家族の肖像。@ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌
2013年2月11日 タカラヅカ とりあえず、母に言ってみました。
「あたし、生まれてきて良かったと思う。父と母に産んでもらって、感謝してる」
んなことを突然言い出したもんだから、寝室へ行こうとしていた母も、ごはんを食べていた弟も、ぎょっとしてわたしを見る。
「いやその、今日観た芝居が、いい芝居でさー。それを観たらなんか、そう思ったのよ」
と、『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』の話をしました。
あらすじとか、カイト@咲ちゃんの最後の台詞とか、BJ@まっつの最後の台詞とか、作品のテーマを説明して。
「それはいい話ねええ。そんなお芝居を観たなら、そういうキモチになるのはわかるわ」
と、母。
ねえ?
生まれてきて良かった。わたしをこの世界に誕生させてくれた父よ母よありがとう、ってキモチになるよね。
つらいことばっかだけど、今も大変なことになっているけれど、それでも、前を向いて歩いて行こう、って思うよね。
そう、いい感じにしみじみしていたのに。
黙って聞いていた弟が、ぽつりと口を挟んだ。
「で、その『いい話』をいったい何回観たんだ?」
「…………5回」
「狂ってる」
「狂ってるわ」
「いい話」も台無し。
同じ芝居を何回も観るなんておかしい、理解できない、と、一刀両断。
そこでせっかくの「感動話」は終了しました。
…………同じモノを5回なんて、ささやかなもんです。もっともっと観るんです。東京にも、同じモノを観るために行くんです。てへ。
うちの家族は、タカラヅカも同じ公演をリピートすることも、まったく理解してはくれないけれど、それでもわたしが好きでやっていることには理解を示してくれます。「自分には理解できないけど、やりたいことはやればいいよ」というスタンス。
わたしがこんな、ふらふらへらへらした半人前な生き方をしていても、許してくれている。
ありがたいことです。
『ブラック・ジャック』を観ていると、家族や友だちや、いろんな人への感謝がわき上がってくる。
そして、自分の人生も愛しくなる。
とはいえ。
初日からこの三連休、5公演フルで観劇したのに、まっつキューピーは、かすりもしていません。
このくじ運のなさには泣けるわー。あたしの人生って!!
☆
BJ@まっつはたまりません。
よくぞこんなキャラクタを創り出してくれた。
ザ・二次元!な美しさ。
頑固で短気、口が悪くて容赦なくて。
職人肌でマイペース。
そして、人間と世界を愛している。
人間と世界の不条理を、醜さや過ちを誰よりも知りながら。
それらも含めて、愛している。
誰よりも優秀なのに、不器用で。
生きることが、うまくない。
「歌劇」の正塚先生との対談にあった通り、「BJ」はまっつへのアテ書きなんだってことが、よくわかる(笑)。
てっきり「『BJ』を上演する」という前提がまずあり、「たまたままっつになった」のかと。
そうじゃなく、「まっつ主演でなんかやれってよ。まっつまっつ……そーだBJ合うんじゃね?」という流れで決まったっていうのが。
原作があっても「アテ書き」は存在する。わたしたちが「ぴったり配役」とか「妄想配役」をして楽しむように。
役者の個性に合わせて役を配し、イチから作品を作るのなら、アテ書き認識。……わたしはね。
正塚せんせのアテ書きがぴたっとはまったとき、作品の深みは爆発的に増すね。
バイロン侯爵@ともみん、カイト@咲ちゃんもそうだ。彼らのハマリ方も半端ナイ。
まっつはもともとうまい人だし、正塚芝居とも相性がいい。
……にしても、この巧さはすごい。
会話のテンポ、日常会話的やりとりだけで笑わせる技術の高さってば。
アドリブなし、毎日同じことをやっているのに、それでも笑える。
パロット@『メランコリック・ジゴロ』がものすげーおもしろいことになっていたよなあ、となつかしく思い出す。他の人が演じたときは別におかしくもなんともなかったいろんなことに、まっつのときだけずーっと客席が沸いていたっけ。
芝居の巧さと声の良さ、歌のうまさをひっさげての、堂々たる主演。
ラブシーンもダンスもなく、派手なエピソードやドラマティックな展開は他のキャラに任せ、地味で淡々としたことだけを綴る主役なのに、それでも根の部分の揺るがなさときたら。
どんだけ上で他の人が暴れても、花開いても、BJ@まっつがしっかりと土台をつなぎ止めている。
細かいのに、強い。
細いのに、弾力がある。
BJを見て、それと同時に未涼亜希という舞台人を見る。
この人を好きで良かったと思う。
BJとピノコ@ももちゃんは、萌えです。
いちいちいちいち、「うきゃ~~っ!!」となるかわいさに満ちあふれています。
冷たいような、突き放しているような物言いをしているけれど、その実愛情にあふれている。
相手が子どもだからと容赦しない。ツッコミの数々が素晴らしい(笑)。
「BJとピノコ見てると、思うのよ。まっつがこの先いつか結婚して子どもが出来て、子育てするとしたら、こんな感じのお父さんになるんだろうな、って」
わたしが心から、素直にシンプルに思っていることを口にすると。
友人たちからはツッコミ入りました。
「ソレ間違ってる」「いや、途中までは合ってるけど」……えー?
いいお父さんだと思うよ。
クチではきびしかったり、突き放していたりしても。
娘のために、タバコは玄関ポーチやベランダに出て吸うんだよね。黙って自発的に、そうしているんだよね。
娘を守るために、敢然と立ち向かうんだよね。
あー、ピノコになりたい(笑)。
「あたし、生まれてきて良かったと思う。父と母に産んでもらって、感謝してる」
んなことを突然言い出したもんだから、寝室へ行こうとしていた母も、ごはんを食べていた弟も、ぎょっとしてわたしを見る。
「いやその、今日観た芝居が、いい芝居でさー。それを観たらなんか、そう思ったのよ」
と、『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』の話をしました。
あらすじとか、カイト@咲ちゃんの最後の台詞とか、BJ@まっつの最後の台詞とか、作品のテーマを説明して。
「それはいい話ねええ。そんなお芝居を観たなら、そういうキモチになるのはわかるわ」
と、母。
ねえ?
生まれてきて良かった。わたしをこの世界に誕生させてくれた父よ母よありがとう、ってキモチになるよね。
つらいことばっかだけど、今も大変なことになっているけれど、それでも、前を向いて歩いて行こう、って思うよね。
そう、いい感じにしみじみしていたのに。
黙って聞いていた弟が、ぽつりと口を挟んだ。
「で、その『いい話』をいったい何回観たんだ?」
「…………5回」
「狂ってる」
「狂ってるわ」
「いい話」も台無し。
同じ芝居を何回も観るなんておかしい、理解できない、と、一刀両断。
そこでせっかくの「感動話」は終了しました。
…………同じモノを5回なんて、ささやかなもんです。もっともっと観るんです。東京にも、同じモノを観るために行くんです。てへ。
うちの家族は、タカラヅカも同じ公演をリピートすることも、まったく理解してはくれないけれど、それでもわたしが好きでやっていることには理解を示してくれます。「自分には理解できないけど、やりたいことはやればいいよ」というスタンス。
わたしがこんな、ふらふらへらへらした半人前な生き方をしていても、許してくれている。
ありがたいことです。
『ブラック・ジャック』を観ていると、家族や友だちや、いろんな人への感謝がわき上がってくる。
そして、自分の人生も愛しくなる。
とはいえ。
初日からこの三連休、5公演フルで観劇したのに、まっつキューピーは、かすりもしていません。
このくじ運のなさには泣けるわー。あたしの人生って!!
☆
BJ@まっつはたまりません。
よくぞこんなキャラクタを創り出してくれた。
ザ・二次元!な美しさ。
頑固で短気、口が悪くて容赦なくて。
職人肌でマイペース。
そして、人間と世界を愛している。
人間と世界の不条理を、醜さや過ちを誰よりも知りながら。
それらも含めて、愛している。
誰よりも優秀なのに、不器用で。
生きることが、うまくない。
「歌劇」の正塚先生との対談にあった通り、「BJ」はまっつへのアテ書きなんだってことが、よくわかる(笑)。
てっきり「『BJ』を上演する」という前提がまずあり、「たまたままっつになった」のかと。
そうじゃなく、「まっつ主演でなんかやれってよ。まっつまっつ……そーだBJ合うんじゃね?」という流れで決まったっていうのが。
原作があっても「アテ書き」は存在する。わたしたちが「ぴったり配役」とか「妄想配役」をして楽しむように。
役者の個性に合わせて役を配し、イチから作品を作るのなら、アテ書き認識。……わたしはね。
正塚せんせのアテ書きがぴたっとはまったとき、作品の深みは爆発的に増すね。
バイロン侯爵@ともみん、カイト@咲ちゃんもそうだ。彼らのハマリ方も半端ナイ。
まっつはもともとうまい人だし、正塚芝居とも相性がいい。
……にしても、この巧さはすごい。
会話のテンポ、日常会話的やりとりだけで笑わせる技術の高さってば。
アドリブなし、毎日同じことをやっているのに、それでも笑える。
パロット@『メランコリック・ジゴロ』がものすげーおもしろいことになっていたよなあ、となつかしく思い出す。他の人が演じたときは別におかしくもなんともなかったいろんなことに、まっつのときだけずーっと客席が沸いていたっけ。
芝居の巧さと声の良さ、歌のうまさをひっさげての、堂々たる主演。
ラブシーンもダンスもなく、派手なエピソードやドラマティックな展開は他のキャラに任せ、地味で淡々としたことだけを綴る主役なのに、それでも根の部分の揺るがなさときたら。
どんだけ上で他の人が暴れても、花開いても、BJ@まっつがしっかりと土台をつなぎ止めている。
細かいのに、強い。
細いのに、弾力がある。
BJを見て、それと同時に未涼亜希という舞台人を見る。
この人を好きで良かったと思う。
BJとピノコ@ももちゃんは、萌えです。
いちいちいちいち、「うきゃ~~っ!!」となるかわいさに満ちあふれています。
冷たいような、突き放しているような物言いをしているけれど、その実愛情にあふれている。
相手が子どもだからと容赦しない。ツッコミの数々が素晴らしい(笑)。
「BJとピノコ見てると、思うのよ。まっつがこの先いつか結婚して子どもが出来て、子育てするとしたら、こんな感じのお父さんになるんだろうな、って」
わたしが心から、素直にシンプルに思っていることを口にすると。
友人たちからはツッコミ入りました。
「ソレ間違ってる」「いや、途中までは合ってるけど」……えー?
いいお父さんだと思うよ。
クチではきびしかったり、突き放していたりしても。
娘のために、タバコは玄関ポーチやベランダに出て吸うんだよね。黙って自発的に、そうしているんだよね。
娘を守るために、敢然と立ち向かうんだよね。
あー、ピノコになりたい(笑)。
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