だから、少年マンガ。@the WILD Meets the WILD
 『the WILD Meets the WILD』初日と翌日と、2回連続観劇してきました。

 初日の感想をまず書きたかったんだけど、時間がなくてそのまま2回目の観劇になっちゃった。
 初日は後方センター、2回目は前方上手とバランスのいい画面でした。ありがとうありがとう。

 えーと、まずはお約束の、これを貼っておきます。いつものコピペ。

 出演者もさることながら、実はわたしのいちばんのお目当ては、生田大和新作ってことでした。
 新人演出家の中で、彼への期待っちゅーか、わくわく感ハンパないっす。
 生田くんのデビュー作、『BUND/NEON 上海』は、マジ恥ずかしかった!!
 こんなこっ恥ずかしい物語を、臆面なく真っ正面から作ってくる新人作家! 楽しみじゃないですか!

 てことで。
 生田くんファンなので、彼の作品を心待ちにしていたのです。


 生田せんせのいいところ、まずポスターが凝っているよね。
 デビュー作の『BUND/NEON 上海』はともかくとして、『ランスロット』『春の雪』とポスターだけでもワクテカできた。

 そして今回、『the WILD Meets the WILD』。
 『銀英伝』でその美貌を内外に知らしめた宙組美形コンビ、ちーかいW主演!
 HPの先行画像だけでも話題騒然。

 耽美のかほりのする美青年ふたりの絡みに「どどどどんな話なのコレ?!」とヅカヲタを震撼させ、いざ本ポスターは、おバカ系のかほり漂う明るいパワーに満ちたもの。
 先行画像とのギャップひどい(笑)。

 でもなおさら、作品の魅力・期待が増した。


 生田せんせはほんと、「現代」のクリエイターだなあ。
 昔のヅカポスターなんて、「スターが載ってりゃいいんだろ」ってな、どーでもいい作りだった。
 ポスターはただの「告知」ツールでしかなかった。「宣伝」ツールですらなく、事実の告知止まり。
 でも、現代は違う。
 そりゃいつの時代も「スターの写真を貼り合わせただけ」ポスターより、「凝った美しい」ポスターの方がいいに決まってる。
 でも今語っているのは、ポスターとして、宣伝ツールとしてだけの話じゃない。
 グッズ販売が当たり前になった今、ポスターは公演の宣伝の域を超え、それ自体が販売物としての意味を持つ。
 ポスター画像を使ったグッズで、ヒト稼ぎできるんだもんよ。

 だもんで、ポスターセンスのいい生田くんは、現代のヅカ演出家として正しい。

 わたしは正しく乗せられて、グッズ購入しましたとも。

 プログラムはもちろんのこと、加えて、缶バッチと2L写真。

 ちーかい、かっけ~~っ!!

 このビジュアルだけで完勝してるわー。

 ダブル主演ってのはいろいろ大変だとは思うけど、「画像」という点ではドラマを演出できるからいいよね。
 主演ひとりの写真だと、どうしてもやれることに限界がある。
 生田くんはうまいこと演出するよなああ。


 とまあ、ファンらしく生田せんせを絶賛したところで。
 肝心の、作品についてですが。

 ……いやあ……もう、笑いが止まらなかったっす。

 生田せんせは、デビューから確実に進歩してきたじゃないですか。
 『BUND/NEON 上海』は破綻しまくりのひっでー出来で、『ランスロット』は少しマシになっていたけどツッコミどころ満載で、原作アリの『春の雪』になってはじめて破綻しないストーリーラインになっていた。
 1作1作確実にうまくなってきてるんだわー、と感心していたのに。

 ここで、まさかの退化。

 『BUND/NEON 上海』レベルの破綻作キターーっ!!(笑)

 『春の雪』がうまくまとまっていたから、この落差はひどい。原作がないとここまでむちゃくちゃになるの?

 ひっでーなヲイ、とあきれつつ、それでもニヤニヤ笑いが止まらないのは、この作品がファンアイテムとしては、アリだと思えるからだ。
 バウなんてもん、キャストのファンだけで埋まるハコなんだから、キャストのファンが楽しめたらそれでいい。
 そして、辻褄はまったく合っていないが、「見たい」ちーかいを見られる。それだけで、用は足りている。

 わたしはちーちゃんスキーなので、ちーちゃんのあんな顔こんな顔を眺めていられるだけで楽しくて、ニヤニヤニヤニヤしまくってました。
 だから、いいです。

 でも、キャストファンでなく、ニュートラルな立ち位置の人がこの作品を観て「ひっでー駄作!!」と憤慨しても、それはもう仕方ない。
 めちゃくちゃ過ぎるもん。
 『BUND/NEON 上海』もひどかったけど、あっちはシリアスでぶっ通していたからなんとか格好が付いた面があるんだが、『WMW』ときたらコメディ……つーか、ギャグ?として着地するもんだから、さらに誤魔化しが利かないんだよなー。

 ギャグ落ちでまとめるなら、人死には出すべきではないし、それまでの主人公たちの悩みなども軽薄な作風に流れていってしまう。
 人死にも悩みもきちんと描きたいなら、ギャグ落ちにするべきではなかった。笑える部分はあっていいけれど、あくまでもシリアスで通すべきだった。
 ほんとにヘタ打ったな生田くん……そう思う。


 駄作だし失敗しまくっているとは思うけど。
 ファンとして弁護すると、『WMW』は少年マンガなんだと思う。
 だから、主人公が悩んだり人が死んだりとシリアスな展開がありつつ、クライマックスがドタバタギャグになっていたりもする。発砲、暴力は当たり前、そこに重みなどない。ノリツッコミを繰り返しながら、話が進む。
 バトルの最中にギャグ連発する、シリアスと笑いが混在している、少年マンガなんだ。

 だからまあ、破綻しまくりでもなまあたたかく受け入れられる、というか。


 でも生田くん、今回の失敗はけっこー痛いと思うよ。つか、痛いと思ってくれ。「萌え」なキャラとシーンとそれっぽい台詞だけでキャストファンが喜んだからって、こんな作劇でヨシとか思わないでね。
 次、大劇デビューなんだもん……キャストファンだけでソールドアウトする閉鎖空間ぢゃないんだからさ……。

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