思い込みと現実。~「意外」の心理(笑)~@ロミオとジュリエット
2013年6月3日 タカラヅカ 『ロミオとジュリエット』Aバージョンで、ある意味いちばんの注目はベンヴォーリオ@礼くんだろう。
タカラヅカ離れした歌唱力とダンス力。加えて、有名人の娘っちゅーことで音楽学校入学時・劇団入団時からマスコミに取り上げられていたバックボーンの強さ。
女の子的なかわいらしい顔立ちは男役の武器には現時点ではなっていないけれど、それは大人になるに従って変化していくものだし。
実力が必要なところで毎回目立つ抜擢をされ、今回は待望の新公主役、ロミオ役だ。
そして本公演で、役替わりとはいえ主要キャラのひとり、ベンヴォーリオを演じる。
役替わりする相手は、組2番手のベニー。
2番手スターと役を分け合う、って、どんだけ本気でスター扱い。
その近年まれに見る抜擢、それを不思議に思わせない実力と人気。
金の卵が今、羽ばたく場を与えられた……! ワクテカ!
正直、いろんな意味で「意外」だった。
まず、ビジュアルというか、外面的なところ。
ベンヴォーリオはモンタギュートリオのなかでは「お兄さん」ポジの役。
血気にはやるマーキューシオを諫め、狂気に駆られる若者たちを制止する役。
礼くんはまだ研5。男役の研5なんて、まだひよっこ、少年。本公演で子役をやっていても不思議はない学年。実際礼くんは丸顔で「男」からはほど遠いかわい子ちゃん。
そんなお子ちゃまが、トップスターや2番手スターたちよりも「お兄さん」の役……?
最初配役を見たときは「ベンヴォーリオがお兄さんキャラと決まってるわけじゃないもんな。弟キャラにしてもいいじゃん」と思った。
制止役は「大人」だからするのではなく、心優しい「子ども」「弟分」だからするってことにしても、問題はない。
「お兄ちゃん、危ないことはやめてよ」と半べそかきながら言う弟分。子どもだからこそ粋がって、お兄ちゃんたちに負けまいと大人ぶってみたりする、粗忽者。そーゆーベンもありじゃね?
そう思っていたのだけど。
実際には、「意外」なほど、まっとーに「ベンヴォーリオ」だった。
弟キャラじゃない。
ふつーに、マーキューシオ@しーらんとコンビを組んでいる。
髪型も衣装も、初演のすずみんを踏襲。役作りもストレートにすずみんだ。
すずみんベン様から、ホモっぽさを引いた感じ(笑)。
「同世代」では勝負にならないと、勝手に思っていた。だから最初から「子ども」でいくんだとばかり。
真っ向勝負か。
もちろんそれには、相方のしーらんの「若さ」もあるだろう。しーらん妖精さんだわー。
そして、それに輪を掛けてロミオ@れおんくんが妖精だしな。
年齢関係なし、美しい若者たちが、そこにある。
礼くんは子役しか出来ない、と勝手に思い込んでいてごめんよぅ。そりゃ随所に幼さは出ていたけど、それでも基本はちゃんと若者役だったよ。
そして、もうひとつ「意外」だったこと。
礼くんと言えば、歌ウマ。
星組の芝居、ショーにて、耳を疑うほどの素晴らしい歌声を易々と披露してくれている。
そればかりか、組の枠を超えて『タカラヅカスペシャル』でも圧巻の歌声を響かせていた。
あの歌を聴いたら「あれ誰?! 何者?」ってなるよなあ。
ダンサーでもあるわけなんだけど、今回のベンヴォーリオ役で言えば、注目が集まるのは「歌」。
ベン様は2幕後半に見せ場となるソロがあり、その後の展開も含め、決してすべってはならない重責、他の役はともかくベンヴォーリオだけは最低限歌えなくてはならない、という縛りがある。『エリザベート』でいうフランツみたいになー。
他のどの役でもなく、歌唱力必須のベンヴォーリオ役が、歌ウマの礼くんであるということ。
これは重要事項。
「お兄さんキャラ」であるベンヴォーリオを、わざわざ礼くんにした。
弟的な持ち味で演じられるマーキューシオではなく。
つまりこの抜擢が、「期待の新人を、とにかく大きな役を付けて目立たせる」ことだけが目的なのではなく、それに加えて、「実力」も期待されてのことだとわかる。
歌だよ、歌。礼くんなら、歌。
素晴らしい歌声を聴かせてくれ。
演出家の期待もあるんだろう、コーラスにしろベン様パートは無駄にめんどくさそうなアレンジがかかっていて、「礼くんはともかく、これをベニーにやらせるんかよ」とびっくりしたさ(笑)。
だいもんベネディクトのソロをやたら難しく変更しちゃったみたいに、歌える子には容赦ないな、イケコ。……そう思ったさ。
礼くんが歌ウマなことも、コーラスでなんか難しい歌を歌わされているのもわかったけど……正直、首をかしげた。
あれ? こんなもんだっけ?
そして、ベン様的クライマックス、カーテン前ソロ「どうやって伝えよう」。
……期待が大きすぎたんだろうか。
感想は、「こんなもん?」。
経験不足から、芝居歌として足りない部分があるのは想定内。
それはいいから、とにかく「歌」として、とてつもないものを聴けるのだと期待していた。
たっちんの『炎にくちづけを』新公みたいに。
うまいのだろうけれど、「歌」として爆発的なうまさはなく、もちろん芝居としても足りていない。
あれ? こんなもんなの? 変だな、いつもの礼くんならもっと……これがいつものショーで任されたソロパートなら、もっと……。
足りなさ具合に、盛大に肩すかし。
「意外」だった。
最初から「足りない」と決めつけていたキャラクタや外見ではこちらの用意していたバーをやすやす飛び越え、最初から「素晴らしいはず」と決めつけていた歌声ではバーに届かず終了。
すごいんだか、もどかしいんだか、見ていてじれじれする(笑)。
感じるのは、あまり調子に乗るタイプではないんだな、ということ。
真面目だわ……。なんか、すごく真面目……。
すこーんとはじけちゃっていいのになー。
見ながら、しみじみと「この子のロミオが見たい」と思ったよ。
もっともっと重責を与え、追い詰めて、どこへ行くのかを見てみたい。
大切な金の卵。
どうか素敵に羽ばたいてくれますように。
タカラヅカ離れした歌唱力とダンス力。加えて、有名人の娘っちゅーことで音楽学校入学時・劇団入団時からマスコミに取り上げられていたバックボーンの強さ。
女の子的なかわいらしい顔立ちは男役の武器には現時点ではなっていないけれど、それは大人になるに従って変化していくものだし。
実力が必要なところで毎回目立つ抜擢をされ、今回は待望の新公主役、ロミオ役だ。
そして本公演で、役替わりとはいえ主要キャラのひとり、ベンヴォーリオを演じる。
役替わりする相手は、組2番手のベニー。
2番手スターと役を分け合う、って、どんだけ本気でスター扱い。
その近年まれに見る抜擢、それを不思議に思わせない実力と人気。
金の卵が今、羽ばたく場を与えられた……! ワクテカ!
正直、いろんな意味で「意外」だった。
まず、ビジュアルというか、外面的なところ。
ベンヴォーリオはモンタギュートリオのなかでは「お兄さん」ポジの役。
血気にはやるマーキューシオを諫め、狂気に駆られる若者たちを制止する役。
礼くんはまだ研5。男役の研5なんて、まだひよっこ、少年。本公演で子役をやっていても不思議はない学年。実際礼くんは丸顔で「男」からはほど遠いかわい子ちゃん。
そんなお子ちゃまが、トップスターや2番手スターたちよりも「お兄さん」の役……?
最初配役を見たときは「ベンヴォーリオがお兄さんキャラと決まってるわけじゃないもんな。弟キャラにしてもいいじゃん」と思った。
制止役は「大人」だからするのではなく、心優しい「子ども」「弟分」だからするってことにしても、問題はない。
「お兄ちゃん、危ないことはやめてよ」と半べそかきながら言う弟分。子どもだからこそ粋がって、お兄ちゃんたちに負けまいと大人ぶってみたりする、粗忽者。そーゆーベンもありじゃね?
そう思っていたのだけど。
実際には、「意外」なほど、まっとーに「ベンヴォーリオ」だった。
弟キャラじゃない。
ふつーに、マーキューシオ@しーらんとコンビを組んでいる。
髪型も衣装も、初演のすずみんを踏襲。役作りもストレートにすずみんだ。
すずみんベン様から、ホモっぽさを引いた感じ(笑)。
「同世代」では勝負にならないと、勝手に思っていた。だから最初から「子ども」でいくんだとばかり。
真っ向勝負か。
もちろんそれには、相方のしーらんの「若さ」もあるだろう。しーらん妖精さんだわー。
そして、それに輪を掛けてロミオ@れおんくんが妖精だしな。
年齢関係なし、美しい若者たちが、そこにある。
礼くんは子役しか出来ない、と勝手に思い込んでいてごめんよぅ。そりゃ随所に幼さは出ていたけど、それでも基本はちゃんと若者役だったよ。
そして、もうひとつ「意外」だったこと。
礼くんと言えば、歌ウマ。
星組の芝居、ショーにて、耳を疑うほどの素晴らしい歌声を易々と披露してくれている。
そればかりか、組の枠を超えて『タカラヅカスペシャル』でも圧巻の歌声を響かせていた。
あの歌を聴いたら「あれ誰?! 何者?」ってなるよなあ。
ダンサーでもあるわけなんだけど、今回のベンヴォーリオ役で言えば、注目が集まるのは「歌」。
ベン様は2幕後半に見せ場となるソロがあり、その後の展開も含め、決してすべってはならない重責、他の役はともかくベンヴォーリオだけは最低限歌えなくてはならない、という縛りがある。『エリザベート』でいうフランツみたいになー。
他のどの役でもなく、歌唱力必須のベンヴォーリオ役が、歌ウマの礼くんであるということ。
これは重要事項。
「お兄さんキャラ」であるベンヴォーリオを、わざわざ礼くんにした。
弟的な持ち味で演じられるマーキューシオではなく。
つまりこの抜擢が、「期待の新人を、とにかく大きな役を付けて目立たせる」ことだけが目的なのではなく、それに加えて、「実力」も期待されてのことだとわかる。
歌だよ、歌。礼くんなら、歌。
素晴らしい歌声を聴かせてくれ。
演出家の期待もあるんだろう、コーラスにしろベン様パートは無駄にめんどくさそうなアレンジがかかっていて、「礼くんはともかく、これをベニーにやらせるんかよ」とびっくりしたさ(笑)。
だいもんベネディクトのソロをやたら難しく変更しちゃったみたいに、歌える子には容赦ないな、イケコ。……そう思ったさ。
礼くんが歌ウマなことも、コーラスでなんか難しい歌を歌わされているのもわかったけど……正直、首をかしげた。
あれ? こんなもんだっけ?
そして、ベン様的クライマックス、カーテン前ソロ「どうやって伝えよう」。
……期待が大きすぎたんだろうか。
感想は、「こんなもん?」。
経験不足から、芝居歌として足りない部分があるのは想定内。
それはいいから、とにかく「歌」として、とてつもないものを聴けるのだと期待していた。
たっちんの『炎にくちづけを』新公みたいに。
うまいのだろうけれど、「歌」として爆発的なうまさはなく、もちろん芝居としても足りていない。
あれ? こんなもんなの? 変だな、いつもの礼くんならもっと……これがいつものショーで任されたソロパートなら、もっと……。
足りなさ具合に、盛大に肩すかし。
「意外」だった。
最初から「足りない」と決めつけていたキャラクタや外見ではこちらの用意していたバーをやすやす飛び越え、最初から「素晴らしいはず」と決めつけていた歌声ではバーに届かず終了。
すごいんだか、もどかしいんだか、見ていてじれじれする(笑)。
感じるのは、あまり調子に乗るタイプではないんだな、ということ。
真面目だわ……。なんか、すごく真面目……。
すこーんとはじけちゃっていいのになー。
見ながら、しみじみと「この子のロミオが見たい」と思ったよ。
もっともっと重責を与え、追い詰めて、どこへ行くのかを見てみたい。
大切な金の卵。
どうか素敵に羽ばたいてくれますように。
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