オトコマエな娘役と、それを受け止めきったトップスター。@月組千秋楽
2012年3月6日 タカラヅカ 『エドワード8世』『Misty Station』千秋楽。
もちろんチケットのなかったわたしは早朝から当日券に並び、幸運にも立見チケットをゲットした。
広い広い大劇場のいちばん後ろ、いつの場所で立見した。きりまりコンビのラストステージを見届けた。
いちばん後ろだから。
客席の様子も、よくわかる。
わたしの立ち位置の前、A席からS席後方にかけて、全部きりやんファンだったと思う。
ご贔屓を見送る、そのラストステージを見つめる、そのなんともいえない空気が満ちていた。
もちろんみんなそれぞれの思いを噛みしめてそこにいて、すでに泣いている人も多かったのだろうと思うけど。
その場にいた見渡す限りの人が、一斉に崩れる姿を見た。
サヨナラショーのあと、組長の越リュウが退団者からのメッセージを読む。退団者が袴に着替えるまでの時間つなぎだ。
その中で、まりもちゃんのメッセージは観客の笑いを誘った。
「男前の娘役、そんな娘役がいたと思いだしてもらえれば」てなまりも自身の言葉を、越リュウがユーモアたっぷりに語ったからだ。
そのときは、笑うところだった。
なんだ、まりも自身も知ってたんだ、男前って言われていたこと。
姐さんとか月組2番手とか。
およそ、「トップ娘役」らしからぬ形容をされる娘役だったこと。
でも、実際に袴姿のまりもちゃんが大階段を降り、わたしたちの前で最後の挨拶をはじめたとき。
笑いごとじゃ、なかった。いやその、笑いは起こっていたけど。
少なくとも、わたしは「ごめん」なキモチになった。
オトコマエだと思っていた。
そのかっこいい舞台姿から。
素のまりもちゃんは知りませんもの。わたしは舞台上の彼女しか知らない。
超下級生時代から、落ち着いていたというか迫力があったというか、言葉を返せば初々しくも可憐でもなかった彼女。
あのあまりの貫禄から、すっかり別格娘役だと思っていたくらいだ。トップ娘役の発表を聞いて、路線だったのかと驚くところからスタートだった。
自分の言葉で話したことがない、と言う彼女。
そうだよな、娘役はこうしてマイクの前で観客に話しかけることが基本ない。それはトップスターや、その公演で主演する男役の仕事だ。
娘役がマイクの前で話すことは、ほんとに少ないんだ。
本人がはじめてだと言うくらいだ、わたしも聞くのははじめてだ。
はじめて見る、素のまりもちゃんは。
すでに、泣いていた。
大抵の子が、端正に挨拶をする場で。
誰より男前な姐さんが、ちっちゃな女の子のように、泣いていた。
泣きながら、ぼそぼそと喋る。
蒼乃夕妃と言えば男前の娘役だと言われ、悩んだこともあった、と。
あ、本気で悩んでたんだ。
メッセージで言い、さらにこの場で言うってことは、マジだ。
もう自分の中で解決したことだから、こうして語れるのだとは思うけれど、一時は本気で悩んだんだ。
それが、わかった。
わたしは、見たまんまオトコマエな女の子だと思っていたから、そう言われて傷つくとか、悩むとか、想像したこともなかった。
むしろわかってどんとこーい!とやってるくらいかと思ってた。
ごめん。
傷つけてたんだ。悩ませてたんだ。
ごめんね。悪気はなかったんだよ。褒め言葉のつもりだったんだよ。
そうだよね、娘役だもんね。オトコマエとか言われてうれしいわけないよね。
そう思ったら、泣きながらぼそぼそ喋る姿が、愛しくて。
でかくて押し出しのいい体格で、こんなにこんなにふつーの女の子、ふつーの娘役なんだと思ったら、可愛くてたまらないわ、誤解していた申し訳なさや、それでもやっぱり舞台での格好良さは揺るがないことや、いろーなことが押し寄せて胸が熱くなった。
そーゆー悩みを乗り越えて、格好良く堂々と「オトコマエな娘役」と勤め上げたんだ。
やっぱりカッコイイわ。
で、そのオトコマエと言われた娘役は語るんだ。
いとけない女の子の姿で。
「こんな私を大きな心で受け止めてくださった、霧矢さんのおそばでなければ、輝けなかったです」
泣きべそかきながら。
わたしの目の前のきりやんファン、総崩れ。
決壊、って感じ。
見渡す限り、だーーって泣き出した。
きりやんが袴姿で登場する、それを待つ緊張感っていうか、今泣き崩れているときではないという覚悟とか、そんな、ある意味張り詰めたモノがあったのね。
それがまりもちゃんの言葉で、一斉に壊れた。
いや……泣くわ、そりゃ。
10期下の若い若い女の子が、ベテランのきりやんに必死になってついてゆき、その結果とてもお似合いのコンビになり、こうやって晴れの場で卒業していく。
そのときに、こんな風に素の姿で感謝を伝えられたら……泣くわ。
わたしも一緒になって、決壊したもんよ。
うわーんうわーん、まりも~~。
この涙の洪水状態のところへ、きりやん登場ですよ。
きりやんは大人で、整った挨拶をしていた。
それがまた、涙ですーすーする胸に染みるというか。
ああ、いいコンビだったなあ。
素敵な娘役だった、まりもちゃん。
そして、素晴らしいタカラヅカ・スター、きりやん。
ふたりの時代、好きだったよ。
もちろんチケットのなかったわたしは早朝から当日券に並び、幸運にも立見チケットをゲットした。
広い広い大劇場のいちばん後ろ、いつの場所で立見した。きりまりコンビのラストステージを見届けた。
いちばん後ろだから。
客席の様子も、よくわかる。
わたしの立ち位置の前、A席からS席後方にかけて、全部きりやんファンだったと思う。
ご贔屓を見送る、そのラストステージを見つめる、そのなんともいえない空気が満ちていた。
もちろんみんなそれぞれの思いを噛みしめてそこにいて、すでに泣いている人も多かったのだろうと思うけど。
その場にいた見渡す限りの人が、一斉に崩れる姿を見た。
サヨナラショーのあと、組長の越リュウが退団者からのメッセージを読む。退団者が袴に着替えるまでの時間つなぎだ。
その中で、まりもちゃんのメッセージは観客の笑いを誘った。
「男前の娘役、そんな娘役がいたと思いだしてもらえれば」てなまりも自身の言葉を、越リュウがユーモアたっぷりに語ったからだ。
そのときは、笑うところだった。
なんだ、まりも自身も知ってたんだ、男前って言われていたこと。
姐さんとか月組2番手とか。
およそ、「トップ娘役」らしからぬ形容をされる娘役だったこと。
でも、実際に袴姿のまりもちゃんが大階段を降り、わたしたちの前で最後の挨拶をはじめたとき。
笑いごとじゃ、なかった。いやその、笑いは起こっていたけど。
少なくとも、わたしは「ごめん」なキモチになった。
オトコマエだと思っていた。
そのかっこいい舞台姿から。
素のまりもちゃんは知りませんもの。わたしは舞台上の彼女しか知らない。
超下級生時代から、落ち着いていたというか迫力があったというか、言葉を返せば初々しくも可憐でもなかった彼女。
あのあまりの貫禄から、すっかり別格娘役だと思っていたくらいだ。トップ娘役の発表を聞いて、路線だったのかと驚くところからスタートだった。
自分の言葉で話したことがない、と言う彼女。
そうだよな、娘役はこうしてマイクの前で観客に話しかけることが基本ない。それはトップスターや、その公演で主演する男役の仕事だ。
娘役がマイクの前で話すことは、ほんとに少ないんだ。
本人がはじめてだと言うくらいだ、わたしも聞くのははじめてだ。
はじめて見る、素のまりもちゃんは。
すでに、泣いていた。
大抵の子が、端正に挨拶をする場で。
誰より男前な姐さんが、ちっちゃな女の子のように、泣いていた。
泣きながら、ぼそぼそと喋る。
蒼乃夕妃と言えば男前の娘役だと言われ、悩んだこともあった、と。
あ、本気で悩んでたんだ。
メッセージで言い、さらにこの場で言うってことは、マジだ。
もう自分の中で解決したことだから、こうして語れるのだとは思うけれど、一時は本気で悩んだんだ。
それが、わかった。
わたしは、見たまんまオトコマエな女の子だと思っていたから、そう言われて傷つくとか、悩むとか、想像したこともなかった。
むしろわかってどんとこーい!とやってるくらいかと思ってた。
ごめん。
傷つけてたんだ。悩ませてたんだ。
ごめんね。悪気はなかったんだよ。褒め言葉のつもりだったんだよ。
そうだよね、娘役だもんね。オトコマエとか言われてうれしいわけないよね。
そう思ったら、泣きながらぼそぼそ喋る姿が、愛しくて。
でかくて押し出しのいい体格で、こんなにこんなにふつーの女の子、ふつーの娘役なんだと思ったら、可愛くてたまらないわ、誤解していた申し訳なさや、それでもやっぱり舞台での格好良さは揺るがないことや、いろーなことが押し寄せて胸が熱くなった。
そーゆー悩みを乗り越えて、格好良く堂々と「オトコマエな娘役」と勤め上げたんだ。
やっぱりカッコイイわ。
で、そのオトコマエと言われた娘役は語るんだ。
いとけない女の子の姿で。
「こんな私を大きな心で受け止めてくださった、霧矢さんのおそばでなければ、輝けなかったです」
泣きべそかきながら。
わたしの目の前のきりやんファン、総崩れ。
決壊、って感じ。
見渡す限り、だーーって泣き出した。
きりやんが袴姿で登場する、それを待つ緊張感っていうか、今泣き崩れているときではないという覚悟とか、そんな、ある意味張り詰めたモノがあったのね。
それがまりもちゃんの言葉で、一斉に壊れた。
いや……泣くわ、そりゃ。
10期下の若い若い女の子が、ベテランのきりやんに必死になってついてゆき、その結果とてもお似合いのコンビになり、こうやって晴れの場で卒業していく。
そのときに、こんな風に素の姿で感謝を伝えられたら……泣くわ。
わたしも一緒になって、決壊したもんよ。
うわーんうわーん、まりも~~。
この涙の洪水状態のところへ、きりやん登場ですよ。
きりやんは大人で、整った挨拶をしていた。
それがまた、涙ですーすーする胸に染みるというか。
ああ、いいコンビだったなあ。
素敵な娘役だった、まりもちゃん。
そして、素晴らしいタカラヅカ・スター、きりやん。
ふたりの時代、好きだったよ。
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