和物ショー『宝塚ジャポニズム~序破急~』に絶望したが、ありがたいことに、この公演は3本立てだ。
 30分の休憩のあと、芝居が上演される。

 3本立てで良かった。

 お芝居とショーがあれば、救われる。

 実際、救われた。

 『めぐり会いは再び 2nd ~Star Bride~』、面白かったーーっ!!

 『宝塚ジャポニズム』のあとだから、どんなものでも面白く感じるかもしれないけど、それで底上げされてる可能性がゼロじゃないけど、とにかくわたしは好き。

 泣いた。

 かわいくてしあわせて、泣けてきた。

 ストーリーはガチで『めぐり会いは再び』の続編。
 冒頭にストーリー説明がある。

 元の『めぐり会いは再び』自体がとても他愛ないモノなので、知らなくても問題なし、『めぐ会い2』から観ても大丈夫だろう。
 あくまでも、ストーリーだけなら。

 問題があるとすれば、そこじゃない。

 他愛ない物語なのに、キャラ多すぎなのだわ。
 ラルゴ伯爵夫人とかリュシドールとかコレットとかアジスとかレオニードとかマリオとか、名前羅列されても、きっと初心者にはなにがなんだかわからない。
 1回説明されたって、人間関係とキャラクタとその物語は理解できない。
 また、初日だからかもしんないが、みんな滑舌悪くて聞き取りにくいし。

 だから結局のところこの話は、ガチで続編、元の話を見てから、観に来てね♪ってことだと思う。

 冒頭のストーリー説明は、「1年前の話だけど、思い出してね!」「いなくなっちゃった人の演じていたキャラの始末は、こうつけたよ」という意味であって、『めぐり会いは再び』を知っている人へ向けてのものだ。

 完全なる、ファンサービス、ファンアイテム。

 組本で仮装したりぴったり配役をやったりする、あのノリで出来上がった作品。
 買うのはファンだけだ、という前提。

 で、わたしはファンなので無問題。

 もー、もー、めちゃくちゃ楽しかった。

 同じモチーフを使い、別の絵を組み立て、同じ結末へ帰着する。
 わたし、こういうの好きだなー。自分でも、書くとたのしいよ、こういうの。

 1年前となにひとつ変わらない世界にて、元気に口げんかしているドラント@れおんくんとシルヴィア@ねねちゃん。これだけなら犬も食わないなんとやら、周囲も相手にしないくらいの、どーでもいいことで大騒ぎ。
 でもそこへ、シルヴィアの婚約者だと名乗る騎士クラウス@いりすが現れた。
 このクラウスは食い詰め役者、職にあぶれて結婚詐欺を思いつく。
 記憶にないプロポーズの話をされても、なにしろシルヴィアなので、持ち上げられているウチに「そんなこともあったかも」なキモチになる。

 旅芸人、役者、脚本、芝居……前回と同じように、最後は一芝居打って大団円へ。

 エルモクラート先生@マカゼは、相変わらずスランプでヘタレてるしなー。(萌え)
 プルギニョン@ベニーはぎゃあぎゃあバカだしなー。(褒め言葉)

 そして、主人公のふたり、ドラントとシルヴィアが、バカで一直線で、かわいすぎー。(全力で、褒め言葉)

 前作よりさらにドタバタ感アップっつーか、ブラッシュアップするヒマなく、造形だけ出来たから完成ってことにしました感ありありだけど、そーゆーことは置いておいて、とにかく楽しい。

 なんでこんなに楽しくてかわいくて、愛しいのか。

 根底にあるものが、「やさしい」からだ。

 売り言葉に買い言葉で婚約解消しちゃいそうなドラントにしろ、シルヴィアにしろ、根っこにあるのは相手への愛情。
 相手のことを思う、やさしいキモチがまずあって、その上でねじれてしまっている。

 スタートが正だから、その上で足したり引いたりしても、正のまま。

 他のキャラクタたちも、みんなみんなやさしい。
 やさしくて、大切な物があって、しあわせになりたいと思っている。
 だからそのキモチは、素直に「しあわせ」へ向かう。

 ドラントとシルヴィアの痴話喧嘩に巻き込まれはするけれど、基礎部分は変わらない。
 誰もがやさしいまま、誰もがしあわせに向かう。
 ひとりで、ではなく、みんなで。

 そのやさしさに、泣ける。
 かわいくて、泣ける。
 愛しくて、泣ける。


 前作のキャラクタを、とても大切にしているのも、ヲタク目線としてすごくポイント高い。
 ヲタク業界にスピンオフも第2期もいくらでもあるけれど、キャラを大切にしないものがいちばん嫌われるんだってば。
 **役の人は退団していません、じゃあ別の人にやってもらいましょう、名前と衣装が同じなら誰がやっても問題ないでしょ、なんて、ありえない。
 「役替わり」を楽しむのとは別。
 中の人が変わったら、そのキャラは別人だっつーの。アテ書きなめんな。……という、こだわりはヨシ!!

 卒業してしまった人、組替えした人、もう星組のこのメンバーと同じ舞台には立たないだろう人……彼らもまた、今この瞬間も、しあわせに暮らしているんだ、この世界で。
 そう思えることは、泣けるほどうれしい。

 かわいかったれみちゃんのリゼット。
 彼女は消えたわけじゃない。プルギニョンの妻として、愛し愛されしあわせに暮らしている。
 笑顔が見えるようだ。プルギニョンとのバカップルぶりが、見えるようだ。

 二次元まんまだったマリオお兄様@すずみん、彼もまた、いまだにツンデレやってるんだ。
 あの美貌にややこしい性格と毒舌で、ドSプレイやってるんだ。

 もう二度と会えない。
 そう思っていた人と、思いがけず再会できた。……そんな喜び。

 ひとつひとつが、「裏切らない」、「やさしい」作りなんだ。


 エマさんが変わらずに、シルヴィアのパパ役で出演しているように。
 ひとつひとつ、とてもやさしい。


 まさこはすげーいい役だなあ。恋敵役なので、2番手に見える……。
 麻央くんがいろいろとマシになっていたような。

 ルーチェ@礼くんがもう、かわいいのなんの。
 宙組のユリアン@うららちゃんよりも、「娘役が演じる少年役」に見えるあたりが、なんとも……。

 旅芸人@しーらんが色男だ……あのジョニデヒゲでお兄様コスプレがたまらん……。


 エルモ先生と絡むのがプルギニョンだっつーのだけ、不満だ(笑)。
 エルモ先生には、プルギニョンじゃダメなのよ、チガウのよ! 大人の男とかシリアスキャラと絡めてよ! その方が萌えなんだってば。


 あたし、ドラント好きだなあ。
 素直に、きゅんとする。

 甘い言葉を吐くよりも、命を懸ける方が楽だと、晴れ晴れした顔で言われたら、もう恋するしかないでしょ。

コメント

日記内を検索