真ん中周辺しか観ていないミーハーな観客ではありますが、どの組、どの公演であっても一通り点呼はします。
 下級生とかまったくわからないので、自分がわかる範囲だけなんだけど、それでも全体を眺めて「あの子はあそこにいる」「あの子はあの役なんだ」と眺めます。

 それが、『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』初見時では見つけられなかったんです。

 ゆうまくんを。

 ええ、月組最長身の彼です。ひょろ長い今風のオトコノコではなく、横幅もあるごついあんちゃんです。歌劇団全部を見回しても、彼よりでかい男は183cm(?)の悠未さんとか悠未さんと1cm違いって公式表記になっている十輝さんとか、そんなレベルの方々になってしまう、そこまで巨大な男です。
 研2からヒゲを付けていたとか、じじい役だとか、ヒロインの父親役だとか、新公でもおっさん道を突き進んでいた彼です。

 なんつっても記憶に新しいのは、ついこの間のバウ、準トップ様の父親役をやってましたねー。
 違和感なかったですねー。

 そんな彼ですから、配役をチェックしていなくても、「大体あのへん」てのがあるじゃないですか。
 組担じゃなくても、過去の役付や立ち位置から「あの子ならあのへんにいる」とわかるじゃないですか。

 無意識に、そーゆーところを探していたわけです。

 プロローグの貴族青年たちのすみっことか。
 衛兵隊のはしっことか。
 宮廷場面の近衛兵たちのはしっことか、貴族青年たちのすみっことか。

 ……いない。
 なんでいないの?

 フィナーレでも、男役群舞の端っこを探す。……いない。
 パレードでも、衛兵隊士や市民たちを探す。……いない。

 見つけられないまま、初回観劇は終了した。
 あんだけ目立つ大男が発見できないって、なんで??
 顔だって、わたし的にはめぐむくんなので、どこにいてもわかるのに。


 2回目の観劇時は、友人と一緒でした。
 『ベルばら』祭りに参加するため、わざわざ東京からやってきた友人は、幕間に聞いてきます。
「ねーねー、ゆうまくんどこ出てた?」
 キミもか!!
「いそうなとこ探したんだけど、見つけられなくて」
 キミもか!

 てことで、自力で探すのはあきらめて、ケータイで配役を確認する。

「ゆうまくん、衛兵隊士って書いてある」
 えええ?! 衛兵隊、点呼したと思うけど、いなかったよ? ……いや、衛兵隊ではわたし、宇月くんとちなつくんばっか見てるから、それで目に入ってなかったのかも?

 んじゃ2幕は「ここにゆうまくんがいる」と確信しながら、改めて点呼しよう。「いるかも?」程度だと見落としていたのかもしれないし。

 「ここにいる」とわかって眺めた2幕。

 ……いない。
 何回眺めても、いない。

 なんで? 配役、衛兵隊士なんでしょ? なんで配役表通りに出演していないの??

 混乱しながら、よーやく市民の男役で、見つけた。

 なんだ、こんなとこにいた。
 でも、市民やってるってことは、衛兵隊にいないよねえ? バスティーユで衛兵隊と市民は同時に出るんだもの。

 配役表、おかしい??
 特出による玉突き役替わりがあるのは知ってるけど、それが発表になったときわたし、たしかこのブログで役替わりについて整理してたよね?
 役替わりする人だけはチェックした、その中にゆうまくんの名前はなかった。だから彼は、玉突き役替わりはしていないはず。

 公式HPに発表されている役で出演していないゆうまくん。
 ???なまま、パレード。

 ゆうまくんは市民の男。
 そう思って探したけれど、市民の衣装を着た男の中に、彼はいない。

 わけわかんねえ。
 パレードに出てない、なんてことだけはないはずだし。

 そう思って、端から順番に総点呼をした。

 そして。


 目を、疑った。


 ハナから、ただの一度も可能性を考えなかった役。
 幕間に友人とネタにして笑った役。

 バラの少年。

「ごらんなさい♪ ごらんなさい♪ 『ベルサイユのばら』♪」
 と歌い踊る、キノコ頭に白タイツ姿の少年役。

「いそうなとこは大体見たんだけどなあ」
「小公子役にいたりして(笑)」
「あるわけないじゃん!! ……って、学年からしたら確かに、アリかもしれないけど……学年だけなら」
「研4だもんね、ふつーなら小公子で『ごらんなさい♪』ってやってるけど、なにしろゆうまくん、あのガタイだし。あれで小公子やってたら、ヲヅキの小僧さん並のギャグだよー。それに芸風がおっさんだし、この間のバウでも準トップ様の父親役でなんの違和感もなかったし」
「ええ、準トップ様の父親やってましたねー。ビリヤードのキューで準トップ様をボコボコにしてましたねー」

「ありえないわー(笑)」
 って、ふたりして笑い話、ネタにしていましたよ。

 まさかの小公子……今はバラの少年という役名……の姿をした、巨大な男が。

 と、隣の少年と頭半分ちがってる……つか、遠近法オカシイだろ……周囲の人と比べても……。

 ガクガクブルブル。

 信じられないモノを見て、オペラグラスがゆーまくんから離れませんでした。

 ゆうまくんは、かわいらしい満面の笑顔と、かわいらしい仕草で、子役をやっていました。

 超下級生がやってもいろいろ微妙なバラの少年……マッシュルームヘアと白タイツなんて、娘役が演じる子役でも微妙なのは必然、なのに、それをわざわざ、月組最長身でガタイよしのおっさん役者にやらせるって……なんのプレイ?!!

 子役を演じる177cm+ヒール付き!!
 ふつーに「バラの少年」としてのヒール靴を履いたゆーまくんは、間違いなく身長180cm超えの、幼児……。

 や、バラの少年がいくつの年齢設定か知らないけど、わざとらしいまでに子どもじみた演技なので、はじめて『ベルばら』を観た20年前からずっと8~10歳くらいの設定だと思ってる。小学校中学年までがギリ、高学年でアレだったらのーみそ足りてないぞ、てな、「大人の妄想する、都合のいい『子どもは天使』像」。

 なんで身長180cmの男に、子役をやらせるんだ?
 植爺がどんだけなんも考えてないかっちゅーこったな……。

 今まで見つけられなかったわけだよ。
 そこだけは最初から「論外」と、まったく探してなかった。


 いやその。
 学年を考えれば、別に、おかしいことじゃない。
 研4だもん。
 フィナーレはロケット、パレードはロケットの衣装で階段のデコレーション、でもおかしくないんだ。
 ただ、キャラクタ的にね……。

 衛兵隊士役だと思っていただけに、ショックが大きくてね……。


 終演後、前述の友人と合流すると、彼女は、
「プログラム買っちゃったよ……確認したいことがあって……」
 と、敗北を認めていた。
「ゆうまくん、玉突き役替わりの最下だわ。特出がいるときは、衛兵隊に入れてない」
 プログラムをわざわざ買って、確認してるんだもんよ……。

 そんなの、HPに載ってなかったやん。ひどいわー。

 しかし。
 さらに、プログラムで確認。

「プロローグの『ごらんなさい♪』にゆうまくん、いる……」
「特出役替わり関係なく、彼の本役がバラの少年だー……」

 ……だから、身長177、靴を履いたら180超えの男に……っ!!


 実のところ、『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』のいちばんの衝撃でした。

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