ヒロイン育成は急務ですとも。@南太平洋
2013年3月19日 タカラヅカ 『南太平洋』初日観劇。
すみません、どんな話かカケラも知らずに観劇してます。
時代もキャラも曲も、なにも知らない。
ので最初、主人公エミール@トド様が、女性と話している、しかもなんかその女性とイイ感じである、ことにとまどいました。
ポスターからして、主人公とヒロインは恋愛するのだろう。
恋愛モノのセオリーとして、ふたりが劇的に出会うところからはじまったり、そもそも出会う前からはじまったり、出会っていたとしてもなにかしら波乱を予感させるモノであったりする、という先入観がありました。
最初からなんの問題もなさそうな、そして最初からいいムードの男女、というのは、たかだか2時間のドラマではめずらしいです、かえって。
そういう、シチュエーションの問題がひとつ。
もうひとつは、美貌の青年エミールさんが話している相手の女性が、きれいでもなければかわいくもない、また華やかでもない、「脇役」な感じの女性だったためです。
物語の冒頭だから、まずは脇役の女性と話しているのかしら。
ヒロインはいつ出てくるのかしら。
そのわりにこの脇役な女性との会話が長いわ。しかも、なんかイイ感じだわ……っていうか、エミールさんが惚れてる感じだわ。
ストーリー上と、役者と、ふたつの違和感ゆえに、最初、気づきませんでした。
トド様と話している女性が、ヒロインのネリー@風ちゃんだということに。
……すみません。
勉強不足です。
風ちゃんに関しては、もともと「きれいじゃないけど、実力派の娘役さん」という認識です。
んで、好みの顔じゃないと視界に入ってこないので、舞台ではわりとどこにいるのかわかってないことが多いです。
顔はわかるけど、記憶に残らないというか。意識して見てはじめて、ああ風ちゃんだ、とわかるレベル。
その程度の海馬しか持たないわたしには、なかなか難易度の高い娘役さんです、風ちゃん。
それでも、実力派の娘役さんが新公ヒロインや、別箱公演ヒロインするのはうれしかったりするので、彼女の躍進をよろこんだクチです。娘役人事は謎が多すぎて、美貌か実力か、せめてどっちかは納得させて欲しいと常々思っているもので。
風ちゃんは実力があるので、ヒロインは納得なのです。
……が、目の前にいる女性がヒロインだと気づいたときは、驚きました。
「ヒロイン待ち」していたわたしは、あわてて二度見しました。あ、たしかに、言われてみれば風ちゃんだ。てことは、この子はヒロインなんだ、と。
そっからしばらくは「この子はヒロイン。どうやら金髪美女らしい」という「設定」を脳みそに植え付ける努力をしました。
きれいじゃない、地味、脇役……そんな先入観がはびこっていたので、それを駆除して、新しい意識を植え込まねばなりません。
なにしろトドロキ氏が、うっとりした「恋する若者の瞳」で見つめる相手なのですから……トド様の美貌に相応しい金髪美女なのよ、と意識を入れ替えるのです。
トド様は大人の男の役ですが、そんな大人の男が「若者のように」甘酸っぱく恋してくれちゃってるんです。大人の男がこんな瞳をするからこそ胸キュン、て感じなんです、ええ。
シルヴィア@『めぐり会いは再び 2nd』みたいに、いかにもお姫様な衣装だと、底上げされるんだけど。
衣装も髪型も地味だからつい……。
てな、ひどい書き出しです、ごめんなさい。
最初はそんな印象だったのよ、ほんと。
しかし。
物語が進むと、ネリー@風ちゃんが、どんどん魅力的に見えてくる!!
あ、かわいい。
この子、かわいいわ~~!!
歌って踊って芝居しているウチに、引き込まれてくる。
彼女に感情移入する。
んで、2幕とか大泣きして終わった。
トド様にエスコートされている姿がかわいいのなんの。
ヒューヒュー!!
てことで、たのしかったです、『南太平洋』。
たぶん、次に見るときは最初からネリーがチャーミングな女の子に見えると思う!!
わたしがいろいろと混乱したのは、この『南太平洋』を宝塚歌劇を観るんだ、と思い込んでいたせいもあると思います。
書き出しでわかるように、「主人公」は我らが轟悠、エミールさんだと思い込んでいたの。
美貌のトド様が主人公。ここはタカラヅカ、タカラヅカだから男役が主役。ヒロインとは、主人公の相手役。
原作のミュージカルがどうであれ、一旦「タカラヅカ」で上演される限り、主人公は男役になると思い込んでいたの。
だから、なにもかもトド様エミールを中心に考えていた。
ちがった。
主人公はエミールじゃなかった。
主人公は、ネリーだった。
エミールは、主人公の相手役、だった。
それで混乱したのね。
主人公がネリーだ、とわかってからは、すんなり世界に入り込めた。
勉強不足です。
そしてしみじみ、時代の変化を感じた。
トド様が、経験不足の下級生主役舞台の、支え役をやっている。
なにがなんでも「主役!!」の人だったのになー。
トド様自身が主役にこだわっていたのか、演出家がそうしていたのかわかんないけど、もうずーっとトド様主役、トド様のための作品ばかり観てきたから、今ここで、彼がこんなに「支え」に回っている公演が、興味深いです。
今までのトド様とチガウ。
風ちゃんや、ケーブル中尉@マカゼを支える、成長させるために、彼らを真ん中に立たせるために、気を配ってる様子が、感じられるの。
第一線は退いた、そんな感じ。
もちろん、手を抜いているとか後ろ向きだとかいうことではなくて。
トド様は変わらずにオーラを放っている。
ただそれが、「自分が!!」というものではなくなった気がした。
頑なに背負っていたモノが、薄れたというか。
それよりも、後進の育成に力を注いでいるような。
今までのトド様って、やっぱ、彼の立場とか役柄的に、「舞台のすべてを自分ひとりで集約している」感じがした。
まず彼ありき、っていうか。
なにもかも、自分ひとりで背負って立ち、他の出演者と世代だけでなく、存在の次元が違っている……てな。
そういうトド様が当たり前だったし、もうずっとそんなトド様しか見ていなかったから、それ以外の可能性を考えてなかった。
そっか……。
トド様が「主人公」でなくなる日が来るのか。
主役として対外的に立ち、チケットも彼の名前で売り、だけど舞台の実質的な仕事は「支え」的な意味合いが濃い……そんなことをするようになるのか。
それは素晴らしいことだと思うし、次代のスターの育成は急務だ。劇団理事であるトド様が身をもってそれを実践するのは、正しいし、喜ばしいことだ。
ただちょっと、寂しい。
わたしはトド様が真ん中で吠えている舞台、大好きだから。
彼が「ザ・男役」として、若者たちを蹴散らす勢いで「芸」を見せつけてくれるのも、大好物だから。
『おかしな二人』を経て、マヤさんを見送って、なにかしら変わったのかなあ。
なんて、ただのわたしの考えすぎかもしんないけど。
抜擢されたばかりで経験値が圧倒的に不足している風ちゃんが、あまりにいっぱいいっぱいだから、初日限定でトド様がその支えに回っただけ、慣れてきたらいつものように真ん中で周囲をぶっちぎって「トドロキ全開」になるのかもしれない。
娘役育成、が目的でないのなら、あまりに「タカラヅカ」でない、「外でやれば?」なミュージカルを上演することに、あまり意義は感じないんだけどね。
や、いい作品だし、泣いたけど。
わたしは、「タカラヅカ」が好き。
すみません、どんな話かカケラも知らずに観劇してます。
時代もキャラも曲も、なにも知らない。
ので最初、主人公エミール@トド様が、女性と話している、しかもなんかその女性とイイ感じである、ことにとまどいました。
ポスターからして、主人公とヒロインは恋愛するのだろう。
恋愛モノのセオリーとして、ふたりが劇的に出会うところからはじまったり、そもそも出会う前からはじまったり、出会っていたとしてもなにかしら波乱を予感させるモノであったりする、という先入観がありました。
最初からなんの問題もなさそうな、そして最初からいいムードの男女、というのは、たかだか2時間のドラマではめずらしいです、かえって。
そういう、シチュエーションの問題がひとつ。
もうひとつは、美貌の青年エミールさんが話している相手の女性が、きれいでもなければかわいくもない、また華やかでもない、「脇役」な感じの女性だったためです。
物語の冒頭だから、まずは脇役の女性と話しているのかしら。
ヒロインはいつ出てくるのかしら。
そのわりにこの脇役な女性との会話が長いわ。しかも、なんかイイ感じだわ……っていうか、エミールさんが惚れてる感じだわ。
ストーリー上と、役者と、ふたつの違和感ゆえに、最初、気づきませんでした。
トド様と話している女性が、ヒロインのネリー@風ちゃんだということに。
……すみません。
勉強不足です。
風ちゃんに関しては、もともと「きれいじゃないけど、実力派の娘役さん」という認識です。
んで、好みの顔じゃないと視界に入ってこないので、舞台ではわりとどこにいるのかわかってないことが多いです。
顔はわかるけど、記憶に残らないというか。意識して見てはじめて、ああ風ちゃんだ、とわかるレベル。
その程度の海馬しか持たないわたしには、なかなか難易度の高い娘役さんです、風ちゃん。
それでも、実力派の娘役さんが新公ヒロインや、別箱公演ヒロインするのはうれしかったりするので、彼女の躍進をよろこんだクチです。娘役人事は謎が多すぎて、美貌か実力か、せめてどっちかは納得させて欲しいと常々思っているもので。
風ちゃんは実力があるので、ヒロインは納得なのです。
……が、目の前にいる女性がヒロインだと気づいたときは、驚きました。
「ヒロイン待ち」していたわたしは、あわてて二度見しました。あ、たしかに、言われてみれば風ちゃんだ。てことは、この子はヒロインなんだ、と。
そっからしばらくは「この子はヒロイン。どうやら金髪美女らしい」という「設定」を脳みそに植え付ける努力をしました。
きれいじゃない、地味、脇役……そんな先入観がはびこっていたので、それを駆除して、新しい意識を植え込まねばなりません。
なにしろトドロキ氏が、うっとりした「恋する若者の瞳」で見つめる相手なのですから……トド様の美貌に相応しい金髪美女なのよ、と意識を入れ替えるのです。
トド様は大人の男の役ですが、そんな大人の男が「若者のように」甘酸っぱく恋してくれちゃってるんです。大人の男がこんな瞳をするからこそ胸キュン、て感じなんです、ええ。
シルヴィア@『めぐり会いは再び 2nd』みたいに、いかにもお姫様な衣装だと、底上げされるんだけど。
衣装も髪型も地味だからつい……。
てな、ひどい書き出しです、ごめんなさい。
最初はそんな印象だったのよ、ほんと。
しかし。
物語が進むと、ネリー@風ちゃんが、どんどん魅力的に見えてくる!!
あ、かわいい。
この子、かわいいわ~~!!
歌って踊って芝居しているウチに、引き込まれてくる。
彼女に感情移入する。
んで、2幕とか大泣きして終わった。
トド様にエスコートされている姿がかわいいのなんの。
ヒューヒュー!!
てことで、たのしかったです、『南太平洋』。
たぶん、次に見るときは最初からネリーがチャーミングな女の子に見えると思う!!
わたしがいろいろと混乱したのは、この『南太平洋』を宝塚歌劇を観るんだ、と思い込んでいたせいもあると思います。
書き出しでわかるように、「主人公」は我らが轟悠、エミールさんだと思い込んでいたの。
美貌のトド様が主人公。ここはタカラヅカ、タカラヅカだから男役が主役。ヒロインとは、主人公の相手役。
原作のミュージカルがどうであれ、一旦「タカラヅカ」で上演される限り、主人公は男役になると思い込んでいたの。
だから、なにもかもトド様エミールを中心に考えていた。
ちがった。
主人公はエミールじゃなかった。
主人公は、ネリーだった。
エミールは、主人公の相手役、だった。
それで混乱したのね。
主人公がネリーだ、とわかってからは、すんなり世界に入り込めた。
勉強不足です。
そしてしみじみ、時代の変化を感じた。
トド様が、経験不足の下級生主役舞台の、支え役をやっている。
なにがなんでも「主役!!」の人だったのになー。
トド様自身が主役にこだわっていたのか、演出家がそうしていたのかわかんないけど、もうずーっとトド様主役、トド様のための作品ばかり観てきたから、今ここで、彼がこんなに「支え」に回っている公演が、興味深いです。
今までのトド様とチガウ。
風ちゃんや、ケーブル中尉@マカゼを支える、成長させるために、彼らを真ん中に立たせるために、気を配ってる様子が、感じられるの。
第一線は退いた、そんな感じ。
もちろん、手を抜いているとか後ろ向きだとかいうことではなくて。
トド様は変わらずにオーラを放っている。
ただそれが、「自分が!!」というものではなくなった気がした。
頑なに背負っていたモノが、薄れたというか。
それよりも、後進の育成に力を注いでいるような。
今までのトド様って、やっぱ、彼の立場とか役柄的に、「舞台のすべてを自分ひとりで集約している」感じがした。
まず彼ありき、っていうか。
なにもかも、自分ひとりで背負って立ち、他の出演者と世代だけでなく、存在の次元が違っている……てな。
そういうトド様が当たり前だったし、もうずっとそんなトド様しか見ていなかったから、それ以外の可能性を考えてなかった。
そっか……。
トド様が「主人公」でなくなる日が来るのか。
主役として対外的に立ち、チケットも彼の名前で売り、だけど舞台の実質的な仕事は「支え」的な意味合いが濃い……そんなことをするようになるのか。
それは素晴らしいことだと思うし、次代のスターの育成は急務だ。劇団理事であるトド様が身をもってそれを実践するのは、正しいし、喜ばしいことだ。
ただちょっと、寂しい。
わたしはトド様が真ん中で吠えている舞台、大好きだから。
彼が「ザ・男役」として、若者たちを蹴散らす勢いで「芸」を見せつけてくれるのも、大好物だから。
『おかしな二人』を経て、マヤさんを見送って、なにかしら変わったのかなあ。
なんて、ただのわたしの考えすぎかもしんないけど。
抜擢されたばかりで経験値が圧倒的に不足している風ちゃんが、あまりにいっぱいいっぱいだから、初日限定でトド様がその支えに回っただけ、慣れてきたらいつものように真ん中で周囲をぶっちぎって「トドロキ全開」になるのかもしれない。
娘役育成、が目的でないのなら、あまりに「タカラヅカ」でない、「外でやれば?」なミュージカルを上演することに、あまり意義は感じないんだけどね。
や、いい作品だし、泣いたけど。
わたしは、「タカラヅカ」が好き。
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