『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』という作品・脚本の嫌いなところだけを記すシリーズです、はい。演じているジェンヌには無関係、植爺だけの話。
変だなあ。
2006年『フェルゼンとアントワネット編』で、1幕ラストのフランス宮廷場面、フェルゼンが「真実の愛を知ったからです」とドヤ顔する場面、感動したんだけどな。
そりゃツッコミどころはあったけれど、『ベルばら』というネタ公演の中では十分感動できる、良い場面だと思ったんだ。
なんで今回、とほほ感しかないんだろ……。
2006年版はなんつっても、前年に史上最悪の全国ツアー版をやっていたからかな。
90分の短縮版なのに何故かメルシー伯爵のお説教はまるっとあるし、アントワネットの出番はほぼなし、ヒロインはオスカルみたいな比重なのに、「オスカルは死にました」で、今宵一夜もバスティーユもなし。
なにより最悪なスウェーデン宮廷場面あり。
その直後だったから、スウェーデン宮廷がベルサイユ宮廷になり、グスタフ3世がルイ16世になって、気持ち的にものすごーく底上げされたのかもしれない?
こうして改めて「真実の愛を知ったからです」「真実の愛? それはなんだ?」てなやり取りを見ると……やっぱダメだわー。
やってることの、意味がわかんない。
てことで、台詞を表記してのどこがダメか記録。
第1幕
第15場 ベルサイユ宮殿・王座の間
メルシー伯爵が「フェルゼンは婚約が決まったので帰国する」と報告。それに対し、
プロバンス伯爵「婚約…ハッハッハ…。これは面白い話を聞くものだ。お前はまだ独り身だったのか? 私はすでに決まった女がいるとばかり思っていた。それもこのフランスで…なあ、ブイエ将軍…」
ブイエ将軍「そうでございます。それもこともあろうに身分違いの女性が…」
プロバンス伯爵「王妃さま… フェルゼンが帰国致すそうにございます。何卒、お言葉を…王妃さま!」
フェルゼンとアントワネットの不倫を前提に、プロバンス伯爵とブイエ将軍の低レベルの嫌がらせ。
やっていることがくだらなさすぎて辟易するけれど、プロバンス伯爵とブイエ将軍は悪役だ。悪役を悪役として描いているので、これはまだアリだと思う。うざいけど。
すると国王ルイ16世が口を挟む。
ルイ十六世「フェルゼン…その帰国は延ばせぬかな?」
アントワネット「国王さま…」
ルイ十六世「王妃が悲しむぞ。王妃はそなた一人を頼りにしていたのだ。ただの時ならいざしらず、フランスの国情が騒がしい時だ。王妃の力になってやってはくれぬか?」
「アントワネットのために、帰国を延期してくれ」というのがルイ16世の願い。
前の場面で、オスカルが解説していた。国王はアントワネットの不倫を知っている、と。
実際この台詞のあとにプロバンス伯爵が「兄上! 兄上はこの男と姉上が…」と言いかけたのに、無視して話を進めているので、「妻の不義を知っている」と思って間違いないだろう。
妻の浮気相手に、すべてをわかった上で「妻のそばにいてやってくれ」と言っているわけだ。そのものズバリなことは言わないけれど、真意のわかる様子で。
ここまではいい。
言葉にしている部分と、あえてしていない部分。
言えない、言ってはいけないことを抱え、耐えるフェルゼン。……というのは、間違っていない流れ。
これだけなら、意地悪な悪役を憎み、可哀想なフェルゼンとアントワネット、心の広いルイ16世に感情移入できる。
でも、このあとなんだ。
プロバンス伯爵「どうした、フェルゼン。国王さまがお訊ねなのだ!」
ブイエ将軍「フェルゼン! 何を黙っているのだ!」
プロバンス伯爵「申し上げられないほどに後ろめたいことでもあるのか?」
は?
国王が尋ねているのはあくまでも、「王妃のために帰国を延期出来ないか」だよね?
裏事情はどうあれ、ここで言語化されている質問は、それだけ。
「結婚するので帰国します」「用があるから帰国を延期してくれ」という会話がかわされ、言われた側が返答できずにいるのよね?
言葉の上だけでは、「結婚式を延期しろってこと? こまったな」と返答に詰まっている、ってことになるよね?
なのに「申し上げられないほどに後ろめたいことでもあるのか?」って、ナニ?
「結婚式を延期しろ」って、ふつーに考えれば無体なことよね? そんなとんでもないことを言っている側なのに、「何を黙っているのだ!」「申し上げられないほどに後ろめたいことでもあるのか?」って、どんだけ酷いの?
ここでわたしはかなりつまずく。
プロバンス伯爵は、いったいナニを詰問しているの?
ってことで、次項へ続く。
プロバンス伯爵の会話と思考の流れを検証する。
変だなあ。
2006年『フェルゼンとアントワネット編』で、1幕ラストのフランス宮廷場面、フェルゼンが「真実の愛を知ったからです」とドヤ顔する場面、感動したんだけどな。
そりゃツッコミどころはあったけれど、『ベルばら』というネタ公演の中では十分感動できる、良い場面だと思ったんだ。
なんで今回、とほほ感しかないんだろ……。
2006年版はなんつっても、前年に史上最悪の全国ツアー版をやっていたからかな。
90分の短縮版なのに何故かメルシー伯爵のお説教はまるっとあるし、アントワネットの出番はほぼなし、ヒロインはオスカルみたいな比重なのに、「オスカルは死にました」で、今宵一夜もバスティーユもなし。
なにより最悪なスウェーデン宮廷場面あり。
その直後だったから、スウェーデン宮廷がベルサイユ宮廷になり、グスタフ3世がルイ16世になって、気持ち的にものすごーく底上げされたのかもしれない?
こうして改めて「真実の愛を知ったからです」「真実の愛? それはなんだ?」てなやり取りを見ると……やっぱダメだわー。
やってることの、意味がわかんない。
てことで、台詞を表記してのどこがダメか記録。
第1幕
第15場 ベルサイユ宮殿・王座の間
メルシー伯爵が「フェルゼンは婚約が決まったので帰国する」と報告。それに対し、
プロバンス伯爵「婚約…ハッハッハ…。これは面白い話を聞くものだ。お前はまだ独り身だったのか? 私はすでに決まった女がいるとばかり思っていた。それもこのフランスで…なあ、ブイエ将軍…」
ブイエ将軍「そうでございます。それもこともあろうに身分違いの女性が…」
プロバンス伯爵「王妃さま… フェルゼンが帰国致すそうにございます。何卒、お言葉を…王妃さま!」
フェルゼンとアントワネットの不倫を前提に、プロバンス伯爵とブイエ将軍の低レベルの嫌がらせ。
やっていることがくだらなさすぎて辟易するけれど、プロバンス伯爵とブイエ将軍は悪役だ。悪役を悪役として描いているので、これはまだアリだと思う。うざいけど。
すると国王ルイ16世が口を挟む。
ルイ十六世「フェルゼン…その帰国は延ばせぬかな?」
アントワネット「国王さま…」
ルイ十六世「王妃が悲しむぞ。王妃はそなた一人を頼りにしていたのだ。ただの時ならいざしらず、フランスの国情が騒がしい時だ。王妃の力になってやってはくれぬか?」
「アントワネットのために、帰国を延期してくれ」というのがルイ16世の願い。
前の場面で、オスカルが解説していた。国王はアントワネットの不倫を知っている、と。
実際この台詞のあとにプロバンス伯爵が「兄上! 兄上はこの男と姉上が…」と言いかけたのに、無視して話を進めているので、「妻の不義を知っている」と思って間違いないだろう。
妻の浮気相手に、すべてをわかった上で「妻のそばにいてやってくれ」と言っているわけだ。そのものズバリなことは言わないけれど、真意のわかる様子で。
ここまではいい。
言葉にしている部分と、あえてしていない部分。
言えない、言ってはいけないことを抱え、耐えるフェルゼン。……というのは、間違っていない流れ。
これだけなら、意地悪な悪役を憎み、可哀想なフェルゼンとアントワネット、心の広いルイ16世に感情移入できる。
でも、このあとなんだ。
プロバンス伯爵「どうした、フェルゼン。国王さまがお訊ねなのだ!」
ブイエ将軍「フェルゼン! 何を黙っているのだ!」
プロバンス伯爵「申し上げられないほどに後ろめたいことでもあるのか?」
は?
国王が尋ねているのはあくまでも、「王妃のために帰国を延期出来ないか」だよね?
裏事情はどうあれ、ここで言語化されている質問は、それだけ。
「結婚するので帰国します」「用があるから帰国を延期してくれ」という会話がかわされ、言われた側が返答できずにいるのよね?
言葉の上だけでは、「結婚式を延期しろってこと? こまったな」と返答に詰まっている、ってことになるよね?
なのに「申し上げられないほどに後ろめたいことでもあるのか?」って、ナニ?
「結婚式を延期しろ」って、ふつーに考えれば無体なことよね? そんなとんでもないことを言っている側なのに、「何を黙っているのだ!」「申し上げられないほどに後ろめたいことでもあるのか?」って、どんだけ酷いの?
ここでわたしはかなりつまずく。
プロバンス伯爵は、いったいナニを詰問しているの?
ってことで、次項へ続く。
プロバンス伯爵の会話と思考の流れを検証する。
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