すごくおもしろかった、新人公演『エドワード8世』

 チャーチル@からんくん!!

 誰がなんの役か、さほどわかってなかったの。
 まんちゃんがとしくんの役、歌、大丈夫か?!てのがいちばんの懸念で、それ以外はあんまり気にしてなかった。
 だからチャーチル役のことは、あまり意識してなかった、誰が、なんてこと。専科さんの役だから長の期の男の子がやるんだろう、手堅く、ぐらいの意識。

 それがいざ、登場すると、からんくんで。

 ええ、からんくん。
 子役まかせろの美少年。『Misty Station』ではロケットガールやってますわね。ちっちゃくてキュート。かわいこちゃん。
 やる気あふれる舞台姿から、鼻息の荒い子だなーというイメージ。

 そのちっちゃなかわいこちゃんが、チャーチル。
 本役は、ヒロさん。『エドワード8世』の影の2番手。主役とは違った意味で、もっとも難しい役。

 いやあ、驚いた。
 からんくんなのか?!と。なんでこんな配役?!と。

 悲しいほど、似合ってない。

 かわいい顔はそのまま、髪にだけ白いモノを混じらせている。
 声は高く、少年っぽい。

 見た目だけで言うなら、すごくちぐはぐ。
 子どもが大人の真似をしているみたい。

 からんくんは巧い子だし、アグレッシヴな舞台姿勢の子だけど、これは……この役だけは、無理……!!

 なんでヒゲ付けなかったんだろう。
 オンナノコみたいな顔はどうしようもないんだし、小柄なのも少年体型なのも仕方ない。ならばせめて、ヒゲに頼ればよかったのに。
 せめて、記号的に「年配役」だとわかるようにすればよかったのに。

 そう思いました。

 が。

 そうなの、それだけでは、終わらなかったの。

 見た目も声も、年配男性ではまったくない。少年が無理している感ありあり。
 なのに、なのに。

 舞台が進むと、違和感がなくなっていく。

 姿も声も「そーゆーもん」だと思えば、気にならなくなる。
 ふつうに、「チャーチル」という役に見える。

 てゆーか。

 巧い。

 芝居、巧いよね。ほんとに、違和感なくなった。引き込まれて見ていた。
 見た目じゃないのよ、演技なのよ。芝居で、「チャーチル」だって、「年配の男」「くせ者政治家」だってわかる……!

 小さなチャーチルが、大きなデイヴィッド@たまきちを翻弄する。
 「戦え」と煽動する。
 ぞくぞくする。
 つか、歌、うまい。ハーモニーの確かさにテンション上がった。
 きりやんデイヴィッドと違い、たまきちデイヴィッドには足下が定まらない危うさがある。
 その危うい部分を、老練なチャーチルが突く。
 ほんとうに、デイヴィッドは陥落するかもしれない、このチャーチルになら。そう思った。
 まさかのチャーチル×デイヴィッド。チャーチル、鬼畜! ちょっとこの人こわい!
 さんざんデイヴィッドを弄んだあと、いきなりさっと手を放し、それまでの鬼畜さを改め紳士の顔に戻り。
「私でよろしければ、いつでも陛下の後ろ盾に」なんて一礼するのよ? ちょっともお、すごいって!(笑)

 おもしろかった、マジで。
 チャーチルがこわくて、色っぽい。
 姿は、えっと、微妙なんだけど。大人か子どもかわかんなくて。
 それでも、かっこいいし、色っぽい。不思議だ。視覚と演技を受け取る部分って、別なのか。

 からんくんが、もっと身長あれば……。丸顔じゃなくて、大人を作れる顔立ちならば。
 きっともっと、いろんな役が出来るんだろう。
 これだけ限定される外見なのに、こんだけわくわくさせてくれるって、すごいわ。
 これから学年を重ね、大人の顔になるにつれ、さらにいい男になるだろう。
 楽しみだわ。

 次作が発表になったとき、からんくんに新公主演やってほしいと思ったんだが、マジでロミオ見てみたいよ。思い切りぶっ飛ばした、狂気のロミオやってくんねーかなー。


 もうひとり、芝居を見てツボにハマったというか、ウケた子がいる。

 メンジース@朝美絢くん。

 MI6の人です。本役たまきち。
 カフェ・ド・パリにひとり残ったウォリス@ちゃぴの前に「チャーチル様に言われてきました、同席していいですか」と現れ、「あなたの同業者ですよ」とウォリスの上海時代の写真を突きつける、あの人。

 登場した瞬間から、顔が悪役(笑)。

 むーーっちゃ悪い顔。
 悪意というか、嘲りが出ている。
 本役のたまきちメンジースとぜんっぜんチガウ。
 「スパイだった過去を隠して国王に取り入るアメリカ女」を嬲る気、満々。
 ウォリスに写真を突きつけ、暴露の歌を歌うんだが、それがむっちゃ愉しそう。サディストの顔してる。

 任務じゃない、アンタ絶対ソレ私怨とか趣味とか入ってる!!(笑)
 女スパイをキタナイものだと思ってる? 嘲りと悪意、明白な攻撃の意志。
 取り乱すウォリスを見て、優越感に浸る。

 なんつー派手な芸風。歌声のボリュームもたっぷり。ちょっと裏返りかけてたけど、なんとか持ちこたえ、歌いきった。

 おもしれー。ナニこの子。
 もともとショーアップされた派手な場面だけど、破裂度が予想外に大きかった。
 イッちゃった風情に、キレたスパイってアリだよなと思う。まともな性質なら、情報部なんかにいないよなと、戦争と戦争の合間、逼迫した情勢を思ってみたり。

 なんにせよ、おもしろかった。
 こんな子がいるんだー。
 きれいだし、そこそこ歌えてるし、これから楽しみだ。


 あと、この新公でいちばん顔が好みだと思ったのは、ヘンリー@星那由貴くんだ。

 わたしの好きな、きれいな弓形を描いたデコから頬のラインの持ち主。
 ちょい小ぶりだが、鼻の形もきれい。……小ぶりだと思うのは、わたしがでかい鼻スキーだからで、世の中的にはこれくらいの鼻の方がいいのかもしれん(笑)。

 役の多い公演はいいわー。目がいくつあっても足りない。新しい発見がある。


 93期と95期の文化祭プログラムを引っ張り出して眺めてしまったよ。
 星那くん93期、朝美くん95期。
 93期はもうみんなそれぞれ活躍している学年なんだねえ。いろいろ感慨深いわ。そして、昔自分が書いた文化祭感想覚え書きなんぞを引っ張り出して、さらに感慨にふける。
 そっかオレ、ジョーくんのことけっこー好みって書いてるわー……なんてブレない好みなのかしら(笑)。や、93期文化祭は宙組のりくくんに夢中だったんですけどね。んで95期文化祭では男役のちゃぴに夢中だったしね。
 93期文化祭の演劇は、著作権カットで映像がまったく残ってないんだよねー、ひどいねー、文化祭なのにねー。

 こうやってあとから記憶をひもとくために、文化祭を観ているよーなものだ(笑)。
 新人公演も、しかり。

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