今だいもんブームのわたしは、なんやかんやで週一くらいのペースで『愛と革命の詩』を観ることになってます。
 や、『戦国BASARA』上演中あたりでしたっけ、今回の花大劇場公演の友会入力。だいもんだいもん!と盛り上がった気持ちのまま、片っ端から入力して、微妙な座席がたくさん当たってしまったのです……(笑)。この席に定価出すなら、B席で慎ましく観劇します、てなコスパ悪い席ばっかし。
 おかげでびんぼーに拍車が掛かってるわ……。


 と、『戦国BASARA』の話から入るけど。

 アクションゲームとの異文化コラボ。
 これってさあ、なんのためにやったの?

 シアターオーブロビーには、めちゃでけえ『愛と革命の詩』の看板が立ってました。今大劇場ロビーにも置いてあるアレな。
 劇団的には、ゲームファンに宝塚(東宝)大劇場まで来て欲しかったんじゃないの?
 新規顧客開拓が目的のひとつだったんじゃないの?

 新たな可能性、今まで知らなかった人に興味を持ってもらう、窓口のひとつにしたかったんじゃないの?

 だったらなんで、『戦国BASARA』から『愛と革命の詩』へ「つながる」ことをしないんだろう?

 たとえば。

 なんで、べーちゃんは役がない? 『戦国BASARA』で囲み取材にも出た子だよ? メインキャストだよ?

 別に、大げさなことじゃない。
 かすが役の子、キュートだった、かわいかった、また見てみたい。
 そう思った人が次の花組公演案内見たり、情報を集めたりしたときに「あ、かすが役の子、活躍してるっぽい」とわかるだけで、「宝塚歌劇観劇」への敷居が少し下がるかもしんないじゃん。
 そこまで本気でなくても「また見てみたい」程度で劇場へ足を運んでもらう。まず、本場のタカラヅカを経験してもらう。
 そっから先は、別の子に注目してもらってもいいし、ヅカ自体に「嫌悪したり、特別視するほどでもないな。ふつーに楽しい舞台」「また機会があったら観てもいいかも」と思わせるくらいでもいい。
 ひとつずつ、誘導するためのステップを、歩きやすい階段を用意するんだよ。

 なのに劇団は、いつもいきなり、「自分たちが売りたいモノ」だけをショーケースに並べる。
 売りたいモノだけを見てもらうために、他の商品は棚から下げてしまう。

 劇団が売りたかったのは、ロビーに飾ってあった巨大看板の人たちだけ、なんですかね。
 らんとむ、みりお、蘭ちゃん。
 そりゃ花組のトップ3なんだから、彼らを売るのは当然ですが。また、彼らはたしかに魅力的なスターさんたちですが。

 『戦国BASARA』を観たすべての人たちを、トップ3だけへの興味で集客しようなんて、間違ってませんか……。


 べーちゃんを例に挙げただけ、たまたま今回『戦国BASARA』というコラボ作品があっただけ、で、目の前にあるからそれを例にしただけっす。
 よーするに、劇団の「スターの売り方」ってわっかんねーなー、ということ。

 小売店は商売が立ちゆかず、個人商店は廃業、商店街がシャッター街になっている現代、生き残るにはありとあらゆる商品を揃えた大型店化するしかないのに。いろんなものが揃っているから、目当てがない客でもとりあえず足を運ぶのに。
 なんで今さら個人商店みたいな商売してるんだろう。

 反対に星組は、大型店化に成功したケースだと思うなー。
 とにかくいろんな人に見せ場を与え、なにがどうより客に足を運ばせる。客に選ばせる。
 劇団様が今さらしーらんやみっきーを「将来のトップスター」として売り出したとは到底思えない。でも、「将来のトップスター」以外を棚から下げてしまうことはせず、同じように客の目に触れるところに陳列する。新進スターの礼くんもそうだ。まだ海のものとも山のものともつかないけれど、とにかく棚に出す。
 あとは客が選ぶ。店がじゃない。ひょっとしたらあまりに売れすぎて、店の主力商品を覆す未来だって、あるかもしれない。そしてそれはそれで、かまわないはず。そこまでの「人気」があるなら。

 品揃え豊富な大型店と、頑固オヤジが「売りたいモノ」だけをわずかに並べているだけの個人商店。
 マニア以外の大衆は、どちらの店へ行く?


 花組もなあ、もっと大きな目で駒を動かせばいいのに。
 わざわざコラボして『戦国BASARA』やって、新しい客を増やしたいと思うなら、政宗でブレイクしたみーちゃんを手放さないし、べーちゃんにだって役を付ける。

 みーちゃんにもべーちゃんにも「人気が出たら困る」「売れてもらったら困る」というなら、最初から政宗もかすがも「劇団の売りたい誰か」にして、思い存分売り出せばいいのに。や、それで『戦国BASARA』が成功したかどうかわかんないけど。

 その場限りのことばっかやって、未来につながっていない。
 お客様を誘導するステップが作れていない。

 残念だ。


 あ、でも、個人商店方法、「売りたいモノ以外売らない戦法」での成功例はある。
 他ならぬみりおくんだ。
 月組は長年まさみり以外は売る気ナシ、ナニがあろうと頑として「店が売りたいモノ」だけを売ってきた。
 それでみりおくんは大人気になっている。

 ただ、みりおくんが売れるためには、まさおくんという「風よけ」を目の前に設置することで、客の意識を煽ることに成功したのだと思う。
 可憐なヒロインを引き立てるために、意地悪なライバルが必要なように。や、まさおを意地悪と言っているわけではなくて、役割的に。
 入団当初から「舞台で」抜擢されてきたみりおくんとちがい、まさおのもっとも明らかな抜擢のスタートは「いきなりWS主演」「いきなり商業イメキャラ起用」で、実力でも人気でもなく「バックが付いたため」と宣伝するような形だった。
 舞台でひとつずつ機会を得て活躍する新進スターと、バックの力で主演を勝ち取るそれまで脇役だった子……判官贔屓のヅカファンが、どちらに感情移入するか、「スター」と認識するか……わかりやすいケースだった。

 みりおくんパターンのように「ライバル」を設置せず、まったくの個人売りをしてきた花組は、御曹司まあくんを放出し、スター路線を再構築する事態に陥った。
 個人商店方法で失敗したのに、それでも大型店化はしないのな。

 月組の個人商店での成功例、みりおくんに頼って、今後もみりおくん推し・個人商店としての商売方法を貫くあたり、花組ってどんだけ頑固な老舗なの……。

 ある意味花組って、「宝塚歌劇団」そのものの体質を表しているのかもなあ。

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