えーと、とりあえず。

 ミラーボールが、4回、回ります。

 『Victorian Jazz』初日観劇……したはいいが、なにから語ればいいやら(笑)。

 たった2時間の芝居で、ミラーボールが4回、回ります。や、わたしが数え損なっていなければ。……もっと回っているのかもしれない。
 最初に回り出したとき、内心吹き出したもん。ミラーボール回るか!!と。
 なのに、何度も回り出すし。

 この作品の第一印象をいちばん物語っているのが、この「ちょ……っ、ミラーボール!!」だったりする。


 だいもん、初バウ主演おめでとー!!

 えーっと、「手錠でつなぎたい男No.1」とか、「鎖と呪縛が似合う男・2012」とかのキャッチフレーズが相応しい、我らがだいもんくん。
 ……あの抱腹絶倒『CODE HERO』で、だいもんの手錠プレイが見どころだったのは、記憶に新しい……というか、刻まれていることと存じます。
 そんな彼の初主演作が、ポスターからして手錠だもん。も、狙っているとしか……(笑)。

 あのだいもんが、よーやく初主演。年功序列の花組でなければ、もっと早く主演できた人だと思うけど、劇団推しの大スター様でないおかげで、谷せんせを押しつけられなかったことを、心から祝います。(劇団推しスターはみな、バウで谷作品をやらされる)
 この公演は、演出家の田渕大輔せんせのデビュー作でもあります。

 いやあ……若いっていいね!!

 デビュー作って、いいなあ。
 演劇の道を志してから、劇団に入ってから、何年も何年も夢見てきたわけでしょ? あたため続けてきたわけでしょ?
 それを、念願のデビュー作に、全部ぶつけてくるわけでしょ?

 生田くんもそうだったけど、田渕くんもまあ、鼻息荒っ(笑)。

 「やりたいこと」が渦を巻いていて、もー大変。
 あれもやりたい、これも表現したい。創作欲ががるがるうなりを上げていて、リビドー垂れ流し状態。

 その「若さ」が、見ていてこそばゆい。

 ただ、生田せんせとは、まったく違う方向の創作欲だけど。
 生田くんはなー、厨二病まっしぐらに、キャラクタの「カルマ」を描くことに夢中になっていた。
 田渕せんせは、「ミュージカルを創る」ことに必死。

 全編、無駄にミュージカル(笑)。や、無駄言うな、(笑)付けるなって。
 ここがタカラヅカである以上、無駄ではないんだが、その、過剰にミュージカル表現ぶっ放し続けてるもんでなあ。
 いろんな技巧を凝らすことに必死になって、その分ドラマ性、キャラクタ性は薄い。

 田渕せんせはデビュー作。
 だいもんは、初主演。

 これはもお、ステキに最強カード。

 だってさ。
 苦節何年で、念願のデビュー作でさ、望海風斗主演、って言われたら、クリエイターなら誰だって、夢を見るさ!

 タカラヅカ的美しさをがっつり持った男役、しかも歌唱力抜群、芝居もダンスも安心任せろ!な人ですよ?
 実力軽視の現タカラヅカ界において、ガチの実力派ですよ?

 ナニを要求しても、絶対応えてくれる、実力がある。

 描けるものの幅が、すげー広がるってもん。
 この歌を歌わせたいけど、このスターさんにはちょっとな……、てな縛りがないのよ? 芝居にしろダンスにしろ、表現したいと思うモノを、だいもんならほんとに表現してくれるのよ?

 わたしが演出家なら、泣いて喜ぶわー。
 ファン目線ってだけでなく、創作者目線でも、すげーありがたい人だもんよー。

 てことなんだろう、と思った。
 だってさ、だいもんドリーム爆発してますよ、舞台(笑)。

 無駄に難しい曲の数々、無駄にミュージカルの数々、だいもんにがんがんやらせてるの!

 いやソレ、すごい濃度っちゅーか密度。演出家、だいもんにどんだけドリーム持ってんの……?!
 彼の仕事量の多さ、比重の高さ、半端ナイ……! 初主演の人に、ナニやらせてんだ、くらいの勢い。

 わたしは、だいもんさんが千手観音ばりに、背中から何本も手をはやして、ひとりでいろんなもん背負って高速回転しているよーに見えました……。
 がんばれ、だいもん。

 んでもって。
 この、演出家が「デビュー作、うれしくてたまらないっ。やりたいこと多すぎてたまらないっ」という鼻息を隠しもせずに創った作品を、花組っこたちが、真正面から受けて立っているのが、もう……(笑)。
 やたらこそばゆい。

 だいもんも高速高熱回転中だし、演出家は鼻息荒いし、他出演者は下級生から組長まで(笑)みんな前のめりだし。

 このテンションの高さ、キモチのやり過ぎ感が、ミラーボールに現れているなー、と。
 2時間の芝居で、どんだけ回るんだミラーボール。ふつーナイぞ、ミラーボール(笑)。


 ナイジェル@だいもんのキャラクタがいまいちよくわかんないのは、話の真ん中が女傑とマザコン息子の和解話であり、主人公の話じゃないせいだろうなあ。
 主人公が主役の話を書こうよ、田渕くん……。

 話の主軸のズレっぷりが気になる。もう少し、ほんの少し角度をいじるだけで変わるのに。主人公の一人称視点が少なすぎる。……出番も仕事量もやたら多いのにね。

 ヒロインのサラ@べーちゃん、かわいい。眼鏡っ娘っすよ。
 しかし、恋愛色薄い、デュエット唐突……でも『Je Chante』に比べればマシかあ、と他の新人演出家のバウデビュー作を思い出した。あっちは一度ふたりで歌ったら、それ以外ナニもないのに次の場面から「運命の恋人」扱いになってたからなー。
 1幕で思わず「原田くんみたいだったらどうしよう(笑)」と思ったけど、大丈夫だった。薄いだけで、間違ってるわけじゃない。

 もうひとりのヒロイン(えっ?)、ドイル@鳳くんもかわいい。
 ヒロインよりも、ヒロイン的役どころ。いいのか。なんせ、傷ついて仲違い、とかしちゃうからな。で、主人公が気に病むのは、こっちのヒロインのことだしな。

 「あたし、騙されてたんだ!」と泣きながら退場したドイル、うろたえるナイジェル……それに対し「放っておけばいいんじゃない? それより今は事件を追う方が大切よ」と言い切るサラの温度が、さら~~っとしているだけに、ちょっとこわかった。ツボだった(笑)。
 女ってこわい。本能的に、敵を排除するよね(笑)。

 皇太子@柚カレー、すげー「美形スター」っぷり。

 彼が出てくると、「スター、来た~~~~っ!!」というキモチになる。
 マジすげえや、彼のタカラヅカっぷり。
 新公では十分うまい人だと思うけど、ここでだいもん相手に3番手役だと、未熟さは目に付くなー。
 しかし、マジ美形、マジかっけー。
 なにしろ年功序列の花組、今までは経験積みたくても積む機会がなかった。この作品と役で、どーんと経験値上げして欲しい。

 いちか貫禄。ほんとに素晴らしい女優さんだ。
 仙名さん、未来のいちかポジに向けて修行中か(笑)。こちらもうまいなー。

 和海くん、最初「こんなに喋って芝居してる和海くんはじめてかも?!」と喜んだのに、……最初だけかよ。いいキャラなのに、出番あれだけってもったいない。議長はいい声で、説得力あった。
 あと、ネコちゃんもいい声、いい押し出しだー。あのスポットライトと突然のソロにツボる(笑)。

 色悪のさおたさん。……大人の美形キャラですが、えっと、……金庫の中身の件で、びっくりしたさ。彼女とそんなことになっているとは思ってなくて……というか、思えなくて。
 さおたさんって、ある意味ナガさん系かもなー、と思った。


 チケット持ってないけど、もう一度行きたい。
 初日はいろんな意味での情報量が多すぎた(笑)。

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