『ベルばら』は主要4役と専科さん以外に出番も見せ場もない、それ以外の組子ファンにとっては試練の演目。

 それはわかっている。
 理解した上でも、今回はさらに酷い。

 『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』初日観劇後、首をひねったんだ。
 1幕、きんぐやがおり、どうしてたっけ。いや、ほとんどの組子が行方不明状態?

 2回目の観劇で、レオくんを探して唖然とした。
 新公2番手クラスを演じる雪組若手スターで、今回の新公ではオスカルの注目株。
 そのレオくんの出番が、オープニングのパペット役(仮面で顔は見えない)のあと、1幕ラストの全員集合場面だけ、だった。えええ。

 レオくんだけじゃない。
 ほとんどの生徒が、オープニングとラストだけしか、出ていない。

 1幕の上演時間は、1時間5分。
 タカラヅカの一般的ショー作品は55分。
 オープニングの数分と、ラスト数分の「全員集合場面」にしか、出番がない人がほとんど、なんて信じられる?
 しかも、ショーより10分長いのよ??

 特出祭り関係なく。
 通常版で、コレ。
 特出になると、大ちゃんはオープニングにしか出ないのか?

 酷くない? ひどいよね?

 この公演、出演者は100人を超えています。うち37人は初舞台生だから仕方ないとしても、70人ほどいる組子のほとんどが1時間近く出番なしで幕が下りるなんて。

 つか、1幕で登場するのは、4役と専科さん以外、『ベルばら』的名前のある役ジェローデル・ベルナール・ロザリー・オスカル母・オルタンス。
 ベルナール・ロザリー・オスカル母・オルタンスはカーテン前1場面。彼らは1幕ラストに出ないため、オープニングのあとはこのカーテン前のみ。

 それ以外の役は、近衛兵4人(1列に並んで順番に一言台詞)、貴婦人たち(1列に並んで順番に一言台詞)が各1回あるだけ。
 加えて、侍童ふたりが専科さんのお付きとして1場面。マッシュルームヘアで幼児喋りですよ……。

 組子では専科さん・組長枠のプロバンス伯爵役のにわにわが、専科さん・組長枠だから出番と長台詞がある、ってだけ。


 1時間5分かけて、ナニやってんだ、1幕……。

 
 とにかく、舞台に、人がいない。

 あの広大な大劇場の舞台に、人がほとんどいないんだ。
 数名が立ち話をするだけ。

 じゃあ人数が必要ナイほど、豪華絢爛なセットがあるのかというと、んなこたぁーない。
 地味な書き割りだけ、もしくはカーテン1枚。


 歌もない。ダンスもない。

 1時間5分、ダンスらしきモノがあったのは、オープニングだけ。
 あとはラストの宮廷部分の導入でドレスの娘役たちが揺れていたくらいか。

 歌はやはりオープニングと、ラストの宮廷部分の導入で「♪あーベルサイユ」とちょっと流れるだけ。

 これだけ。

 えっと。
 ミュージカル、なんだよね??


 主要4役はお約束の曲をそれぞれ歌っているんだけど(アントワネットはなんとソロなし)、彼らはひとり長台詞のあとひとりで歌ってひとりで銀橋を渡るだけ。それ、作中から独立しているし。
 そのぶった切り感と取って付けた感は、すでにミュージカルでも芝居でもないわ……。


 マジ、わけわかんない。
 1時間5分、ナニやってんだろう。ナニをやって時間だけ使っているんだろう。

 これが当たり前なのか、と、思わず2006年の『フェルゼンとアントワネット編』の「ル・サンク」買っちゃったよ。や、わたしってば『ベルばら』キライ過ぎて映像持ってないの(笑)。スカステ録画しまくってるくせに、見事『ベルばら』だけは持ってなかった。
 また、映像は純粋に見ている時間がないので、保存目的の録画以外しないしなー。だから生舞台の記憶しかないんだよなー。あとから映像で見ることがほとんどなくて。
 てことで、「宝塚アン」に数年ぶりで入ったわ……(笑)。数年? 10年以上ぶり……?

 わたしの記憶では、こんなこと今までなかった。2006年も2001年も平成版も、みんなみんな、歌もショーっぽい演出もあった。今よりずっとマシだった。
 でも、記憶が間違ってるかもしんないから、念のため「ル・サンク」で確認。

 ここまで「歌」も「ショーシーン」もないのは、今回だけだと。

 2006年の『フェルゼンとアントワネット編』では、派手なオープニングのあと、少女時代のアントワネットがばらの少女たちと歌っているし、令嬢たちは「♪オープランタン」と歌って登場している。
 貴婦人たちの「♪ざますざます」のかしましソングもある。
 それ以外でも、フェルゼンとアントワネットがデュエットしたりしている。

 少人数場面が多いのは2006年版もそうだけど、その合間合間に「歌」とダンスとまではいかなくても、振付のある「ショーシーン」がある。
 「歌」というとフェルゼン・オスカル・アンドレがひとりごとのあと1曲銀橋を歌って渡るだけ、じゃない。
 先日の月組『オスカルとアンドレ編』でも、派手なオープニングのあとはオスカル姉妹たちの花摘みの歌ではじまったから、「ひとり銀橋」以外があったわけだし。衛兵隊も歌あったよな?

 なんなの?
 なんでこんな、「少人数で立ち話」だけで1時間5分終わるの?
 なんでこんな演出がまかり通ってしまったの?
 おかしい、って、なんで誰も思わないの?

 大劇場でやる意味ないじゃん、こんな演出。


 動く背景でも何でもイイ、とにかく組子を「出す」ことが必要だと、痛感した。
 立ち話なら、本舞台に組子たち山ほど出して舞踏会でもさせておいて、銀橋で「立ち話」させればいいじゃん。

 役者の「格」は豪華な衣装と台詞の行数、だと思い込んでいる植爺だから、専科さんたちが無駄に豪華衣装で無駄に長台詞の洪水状態。
 また、その「格」とやらのために、専科さんの場面は他に出演者を出さないらしい。トップスターがひとりで銀橋を渡るのと同じで、舞台に少人数で立つことが、「格」であり、「敬意」だから。

 いやあ、ルイ16世の夜の散歩の泣き言台詞が増量されていたのには、マジ驚いたっす……。
 2006年の『フェルゼンとアントワネット編』にも同じ場面があるんだけど、知ってるはずだけどほんとに長いなと思っていたんだが、今回台詞増量されてた……どーでもいいことが、増えてた。「ル・サンク」見て、白目むいたわ……。
 植爺からの、退団するソルーナさんへの思いやりってことなんだろう。
 役者の「格」は豪華な衣装と台詞の行数、だから。
 どーでもいいことを言わせて、行数を稼いでいるの。

 ソルさんの見せ場を作りたいなら、こんなどーでもいい場面じゃなくて、ルイ16世としての重要な場面をカットせずに上演しなさいよ。
 役者の「格」は衣装でも少人数口でも行数でもないわっ。


 心から、わけわかんないす。
 今回の『ベルばら』。

 あ、2006年の『フェルゼンとアントワネット編』の「ル・サンク」、脚本を読みかけていたんだけど、途中で頓挫している。書いてある内容が酷すぎて目がすべるの(笑)。大嫌いな台詞、アタマおかしいんじゃね?の台詞が文字で、しかも老人的な漢字使いで書かれていると、くらくらする。

 そして、メルシー伯爵のひとつの台詞が、21行もあって、それだけで目眩がした……(笑)。
 ひとつで21行よ? そのあとにさらに15行とか、すごいよ?
 フェルゼンも負けずに何行も喋ってるし。


 植爺キライ(笑)。

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