星組新人公演『ロミオとジュリエット』のキャスト感想、覚え書き。

 ジュリエット@美伶ちゃん。
 ロザリー@『ジャン・ルイ・ファージョン』がうまいわかわいいわで、鮮烈なデビューを飾った子、という記憶がある。
 97期、研3かあ。きれいな歌声、芝居も健闘。ふつーによくやっていた、うまかった、というだけで十分な学年とキャリア。
 だからいちばんの課題は、ビジュアル。

 ……ごつい?

 立派な肩幅と胸……いやその、谷間の出来る豊かなバストは素晴らしいと思いますが、全体バランスとしてごつく見えてしまった。
 ジュリエットは華奢でなくちゃなあ……寝室での下着姿がちょっと夢から覚める感じ……夢華さんもそんなだったっけ? 若いとそうなっちゃうのかな。
 首と顔の輪郭も関係してるのかな。
 四角くごつい印象。
 お化粧要研究。顔立ちがみみちゃんに似ているだけに、ひとまわり角張ってごついのがよく目立つというか……。

 ロミオ@礼くんとのバランスがよくなかったのかもしれない。
 ロミオがひたすら幼くかわいらしいので、彼に似合うジュリエットは小柄で華奢で子どものような女の子かな。中学生の男の子が王子様に見える、小学生の女の子、ぐらいのバランス。
 つっても、タカラヅカで小学生みたいな娘役は求められてないから、ううむ、礼くんが娘役泣かせってことか。彼がもっと大人になればちがうんだろうけれど、現時点ではロミオ15歳、ジュリエットはそれより幼くだから、ロリータ系までいっちゃった方がバランスが取れるんだろう。
 美伶ちゃんはとても小学生には見えず、むしろロミオより大人っぽく見えた。

 娘役の成熟度が男役より速いのは当然のこと、だからこれは仕方ないだろう。
 ジュリエットの方がロミオを愛していて、ロミオは別に誰も愛してなかったように見えたけれど、それこそが年齢差ってやつかもしれない。
 ジュリエットはロミオより大人だから他者に関心を寄せることが出来て、ロミオは子どもだから、まだ自分にしか興味がない。
 そんなふたりの悲劇……だと思えば、ソレはそれでアリ?

 ともあれ、礼くん、美伶ちゃん、新人公演初主演おめでとー。大作をよく演じきった。


 死@れいやくんが美しかった。
 悪目立ちすることなく存在し、その美貌と美しい動きで画面に切り込む。
 トートメイクは誰でもある程度ビジュアル系になる(ステージスタジオのスタッフ談。素人がやっていちばん誤魔化しが利くのがトートだからオススメ♪と言われた・笑)。ダークなお化粧は見た目を何割か増しにしてくれる。
 そうはいっても、やっぱ元の顔立ちの美しさがあると、段違いの映え方ですな、美貌が!!
 死が美しい、それだけで舞台を観ているのが楽しい。いやあ、いいっすねー。

 愛@凰羽みらいくんがまた、「男役です!」とわかる強いダンスで。
 死とふたりでしゃきーん、ひらーり、すぱーっと、擬音が見える感じに踊ってくれて、キメてくれて、なかなか心地よかった。
 ……ところで愛は前髪ぱっつんでなくてはならないの? 他の愛はともかく、凰羽くんは髪型変えた方がいいと思う……顔立ち的に。細い目の上に前髪一直線で、線の上に線、顔が見えているはずなのに見えない状態……。


 ベンヴォーリオって2番手の役なんだなあ、と本公演Bバージョンを観たあとなので、しみじみ思う。
 ベンヴォーリオ@夏樹くん。
 美貌と落ち着き、そして歌唱力。危なげなくクリアしたベン様。
 そして、ひとりだけそうやってクリアしちゃってるからか、いろいろ足りてないマーキューシオやめんどくさいロミオのことは下に見ている感じ。
 たしかにベンさんは他のふたりより大人、おにーさんポジなんだろうけど、ほんとにお兄さん過ぎて、次元が違っていたような。
 前半の「世界の王」などがないせいもあるだろう。あまり友情を感じられなかった。
 でもとにかくカッコイイし、歌ウマだからいいよな。
 ただ、わたしは髪型がイマイチだと思った。夏樹くんならもっと美しくなれるだろうに。長さもカタチも半端、この角度だとカッコイイけど、それ以外は微妙、に見える「静止画限定」の髪型だった。


 出番を削られているマーキューシオ@紫藤くんは、表現する場が少なくて、その点は大変だよな。
 ベン様も悪いと思うけど、親友にあまり面倒見てもらっていない、手を放されて行き詰まっている印象。たぶん、紫藤くんひとりでは「マーキューシオ」を創り切れていないんじゃないかな?
 ベンマーは2個イチで成り立つ部分もあると思うので、ベンマーに限ったことじゃないが、この個人主義で成り立ったような新公では、キャリア不足の子は居方を見つけられないでいる感じがした。


 ある意味とても残念だった乳母@風ちゃん。
 『南太平洋』で「タカラヅカのヒロイン」ではなく、「ミュージカルの主人公」だった彼女。外の劇場だし、海外ミュージカルだし、専科さん公演だし、それはそれでいいのかもしれない、とは思ったけれど。
 大劇場公演の『ロミオとジュリエット』で、主人公じゃない乳母役で、「ミュージカルの主人公」になってしまうのは、どうかな……。
 とても、うまい。安心して、うまい。
 でも、感動出来ない……。
 といっても、美穂圭子おねーさまの乳母に感じた拒絶反応はなく、「ああ、うまいのね」とスルーして、歌をきれいに歌っていた、ということしか印象に残らなかった。乳母をオペラで追おうという気にはならなかった。や、外見はきれいでした。「乳母」には見えないくらい、若くてかわいかった。


 キャピュレット卿@レイラ、かっこよかったなああ(笑)。
 レイラくんはヒゲ付けると男前度が跳ね上がるね。そして、外見のオトコマエさに、芝居がついて行っていないのが……『メイちゃんの執事』の頃を思い出す。や、あの頃よりはダンチにうまくなっているんだけど。
 等身大の役はいいんだけど、なんつーんだ、器の大きな役をやると違和感があるな。レイラ自身の表現が「若い」のかも。外見はちゃんとおっさんなのに、表情も感情の出方も「若い」。それでどうも、うまくはまらない。これは、経験の問題なのかな。これから経験を積めば変わるのか。
 あ、あと歌がんばれ(笑)。


 ロレンス神父@ひろ香くん、歌ウマさん認識なので、彼が神父役なのは納得。
 最近カッコ良くなっているから、真逆のキャラをやるのは方向転換にとまどったのかな。昔のひろ香くんの方が、神父みたいな役は得意だったんじゃね?
 なんか包容力のない神父様で、身を預けても救ってくれそうにない印象。一緒に悩んではくれるから、それでいいのか。ってソレ、友だちでいいじゃん。
 大きさを出すのは難しいんだな-。


 ティボルト@麻央くんは、新公の構成的に気の毒だったなと。
 著作権だかで『ロミジュリ』の新公は仮面舞踏会からと決められている。だから芝居がスタートして最初の銀橋ソロが、ティボルトだ。
 ロミオもジュリエットも、ソロがない。踊りながらのデュエットがあるだけ。
 「歌」が重要な作品で、落ち着いて最初に聴かせるソロが、ティボルト。
 …………ええ、大変ですよ。歌う方も大変だろうけど、聴かされる方も大変さ。
 最初の1曲がジャイアン状態だからなあ。ティボルトはキャラ的にもジャイアンだし、そこからスタートじゃ分が悪い。全編なにかと大変そうなティボルト。感情も表現も、やたら幅の狭いティボルト。
 分が悪かったのはわかるけど、……わかるけど、もう少し歌える子にやらせてもよかったんぢゃないのか、この役?
 や、ビジュアルは良かったです。

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