日常の範囲内だからこその、ときめきを。@メランコリック・ジゴロ
2010年11月19日 タカラヅカ 作品を好きだと、再演は「役替わり公演」として楽しめる。
演じる人が変わることで、新しい発見や、解釈があったり。
ダニエル@まとぶんとフェリシア@蘭ちゃんの年の差恋愛に萌えられるのも、そういった再演ならではの楽しみ。
路線・脇関係なく、大胆なシャッフル配役をしてくれた、全国ツアー『メランコリック・ジゴロ』。
期待していましたとも、いろんな役を、人々を!
そして。
3年前の中日公演とはかなり色が変わったなと。
なんつーんだ、ファンタジー色が薄れて、よりふつーの恋愛モノになったというか。
主人公のダニエルと、相棒のスタン@壮くんは、基本あまり変化はしていないと思う。同じ役だから、いきなり役の解釈を変える必要はない。
ただ、彼らをとりまく人々が大きく変わった。
現実的な人々に。
初日の2公演を観て、驚いたんだ。展開されている物語の、ふつーさに。
同じ物語なのに、タカラヅカ的ファンタジー色が薄くなってる。すごくふつー。ふつーの、ミュージカルだー。
あまりにふつーで驚いた、いちばんはなんといっても、ティーナ@ゆまちゃん。
浅慮で生活が派手な、ふつーの女の人だった。
ちんぴらを恋人に持ち、ふたりで組んで美人局とかやってる、テレビドラマや映画によく出てくるタイプの美女。
ぶっとんでもいないし、エイリアンでもない。
「ふつー」「日常」の枠の中で、「ありがち」な言動と生活をしている、顔とカラダのイイ女の子。
そ、そうか、ティーナって脚本的にぶっとんでるわけじゃなく、ふつーの人が演じればふつーのキャラクタだったんだ。
改めてののすみの化け物ぶりを思う(笑)。ののすみティーナのぶっとびぶりは半端なかった。
そこを舞台の中心にしてしまう、華と存在感。
他の誰とも比べられない「ティーナ」という女の子を創りあげていた。ドラマや映画というよりは、マンガやアニメ的。二次元をよくここまで三次元化したってゆーか。
彼女の作り出すファンタジーっぷりは、すごかったんだ。
次にふつーで驚いたのは、バロット@みつる。
なんの違和感もなく「オレに任せりゃ一発だ」な男。
そう、違和感がない。みつるが腕っ節だけが自慢の乱暴者を演じていても、ふつーに納得してしまう。
あ、あれ? ふつーだ、違和感ない、納得……って、バロットってそーゆー役だったのか??
改めて、まっつはバロットキャラではなかったんだなと思う。任ではないというか。
まっつがあのひょろっこい姿で、カケラも強くなさそうな姿で「オレに任せりゃ一発だ」ってのは……キャラ違いも甚だしい。
わたしは最後までわからなかったさ、まっつバロットが本当に強いのか、強いと思い込んでいるだけのバカなのか。
外見と演じているキャラのミスマッチ……それゆえにまっつバロットは「そこにいるだけで笑える」キャラクタだった。
ふつーにカーテン前を歩いているだけで、客席から笑い声が起こる。別におもしろいことをしているわけでも、言っているわけでもないのに、とにかく笑い声が上がる。
まっつのバロットしか知らないわたしは、バロットってのは、そーゆーキャラかと思っていた。
が。みつるバロットは、別に笑いは起こらない。
ふつーに強そうだし、強くてもアタマは弱くてかかあ天下なんだなと、見た目から納得できる。
ドラマや映画によく出てくるタイプ。会話としておもしろいところは笑いが起こっていたけれど、存在自体がおかしいわけではまったくない。
「ふつー」「日常」の枠の中で、「ありがち」な言動と生活をしている、愛すべきちんぴらキャラ。
みつるバロットのふつーさを後押ししたのはもうひとつ、奥さんのルシル@さあやにも原因がある。
さあやは美人で手堅い仕事をする人だが、やっぱりその、地味だ。うまくて地味な人とコンビ芝居をすると、さらにバロットはふつーの男になる。みつるには、巧さより華やかさのある女の子と組む方が合っている気がした。
ふつーといっても、バロット自体かわいくてイイ役なので、見ていて楽しいからいいんだが。
つか、そもそも役が正しい、任に合っている、のはみつるバロットだよな?
でもって、次にふつーで驚いたのは、ノルベール@まりん。
はっきり言って、すげー巧い。
芝居巧者のまりんが、余裕で本領発揮している。浮浪者のときも、一転して元大物犯罪者と正体を明かすときも、フェリシアの父として対峙するときも。
途方もない話なのに、まりんが演じればそこにリアルが生まれ、なんかすげー感動物語発動。彼の人生の重みが感じられ、親子の対面で泣かされる。
さおたさんノルベールは、リアルではなかったなと。彼は二枚目過ぎた。彼には生活臭がなかった。罪と秘密を背負い10年以上逃げ隠れしていたとか、実感できない。
ただの「種明かし」「どんでん返しを語る人」であり、生きた人間ではなかった。
でもそれが、中日版のノルベールに相応しかった。
ティーナやバロットが派手にファンタジーを構築しているように、ノルベールもリアリティよりは「物語」としての美しさが必要だった。フォンダリ@みわっちが異世界なくらいファンタジックなキャラなんだし。
とまあ、中日版と比べ、全ツ版は地に足がついている。
「ふつー」「日常」の枠の中で、恋愛ミュージカルやってる。
同じ脚本なのに、こんだけ変わるんだ。
つか、中日版はほんとファンタジーだったんだ。
「いそうで、いない人」という半リアルな設定で、そこからさらに斜め上にぶっとんだキャラ造形だった。
笑いもどっかんどっかん、総じて派手。
でもって、ここに彩音フェリシアという、これまた現実離れした妹キャラが加わるわけだ。リアルな蘭ちゃんではなく。
ラストシーンがダニエルとフェリシアのデュエットダンスっつーのも、いかにもタカラヅカな「ファンタジー」だよなあ。全ツはソレもカットされてるしさー。
中日はファンタジックなコメディ、全ツは恋愛ドラマって感じか。
どちらがいいとか悪いとかではなく、それぞれおもしろい。
ふつーな世界観だからこそ、今回はさらにダニエルとフェリシアの切ない関係にドキドキきゅんきゅんできる。
中日版に比べ、リアルにふつーにまとまった全ツ版。
そこでただひとり、正反対にファンタジーキャラをぶっ飛ばしているのは、マチウ@めおくん(笑)。
それはまた、別の欄で。
演じる人が変わることで、新しい発見や、解釈があったり。
ダニエル@まとぶんとフェリシア@蘭ちゃんの年の差恋愛に萌えられるのも、そういった再演ならではの楽しみ。
路線・脇関係なく、大胆なシャッフル配役をしてくれた、全国ツアー『メランコリック・ジゴロ』。
期待していましたとも、いろんな役を、人々を!
そして。
3年前の中日公演とはかなり色が変わったなと。
なんつーんだ、ファンタジー色が薄れて、よりふつーの恋愛モノになったというか。
主人公のダニエルと、相棒のスタン@壮くんは、基本あまり変化はしていないと思う。同じ役だから、いきなり役の解釈を変える必要はない。
ただ、彼らをとりまく人々が大きく変わった。
現実的な人々に。
初日の2公演を観て、驚いたんだ。展開されている物語の、ふつーさに。
同じ物語なのに、タカラヅカ的ファンタジー色が薄くなってる。すごくふつー。ふつーの、ミュージカルだー。
あまりにふつーで驚いた、いちばんはなんといっても、ティーナ@ゆまちゃん。
浅慮で生活が派手な、ふつーの女の人だった。
ちんぴらを恋人に持ち、ふたりで組んで美人局とかやってる、テレビドラマや映画によく出てくるタイプの美女。
ぶっとんでもいないし、エイリアンでもない。
「ふつー」「日常」の枠の中で、「ありがち」な言動と生活をしている、顔とカラダのイイ女の子。
そ、そうか、ティーナって脚本的にぶっとんでるわけじゃなく、ふつーの人が演じればふつーのキャラクタだったんだ。
改めてののすみの化け物ぶりを思う(笑)。ののすみティーナのぶっとびぶりは半端なかった。
そこを舞台の中心にしてしまう、華と存在感。
他の誰とも比べられない「ティーナ」という女の子を創りあげていた。ドラマや映画というよりは、マンガやアニメ的。二次元をよくここまで三次元化したってゆーか。
彼女の作り出すファンタジーっぷりは、すごかったんだ。
次にふつーで驚いたのは、バロット@みつる。
なんの違和感もなく「オレに任せりゃ一発だ」な男。
そう、違和感がない。みつるが腕っ節だけが自慢の乱暴者を演じていても、ふつーに納得してしまう。
あ、あれ? ふつーだ、違和感ない、納得……って、バロットってそーゆー役だったのか??
改めて、まっつはバロットキャラではなかったんだなと思う。任ではないというか。
まっつがあのひょろっこい姿で、カケラも強くなさそうな姿で「オレに任せりゃ一発だ」ってのは……キャラ違いも甚だしい。
わたしは最後までわからなかったさ、まっつバロットが本当に強いのか、強いと思い込んでいるだけのバカなのか。
外見と演じているキャラのミスマッチ……それゆえにまっつバロットは「そこにいるだけで笑える」キャラクタだった。
ふつーにカーテン前を歩いているだけで、客席から笑い声が起こる。別におもしろいことをしているわけでも、言っているわけでもないのに、とにかく笑い声が上がる。
まっつのバロットしか知らないわたしは、バロットってのは、そーゆーキャラかと思っていた。
が。みつるバロットは、別に笑いは起こらない。
ふつーに強そうだし、強くてもアタマは弱くてかかあ天下なんだなと、見た目から納得できる。
ドラマや映画によく出てくるタイプ。会話としておもしろいところは笑いが起こっていたけれど、存在自体がおかしいわけではまったくない。
「ふつー」「日常」の枠の中で、「ありがち」な言動と生活をしている、愛すべきちんぴらキャラ。
みつるバロットのふつーさを後押ししたのはもうひとつ、奥さんのルシル@さあやにも原因がある。
さあやは美人で手堅い仕事をする人だが、やっぱりその、地味だ。うまくて地味な人とコンビ芝居をすると、さらにバロットはふつーの男になる。みつるには、巧さより華やかさのある女の子と組む方が合っている気がした。
ふつーといっても、バロット自体かわいくてイイ役なので、見ていて楽しいからいいんだが。
つか、そもそも役が正しい、任に合っている、のはみつるバロットだよな?
でもって、次にふつーで驚いたのは、ノルベール@まりん。
はっきり言って、すげー巧い。
芝居巧者のまりんが、余裕で本領発揮している。浮浪者のときも、一転して元大物犯罪者と正体を明かすときも、フェリシアの父として対峙するときも。
途方もない話なのに、まりんが演じればそこにリアルが生まれ、なんかすげー感動物語発動。彼の人生の重みが感じられ、親子の対面で泣かされる。
さおたさんノルベールは、リアルではなかったなと。彼は二枚目過ぎた。彼には生活臭がなかった。罪と秘密を背負い10年以上逃げ隠れしていたとか、実感できない。
ただの「種明かし」「どんでん返しを語る人」であり、生きた人間ではなかった。
でもそれが、中日版のノルベールに相応しかった。
ティーナやバロットが派手にファンタジーを構築しているように、ノルベールもリアリティよりは「物語」としての美しさが必要だった。フォンダリ@みわっちが異世界なくらいファンタジックなキャラなんだし。
とまあ、中日版と比べ、全ツ版は地に足がついている。
「ふつー」「日常」の枠の中で、恋愛ミュージカルやってる。
同じ脚本なのに、こんだけ変わるんだ。
つか、中日版はほんとファンタジーだったんだ。
「いそうで、いない人」という半リアルな設定で、そこからさらに斜め上にぶっとんだキャラ造形だった。
笑いもどっかんどっかん、総じて派手。
でもって、ここに彩音フェリシアという、これまた現実離れした妹キャラが加わるわけだ。リアルな蘭ちゃんではなく。
ラストシーンがダニエルとフェリシアのデュエットダンスっつーのも、いかにもタカラヅカな「ファンタジー」だよなあ。全ツはソレもカットされてるしさー。
中日はファンタジックなコメディ、全ツは恋愛ドラマって感じか。
どちらがいいとか悪いとかではなく、それぞれおもしろい。
ふつーな世界観だからこそ、今回はさらにダニエルとフェリシアの切ない関係にドキドキきゅんきゅんできる。
中日版に比べ、リアルにふつーにまとまった全ツ版。
そこでただひとり、正反対にファンタジーキャラをぶっ飛ばしているのは、マチウ@めおくん(笑)。
それはまた、別の欄で。
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