すっかり周回遅れですが。
 花組の『オーシャンズ11』の主な配役についての感想っす。

 ごくふつーに、星組『オーシャンズ11』まんまで予想していたので、みっちゃんが出る・出ないにしろ、オーシャン夫妻と、親友と、ディーラーとスリと、悪役の6人がポスターメンバー、この6人がメインキャラ、だと思っていたの。
【宝塚大劇場】
花組
『オーシャンズ11』

公演期間:2013年2月8日(金)~3月11日(月)
主な配役 出演者
ダニー・オーシャン 蘭寿 とむ
テス・オーシャン 蘭乃 はな
ラスティー・ライアン 北翔 海莉
イエン 華形 ひかる
バシャー・ター 春風 弥里
テリー・ベネディクト 望海 風斗
ライナス・コールドウェル 芹香 斗亜
※その他の配役は、決まり次第ご案内いたします。

 あっれーー??

 ディーラーは? ともみんの役は「主な配役」から消えて、しーらんとどいちゃんの役が入るの?
 たしかにギャンブラーは、登場時のせり上がり以外に役割らしい役割のない、人数合わせ的な役だったけど……。
 実際に活躍していたのは曲芸師だったけど……。

 わたしは原作は知らない。
 なので、星組版のみの印象で語る。

 星組『オーシャンズ11』はとっても楽しくて、わくわくする作品だった。
 深みはまったくないが、大衆向け娯楽作品として、わーーっ!と騒いで終了する、明るいエンタメ。
 主人公のダニーさんが仲間を集めて11人で、悪者のベネディクトさんに一泡吹かせ、奥さんのテスを取り戻す、それだけの話。

 しかしぶっちゃけ、11人いらなくね?という。
 タイトルが「11」なのに(笑)。
 1幕まるまる使って11人のキャラ紹介やって、ここまで尺を取って個性的なメンバーを集めるんだから、2幕ではものすごーいことをやってくれるんだ!と期待したのに、実際は11人のほとんどは活躍の場、ナシ。
 主人公とスリの若者ライナスと、イエンがいれば事足りる、ちゅーか。
 あとは外側でわいわいやっているだけ。せいぜいひとりかふたりいれば、なんとかなるんじゃない?

 これは演出の限界ってやつなのかしら。
 11人全員に「おおっ」という見せ場を描く時間がないし、そもそも役割もない。それぞれがなんらかのエキスパートであるはずなのに、ソレを活かし切れてない。

 戦隊モノだって5人だしねえ、11人は単純に、多すぎるわー。短い時間で全員描くことなんかできないよー。

 そんなだったから、11人の誰にスポットライトを当てても成り立つとは思う。 

 曲芸師……イエンの比重を上げるのは星組版から想像もつくけど、イエンの飼い主バシャーさんは、よくわからない……。しどころのなさはディーラーのフランクと同じくらいだったような?
 バシャーは番手外の人がやる分にはオイシイというだけで、イエンがいればバシャーさんいなくてもいいんじゃ?みたいな役だったよーな。でも、いなくては困る、活躍するイエンの飼い主だから、クローズアップしやすいってことか。


 星組版とは比重が変わるんだと思う。
 年功序列の花組で、下級生が下克上配役されることなんか、ありえないもの。下級生はともかく、番手付きやメインの上級生で。
 2番手役のベネディクトを番手もついていないだいもんがやる……ってことは、ベネディクトが2番手役ではないってことよね?
 大人の事情で微妙な扱いだったラスティ役が、今度こそ2番手の役になるとか、あるいはイエンがそれに準ずる役になるのよね?

 比重が変わると思う……けど、素直に期待できないのは、『ロミジュリ』で裏切られているせいだ(笑)。

 星組『ロミオとジュリエット』のあと、雪組で再演が決まり、ロミオ@キム、ティボルト@ちぎかあ、似合ってるなあ。まっつはベンヴォーリオだよね? ね? マーキューシオ@コマだよね? と、わくわくしていた。
 それがまさかのマーキューシオ@ちぎ。えええ。マーさんはいい役だけど、2番手の役ぢゃない……つーか、4番目の役じゃあ……?
 完璧に2番手役であるはずのティボルトは、番手外のヲヅキさん。
 てことは、比重を変えるんだ、マーキューシオが完全2番手になるくらい、書き換えるんだ。
 マーキューシオが心情を切々と、銀橋ソロで歌ったりするのかしら。『エリザベート』や『スカーレット・ピンパーネル』にヅカオリジナル・ソングを書き下ろしてもらったように、『ロミジュリ』も、マーさんを2番手にするためにがんばっちゃうのかしら。わくわくわくっ。

 ……フタを開けてみてがっくり。
 比重を変える、てのが、ティボルトの歌を1曲削って、銀橋に誰も出さなくなっただけ。
 ぜんぜん、比重変わったうちに入らない……。

 自己紹介ソングをなくしても、銀橋に意地でも出さなくても、ティボルトはやっぱり2番手の役だよ……。
 マーキューシオを2番手役にするには、彼視点の場面を追加しなきゃ無理だよ……。マーさん主役の場面も歌も、まったくないもん。彼の見せ場は、ロミオが主役場面の助演に過ぎないもん。

 おかげでまあ、雪組の『ロミジュリ』は2番手不在の不思議な効果を上げたけれど。
 トップスターと2番手の対立、ではなく、トップとその仲間たちの友情がクローズアップされたというか。


 2番手を4番目の役に配役しておきながら、きちんと役の比重を上げなかった。
 ……この前科があるため、不安が残る。

 「タカラヅカ」は、トップを中心としたピラミッドがきれいである方がいい。
 星組版の『オーシャンズ11』も、「番手ぼかし」ゆえの微妙さがあり、そこは残念だった。
 再演するなら今度こそ、きれいなピラミッドの「タカラヅカ」らしい『オーシャンズ11』が観たかったのに。

 どうなるんだろう?


 「タカラヅカ」が好きだから、大人の事情満載な舞台は避けて欲しいと思う。それは本当。心から、思っている。

 それとは別に、ベネディクト@だいもんがうれしい。

 イケコ、だいもん好きだよなあ。
 だいもんくんは対外的に無名(なにしろ花組は年功序列絶対)なときも、イケコの作品だけは華々しい役を与えられている。番手役じゃなくても、実力を発揮できて目立つ役、印象に残る役。それまでの彼の役付からは違和感があるような。
 『アデュー・マルセイユ』にしろ『太王四神記』にしろ、「あの子誰」「すごくうまい」と組ファン以外に聞かれまくったよなあ。
 で、イケコ演出が続くわけじゃないから、次の公演はちゃんと「その他大勢」に戻されてたりする……(笑)。

 だいもんなら、ベネの比重が星新公『オー11』くらいに落ちていたとしても、十分いい仕事をしてくれると思う!
 『蒼いくちづけ』で、番手外の役だったはずなのに、「まぁくん版は2番手が悪役だよね?」と思わせてくれるくらい、見事に演じきってくれたように。

 ……みつるくんのベネも見てみたかったんだがなー。みつるかだいもんか、いっそ役替わりで両方!てな感じで、彼らの悪役が見たかったっす。
 ふたりとも色男で濃くてステキな花男なので、ラスティではなく、ベネディクトが見たかったのね。
 みつるのイエンがどうなるのか、楽しみだ。……ちゃんと比重上げて描いてよね、イケコ。

 新たに花組版を書き下ろすなら、だいもんに、がっつり歌わせてくれと願う……。
 歌うベネディクトにして~~。ジオラモさん@『アデュー・マルセイユ』みたいな(笑)。

 みーちゃんバシャーの色気も、キキくんライナスのフレッシュさにも、期待します。
 てゆーかキキくんは新公学年でいきなりポスター入りかあ。年功序列の花組で、なかなかめずらしいことだ。組替え者だし下級生だから(番手等が固まってない立場だから)まだ、アリなのか。

 あきらはなんの役かなあ。


 みっちゃんのラスティは想定内……出演するならベネディクトかラスティだろうから。
 らんとむ氏とは気心がしれていることもあり、良い相棒ぶりを見せてくれるでしょう。歌も安心。

 ただ。

 ラスティの芝居がヤスにならないことだけを、心から祈っている……。

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