何故彼に。何故彼を。@ロジェ
2010年6月27日 タカラヅカ 実はいちばん引っかかったのが、リオン@キムの台詞だ。
「どうして俺に話したんだ?!」
『ロジェ』初日観劇、「復讐」連呼で、ドシリアスでダークな物語っぽく作ってあるわりに、大人になれない少年の心の旅路モノで、ウケた。
先日欄で語ったが、主人公のロジェ@水しぇんは誰も愛していない……誰ともまともに関わり合えない、未成熟な精神の男だった。
正塚作品お約束の友情場面……銀橋でロジェとリオンのじゃれているよーな歌が1曲あったりするんだが、ほんとのとこロジェはリオンのことを大して好きじゃない。興味もない。
復讐に必要だから、便利だから、つきあっているだけ。
表面上のつきあいであり、こんなのは友人とも友情とも呼ばない。
銀橋でじゃれ合って1曲歌えば「友情シーン」だなんて、とんでもないっす。
むしろ、心を開いても預けてもいない相手と、「定番の友情表現」をされると、心寒いっす。
ロジェは会ったばかりのレア@みなこには、自分の過去をべらべら喋る。同じよーな境遇だからってことらしい。
が、長年のつきあいらしいリオンには、なにも言わない。リオンはロジェが何故、戦犯探しに必死なのか知らずにいる。
暴走するロジェに振り回されて、リオンが声を上げても、ロジェはお構いなし。ほんっとーに、心から、リオンのことはどーでもいいんだろう。
ロジェのリオンへの仕打ちや、仲間であるヴィンセント@咲奈くんへの物言いとかを見ていると、どんどんいやなキモチになる。
ロジェが大切なのは、自分とその家族だけ。
あとは全部表面上のつきあい、利用しているだけ。
いや、それはいいんだ。
復讐のため、心を病んだ男なら、他人全部利用していても不思議じゃない。
ただ、こんだけ愛のない男なのに、「友情」「仲間」が存在しているような描き方をされていることが、引っかかった。
作者自身が、気づいてないんじゃないのか、自分の描いたロジェという男の造形が壊れていることに?
やたらと「復讐」で「汚れたオレ」を強調する、苦悩ソングを歌ったりするロジェ。
本当に、言葉だけで書かれている「復讐だけに生きる男」なら、仲間を使い捨ててもいいんだが、言葉でどんだけ悪ぶって深刻ぶっても、実際に目の前にいるロジェは生真面目な人情家で、正義の人だ。
このまっすぐな男が、リオンやヴィンセントを利用しているだけってのは、おかしい。違和感。
脚本で強調されているモノと、実際に見えるモノの乖離っぷり。
それが気持ち悪かった。
もっとふつーに、ロジェがリオンを好きだとわかるように、なんで描かないんだ? ヴィンセントが仲間だとわかる描き方をしないんだ?
利用して、振り回しているところしかないなんて。なのに、友情ぶって、仲間ぶって、キモチワルイ。
その腑に落ちなさが、ブエノスアイレスのホテルでの、ロジェとリオンの会話で解消されるんだ。
それまでリオンにはなにも知らせていなかったロジェ。
仇と追ってきたシュミット@ヲヅキの居場所を突き止め、殺しに行こうとするまさにそのときに、リオンに事情を話す。
話したら、止められるに決まってるのに。
「どうして俺に話したんだ?!」
「どうしてだろうな」
リオンは刑事だ。私怨による復讐、殺人を認めるはずがない。
案の定リオンは猛反対し、そんなリオンをロジェは手錠で椅子につないで出て行く。
ロジェにとって復讐がすべてで、シュミットを殺すことが出来ればあとはどうなってもいいと、多分もう死んでもイイと思って、出て行っている。
リオンに会うのは、これが最後。
だから、おそらく。
知っておいて、欲しかったんだ。
リオンに。
自分が何故、ひとりの医師を殺したのかを。それによって死んだのかを。
自分のクチではもう、語ることが出来ないだろう、その真実を。
……別に自殺するつもりはなかったろうから、死ぬと限ったわけじゃなかろーが、それくらいの覚悟だった。
または、止めて欲しかった、のかもしれない。
復讐なんて間違ってる、やめろ、と。
それでも、ロジェは行くんだけど。
ここではじめて。
あ、なんだ、ロジェ、リオンのことちゃんと好きだったんだ。と、思った。
でもそれまでの場面はあまりにも、愛がなかった。興味もなかった。お笑い担当のマキシム@コマと変わらない温度感でしかなかった。
好意があっても、アレだったのか。
まともに友人関係築けない人だったのか。
つか、自分の気持ちに気づいてなくね?
とわかると、キモチワルイと思っていた部分にひとつずつ、説明が付くようになった。
真面目すぎて、復讐以外考えられない、対人関係構築以前の子どもなんじゃん。
好きとか興味とか、自分では理解できないんだ。
24年前から、心の成長が止まってしまってるんだ。
だからレア相手も、あんなだし。
彼女がしきりにモーション掛けてるのに、ぜんっぜんわかってないし。
なにもかもが、これからだ。
ロジェはようやく、「他人」を見ることができるようになったんだ。
今までのような「自分」と「家族」というせまい世界ではなく、世の中に一歩を踏み出したんだ。
そう思って見れば、それまでの「興味ない」「表面だけの友人面」も、かわいらしく、また切なく思える。
本当は好きなのに、あるいは好きになるはずなのに、こんなふうにしか接することが出来ない、「自分」と「家族」以外の社会単位を知らない幼児なんだ、と。
新たに一歩、大人の階段を上ったロジェ。彼の人生はこれからだ。
てゆーか、これからこそを見せてくれ。
そう思うからこそ、「成長しました」でみんなに見送られて旅立つロジェに、「ちょっと待った!」と思いました(笑)。
成長して、どう踏み出すのか、せめてもうちょい見せてくれよ。
ダメ男のMr.YUがチェンジボックスでエキサイターに変身した、そこでエンドマークはあんまりだ、変身してみんなをあっと言わせるまで描いてくれ! と、思ったように。
どうしたもんかな、と幕間は溜息ついたよ、ハリー(笑)。
正塚せんせが描いたつもりのものと、わたしが見たモノはチガウってだけかもしれないけれど。
「どうして俺に話したんだ?!」
『ロジェ』初日観劇、「復讐」連呼で、ドシリアスでダークな物語っぽく作ってあるわりに、大人になれない少年の心の旅路モノで、ウケた。
先日欄で語ったが、主人公のロジェ@水しぇんは誰も愛していない……誰ともまともに関わり合えない、未成熟な精神の男だった。
正塚作品お約束の友情場面……銀橋でロジェとリオンのじゃれているよーな歌が1曲あったりするんだが、ほんとのとこロジェはリオンのことを大して好きじゃない。興味もない。
復讐に必要だから、便利だから、つきあっているだけ。
表面上のつきあいであり、こんなのは友人とも友情とも呼ばない。
銀橋でじゃれ合って1曲歌えば「友情シーン」だなんて、とんでもないっす。
むしろ、心を開いても預けてもいない相手と、「定番の友情表現」をされると、心寒いっす。
ロジェは会ったばかりのレア@みなこには、自分の過去をべらべら喋る。同じよーな境遇だからってことらしい。
が、長年のつきあいらしいリオンには、なにも言わない。リオンはロジェが何故、戦犯探しに必死なのか知らずにいる。
暴走するロジェに振り回されて、リオンが声を上げても、ロジェはお構いなし。ほんっとーに、心から、リオンのことはどーでもいいんだろう。
ロジェのリオンへの仕打ちや、仲間であるヴィンセント@咲奈くんへの物言いとかを見ていると、どんどんいやなキモチになる。
ロジェが大切なのは、自分とその家族だけ。
あとは全部表面上のつきあい、利用しているだけ。
いや、それはいいんだ。
復讐のため、心を病んだ男なら、他人全部利用していても不思議じゃない。
ただ、こんだけ愛のない男なのに、「友情」「仲間」が存在しているような描き方をされていることが、引っかかった。
作者自身が、気づいてないんじゃないのか、自分の描いたロジェという男の造形が壊れていることに?
やたらと「復讐」で「汚れたオレ」を強調する、苦悩ソングを歌ったりするロジェ。
本当に、言葉だけで書かれている「復讐だけに生きる男」なら、仲間を使い捨ててもいいんだが、言葉でどんだけ悪ぶって深刻ぶっても、実際に目の前にいるロジェは生真面目な人情家で、正義の人だ。
このまっすぐな男が、リオンやヴィンセントを利用しているだけってのは、おかしい。違和感。
脚本で強調されているモノと、実際に見えるモノの乖離っぷり。
それが気持ち悪かった。
もっとふつーに、ロジェがリオンを好きだとわかるように、なんで描かないんだ? ヴィンセントが仲間だとわかる描き方をしないんだ?
利用して、振り回しているところしかないなんて。なのに、友情ぶって、仲間ぶって、キモチワルイ。
その腑に落ちなさが、ブエノスアイレスのホテルでの、ロジェとリオンの会話で解消されるんだ。
それまでリオンにはなにも知らせていなかったロジェ。
仇と追ってきたシュミット@ヲヅキの居場所を突き止め、殺しに行こうとするまさにそのときに、リオンに事情を話す。
話したら、止められるに決まってるのに。
「どうして俺に話したんだ?!」
「どうしてだろうな」
リオンは刑事だ。私怨による復讐、殺人を認めるはずがない。
案の定リオンは猛反対し、そんなリオンをロジェは手錠で椅子につないで出て行く。
ロジェにとって復讐がすべてで、シュミットを殺すことが出来ればあとはどうなってもいいと、多分もう死んでもイイと思って、出て行っている。
リオンに会うのは、これが最後。
だから、おそらく。
知っておいて、欲しかったんだ。
リオンに。
自分が何故、ひとりの医師を殺したのかを。それによって死んだのかを。
自分のクチではもう、語ることが出来ないだろう、その真実を。
……別に自殺するつもりはなかったろうから、死ぬと限ったわけじゃなかろーが、それくらいの覚悟だった。
または、止めて欲しかった、のかもしれない。
復讐なんて間違ってる、やめろ、と。
それでも、ロジェは行くんだけど。
ここではじめて。
あ、なんだ、ロジェ、リオンのことちゃんと好きだったんだ。と、思った。
でもそれまでの場面はあまりにも、愛がなかった。興味もなかった。お笑い担当のマキシム@コマと変わらない温度感でしかなかった。
好意があっても、アレだったのか。
まともに友人関係築けない人だったのか。
つか、自分の気持ちに気づいてなくね?
とわかると、キモチワルイと思っていた部分にひとつずつ、説明が付くようになった。
真面目すぎて、復讐以外考えられない、対人関係構築以前の子どもなんじゃん。
好きとか興味とか、自分では理解できないんだ。
24年前から、心の成長が止まってしまってるんだ。
だからレア相手も、あんなだし。
彼女がしきりにモーション掛けてるのに、ぜんっぜんわかってないし。
なにもかもが、これからだ。
ロジェはようやく、「他人」を見ることができるようになったんだ。
今までのような「自分」と「家族」というせまい世界ではなく、世の中に一歩を踏み出したんだ。
そう思って見れば、それまでの「興味ない」「表面だけの友人面」も、かわいらしく、また切なく思える。
本当は好きなのに、あるいは好きになるはずなのに、こんなふうにしか接することが出来ない、「自分」と「家族」以外の社会単位を知らない幼児なんだ、と。
新たに一歩、大人の階段を上ったロジェ。彼の人生はこれからだ。
てゆーか、これからこそを見せてくれ。
そう思うからこそ、「成長しました」でみんなに見送られて旅立つロジェに、「ちょっと待った!」と思いました(笑)。
成長して、どう踏み出すのか、せめてもうちょい見せてくれよ。
ダメ男のMr.YUがチェンジボックスでエキサイターに変身した、そこでエンドマークはあんまりだ、変身してみんなをあっと言わせるまで描いてくれ! と、思ったように。
どうしたもんかな、と幕間は溜息ついたよ、ハリー(笑)。
正塚せんせが描いたつもりのものと、わたしが見たモノはチガウってだけかもしれないけれど。
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