ちぎたさん、女役……!!
主な配役
ヘイリー・ハーツ@壮 一帆
ジョセリン・ハーツ(ヘイリーの妻)@愛加 あゆ
エラ(女性ダンス教師@早霧 せいな

 『Shall we ダンス?』の主な配役出ました。

 ちぎくんが「草刈民代」の役……。

 映画『Shall we ダンス?』といえば、まず思い描くのが「草刈民代」。映画を見たことがない人でもまず思い浮かべるレベルの「その映画の象徴」。
 それくらい大きな役だから、役の格的にはちぎくんにふさわしい。

 いや、ふつーはそんな大きな役であれば、トップ娘役が演じるもんだけど、なにしろその、そんなふーに誰もが知っている有名なヒロイン像だとあのその、あゆっちは柄違い過ぎて……ぶっちゃけ体型が、「世界大会レベルのダンサー」という設定に合ってなくて。
 あんだけ女性的にふくよかな女の子が、イギリスの国際競技会に出場するダンサーの役を、どうやって説得力を持って演じるのだろうかと……。

 その点ちぎくんなら、その美貌とスレンダーなスタイルだけでも「美しいダンサー」だと説得力ありまくり。

 だから、『Shall we ダンス?』という作品を上演するにあたって、最良のキャスティングだと思います。

 ただ。
 なんで「今」なのかなと思う。

 男役2番手が、本公演2作連続女役ってどうよ?!

 タカラジェンヌは有限の妖精、その儚い人生で1年間も男役を封じられることには、疑問がある。
 オスカルは「男役の花形」役だとはいえ、植爺オスカルはなまじ男装しているからこそ見ていて辛い女々しさ全開の役だし。ちぎくんがどんだけ凜々しく演じていたって、ヅカオスカルは原作よりもアニメよりも間違いなく「女」役だし。

 オスカルを演じ、勢いに乗ったはずだからこそ、その次の公演は「めちゃくちゃかっこいい男役」姿を見せなくてはならないのに。
 DSはやるけど、それってもともとのディープなファンしか行かないじゃん……『ベルばら』見て「タカラヅカって楽しい」「オスカル様素敵」と思ったライトな人々が次に雪組公演を大劇場で観て「あの2番手さん素敵!」と思ってくんなきゃなんないのにー。

 ショーがあるので、そこはフォローできるだろうけどさ。
 ショーありの芝居1作だけ、ならば、路線男役の宿命だと思えるけどなあ。2作連続はきついなあ。

 だからこそ、ちぎくんの貴重な男役人生の本公演を費やすに値する、素晴らしい作品と素晴らしい役であることを望む。


 で。

 ちぎくんがダンス教師、あゆっちが奥さんだとわかったので、作品の方向性がわかったというか、妄想配役がしやすくなった。
 『風と共に去りぬ』をやるとわかってもテルがバトラーなのかスカーレットなのかわからないと、脳内キャスティングして楽しむことができないよ、というのと同じ。

 あくまでもえりたんの相手役はあゆっち、ちぎたんへの思いは淡いモノであり、根っこは奥さんとの再生ラヴストーリーだな。

 ここがタカラヅカであり、演出家がイシダせんせではないので、あくまでも「タカラヅカ」として再構築するのだと思う。
 役名が原作映画ともハリウッドリメイク版ともチガウのだから、原作を元に別のモノを作ると考えていいだろう。

 上記3役に次ぐ大きな役は、「主人公の会社同僚男」「主人公のパートナーになる、ダンス教室の女」の2名。
 これがいわゆる「竹中直人」と「渡辺えり」。

 同僚男は「会社では冴えないダメダメ中年」だけど、ダンスでは人が変わったように「(キモチ悪いくらい)派手で情熱的」な踊りを披露する。
 その二面性を表す小道具が「カツラ」。
 冴えないダメ男のときはハゲ頭、ラテンギラギラ男のときはカンチガイロン毛。
 競技会ではカツラネタで笑わせる場面もある。

 ダンス教室の女は、「論外なデブおばさん」なのに自信家で「カンチガイセクシーダンス」を押しつけがましく踊る。
 男たちは一様に「ナイナイ」と思っているのに、彼女ひとり「イイオンナ」的KYさを発揮している。

 どちらも笑わせるためのユニークなキャラクタ。
 どちらも「美男」「美女」ならおもしろくもなんともない性格だけど、「ハゲオヤジ」「デブおばさん」だから笑えるという道具立て。
 そんな外側の印象で落としておき、物語が進むにつれ彼らの魅力がわかってゆき、観客は感情移入して応援するようになる、作りなわけだ。

 この道具立てをそのままヅカの舞台でやる必要はない。
 イシダならそのままやるだろうけど、そんなのヅカである意味ナイし、別のカンパニーでやればいい。

 わたしが『Shall we ダンス?』でテーマを自由に表現していいとなったら、主人公たちに次ぐ重要な役を「ハゲオヤジ」「デブおばさん」にはしない。
 「タカラヅカ」らしい道具立てで、同じテーマと笑いを作る。

 同僚男に必要なのは、「会社では冴えないダメダメ中年」だけど、ダンスでは人が変わったように「(キモチ悪いくらい)派手で情熱的」になるという、二面性だ。

 つまり、ハゲにする必要はない。
 メガネ+スーツの「小心男」にして、ダンス教室では「ヅカのラテンショー」状態の男、にすればいい。
 普段はふつーに男役リーゼント、ダンス教室ではロン毛カツラ着用。
 ダメダメめがねっこだとウィラード@『フットルース』にかぶる、というなら、もっと「タカラヅカ」的に、「職場では超真面目クールビジネスマン」で、とてもダンスなんかやるタイプには見えない、ダンスなんて言うと侮蔑の一瞥で終わらせそうな「お堅い男」……が、実は……!! ということにするとか。

 ええ、まつださんのイメージです。
 ムーア牧師@『フットルース』が表の顔、しかし彼には秘密があった……!
 表の顔がクールであればあるほど、イッちゃったラテンラヴァーっぷりは笑えるはず。

 ふつーに「現在の雪組」で上から順番に配役したら、この役がまっつになる。
 なんの不思議もなく、まっつの得意分野な役だと思う。

 そして、ダンス教室の女。
 この役に必要なのは「カンチガイセクシーキャラ」だ。
 すべての男はアタシを狙ってる!!くらいの。いくら「カンチガイ」を際立たせるためとはいえ、デブおばさんにする必要はない。

 超ナイスバディの長身ド派手女。押し出し良すぎて肉食系で、暑苦しくて、男たちはたじたじ。
 ふつーの男だと、組んで踊っても吹っ飛ばされる、的な。男たちみんなこわがってます、的な。
 不細工ぢゃなくても、男たちにすれば「ナイナイ」な女。

 …………すみません、めーーっちゃ、ともみんのイメージです。

 ふつーに「現在の雪組」で上から順番に配役したら、この役がともみんになる。
 なんの不思議もなく、ともみんの得意分野な役だと思う。
 女役ですまん、でもショーありの芝居1作だけ、ならば、路線男役の宿命ってことで。

 で、まっつは所詮「小男」じゃないですか。で、ともみんは「ナイスバディの大女」じゃないですか。
 このふたりが鼻息荒くラテンを踊ったら……しかもまっつは途中でカツラがズレて、最終的に投げ捨てて、さらにさらに燃え上がって踊るとなったら……面白すぎる。

 「タカラヅカ」の範疇、見た目的にはふつーに美しいのに、役者のキャラクタや芝居で笑わせる、ことができる。


 主人公は妻と改めて愛を確認しあい、ダンス教師は過去を克服して夢へと歩き出す。
 なにかしら傷や鬱屈を抱えていた人々が、ダンスと出会うこと、人と出会うことで次のステップへと軽やかに踏み出し行く……そんな、ハートウォーミングな物語。

 原作のテーマやエッセンスを活かし、下手にストーリーだのキャラ比重だのをいじったりせず、道具立てだけ「タカラヅカ」にする。
 十分「タカラヅカ」として素敵な作品にできると思うんだ、『Shall we ダンス?』。

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