイくんだから、先にこっち書いておかないと感想が上書きされちゃうかもしんない、とあわてている(笑)。
作品への疑問は置いておいて、次はキャストについて、きゃーきゃーアタマ悪いミーハー語りをする予定！（書く時間あるのか自分。ぢつは今日はもう花組初日だっつーの）
月組版はトップ娘役不在ゆえに、２番手と別格娘役にそれぞれトップ娘役的意味を付け加えていた。宙組で上演するにあたって、その「トップ娘役的」なところを、単純にトップ娘役であるののすみに与え、それ以外はそれぞれ２番手と別格娘役にやらせた。
そのために２番手はおいしくないし、別格娘役は……さらに、別格度が上がった。
月組のあいちゃんを「別格娘役」とカテゴライズしていいかどうかは、今は置く。トップ空位のまま２番手と考えればいいのか、ナンバリングにとらわれず活躍の場を得た別格スターと考えればいいのか、それは博多座上演時に答えは出ていなかった。
が、『夢の浮橋』『Apasionado!!』という２本立て公演を観た限りでは、彼女は２番手娘役よりも別格スターにクラスチェンジしていた。明言されたわけではないが、通常２番手娘役はあーゆー役、あーゆー扱いで出番を統一されることはほとんどない。
わたし個人の狭い感覚では、『Apasionado!!』のあいちゃんの役割は、別格娘役スターだった。
しかし、その別格スターの出演場面にもいろいろあり、中にはわりときれいめな、「トップ娘役や、２番手娘役がやってもおかしくないんじゃね？」なものもあった。
いきなりまったくの別格にするのではなく、２番手娘役らしさも残しながらのクラスチェンジのようだった。
そして、博多座『Apasionado!! II』。
あいちゃんの演じた場面の、きれいめなところをまるっとののすみに与え、残りのいかにも別格なところのみを、アリスちゃんに与えた。
カンチガイモード全開にひとり悶える女と、オカマ男たちの間に同じ衣装で混ざる、という、イロモノ場面を。
……それって、なんだかなあ。
もちろん、トップ娘役不在公演でその穴を埋める別格娘役の演じた場面だから、ものすごーくオイシイ。
舞台人として、スターとして、やりがいのある役だと思う。
ただ、今までずっと路線スターで、どこかでトップスターになってもおかしくない魅力と実力を持つアリスちゃんに、そーゆー部分だけをやらせてしまうのは、ひっかかるなあ、と。
時代錯誤で偏狭な考え方だと思うが、タカラヅカって基本的に２番手娘役にはなにかしら「きれいな」役を与えるから。悪役や汚れ役もあるけれど、それだけではなく、ちゃんと正統派に美しいよい子よい子な場面を与えて、バランスを取るから。芝居ではなく、ショーの話ね。いくらでも場面ごとに色を変えられるから。
「トップ娘役」は「きれい」でなくてはならないんだろう。美貌、という意味ではなく、無垢とか清純とか、そーゆー時代錯誤な考え方。
だから２番手娘役を「汚す」よーな役割はさせない。１場面でさせても、他でキレイキレイで払拭する。
だからアリスちゃんにも、いかにもなキレイキレイな「２番手娘役です」というよーな役を、場面を与えて欲しかった。
そうやって、バランスを取って欲しかった。月組版から単純に焼き直すのではなくて。
新場面でみっちゃんとふたりで活躍していたけれど、あれは別にキレイキレイな役割ではなかったからなあ。
タカラヅカでのいかにもなキレイな娘役スターの役は、新場面での「戦場に現れる恋人の幻」＠ののすみとか、みっちゃん場面のドラキュラに魅入られる少女とかだもん。
あーゆー役割をアリスちゃんで、可憐にがつんとやって欲しかったっす。
「ヴァレンチノ」の語り部悶え女も、オカマたちと一緒！も、役的にはオイシイのはたしかだし、他に誰もいないし、実際アリスちゃんは見事に仕事をこなしていたので拍手拍手！なんだけど、この役がアリスなんだ……という、ちょっと苦い感じが胸に残る。
てゆーか「ヴァレンチノ」って、そのまま再演しなくてもよかったんじゃあ……？ や、ヴァレンチノはかっこいい役だし、いろんな娘役と絡むのは楽しいけど、相手役がいないわけじゃなくむしろ相手役とのお披露目なわけだしさ……。
と、とどのつまりはここでも微妙に初演のゆがみをまんまコピーしたことへの、腑に落ちなさが。
でもってアリスちゃん、単体だととてもきれいに輝く人だけど、『雨に唄えば』のウメちゃんのときも思ったが、先に華やかな人が演じてしまった役をあとからやると、弱さが見えるなぁ。けっこう地味なんだ、というか。
ウメちゃんの大輪の華っぷりと、あいちゃんの濃いぃ色合いと比べるのは酷かもしれんが。
それでも今回は、きっと路線ど真ん中な役なら、もっとわかりやすく発光できただろうに。
フジイくんに、もっとちゃんとアレンジして欲しかったのですよ。
ゆーひさんに、はたしてこの作品が最大限に合っていたのか、合っていないなら合うように、いろんなところでバランス調節するとか、そーゆーことも含めて。（ゆーひさんについては、またいずれ）
あとは、スターの役割のことではなくて、作品的に、まんまスライド焼き直し、に最も疑問を感じた場面について。
今回の公演場所が「博多座」であり、大劇場ではないのだから、大劇場と同じ演出で上演するのはどうよ、と思ったの。
月組版でもっともファンが沸いた、男役の女装場面。
男役スターが次々と女装して銀橋を渡る、という、完全ファン向けの演出。スターを個別認識していない、そもそも男役と娘役の差を衣装（スカートなら女の子）でしか区別できていない一見さんには、まったくもって無意味な演出。
ひとりずつスターらしい人が出てきて、銀橋を（多少は歌ったり踊ったりしているとはいえ）ただ歩く、という同じことの繰り返しがえんえん続くわけだ。
ファン以外にはつまらんだろー。わたしはファンだから楽しいけど、そーでないすべての人が見ても楽しい演出（＋女装）にすればいいのに、と思っていた。
それをそのまま、博多座でやるとは……。
「スターがただ歩くだけ」でも、大劇場なら、銀橋なら、「特別感」がある。銀橋はここぞというときしか使わないエプロンステージだからだ。
個別認識のない団体さんだって、「手前のステージまでスターが出てきたぞ！」と思える。
が、博多座に銀橋は、ない。
ふつーに本舞台を歩くだけって……。
その地味すぎる展開に、びっくりした。
それじゃただのカーテン前じゃん……場つなぎじゃん……。
ただでさえ宙男たちはふつーにきれーでかわいくて、女装してもオカマにはならず、「きれーな女の子」で済んじゃうのに。
大きさだけでオカマにはならないんだよ。「男役の女装」というサプライズにはならないんだよ……。
すっしーががんばって引き締めてくれてたけどさー。
せめて客席登場にするとかすれば、特別感があったのにな。
オカマさんたち勢揃い、はそのあとでちゃんとあるんだから、２階３階の人にも見えるし。
とまあ、なんかいろいろと、首を傾げる『II』っぷりについて、うだうだ書き記す。つーか、花組以外のショーについてこんなに書くのはめずらしいかも。いやその、花組ショーもフジイくんだから、先にこっち書いておかないと感想が上書きされちゃうかもしんない、とあわてている(笑)。
作品への疑問は置いておいて、次はキャストについて、きゃーきゃーアタマ悪いミーハー語りをする予定！（書く時間あるのか自分。ぢつは今日はもう花組初日だっつーの）
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