えりたん、あゆっち、新生雪組公演スタートおめでとー。

 毎年恒例、在来線を乗り継いで名古屋へ行ってきました。
 慣れたもんだ、時刻表いらねえ(笑)。

 電車の中からいつも見かける雪景色もなく、名古屋の街も落ち着いたお天気で、ああキムくんはいないんだなあと思った……。
 雪組の初日というと、雨か嵐か雪か台風かだったもの。

 そしてはじまる中日公演。
 演目はまず、『若き日の唄は忘れじ』

 初演は観ています。大変良いお話でした。でも、好みの話じゃなかった。「何故この話を、タカラヅカで、大劇場でやっているんだろう?」という疑問がぬぐえなかった。
 物語の最初が主人公たちの子ども時代で、しかもそれがけっこー長い。
 トップスターが子ども時代も演じる場合は多々あるが、こんなに長くはふつーやらない。
 子ども時代がえんえん続く物語は、タカラヅカに向かない。
 また題材も渋すぎて、梅田コマ劇場でやった方がいいんじゃないかと思った。

 いい話だよ。泣けるよ。感動するよ。
 ……でも、それとは別。タカラヅカで、大劇場でやらなくてもいいんじゃ? 

 と、思っていた。

 それが今回。
 まず、大劇場じゃない。年配客も多い中日劇場。大劇場より小さいし、出演者も少ない。
 コンパクトな箱と少ない出演者、そして渋い客層。
 これだけで、初演で抱いた疑問の半分は解消された。
 衣装やセットや演出も、中劇場でなら問題ない、寂しくない。

 そして。

 壮さん、マジ妖精。

 半分子ども時代なのに、違和感ない!!
 わたしが苦手な「大人が無理をして子どもを演じている」感じ、しかもその子どもが、設定年齢より遙かに幼く、いびつになりがちなタカラヅカの子役っぽさがない!!

 子ども時代といっても16歳設定なんだけど、なにしろタカラヅカだから、16歳でも小学生みたいな発声や所作を取らせるでしょ? わたし、アレがものすごく苦手で。
 『若き日の唄は忘れじ』はそこまで頭の中幼児みたいな芝居はしていなかったと思うけれど、大人っぽい持ち味のシメさん、あやかちゃん、マリコさんたちが「子役」をやっている姿は、「わたしが見たいトップスターさんはこんなじゃない、わたしが観たい『タカラヅカ』これじゃない」という思いがぬぐえなかった。
 後半、大人時代がどんだけカッコ良くても、最後大泣きして終わっても、「大人時代メインで書いてくれてもよかったのに……」と思えた。

 その「苦手感」がずっと心に残っていて。

 当時高齢トップと言われていたシメさんより、さらに高学年でトップに就任するえりたんが、しかもすっかり大人になってしまっているえりたんが、あの「文四郎16歳☆」をやるのか……と思うと。
 どうなるんだろう……。

 って。

 えりたん、16歳ぜんぜんOK。

 いや、「16歳」がOKなんじゃないな。
 えりたんはえりたんというイキモノなので、年齢とか関係ないんだ。
 文四郎が16歳らしいか、16歳として違和感がないかというよりも、えりたんがぺかーっとした笑顔で「文四郎16歳☆」って言うと、「ああ、そうなんだ」とうなずいてしまう。

 この人、妖精だわ。タカラジェンヌという妖精さんだわ。

 大人になったあとも、劇的な変化はない。なのに、ちゃんと大人なんだ。大人の男なんだ。

 そしてもお、姿の美しさ。
 剣を構える端正さ。

 うわあああ、えりたんすごい。
 えりたんかっこいい。


 文四郎の親友たち、逸平@ちぎくんと与之助@コマ。

 コマはドジなめがねっこ。コマの得意分野、場をさらっていく。この人の持つ空気感、間、って、得がたいモノだなあ。

 意外にいろいろ不自由そうに見えたのがちぎくん。少年時代も大人になってからも。
 こんなにしどころのない役だっけか? キャラが立っていないというか。
 初演では豪放かつカッコイイ役だと思ったんだが……。
 芝居ラストのソロには、椅子から転げ落ちるかと思った……ちぎくんの歌、わたしはかなり耐性付いてきてると思ってたんだけど、これは驚いた……。しょ、初日だからだよね?

 ふく@あゆっちは、芝居も声もいいんだけど……。
 見た目が……ええっと。

 頬のラインがシャープだったら、きっときれいなんだろうな。顔立ちは華やかにかわいらしいんだもの。
 また、日本髪があゆっちの輪郭の欠点を際立たせている。それは気の毒なんだけど、タカラヅカは日本物もやる劇団なんだから、がんばって似合うようになってくれとしか。

 野風@『JIN-仁-』と同じ感想だ。芝居も声もいいのに、ビジュアルに難あり。
 残念だ……痩せさえすれば、完璧なのに。ただ、痩せさえすれば。

 トップ娘役として君臨すれば、きっとどんどん痩せてきれいになっていくんだと思う。きっと、これから。


 意外に良かったのが、武部@きんぐ。

 きんぐが、悪役。

 最初のいい人っぷりから、変貌がステキ。
 ちょっとちょっと、きんぐなのに悪役ですよ、ちょっとちょっと、きんぐなのにカッコイイですよ。(きんぐをなんだと思って……)

 含み笑いとか侮蔑の瞳とか、台詞のないところがいちいちかっこいい。
 今までのいろいろすべってきた彼を見てきた身としては、「ちゃんとカッコイイきんぐ」に胸がハクハクします(笑)。


 改めてこの『若き日の唄は忘れじ』という作品を観て、オトコノコの夢が詰まった話なんだなと、微笑ましくも半笑いなキモチになった。

 幻の必殺技に、初恋の女性とその子どもを守って戦うヒーローな俺、だもんなあ。
 ハードボイルドや少年・青年マンガの鉄板ネタかあ。最後、愛する女性と結ばれないのも、男子らしさ。男はそーゆーの好きだよなー。

 『めぐりあいは再び』とか『Le Petit Jardin』とかが、女子が書いた女子の夢の詰まった物語、であるのと好対照。
 男子が書いた、男子のための夢物語(笑)。

 えりたんは「男子的なモノ」が似合う人だと思う。
 からっとしていて、女女したところが芸風にナイ。無機質すぎて、昔は変な方向に行っていたくらい。
 彼が『ベルばら』役者なのも、『ベルばら』が男尊女卑の権化みたいな植爺の男脳で書かれた作品だということも、根底にあるのかもしれない。

 いや、いい作品、いい公演でした。
 初日だからいろいろ大変そうだったけど。せっかくの幻想のラブシーンで、袴がきちんと着れていないことに気が行っちゃって、「いったん引っ込んだから大丈夫、きっときちんと袴を穿いて出てくるはずだわ……って、そのままかよっ」とか、「スカステの編集さん大変だな、こっち側はテレビで放送できないじゃん。こっち向いてるこの瞬間だけ流して、次はカットを変えて、とかしなきゃダメじゃん」とか、どーでもいいことに気を取られちゃったりなー。
 や、どんな格好でも、えりたんは白くすがすがしく美しかったです。

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