とりあえず、初見では笑いが止まりませんでした。『戦国BASARA』。初日を含む2回観劇。

 初見時は「タカラヅカ」とも舞台文化とも無縁のゲーム畑の人、さらにゲームも知らないけどつきあいで来た人たちと一緒の観劇だったので、笑いを分かち合う人がいなくて、ひとりでふるふる震えてました。
 「タカラヅカ」という異文化を目の当たりにしたゲーム男子たちは、みなポカンとしつつ、「タカラヅカっていつもこんななんですか?」と聞いてきた。
 いやいやいや、んなこたぁーない、これ、タカラヅカとしてはかなり異質だから! これがタカラヅカだと思うと他を観てびっくりするから!

 ほんとにさあ、『ベルばら』と同じカンパニーがやっているとは、思えないねえ。
 タカラヅカってすごいな。

 映像満載のスペクタクル。
 真田幸村@らんとむ登場時から、白馬の王子様登場!てな演出にニラニラする。

 主要メンバーたち登場、それぞれゲーム的なポーズで静止する、あの格好良さ。
 伊達政宗@みーちゃんかっけーーーっ。
 かすが@べーちゃんかっけーーーっ。
 武田信玄@みつる……マジっすか、似合いすぎてる!
 猿飛佐助@だいもん……え、やっぱその枠付けてるの……?

 幕が開くなりよっちセンターでの群舞だとか、声を出すのがびっくだとか、テンション上がることがいっぱい。


 てことで、順不同で思いつくことを書く。

 幸村の衣装は気にならないのに、いのり@蘭ちゃんの衣装の村での浮きっぷりが気になる不思議。
 やっぱ武将と村人だと、衣装の差は受け入れられるんだろう。でもいのりは村人A。
 「いのりはいい子」と歌われても、地味でシンプルな衣装の村人たちの中で、真っ黄色のミニドレス着たいのりは、とてもいい子に見えない、いろいろとかわいそうな子に見える……。
 村人の衣装も、「戦国時代の村人」ではなく、もっとコスプレちっくなものにすれば良かったのに。

 質素な村人の中で、ひとり派手派手で浮きまくっているいのり。そして、KYな言動を取り、幸村にもウザがられるいのり。が、がんばれ蘭ちゃん。スズキケイの「蘭ちゃんヒロイン像」は『愛のプレリュード』 から変化無しなのか。

 タカラヅカオリジナルのヒロインがうざいだけだよどうしよう、と思った1幕。ありがたいことに2幕では、そのヒロインをうまく決着させてくれたのでほっとした。
 2日続けて観たんだけど、オチを知っていれば、1幕のいのりちゃんもアリだと思える。


 上杉謙信@みりおくんの違和感のなさ。
 わたしはのーみそのメモリが少ないため、「花組の『戦国BASARA』観に行くぞー!」で完結しており、それ以上ではない。
 だから劇場でみりおくんを見て、「あ、そうか。みりおくん、いたんだ」と驚く。
 ポスターにも載っている、天下の準トップ様をないがしろにする気は毛頭なく、どんだけ知識の部分で「みりおは花組」と知っていても、感覚では実感していない。だからつい、みりおくんがいることを失念していた。
 そして舞台にいるみりおくんを見て「いたんだ」と驚き、「いる」ことの違和感のなさにまた驚く。

 みりおくんはアクの強いタイプじゃない。正統派で癖のない美形スター。
 だから、組が変わっても違和感なく、溶け込んでいるのかな。
 少なくとも「花組で浮きまくってるよ、月に戻してあげればいいのに」とはまったく思わなかった。ああ、いるんだ、ぐらいの驚きで終了。
 まあ、こんだけドタバタしたイロモノ舞台じゃ、浮くもナニもないか……。

 あの大きな劇場の巨大スクリーンの、アップ映像に耐えうるみりおくんの美貌万歳。
 みりおくんは無理に踊らせたり戦わせたりするより、映像でその美貌を広く知らしめるべき。うまいじゃん、この使い方。
 ……と思っていたら、2幕ラストでけっこう大変な立ち回りをしていたわ……。


 みーちゃんがカッコ良すぎ。
 登場するなり場内爆笑、ツレのゲーム男子たちにもウケてました。
 ストーリーに絡まないし、なんの関係もなくらんとむさんをストーカーしているだけのアレな人ではありましたが(笑)、とにかくカッコイイので眼福。

 政宗@みーちゃんを見ながら、わたしは橘@『銀ちゃんの恋』を痛切に思いだしてました。

 みーちゃん、スターになったなぁ。感嘆。

 今回の政宗役と、『銀恋』の橘役は、役割的に同じカテゴリだと思うのですよ。
 主人公のライバルで、短い出番で「スター」として場を圧巻しなくてはならない。トップスター演じる主人公に対峙する者として、納得できるだけの存在感、オーラ、キャラの厚みを出さなくてはならない。
 残念ながら『銀恋』のときのみーちゃんは、ゆーひさんのライバルと言われても、今をときめくスターだと言われても、腑に落ちなかった。「役」に負けていた。
 説得力のないまま、はじけられないまま、「スター」だと見得を切る役は、見ていて収まりが悪く、いたたまれないものがあった。

 その記憶があるだけに、客席からがっつん笑われても動じず、「俺スター!」と存在感を放つ姿が、胸熱。
 なんて大きくなったんだろう。なんていいスターさんになったんだろう。


 信玄@みつるのファンタジーたるや、筆舌に尽くし難い。
 あれ、タカラジェンヌだよね? 女の子だよね? なんかもお、「ああいうイキモノ」として成立してしまっている、時代も性別もジャンルも超えて、説得力を持ってしまっている。
 初見時に一緒だったゲーヲタミーハー氏が、みつるを「すげえ美人!! なのになんでヒゲ!!」と騒いでいたのが印象的。うん、すげー美形なのに、あの格好でおやかた様なんだよ……。

 あ、そーいやわたしたち通路際だったんだけど、だいもん他兵士たちが目の前を駆けて行って、ツレのヅカはじめて男性たちが「女性なんだな、って思った」と口々に言っていたのも、面白かった。そうか、間際で見てそこに感心するのか……。


 らんとむさんはほんとにもお……。
 すごい人だなと改めて。

 今さら少年役で(少年ではないのかもしれんが、他キャラとの兼ね合いからそういっておかしくない若い役)、筋力勝負で。
 得意分野封印されて無理なこと山積みで、それでも力業で成立させてしまっている。
 これぞ、タカラヅカ・トップスター!!

 彼が誇らしい。
 こんなすごい人がトップスター。
 こんなすごい人だからこそ、トップスター。

 アウェイ感のある劇場とジャンルの題材で、それらをはねのけて存在する我らが蘭寿とむが、誇らしかった。


 ナニが起こるかわからないからこそ、楽しく観劇した。ツレのみんなも、それなりに楽しんでくれたようだ。……わたしがガチのヅカヲタだから、悪くは言えなかったろうけどな(笑)。
 翌日はいつものヅカヲタと一緒だったので、前日のツレには言えなかった、いろいろと忌憚ない感想を言えて、バランスも取れたさ。
 観られて良かった、楽しかった。

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